車の異音はどこから?走行時・停車時の原因チェックリスト

スポンサーリンク
車・バイク

結論先取り:異音診断は**「いつ(状況)×どこから(部位)×どんな音(音質)」の三点をそろえるのが最短コースです。まずは安全確保(路肩停車・ハザード・後方確認)が最優先。続いて音の再現条件を記録し、録音・動画と点検チェックリストを用意して工場へ持ち込みましょう。

本記事は、走行時/停車時/加減速/曲がる時/段差/天候など状況別に、注意すべき代表音と原因候補→対処**を、表と実務的アドバイスで徹底整理。


  1. 1.まず最初に:安全確保と初動のコツ(最優先)
    1. 1-1.路上で異音に気づいたときの動き方
    2. 1-2.診断を早める“記録”の取り方
    3. 1-3.自分で触る前に守るべきこと
    4. 1-4.危険度の目安(色分け)
  2. 2.停車時(アイドリング)に出る異音:場所別チェック
    1. 2-1.エンジンルーム周り(回転と振動に注目)
    2. 2-2.室内・ダッシュボード周り
    3. 2-3.電動ファン/A/C作動時
    4. 2-4.アイドリングで“正常な音”との見分け方
  3. 3.走行時の異音:状況別に原因を絞る
    1. 3-1.発進〜低速で出る
    2. 3-2.中速〜高速で出る
    3. 3-3.加速・減速で出る
    4. 3-4.曲がる時に出る
    5. 3-5.段差・凹凸で出る
  4. 4.音質から当たりを付ける(擬音→部位の早見表)
  5. 5.自分でできる簡易チェック&工場へ行く目安
    1. 5-1.自分でできる範囲(安全第一)
    2. 5-2.工場に任せるべきサイン(迷わず入庫)
    3. 5-3.入庫時の伝え方(診断が速くなる)
  6. 6.原因×対処のテーブル(まとめて比較)
  7. 7.診断フローチャート&チェックリスト(印刷推奨)
    1. 7-1.簡易フローチャート(文章版)
    2. 7-2.持ち込み前チェックリスト
  8. 8.ケーススタディ(実例で理解)
    1. 8-1.低速でコトコト+段差で再現
    2. 8-2.右折でパキパキ+発進で増幅
    3. 8-3.高速でブーン+路面により音質変化
    4. 8-4.減速時のカラカラ
    5. 8-5.加速時のガラガラ
  9. 9.季節・天候・使用環境で変わる異音
    1. 9-1.雨天・洗車後
    2. 9-2.冬(低温)
    3. 9-3.夏(高温)
  10. 10.電動車(ハイブリッド/EV)特有の“音”の基礎知識
    1. 10-1.正常なことが多い音
    2. 10-2.点検したいサイン
  11. 11.再発を減らす工夫(静かな車に戻す)
    1. 11-1.定期メンテで静粛性を維持
    2. 11-2.内装のビビリ対策
  12. 12.概算費用と工期の目安(あくまで参考)
  13. 13.Q&A(よくある疑問)
  14. 14.用語辞典(やさしい言い換え)

1.まず最初に:安全確保と初動のコツ(最優先)

1-1.路上で異音に気づいたときの動き方

異音に気づいたらスピードを落として車線外へ退避し、ハザード点灯。高速道路ではガードレール外に出ないことが鉄則です。エンジン警告灯・油圧・水温計の表示を確認し、焼ける臭い・白煙・金属打音があれば走行継続NGロードサービスを呼び、無理に自走しない判断が車も自分も守ります。

1-2.診断を早める“記録”の取り方

「音がする」だけでは原因は絞れません。いつ(速度、回転、気温、雨/乾、上り/下り、右左折、段差)と、どこで(前/後、左右、室内/外、足元/天井、ダッシュボード下)、どんな音(キュルキュル/ゴロゴロ/カラカラ/ギー/ビリビリなど)をスマホ録音・動画で保存。出現→消滅のタイミングも撮っておくと、整備士の初手が決まります。

1-3.自分で触る前に守るべきこと

回転体・高温部・高電圧(冷却ファン、マフラー、ハイブリッド高電圧)は手を入れない。ジャッキアップはウマ併用が絶対条件で、締付は規定トルクを守る。むやみに潤滑スプレーを吹かず、原因特定→必要部位の整備が基本です。

1-4.危険度の目安(色分け)

