五感のうちどれが一番忘れやすい?記憶に残る感覚・残りにくい感覚を科学と実践で徹底解説

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おもしろ雑学

はじめに、私たちは視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚という五つの感覚で世界を受け取り、判断し、記憶します。ところが、同じ出来事でも強く残る感覚すぐに薄れる感覚があります。

本稿では「五感のうち、どれが一番忘れやすいのか」を軸に、脳とのつながり、感情との関係、日常での活かし方を実用目線で深掘りします。加えて、感覚別の鍛え方/週間・月間トレーニング表/自己診断チェック/Q&A/用語辞典も収録。今日から試せる小さな行動に落とし込みました。


  1. 1.五感の役割と記憶とのつながり(しくみを知る)
    1. 1-1.感覚→注意→記憶定着の道のり
    2. 1-2.五感それぞれの得意分野とよくある誤解
    3. 1-3.記憶の三層:感覚記憶/作業記憶/長期記憶
    4. 1-4.注意と負荷:覚えたいときは“減らす”が勝ち
    5. 1-5.年齢・体調・環境による違い
  2. 2.結論:最も忘れやすいのは触覚か(理由と例外を押さえる)
    1. 2-1.順応しやすく、持続が短い
    2. 2-2.強い視覚・聴覚の影に隠れやすい
    3. 2-3.記録と再現が難しい
    4. 2-4.ただし「危険系の触覚」は別枠で強い
    5. 2-5.子ども・高齢者での触覚の位置づけ
    6. 2-6.よくある誤解の整理
  3. 3.記憶に残りやすい感覚ベスト3と活かし方(視覚・嗅覚・聴覚)
    1. 3-1.視覚:図・色・位置で“ひとまとめ”に覚える
    2. 3-2.嗅覚:香りで場面を丸ごと封じ込める
    3. 3-3.聴覚:声・リズム・繰り返しで刻み込む
    4. 3-4.味覚と出来事の結びつき(エピソード化)
    5. 3-5.複合活用の「五感レイヤー法」
  4. 4.忘れやすい感覚を鍛える(日常でできる実践)
    1. 4-1.触覚の“ことば化”トレーニング(毎日1分)
    2. 4-2.味覚を磨く「五味しおり」(食事の所要+10秒)
    3. 4-3.嗅覚の“場面タグ”化(行動の合図づけ)
    4. 4-4.五感スキャン(短時間の集中法:60秒)
    5. 4-5.30日チャレンジ(写して使える)
    6. 4-6.計測とふり返り(自分の伸びを見える化)
  5. 5.仕事・学習・暮らしでの“五感設計”
    1. 5-1.学習:見る+聞く+書くの三位一体
    2. 5-2.仕事:記憶に残る会議・資料の工夫
    3. 5-3.暮らし:イベントを“複数の感覚”で設計
    4. 5-4.子どもと高齢者:感覚のケアと活かし方
  6. 感覚と記憶の特徴・活用早見表
  7. 感覚比較:刺激の性質と記録のしやすさ
  8. 週間&月間トレーニング表(写して使える)
  9. 自己診断チェック(今の得意・弱みを知る)
  10. よくある落とし穴と対策(やってはいけない集)
  11. Q&A(よくある疑問)
  12. 用語の小辞典(やさしい言い換え)
    1. まとめ

1.五感の役割と記憶とのつながり(しくみを知る)

1-1.感覚→注意→記憶定着の道のり

外界から入った刺激は感覚器→脳内の処理系を経て、作業記憶(短期)に保持され、意味づけや感情と結びつくと長期記憶へ定着します。定着の鍵は、注意の向き(何に意識を向けているか)と感情の強さ(驚き・喜び・怖さなど)。

1-2.五感それぞれの得意分野とよくある誤解

  • 視覚:量が多く、形・色・位置をまとめて扱える。学習・場所の記憶に強い。誤解:多色にすれば良いわけではなく、色は3色以内が覚えやすい。
  • 聴覚音・声・リズムが感情と結びつきやすい。反復(繰り返し)と相性が良い。誤解:BGMは常に良いわけではなく、言語作業時は歌詞なしが定石。
  • 嗅覚香りが感情の中枢と近く、場面一式を呼び戻しやすい(後述の“場面タグ”)。誤解:きつい香りは集中を壊す。弱く短時間が基本。
  • 味覚:単体では弱いが、誰と・どこで・何を話したかと結びつくと強化。誤解:高級な味ほど覚えるわけではない。出来事との結合が要。
  • 触覚:暮らしの背景に常在。順応しやすく意識に上がりにくい。誤解:触覚は役に立たない、ではない。危険察知(痛み・熱さ)には圧倒的に強い。

