【小学生向けに解説】なぜ氷は水にうくの?浮力のひみつと密度の関係をやさしく徹底解説

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おもしろ雑学

夏の日、コップに氷を入れると、氷は水の上でぷかぷかうかびます。ジュースやお茶を飲むとき、「どうして氷は沈まないの?」と不思議に思ったことはありませんか。

この記事では、氷が水にうく理由と、ものを下から持ち上げる浮力(ふりょく)について、身近な例・安全にできる実験・自由研究のヒントまでたっぷりやさしく解説します。読み終えるころには、家や学校で自分で確かめられる力も身につきます。


  1. 1.氷が水にうくほんとうの理由—「密度」と「分子のならび」を見てみよう
    1. 1-1.水と氷は同じ“水”でも性質がちがう
    2. 1-2.キーワード「密度」—ぎゅうぎゅう? それともスカスカ?
    3. 1-3.氷は体積がふくらむ—約9%アップのわけ
    4. 1-4.“水だけの特別な性質”を知ろう(4℃でいちばん重い)
  2. 2.浮力ってなに?—水や空気が下から押す力を体感しよう
    1. 2-1.浮力の正体—「押しのけた水の重さ」だけ持ち上がる
    2. 2-2.形や中の空気も“うきやすさ”に関係
    3. 2-3.計算してみよう(かんたん算数)
  3. 3.くらしと自然でわかる「うく・しずむ」—地球規模の役立ちまで
    1. 3-1.おふろやプールで体が軽いわけ
    2. 3-2.氷が水にうくから、生き物が守られる
    3. 3-3.真水と塩水のちがい—塩水のほうが“うきやすい”
    4. 3-4.船・潜水艦・浮沈子(ふちんし)
  4. 4.家でできる!安全・かんたん実験&自由研究
    1. 4-1.実験① いろんなものを水に入れて比べよう
    2. 4-2.実験② ペットボトルの“浮き沈み装置”
    3. 4-3.実験③ 卵で試す「塩水と真水」
    4. 4-4.実験④ 氷はどれだけ水面から出る?
    5. 4-5.工作:沈まない“わたしの船”を作ろう
  5. 5.もう一歩ふかぼり—温度・氷山・水そう・飲みものの密度
    1. 5-1.水は4℃でいちばん“重い”
    2. 5-2.氷山や海の氷—どれだけ水面に出ている?
    3. 5-3.コップの氷がとけたら水はふえる?(よくあるギモン)
    4. 5-4.砂糖やジュースだとどうなる?
    5. 5-5.気候と海の循環にも関係がある
  6. 6.まちがえやすいポイント—ここを直せば理解がグンと深まる
  7. 7.チャレンジ算数—やってみよう(解答つき)
  8. 8.Q&A—氷と浮力のギモンを一気に解決!
  9. 9.用語辞典(やさしいことばで)

1.氷が水にうくほんとうの理由—「密度」と「分子のならび」を見てみよう

1-1.水と氷は同じ“水”でも性質がちがう

水は液体、氷は固体。同じ量でも、氷は水より軽くなります。これは、氷になると分子(ぶんし)のならびが広がってすきまが増えるから。だから同じ重さでも体積は氷のほうが大きいのです。

1-2.キーワード「密度」—ぎゅうぎゅう? それともスカスカ?

密度は「同じ大きさ(体積)の中に、どれだけ中身がつまっているか」を表す言葉。中身がぎゅうぎゅう=密度が高い、スカスカ=密度が低い。氷は水より密度が低いので、軽く感じ、うきやすくなります。

1-3.氷は体積がふくらむ—約9%アップのわけ

たとえば1リットルの水をそのまま凍らせると、できた氷の体積は約9%大きくなります。これは分子が六角形の形にきれいに並ぶとき、すきまがたくさんできるから。結果として密度が下がり、氷は水にうくのです。

1-4.“水だけの特別な性質”を知ろう(4℃でいちばん重い)

水は約4℃でいちばん密度が高くなります。寒い季節の池や湖では、底の水が4℃、その上は0℃近くになり、いちばん上の表面だけが氷になります。これが冬でも生き物が生きられるひみつです(→5章でさらに深掘り)。

水と氷のちがい(イメージ表)

