【小学生向けに解説】なぜスイカには種があるの?植物の子孫の残し方をやさしく学ぼう!

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おもしろ雑学

夏になると食べたくなるスイカ。赤くてあまい果肉を食べると、黒い種がコロコロ出てきますよね。じつはこの種こそが、新しい命をつなぐ主役です。どうしてスイカには種があるのか、植物はどうやって子孫を残すのか。

――この記事では、スイカの仕組みを中心に、花から実になるまで、種が遠くへ運ばれる工夫、「種なし」果物のひみつ、そして自由研究で育てる手順までを、小学生にもわかりやすくたっぷり解説します。読みおえたころには、種を見る目が少し変わり、スイカを食べる時間がもっと楽しくなるはずです。


1.スイカの種の正体と役割を知ろう

1-1.種は植物の「命のバトン」

スイカの種は、いわばスイカの赤ちゃん。中には、芽(将来の茎・葉)・根のもと・栄養などがぎゅっとつまっています。親のスイカが実の中に種を作って残すことで、次の世代へ命のバトンが渡されます。たねは小さくても、とても強い生きのびる力を持っています。乾燥にたえ、低い温度でも休んで待ち、条件がととのえばいっせいに動き出す――この「待つ力」を休眠といい、自然の中で子孫を増やすための知恵です。

1-2.種のつくりとそれぞれの役目

部分よみ方主な役目
はい小さな体のもと。芽・根になる中心部分。ここが動き出して発芽する
胚乳はいにゅう発芽直後に使う栄養のたくわえ。芽を押し上げ、根を伸ばす力になる
種皮しゅひかたい外がわ。乾きや衝撃から胚を守るほか、発芽の時期をすこし調整する役目も

スイカの黒い種は水分に強く、発芽のタイミングを待つしかけになっています。条件がととのうと、殻をやぶって芽と根が動き出します。完熟果では、白い柔らかな種は育ち途中、黒く固い種は発芽の準備ができた合図と考えられます。

1-3.なぜ種がたくさんあるの?(数の作戦)

自然の中では、すべての種が発芽できるわけではありません。雨・乾き・動物・病気……さまざまな理由で失われる種もあります。だからこそ、スイカはたくさんの種を作って、生きのこる可能性を高めているのです。1玉の中には数十~百粒以上の種が入ることもあり、「数を多くしてチャンスを増やす」のがスイカの戦略です。

発芽に必要な三つの条件めやす観察のヒント
しめった土乾きすぎに注意。びしょびしょもNG
温度あたたかい土(春~初夏)手で触れてひんやりしすぎない時期を選ぶ
空気土のすき間の空気土を押さえつけすぎない。ふんわりかぶせる

2.花から実へ:受粉→結実→種ができるまで

2-1.スイカの花のしくみ(雄花と雌花)

スイカには雄花(おばな)と雌花(めばな)があります。雄花のおしべの花粉が、雌花のめしべにつくと受粉が起こり、雌花の根元がふくらんで実(果実)になります。雌花は根元に小さな丸いふくらみ(将来の実)が付いていて見分けやすく、雄花は細い茎に花だけが咲きます。花は朝に咲き、昼にはしぼむことが多いので、観察や受粉のチャンスは午前中です。

2-2.受粉を手伝うのはだれ?(自然と人のちから)

ミツバチやチョウなどの昆虫、時にはが花粉を運びます。畑では、より確実に実らせるために人工授粉(綿棒などで花粉をつける)を行うこともあります。人工授粉では、咲いたばかりの雄花の花粉を、同じ日の雌花のめしべにやさしくつけます。花粉は時間がたつと力が弱くなるため、朝のうちに行うのがコツです。

2-3.実と種が育つまでの流れ(めやす)

