ドラッグストアは、日々の買い物の中でもっとも身近な存在の一つとして、都市部から地方まで全国各地に展開しています。医薬品をはじめ、日用品、化粧品、食品、ヘルスケア商品など、多岐にわたる商品を扱うため、多くの人が利用する業態でもあります。加えて、調剤薬局併設型の店舗や、24時間営業、介護用品・健康相談を含むサービスの充実により、ドラッグストアは「地域の健康インフラ」としての役割を果たすようになっています。
では、そんなドラッグストアで働く人々の年収はどのようになっているのでしょうか？薬剤師、登録販売者、一般スタッフ、パート・アルバイトといった多様な働き方が存在する中で、収入の違いはどれくらいなのか、将来性や昇進による年収アップの可能性なども含めて詳しく解説します。
本記事では、ドラッグストアにおける平均年収の実態を、職種別・雇用形態別・経験年数別・企業規模別など、あらゆる角度から徹底的に紹介します。転職やキャリアチェンジを考えている方、これから業界に入る方にも役立つリアルな情報をお届けします。
1. ドラッグストアの平均年収はどれくらい？
全体の平均年収と給与構成
ドラッグストアにおける全体の平均年収は、おおよそ350万円〜450万円とされています。ただしこの数値は、店舗スタッフや登録販売者などの平均をとったものであり、薬剤師のような専門職になると500万円以上の年収も十分に可能です。
| 職種 | 平均年収 |
|---|---|
| 登録販売者 | 約330万〜400万円 |
| 薬剤師（調剤併設） | 約500万〜700万円 |
| 店舗スタッフ（一般） | 約280万〜350万円 |
| 店長クラス | 約450万〜550万円 |
| エリアマネージャー | 約600万〜700万円 |
給与構成は、基本給に加えて各種手当（資格・住宅・通勤・残業など）と、年2回のボーナス（賞与）が含まれます。インセンティブ制度を導入している企業では、業績や個人評価に応じて年収が変動する場合もあります。
給与水準の業界傾向
ドラッグストア業界は、小売業の中でも比較的給与水準が高い分野といわれています。特に登録販売者や薬剤師といった国家・公的資格を持つスタッフは、一般小売と比べて職能給が加算されるため、年収が安定しやすいのが特徴です。また、人材不足が続く薬剤師においては、高待遇での採用が行われているケースも珍しくありません。
月収・ボーナスの相場
正社員の月収は平均して22万円〜30万円前後。業界全体のボーナス水準は、年間で約40万円〜70万円程度とされます。店長クラス以上になると、年間100万円以上の賞与を受け取るケースもあります。
2. 職種別に見るドラッグストアの年収の違い
登録販売者の収入詳細
登録販売者は、一般用医薬品（第2類・第3類）を取り扱うことができる国家資格保有者です。資格手当が支給される企業が多く、無資格スタッフよりも年収が50万円〜100万円ほど高い傾向にあります。さらに、管理者要件（実務経験2年以上）を満たすと、役職手当や昇格のチャンスが広がり、年収400万円以上も狙えます。
薬剤師の待遇・キャリアパス
薬剤師はドラッグストア業界の中でも最も高収入が期待できる職種です。調剤業務に加えて医薬品管理やカウンセリング、在宅医療のサポートなど、多くの業務を担当します。一般薬剤師の年収は500万円〜700万円、管理薬剤師やエリア統括職では800万円以上の収入も現実的です。高齢化社会の進行により、今後さらに需要が高まると予想されます。
パート・アルバイトスタッフの収入水準
アルバイトやパート勤務の場合、時給制となり、地域によって差はあるものの、1,000円〜1,300円が一般的な水準です。土日祝日や夜間帯は時給が割増になる店舗もあり、月収で換算すると15万〜20万円前後。年収にすると、100万〜250万円程度が多くなっています。
3. 雇用形態・勤続年数による年収の変動
雇用形態ごとの違い