比べること水(液体)氷(固体)うく・しずむへの影響
分子のならびまとまりながら自由に動く六角形のきれいな並びですきまが多い氷はスカスカで密度が低い→うきやすい
体積(同じ重さ)小さめ大きめ(約9%増)体積が大きい=密度が下がる
密度高め低め密度が低いものほど水にうきやすい

2.浮力ってなに?—水や空気が下から押す力を体感しよう

2-1.浮力の正体—「押しのけた水の重さ」だけ持ち上がる

水の中にものを入れると、そのものは自分の体積ぶんの水を押しのけます。このとき、押しのけた水の重さと同じ力下から押し上げられる——これが浮力です。浮力がものの重さより大きいうく小さいしずむ同じだと真ん中で止まるように見えます。

覚え方:浮力=押しのけた水の重さ(ここがポイント!)

2-2.形や中の空気も“うきやすさ”に関係

同じ材料でも、大きく広がった形中が空っぽ(空気が多い)だと、押しのける水の量がふえるので浮力が強くなります。だから鉄でものような形だとうくのです。

2-3.計算してみよう(かんたん算数)

1辺が2cmの氷(サイコロ形)を想像。体積は2×2×2=8cm³。氷の重さはだいたい0.917g/cm³×8=約7.3g。押しのける水の重さ(浮力)は8gです。浮力(8g)>氷の重さ(7.3g)なのでうきます。沈んでいる割合(しずんでいる体積)は7.3/8 ≒ 0.91、つまり約9割が水中、残りが水面の上というイメージです(ざっくり計算でOK)。

うく・しずむの見分け表

状態条件
うく浮力 > ものの重さ氷、葉っぱ、木片、空のペットボトル
真ん中で止まる浮力 = ものの重さよくできた潜水おもちゃ、よく調整した卵の塩水実験
しずむ浮力 < ものの重さ石、鉄のかたまり、ビー玉、コイン

3.くらしと自然でわかる「うく・しずむ」—地球規模の役立ちまで

3-1.おふろやプールで体が軽いわけ

おふろでふわっと体が軽く感じるのは、体にも浮力が働くから。空気をたくさん吸うと体積が少し増え、よりうきやすくなります。浮き輪ビーチボールは中が空気なので、とてもうきやすいのです。

3-2.氷が水にうくから、生き物が守られる

冬、湖や池は表面だけが氷になります。氷はうくので、下の水は凍りにくいまま。魚やカエルなどの生き物は水の中で冬をこせるのです。もし氷がしずむなら、湖のそこまで全部凍ってしまい、生き物がくらせません。

3-3.真水と塩水のちがい—塩水のほうが“うきやすい”

水にをとかすと、塩水の密度高くなります。だから同じものでも真水ではしずむ卵が、塩水ならうくことがあります。で体がうきやすいと感じるのも、このためです。氷も海水のほうがより高くうく(水面上に出る割合がやや増える)という性質があります。

3-4.船・潜水艦・浮沈子(ふちんし)

  • :鉄で作っても中に空気があり、広い形でたくさんの水を押しのけるからうく
  • 潜水艦:中のタンクに水を入れる・出すことで**重さ(密度)**を調整し、しずむ/うくを切り替える。
  • 浮沈子:ペットボトルの中の小さなおもちゃを、握る力で沈めたり浮かせたりできる実験道具。空気の体積を変えて平均の密度を変えるのがコツ。

身近な“うく・しずむ”早見表

ものうく? しずむ?ポイント
うく水より密度が低い+浮力
葉っぱ・木片うく繊維の間に空気、密度が低い
空のペットボトルうく中が空気で体積が大きい
砂利・石しずむ密度が高い、体積の割に重い
鉄のかたまりしずむ材料の密度が高い
鉄の船うく形で体積を大きくして浮力アップ
生卵(真水)しずむ真水は密度が低い
生卵(塩水)うく塩水は密度が高い

4.家でできる!安全・かんたん実験&自由研究

4-1.実験① いろんなものを水に入れて比べよう

用意:ボウルかバケツ、水、消しゴム、ビー玉、葉っぱ、木片、プラキャップ、クリップ、空ペットボトル、アルミホイル
手順:一つずつ入れてうく/しずむ/真ん中を観察。中に空気重さのどれが効いているかメモしよう。
発展:アルミホイルの形を変える(丸める/お皿に広げる)だけで結果が変わることも確かめよう。
安全:こぼれた水はすぐふく。小さなものは口に入れない