ステップようす観察のポイントよくある疑問
① 開花雄花・雌花が咲く雌花の根元が小さな丸み(将来の実)雄花と雌花の見分けを練習しよう
② 受粉花粉がめしべにつく昆虫が来やすい午前中がチャンス雨の日は花粉が流れやすいので注意
③ 結実雌花の根元がふくらむ数日でふくらみがはっきり小さい実が黄色くなったら育ちにくい合図
④ 種の成長果肉と種が大きく育つ果皮の模様がくっきり、つるが太くなる土の水分は「乾いたらたっぷり」
⑤ 収穫たたく音がにぶく、つるの巻きひげが枯れる地面に接した面がクリーム色に早どりは味がのりにくいので我慢

受粉から収穫までは、品種や気温で変わりますが、おおよそ1か月前後と覚えておくと観察計画が立てやすくなります。


3.種が遠くへ運ばれるしくみと果肉のひみつ

3-1.「おいしさ」は生きのこりの作戦

スイカの赤い果肉は、とてもあまくて水分たっぷり。この魅力が、動物や人を引きよせます。食べた後に種がはこばれることで、親の株からはなれた場所に新しい芽が出やすくなります。甘さ・色・香りという三つの合図が、実が食べごろであることを伝える「看板」の役目をしています。

3-2.どうやって種は運ばれる?(散らばる工夫)

運ばれ方説明身近な例・ヒントスイカとのちがい
動物に運ばれる果肉といっしょに食べられ、のちに体の外へスイカ・イチジクなどかたい種皮で守られ、消化されにくい
風に運ばれる軽い毛やうすい羽のような形で飛ぶタンポポ・カエデスイカは実が重く、風まかせではない
水に運ばれる水に浮かんで流れていくヤシなどスイカは水辺に落ちても浮きにくい
はじけ飛ぶ実が開いて種が飛び出すホウセンカスイカは割れても種がまとまって出る

3-3.スイカならではの工夫と果肉の色

スイカの種はかたい種皮で守られ、消化されにくい性質があります。これにより、運ばれてから芽を出すチャンスが高まります。果肉の赤色や黄色は、果実が熟した合図として動物に見つけてもらう手助けをします。水分が多いことは、乾いた場所でも動物をひきよせるサインになり、結果的に遠くまで運ばれる可能性が高くなります。


4.「種なし」はどうやってできる?他の植物とのちがい

4-1.種なしブドウ・バナナのしくみ(やさしく)

種なしブドウは、種が育ちにくい性質を使い、花は咲くけれど種は大きくならずに実だけが太るよう工夫しています。バナナはもともと種ができにくい品種を人が選んで増やしたものです。どちらも食べやすさをねらった工夫で、家庭では同じ方法をまねするのはむずかしいことが多いです。

4-2.スイカの「種なし」はどう作る?(家庭向けの理解)

スイカでは、特別な組み合わせで種が育たない実を作り、さらに苗をふやす方法を使います(専門的には「三倍体」を利用)。ただし受粉の助けが必要なので、畑では種あり品種の花粉をいっしょに使うなどの工夫をします。スーパーの種なしスイカを買っても、そこから同じ性質の種を取り出して育てることはできません。

4-3.果物・野菜の「種あり・種なし」くらべ

作物ふつうの姿種なしの作り方(やさしい表現)家庭で増やせる?観察のポイント
スイカ黒い種が多い特別な組合せで種が育たない実を作る種から・接ぎ木苗でOK雌花の根元のふくらみと受粉時刻
ブドウ種ありが基本種が大きくならない性質を利用して実を太らせる挿し木などで増やす花のあと粒がふくらむ速さ
バナナ野生は種あり種ができにくい品種を人が選んで増やす吸芽(株分け)親株の根元から子株が出る
トマト小さな種が多い基本は種あり。食べやすい品種に改良種から容易ゼリー状の中に多数の種