  • 赤(直ちに停止):金属打音、焼ける臭い、警告灯点灯、ハンドルが取られる。
  • 黄(早期入庫):連続するゴロゴロ、制動時の悲鳴、据え切りでパキパキ、燃料臭。
  • 緑(様子見可):小物のビビリ、風切り、季節性のきしみ(ただし長引くなら点検)。

2.停車時(アイドリング)に出る異音:場所別チェック

2-1.エンジンルーム周り(回転と振動に注目)

音の例主な原因候補確認ポイント対処の方向性
キュルキュル補機ベルト滑り・劣化雨後に悪化、張り不足テンション調整/交換
カタカタ/カラカラプーリー・テンショナーのガタ芯ブレ、振動プーリー/テンショナー交換
ジー/ビビリエンジンマウント劣化Dレンジ停止で顕著マウント交換
カンカン(金属打音)排気遮熱板・触媒カバー緩み回転域で共振固定/交換
シュルシュル吸気の漏れ負圧ホース亀裂ホース交換・締付
カチカチ高圧燃料ポンプ作動音正常域でも出る音質変化・漏れがなければ様子見

2-2.室内・ダッシュボード周り

  • ビビリ:配線固定不足や内装クリップの緩み。→フェルト貼り・クリップ交換で改善。
  • カタカタ:グローブボックス・小物の当たり。→緩衝材仕切り追加。
  • ポコポコ:エア混入や排水詰まり。→エア抜きエアコン排水口清掃

2-3.電動ファン/A/C作動時

  • ウィーン:電動ファン摩耗・葉ゴミ接触。→清掃・モータ点検
  • シュー:A/Cガス不足・コンプレッサー滑り。→漏れ点検・補充

2-4.アイドリングで“正常な音”との見分け方

直噴エンジンのカチカチ、ハイブリッドの電動ポンプ作動音正常の場合が多い。音量が急に増えた・振動を伴う・別の警告が出たときは点検へ。


3.走行時の異音:状況別に原因を絞る

3-1.発進〜低速で出る

音の例主な原因候補確認ポイント対処の方向性
ゴロゴロホイールベアリング摩耗速度で音量↑、左右で変化ハブベアリング交換
コトコトスタビリンク・ブッシュ段差や微速で顕著リンク/ブッシュ交換
キィーブレーキ鳴き・当たりブレーキ軽く当てると変化面取り・清掃・グリス
コンッブレーキパッドの遊び進行方向切替時クリップ・グリス調整

3-2.中速〜高速で出る

音の例主な原因候補確認ポイント対処の方向性
ヒューヒュー/ボーボー風切り・モール浮き速度依存・窓/ドア操作で変化モール再圧着・交換
ブーン/ウォンウォンタイヤ偏摩耗・空気圧不良路面で音質変化ローテ・交換・適正圧
ビリビリ下回りカバー・遮熱板周期的共振クリップ増し締め
ウォンウォン(一定速)デフ・ベアリング摩耗加減速で変化オイル点検・分解整備

3-3.加速・減速で出る

  • ウィーン/ヒーン:CVTのプーリー音やAT油圧音。→油量・温度確認、整備履歴の見直し。
  • ガラガラ:排気系内部の仕切り板破損。→マフラー交換が近道。
  • カラカラ(減速時):ブレーキバックプレート接触。→曲げ調整・清掃

3-4.曲がる時に出る

音の例主な原因候補確認ポイント対処
コキッ/パキパキドライブシャフト外側ジョイント摩耗左右据え切りで顕著ブーツ/シャフト交換
ギュッ/キュッパワステベルト滑り・ラックブッシュ劣化切りはじめで出る張り調整/ブッシュ交換
コトンサブフレーム・メンバーの遊び低速S字で再現ボルト再締結・ブッシュ交換

3-5.段差・凹凸で出る

  • ガタピシ:ショック上部マウント・アッパーシート劣化。→マウント交換
  • ゴトゴト:スタビブッシュ・タイロッドエンドのガタ。→点検→部品交換
  • ギシギシ:ボディ補強部やドアストライカー摩耗。→グリス・調整

4.音質から当たりを付ける(擬音→部位の早見表)

擬音・音質よくある発生源併発症状応急対応
キュルキュル補機ベルト・プーリー雨天で悪化ベルト裏清掃→早期交換
ゴロゴロハブベアリング・タイヤ速度で増幅速度抑制・早期点検
カンカン排気遮熱板・ボルト緩み回転数特定で鳴る緩み固定
ヒューヒュー風切り・モール窓開閉で変化テープ仮止め→修理
ビリビリ内装・下回りカバー回転で共振クリップ増し締め
ギー/キーブレーキ制動で顕著徐行→点検
ポコポコ排水詰まり・空気混入エアコン使用で出る排水口清掃
シュルシュル吸気漏れアイドル不安定ホース交換