4-2.実験② ペットボトルの“浮き沈み装置”

用意:500mLペットボトル、キャップ、ビー玉、砂、ストロー
手順:ボトルに水を入れ、空気の量重りの量を変えて浮いたり沈んだりを調整。空気が多いほどうきやすいことを確かめよう。
発展:キャップをゆるめる/しめるで中の空気量をコントロールしてみよう。ストローで空気を足す・抜くと変化がよくわかる。

4-3.実験③ 卵で試す「塩水と真水」

用意:コップ2つ、水、塩、卵、スプーン
手順:片方は真水、もう片方は塩をよくとかした塩水(小さじ1→2→3…と段階的に)。卵を入れてうく/しずむをくらべる。
ポイント:塩をふやすほど密度が高くなり、うきやすくなる。卵の沈み方の深さを定規で測るとデータ化できる。

4-4.実験④ 氷はどれだけ水面から出る?

用意:透明コップ、氷(同じ大きさ)、水、油性ペン
手順:氷をそっと入れ、水面の高さ氷の出ている高さに印をつけて観察。塩水に変えると、出る高さが増えるのもチェック。

4-5.工作:沈まない“わたしの船”を作ろう

材料:スチロールトレー、ペットボトル、わりばし、アルミホイル、テープ、クリップ(重り)
ねらい:どんな形だとたくさんの荷物をのせても沈まない底を広く軽く作る、中に空気を残す、などを工夫して浮力アップ
評価:同じ重り(クリップ)を何個のせられるか競争しても楽しい。

観察ノートの書きかた(テンプレ)

しらべたこと使ったもの手順結果わかったこと・次の工夫
例:卵の塩水実験卵、水、塩、コップ真水と塩水に入れる真水=しずむ/塩水=うく塩水は密度が高い→うきやすい/塩の量で変化
例:アルミホイルの形アルミホイル、水丸める/皿状にする丸める=しずむ/皿状=うく形で押しのける水の量が変わる→浮力が変化

安全メモ

  • 床がぬれるとすべりやすい→タオルを準備。
  • 卵は割らないようにやさしく。
  • 小さな部品は誤飲注意。低学年は保護者同伴で。

5.もう一歩ふかぼり—温度・氷山・水そう・飲みものの密度

5-1.水は4℃でいちばん“重い”

水は約4℃のときいちばん密度が高くなります。冬の池で底の水が4℃、上が0℃近くになり、表面だけが凍るのはこの性質のおかげ。生き物が底で冬をこせる理由です。

5-2.氷山や海の氷—どれだけ水面に出ている?

海にうかぶ氷山は、見えているのはほんの一部大部分は水の中にあります。これは氷の密度が水より少し低いだけなので、水中に沈んだ部分が多くなるからです。塩水ではさらにうきやすくなります。

5-3.コップの氷がとけたら水はふえる?(よくあるギモン)

コップの中で水にういた氷とけても水の高さはほとんど変わりません。氷がしずめていた分の水の体積と、とけて水になった体積が同じくらいだからです(塩や砂糖が入っていない場合)。

5-4.砂糖やジュースだとどうなる?

砂糖が入ったジュースも真水よりやや密度が高いので、氷はわずかに出方が増えることがあります。炭酸は気泡で一時的にうきやすく見えることも。飲みものの温度差(冷たいほど密度が高い)でも沈み方が少し変化します。

5-5.気候と海の循環にも関係がある

海水の温度や塩分による密度のちがいは、海の流れ(循環)をつくります。冷たい海水は重く沈み、温かい海水は軽くうく。こうした動きが地球の気候にも影響しています。

ふかぼりメモ(知っていると“理科名人”!)