5.自由研究ガイド:種をとる→まく→そだてる/Q&A・用語辞典

5-1.やってみよう!種とり・発芽・栽培の手順

① 種をとる:食べた後の黒い種を水でよく洗い、ぬめりを落とす。紙の上で日かげで完全に乾かす(数日)。乾いたら封筒で保存。記録用に日付を書く。
② 春にまく:あたたかくなったら、深さ1~2cmにまき、うすく土をかぶせる。土が乾いたらたっぷり水。小さな鉢で発芽させ、元気な苗を選んで植えかえると失敗が少ない。
③ はつが:数日~1週間で芽が出る。日当たりのよい所へ。双葉のあとに本葉が出たら順調の合図。
④ つるをのばす:広い場所か大きめプランターで。風通しを良くし、土が乾いたら水やり。つるが混み合うなら、向きをそろえて通路(風の道)を作る。
⑤ 花が咲いたら:朝、雄花の花粉を綿棒で雌花へ。受粉した雌花には日付の札をつけると観察しやすい。
⑥ 実の観察と収穫:大きさ・模様・つるの太さ・巻きひげの色をノートに。受粉からの日数も記録。収穫サインがそろったら切りとる。

観察チェックめやすメモ例つまずきと対策
芽が出た日まき後3~7日双葉の形・色出ない→土が冷たい/深く埋めすぎ
つるの長さ週ごとに測る30cm→80cm→120cm伸びない→日当たり不足
葉の色こまめに見る濃い緑・黄ばみ黄ばむ→水不足or栄養不足
花の数雄花・雌花を分けて雄花10・雌花3など雌花少ない→株をよく育てる
実の直径3日おきに5cm→10cm→15cm…大きくならない→受粉不足・水切れ

5-2.Q&A:よくある疑問に答える

Q1.種を飲みこんだらどうなる?
A.スイカの種は消化されにくいため、そのまま体の外へ出ることが多いです。気になるときは無理に飲みこまず、出してから食べましょう。

Q2.白い小さな種は黒い種とちがうの?
A.白い種はまだ育ち途中のことが多く、発芽の力が弱いです。育てるなら黒く固い種を選びます。

Q3.ベランダでも育つ?
A.大きめプランターと日当たり、つるを広げるスペースがあれば可能です。支柱やネットでつるを誘導しましょう。

Q4.受粉しないとどうなる?
A.雌花だけでは実は大きくなりません。昆虫が少ない場所では手伝い(人工授粉)が有効です。雨の日は受粉しにくいので、天気のよい日の朝に。

Q5.種なしスイカの種をまいたら?
A.同じ種なしにはなりません。種ができにくい仕組みを使っているため、家庭ではふつうの種を使うのが確実です。

Q6.スイカの甘さはどう決まる?
A.日当たり・温度・水やりのバランスが大切。実が太る時期に水をやりすぎると味がうすくなることがあります。

Q7.病気や虫が心配…どうする?
A.風通しをよくし、葉の裏もチェック。見つけたら手で取りのぞく、葉が混み合ったら軽く整理するなど、まずはていねいな観察が効きます。

5-3.用語辞典(やさしい言い換えつき)

  • 受粉(じゅふん):花粉がおしべからめしべへ移ること。実づくりのスタート。
  • 結実(けつじつ):受粉後、雌花の根元がふくらんで実になること。
  • 発芽(はつが):種から芽と根が出ること。
  • 胚(はい):種の中の赤ちゃん部分。将来の茎・葉・根のもと。
  • 胚乳(はいにゅう):発芽直後に使う栄養のたくわえ。
  • 種皮(しゅひ):種の外がわ。胚を守る。
  • 人工授粉:人が道具で花粉をめしべにつけること。
  • 散布(さんぷ):種が遠くへ運ばれること。
  • 休眠(きゅうみん):条件がととのうまで種が動きを止めて待つこと。
  • 本葉(ほんよう):双葉のあとに出る、本格的な葉。

まとめ:スイカの種は、次の命へつなぐたいせつな仕組みです。おいしい果肉は種を運んでもらうための工夫。受粉→結実→発芽という流れを知り、実際に種をまいて育ててみると、植物の世界がぐっと身近になります。

次にスイカを食べるときは、ぜひ命のリレーを思い出してみてください。観察ノートを続ければ、あなた自身の「スイカ図鑑」ができあがります。

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