ポイント音量の増減・速度依存・左右差を追えば部位が絞れます。録音時は窓を閉める→開けるの順で撮ると判別しやすくなります。


5.自分でできる簡易チェック&工場へ行く目安

5-1.自分でできる範囲(安全第一)

  • タイヤ:空気圧、石噛み、外傷、残溝、偏摩耗を確認して写真保存。
  • 外装・下回り:カバー・遮熱板の緩み、配線の干渉。手で軽く揺すってビビリ再現。
  • 室内:小物固定、シートレールのガタ、シートロックの掛かり、トランク内の工具箱遊び。
  • ブレーキ周りの目視:ローターのサビ段付き、パッド残量(覗ける範囲で)。

5-2.工場に任せるべきサイン(迷わず入庫)

  • 金属打音・焼ける臭い・警告灯点灯・操舵の重さ
  • 制動時の悲鳴・振動(安全に直結)。
  • 連続するゴロゴロ(ベアリングの可能性)。

5-3.入庫時の伝え方(診断が速くなる)

  • 再現条件を具体的に:速度、気温、路面、右折/左折、上り/下り、段差の大きさ。
  • 録音/動画・走行ログを見せる。「○○をすると必ず鳴る」を一言でまとめる。
  • 直近の整備歴(タイヤ交換、ブレーキ整備、下回り接触など)を添える。

6.原因×対処のテーブル(まとめて比較)

状況代表音よくある原因重要度まずできること工場での対処案
アイドルキュルキュルベルト滑り濡れの有無確認ベルト/プーリー交換
アイドルカンカン遮熱板緩み低〜中緩み箇所仮固定固定/交換
低速コトコトスタビリンク試走で再現リンク/ブッシュ交換
高速ブーンタイヤ偏摩耗空気圧調整ローテ/交換/アライメント
制動ギーパッド当たり不良ブレーキ粉清掃面取り/パッド交換
据切パキパキドライブシャフト走行控えめブーツ/シャフト交換
一定速ウォンデフベアリング音の周波数把握オイル点検・分解整備
加速ヒーンCVT/AT油圧音低〜中油量・温度確認油交換・内部点検
減速カラカラバックプレート接触清掃曲げ調整

7.診断フローチャート&チェックリスト(印刷推奨)

7-1.簡易フローチャート(文章版)

1)停車/走行どちらで出る?→停車:2へ/走行:3へ
2)回転で変化?→変化:ベルト/プーリー/変化なし:遮熱板/内装
3)直進・曲がる・制動のどれ?→直進:タイヤ/ベアリング/曲がる:シャフト/ラック/制動:ブレーキ
4)速度依存?→依存:空力/タイヤ/ベアリング/非依存:内装/固定物
5)金属音・焼け臭あり?あり:即停止/なし:記録→入庫

7-2.持ち込み前チェックリスト

  • □ 異音の出る条件(速度・操舵・路面・気温)を一行で説明できる
  • 録音/動画を用意
  • 直近の整備履歴をメモ
  • 小物固定・空気圧・外装緩みは事前に点検

8.ケーススタディ(実例で理解)

8-1.低速でコトコト+段差で再現

想定:スタビリンク・ブッシュ。対処:リンク球面部のガタ→左右セット交換で解決例多数。ロアアームブッシュ劣化が併発することも。

8-2.右折でパキパキ+発進で増幅

想定:右外側ドライブシャフト。対処ブーツ破れ→グリス飛散。早期にブーツ/シャフト交換。放置で脱落・走行不能リスク。

8-3.高速でブーン+路面により音質変化

想定:タイヤ偏摩耗。対処ローテーション適正圧、必要に応じアライメント。ハブベアリングとの切り分けは左右に荷重変化をかけて聴き分け。

8-4.減速時のカラカラ

想定:ブレーキバックプレート接触。対処曲げ調整・清掃で消失。ローターのサビ段付きが原因のことも。

8-5.加速時のガラガラ

想定:マフラー内部の仕切り板破損。対処サイレンサー交換。外観が綺麗でも内部破損はあり得ます。


9.季節・天候・使用環境で変わる異音

9-1.雨天・洗車後

水滴や砂がブレーキに付着してキーキー。数回の制動で解消することが多いが、長引くときは清掃モールの水分キュッと鳴く場合はシリコン系保護で改善。

9-2.冬(低温)

