トヨタのGRスープラと日産フェアレディZは、かつてのJDM黄金時代を代表する名車の系譜を継ぎ、現代のFRスポーツカーとして再び脚光を浴びています。両車は3.0Lクラスのターボエンジンを搭載し、性能も価格帯も競合する存在。この記事では「どっちが速いか?」というシンプルかつ深い疑問に対して、加速性能、ハンドリング、日常性能、サーキット実力、そして“走りの味”に至るまで多角的に徹底比較していきます。
1:エンジン性能と加速の数値を徹底比較
車種 | エンジン構成 | 出力 | トルク | 0-100km/h加速 |
---|---|---|---|---|
GRスープラ RZ | 3.0L 直6ターボ | 387ps | 500Nm | 約4.1秒 |
フェアレディZ RZ | 3.0L V6ツインターボ | 405ps | 475Nm | 約4.3秒 |
1-1. 出力と加速のバランスを見る
スープラはBMW製B58エンジンを搭載し、パワーとトルクのバランスに優れた扱いやすい特性が特徴です。一方、Zは405psのV6ツインターボで高出力ながらも、加速性能ではスープラにやや及ばず。
1-2. 加速フィーリングの違い
スープラはターボラグが少なく、低回転からトルクを発揮するため発進時の加速が鋭いのに対し、Zは高回転型で後半に伸びを見せるタイプ。どちらを好むかはドライバーの嗜好により変わります。
1-3. 実用領域での加速体感
市街地でよく使う0〜60km/h領域では、スープラの低速トルクとDCTの変速レスポンスが際立ちます。ZもNAライクなスムーズさを感じられますが、加速の鋭さでは一歩譲ります。
1-4. トランスミッションによる差
スープラは8速ATと6速MT、Zは9速ATと6速MTをラインアップ。AT同士ではスープラの変速スピードが上回る一方、Zの9速はクルージング時の回転数を抑え、高速巡航での静粛性や燃費に貢献します。
2:サーキットとワインディングでの実力比較
2-1. サーキットラップタイムの実績
各種媒体のタイムでは、スープラがZよりも平均で0.5〜1秒ほど速い傾向にあり、特に中〜高速コーナーの安定性と加速で差が出ています。
2-2. ハンドリングと旋回性能
スープラは軽量ボディとショートホイールベースにより、旋回開始からの切り返しが非常に軽快。Zはややロングホイールベースながらも、トラクションがしっかりと乗り、安定した旋回が可能。
2-3. ブレーキングとトラクション制御
スープラは電子制御LSDやアダプティブサスペンションを活かした高い制動安定性を誇ります。Zはややブレーキタッチがマイルドですが、リアの踏ん張りが効く安定型。
2-4. タイヤと足回りの違い
スープラは標準でミシュラン・パイロットスーパースポーツを装着、Zはブリヂストン・ポテンザS007などを採用。どちらもグリップ力は高いですが、シャープさではスープラ、コントロール性ではZに分があります。
3:日常使い・快適性・乗り心地の比較
3-1. 乗り心地と足回りのチューニング
スープラはスポーツ志向でやや硬め、Zは街乗りやロングツーリングを考慮した快適チューン。荒れた路面ではZの方が乗りやすさを感じます。
3-2. 静粛性と内装の質感
スープラは欧州車ライクな遮音性とクオリティの高い内装仕上げが印象的。Zはややスポーティ寄りのカジュアルな設計ですが、操作系が直感的で使いやすく、機能性も高いです。
3-3. 視界と運転のしやすさ
Zはフロント視界の広さや着座位置が適切で、初心者でも安心感のある視界を確保。スープラは着座位置が低く、スポーティだがやや見切りに慣れが必要。
3-4. 街乗りでの取り回し
最小回転半径はZの方がやや広めだが、ステアリングの軽さと素直さで市街地でも扱いやすい。スープラはクイックだが神経質にならず、キビキビとした操作が可能。
4:価格・装備・所有満足度の総合比較
項目 | GRスープラ RZ | フェアレディZ RZ |
---|---|---|
価格(税込) | 約730万円 | 約630万円 |
トランスミッション | 6MT / 8AT | 6MT / 9AT |
主な装備 | アダプティブサス、HUD、電動シートなど | BOSEオーディオ、電動レザーシート、最新ナビなど |
内装仕上げ | 欧州風プレミアム感 | クラシック&モダンの融合感 |
4-1. プレミアム感ならスープラ
スープラはBMWとの共同開発により、素材やデザインが欧州車に近く、高級感があります。ディテールまでの完成度が高く、所有満足度が高いです。
4-2. コスパで選ぶならZ
Zは100万円近く安価ながら、出力性能・装備ともに充実しており、走行性能を重視するユーザーには非常に魅力的な存在です。
4-3. 装備の充実度
両車ともに先進装備が揃っていますが、HUDやアダプティブサスなどスープラの方がやや先進的。Zはエンタメ性や快適装備の充実が光ります。
4-4. デザインと趣味性
スープラは現代的で洗練されたスポーツカー、Zは歴代フェアレディZのアイデンティティを継承したレトロモダンな魅力。ファン層にも違いがあります。
5:総合的に見た「速さ」と「楽しさ」の違い
5-1. 数値で見るとスープラに軍配
0-100km/h加速やサーキットタイムといった純粋なスピードではスープラが優位。スポーツ走行に特化した味付けが評価されます。
5-2. 公道での扱いやすさはZ
Zは快適性や走行バランスに優れ、ストリートやツーリングなど日常用途でも扱いやすく、乗る楽しさが際立ちます。
5-3. カスタムと拡張性の違い
Zは旧来から続く豊富なアフターパーツ文化があり、チューニングベースとしての自由度が高いのが魅力。スープラも近年は拡充していますが、パーツ価格はやや高め。
5-4. 「速さ」をどう捉えるかが選択の鍵
スープラは“圧倒的な性能で速く走る”ことを目指し、Zは“人との一体感で気持ちよく走る”ことを追求。あなたが求める“速さ”が、最適な選択を決める基準になります。
【まとめ】
GRスープラとフェアレディZは、どちらも日本を代表するFRスポーツカーであり、それぞれ異なる方向性で「速さ」と「楽しさ」を突き詰めています。
サーキットや加速タイムなど数値で比較すればスープラが優勢。しかし、Zは日常域での操る楽しさや快適性、趣味性といった点で根強い人気を誇ります。
“数値”か“フィーリング”か──スープラとZのどちらが「自分にとっての速さ」かを考えることで、あなたに最適なスポーツカーが見えてくるでしょう。