  • 氷→水に変わると体積がへる(だから密度が上がる)。
  • 塩水は真水より密度が高いよりうきやすい
  • は材料が重くても、形と空気浮力を作ってうかぶ。
  • 炭酸飲料は気泡で一時的にうきやすく見えることがある。

6.まちがえやすいポイント—ここを直せば理解がグンと深まる

  1. 「軽いものは必ずうく」→ ×
    とても軽い石でも密度が高ければしずみます。
  2. 「重いものは必ずしずむ」→ ×
    鉄の船は重くても形と空気うきます。
  3. 「浮力はいつも同じ」→ ×
    押しのけた水の量が増えれば浮力も増えます。形で変わります。
  4. 「氷がとけると海面は大きく上がる」→ △
    海の上に浮いている氷(海氷・氷山)がとけても海面の高さはほとんど変わりません。ただし陸の上の氷(山や大陸の氷)が海へ流れ込む場合は別です。

7.チャレンジ算数—やってみよう(解答つき)

問1:体積が10cm³の氷(密度0.917g/cm³)が水に入っています。押しのける水の重さは?
ヒント:押しのける水の重さ=体積(cm³)=g

10g(氷の重さは約9.17gなので、うきます)。

問2:真水ではしずむ生卵(60g)が、塩水ではうきました。卵がうくために必要な押しのけ体積は何cm³
ヒント:塩水の密度を1.05g/cm³とします。

:60g ÷ 1.05 ≒ 57cm³(これだけ押しのければうく)。

問3:アルミホイル10gで船を作るとします。押しのける水の重さ>10gになればうきます。最低でも何cm³の水を押しのければよい?
10cm³以上(実際は余裕が必要)。


8.Q&A—氷と浮力のギモンを一気に解決!

Q1.どうして氷は水にうくの?
A. 氷は水より密度が低い(スカスカ)から。水に入ると浮力下から押し上げられ、水面にうくのです。

Q2.密度ってなに?
A. 同じ大きさの中にどれだけ中身がつまっているかを表す数。つまっているほど重い(密度が高い)、すきまが多いほど軽い(密度が低い)

Q3.塩を入れると、ものはうきやすくなる?
A. はい。塩水は密度が高くなるので、同じものでもうきやすくなります。

Q4.氷がとけると水はふえる?
A. コップの飲みものの氷なら、水位はほとんど変わりません。氷がしずめていた分と、とけて水になった分がつり合うからです。

Q5.鉄は重いのに、どうして船はうくの?
A. で体積を大きくし、中に空気を取りこむことで押しのける水の量(=浮力)を大きくしているから。

Q6.おふろで体が軽いのはなぜ?
A. 体にも浮力が働くから。空気を吸うと体積が少し増え、よりうきやすくなります。

Q7.氷は塩水だとどうなる?
A. よりうきやすくなり、水面から出る部分が少し増えます

Q8.炭酸の泡は浮力に関係ある?
A. 小さな空気の泡体積なので、うきやすさに少し影響します。泡が消えると沈みやすくなることも。

Q9.真ん中で止まるのはなぜ?
A. 浮力と重さがつり合っているから。少し形や空気量を変えると、ういたり沈んだりが変化します。


9.用語辞典(やさしいことばで)

  • 密度(みつど):同じ大きさの中身のつまっている度合い。重ければ密度が高い
  • 体積(たいせき):ものが占める大きさ。コップ何杯ぶん、箱何個ぶん、などのイメージ。
  • 分子(ぶんし):水や空気を作っているとても小さな粒
  • 浮力(ふりょく):水や空気が下から押し上げる力。押しのけた水の重さぶん働く。
  • 比重(ひじゅう):水と比べた重さの割合。1より小さいとうきやすい
  • 海氷(かいひょう):海の水がこおってできた氷。表面にうく
  • 氷山(ひょうざん):氷の山。見えているのは一部で、ほとんどが水中
  • 押しのける(排水):ものを入れたときによけられる水の量。これが浮力のもと
  • アルミホイル船:軽くて形を変えやすい船の模型。形で浮力を調整する練習に最適。

【まとめ】
氷が水にうくのは、氷の密度が低いことと、水の中で働く浮力のおかげ。くらしの中の「うく・しずむ」を観察すると、形・空気・密度の関係がよく見えてきます。

安全に気をつけながら実験や工作にチャレンジして、身の回りの浮力のひみつをたくさん見つけてみましょう。塩水/真水、冷たい/あたたかい、形が細い/広いなど条件を変えて比べると、理科の目がどんどん育ちます。次は、潜水艦の仕組み気球が空にうく理由にも挑戦してみてください!

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