樹脂・ゴムが硬化し、ビビリが出やすい。タイヤ空気圧の低下ブーンの原因。暖機中の高回転空ぶかしはNG

9-3.夏(高温)

内装の膨張軋み、エアコン関連のコンプレッサー音が目立つ。直射日光で外装が柔らかくなり、クリップの保持力低下ビリビリが増えることも。


10.電動車(ハイブリッド/EV)特有の“音”の基礎知識

10-1.正常なことが多い音

  • 電動ポンプ・コンプレッサーウィーンインバータの高周波接触器のカチッは正常作動音。
  • 回生制動時の低い唸り駆動用電池の冷却ファン音も条件次第で聞こえます。

10-2.点検したいサイン

  • 異常に大きい唸り・車速非連動の高周波冷却ファン常時強風冷却水の減りは点検へ。
  • 減速時の金属擦れブレーキの固着ローター錆の可能性。

11.再発を減らす工夫(静かな車に戻す)

11-1.定期メンテで静粛性を維持

  • タイヤ空気圧・ローテーション・アライメントブーンを予防。
  • ブレーキ清掃・面取り・鳴き止めシムキーを抑制。
  • モール・ウェザーストリップの保護剤風切り・キュッを減らす。

11-2.内装のビビリ対策

  • クリップ交換、フェルトや不織布当たり面を緩衝。配線の固定も効果的。

12.概算費用と工期の目安(あくまで参考)

事象作業例参考費用目安時間
ベルト鳴きベルト交換・テンション調整1〜2万円0.5〜1h
スタビリンク左右交換2〜4万円1〜2h
ハブベアリング片側交換2.5〜6万円2〜3h
ブレーキ鳴き清掃・面取り・グリス0.8〜1.5万円0.5〜1h
遮熱板緩み固定・交換0.5〜1.5万円0.5〜1h
マフラー内部破損サイレンサー交換2〜6万円1〜2h

※車種・地域・部品価格で変動。見積は原因確定後に。


13.Q&A(よくある疑問)

Q1:異音が出たり出なかったり。入庫しても再現しないのが不安。
A:録音・再現条件のメモが有効。同じルートを整備工場の試走で再現してもらいましょう。

Q2:潤滑スプレーで一時的に静かに。放置して良い?
A:根治にならないことが大半。原因部位の整備が必要です。

Q3:放置しても走れる?
A:ベアリング・ブレーキ・ドライブシャフト系突然の破損リスク。早期点検を。

Q4:冬だけ鳴るのはなぜ?
A:低温で樹脂・ゴムが硬化し、クリアランス変化でビビりやすい。気温メモが診断に役立ちます。

Q5:新品タイヤに替えたらブーンが増えた。
A:トレッドパターンや扁平の違いでパターンノイズが増えることがあります。空気圧・慣らし、場合によってはアライメントで改善。

Q6:雨の日だけキーキー。
A:水分と錆が原因で一時的なことが多い。数回の制動で消えなければ清掃へ。

Q7:CVTのヒーン音が気になる。
A:油温や負荷で変化します。異常警告や振動が伴う場合は点検を。

Q8:車内でカタカタ。
A:小物・シート・レール・シートベルト金具の遊びが典型。固定・緩衝で解決します。


14.用語辞典(やさしい言い換え)

  • スタビライザーリンク:左右の揺れを抑える棒のつなぎ目。ガタつくとコトコト
  • ブッシュ:ゴムの緩衝材。劣化するとゴトゴト
  • ハブベアリング:タイヤが回る軸受け。摩耗でゴロゴロ
  • アッパーマウント:サス上部の受け。劣化でギシギシ
  • 遮熱板:排気の熱を逃がす板。緩むとカンカン
  • バックプレート:ブレーキを後ろから支える薄い板。曲がるとカラカラ
  • デフ:前後輪の回転差を調整する箱。摩耗でウォン
  • 直噴ポンプ:燃料を高い圧力で送る部品。カチカチ音は正常な場合あり。

まとめ:異音は放置しないのが正解。いつ×どこ×どんな音を押さえ、安全確保→記録→簡易チェック→専門点検の順で進めれば、無駄な交換を避けつつ短時間で原因に到達できます。季節・使用環境による差も踏まえ、定期メンテと耳慣らしを習慣にして、静かで安心なドライブを取り戻しましょう。

タイトルとURLをコピーしました