- 正社員：最も安定した雇用形態であり、昇給・賞与・福利厚生も整っています。勤続年数に応じてキャリアパスも広がりやすいです。
- 契約社員：契約期間の定めがあり、賞与や退職金が支給されないこともあります。職務内容は正社員とほぼ同等ですが、給与水準には差が出る場合も。
- パート・アルバイト：短時間勤務が可能で、家庭や副業との両立を重視する人に人気ですが、年収は限定的です。
勤続年数と給与の関係
| 勤続年数 | 平均年収（概算） |
|---|---|
| 1〜3年目 | 約300万〜350万円 |
| 4〜7年目 | 約350万〜420万円 |
| 8年以上 | 約450万〜550万円 |
| 10年以上（店長・統括） | 約550万〜700万円 |
長く勤めることで、店長やマネージャーへの昇進チャンスが広がり、給与も大幅にアップする傾向があります。業績評価や人事考課による昇給制度が整っている企業では、毎年着実に昇給することも可能です。
昇進による収入の増加
昇進には売上管理、スタッフマネジメント、接客評価などのスキルが求められます。副店長→店長→エリアマネージャー→統括マネージャーとキャリアを進めていくことで、年収600万円〜800万円のラインが見えてきます。
4. 企業規模・地域差による給与ギャップ
大手チェーンと中小企業の違い
全国展開する大手ドラッグストア（例：ウエルシア、マツモトキヨシ、ツルハHDなど）は、給与水準・手当・キャリア制度が整っており、昇給機会も多いです。中小規模の企業は地域密着型でアットホームな雰囲気が魅力ですが、年収には若干の差が生じやすい傾向にあります。
地域別の年収差
都市部（東京・大阪・名古屋など）では、時給・月給ともに高めに設定されている傾向があります。これは物価・家賃水準に応じた地域手当が加算されるためです。地方都市や郊外エリアでは、基本給がやや抑えられますが、通勤距離や生活コストを考慮すると実質的な手取りは大きく変わらない場合もあります。
調剤併設店舗の優位性
調剤薬局が併設されているドラッグストアでは、薬剤師の配置により専門性が高まり、企業全体の平均給与水準も底上げされる傾向があります。また、在宅医療や地域包括ケアの一環として、調剤部門の強化が進んでおり、薬剤師を中心に高年収人材の需要がますます高まっています。
5. 年収アップを目指すための戦略とヒント
資格取得がキャリアの鍵
資格は年収アップの大きな武器です。未経験から登録販売者資格を取得するだけでも、時給アップ・正社員登用・昇進のチャンスが広がります。さらに薬剤師資格を取得すれば、収入のステージが一気に変わります。その他、衛生管理者や調剤事務管理士などの関連資格もプラス評価されやすいです。
管理職ポジションへの挑戦
リーダーシップを磨き、店舗運営全体を担う管理職に就くことで、収入の大幅アップが期待できます。特にエリアマネージャーや商品部・人事部など本部職に異動できれば、年収は700万円以上も視野に入ります。
キャリアチェンジ・転職も選択肢
他のドラッグストアチェーンへの転職や、調剤専門企業、美容系企業、EC企業（オンライン薬局）など、スキルを活かしたキャリアチェンジも収入アップのきっかけになります。転職市場では「即戦力」が求められるため、経験と実績がある人ほど有利です。
まとめ
ドラッグストア業界における年収は、職種、雇用形態、勤続年数、勤務地域、企業規模などさまざまな要因で変動します。平均年収は350万〜450万円程度ですが、登録販売者や薬剤師といった資格取得、店長やマネージャーへの昇進、本部職へのキャリアパスにより、600万〜800万円以上の高収入も十分に実現可能です。
資格と経験を武器に、着実にステップアップしていくことで、自分らしいキャリアと収入のバランスを実現できるのがこの業界の魅力です。将来性が高く、成長を続けるドラッグストア業界で、安定した働き方と満足度の高い収入を手に入れましょう。