1-3.記憶の三層:感覚記憶/作業記憶/長期記憶

保持の長さ主な働き強化のコツ
感覚記憶数百ミリ秒〜数秒入力の一時バッファ刺激を大きく・分かりやすく
作業記憶数十秒考える・比較する声出し・書き出しで負荷分散
長期記憶長期知識・出来事の貯蔵感情づけ・反復・意味づけ

1-4.注意と負荷:覚えたいときは“減らす”が勝ち

覚える瞬間は、画面を閉じる・通知を切る・机上の色数を減らすなど、雑音を減らすほど定着率が上がります。情報を足すより引くが近道です。

1-5.年齢・体調・環境による違い

子どもは触って学ぶ比重が高く、高齢者は聴覚・視覚のはっきりさが成果を左右します。睡眠不足・騒音・乾燥も記憶の天敵。眠気・騒音・乾燥は先に整えましょう。


2.結論:最も忘れやすいのは触覚か(理由と例外を押さえる)

2-1.順応しやすく、持続が短い

触覚は服の肌ざわり、椅子の硬さなど常に受け続ける刺激が多く、脳は重要でない変化を捨てるように働きます。刺激が去ると印象も消えやすく、短い保持で終わりがちです。

2-2.強い視覚・聴覚の影に隠れやすい

映画館では映像と音に集中し、座席の触感は思い出せないことが多いように、視聴覚が強い場面では触覚の痕跡が薄れます。

2-3.記録と再現が難しい

視覚は写真、聴覚は録音、嗅覚は香料で再現できますが、触覚は主観と状況依存が強く、後から同じ感触を呼び出しにくい——これが長期化しづらい理由です。

2-4.ただし「危険系の触覚」は別枠で強い

痛み・極端な温冷・強い圧迫などは生命の安全に直結するため、強い感情反応と結びつき、長く残ることがあります。

2-5.子ども・高齢者での触覚の位置づけ

  • 子ども:道具の使い方や書字は触覚と動きが入口。意識化すると学びが加速。
  • 高齢者転倒予防には足裏の触覚の意識化が有効。床の材質や靴下の厚みは安全と記憶の双方に関係します。

2-6.よくある誤解の整理

誤解実際
触覚は役立たない危険察知・動作学習の要で、学びの入口になる
柔らかい物は覚えやすい触感の良さ≠記憶強度。言語化・場面づけが必要
香りが最強香りは強力だが強すぎる刺激は逆効果。弱く短時間が基本

3.記憶に残りやすい感覚ベスト3と活かし方(視覚・嗅覚・聴覚)

3-1.視覚:図・色・位置で“ひとまとめ”に覚える

  • 図解化:文章は図・矢印・箱に置き換える。
  • 色分け:重要度で3色以内
  • 場所記憶:情報の置き場所を決め、同じ位置に貼る・保存する。
  • 視線の道筋を設計:左上→右下の斜めの流れを意識すると迷いが減る。

3-2.嗅覚:香りで場面を丸ごと封じ込める

  • 作業ごとに香りを固定(勉強=ローズマリー、休息=ラベンダー など)。
  • 持ち歩き用の香りで、どこでも同じ集中状態を呼び戻す。
  • 匂い日記:その日の出来事につけた香りを一言メモ。

3-3.聴覚:声・リズム・繰り返しで刻み込む

  • 声に出す・録音して聴く
  • 一定のリズムで暗唱する。
  • 通勤・家事のながら聴きで反復回数を稼ぐ。
  • 会議メモを読み上げ→録音→倍速で復習は効果大。

3-4.味覚と出来事の結びつき(エピソード化)

  • 記念日の食事は写真+一言メモ(誰と・どこで・気分)。
  • 同じ料理を年に一度だけ作ると、時間の印がつきやすい。

3-5.複合活用の「五感レイヤー法」

視覚(図)+聴覚(声)+嗅覚(香り)+触覚(手書き)を重ねると、記憶の道が複数できます。全部は難しいので2〜3要素から始めましょう。


4.忘れやすい感覚を鍛える(日常でできる実践)

4-1.触覚の“ことば化”トレーニング(毎日1分)

  • 触れた物を3語で表現:「ざらざら・冷たい・薄い」など。
  • 入浴時に湯の温度・肌の圧・水流を声に出して描写。
  • 五感日記に1日1つ、触覚の描写を残す。

4-2.味覚を磨く「五味しおり」(食事の所要+10秒)

  • 一口ごとに甘味・塩味・酸味・苦味・うま味を探す。
  • 誰と・どこで・気分をひと言添える(出来事と結合)。

4-3.嗅覚の“場面タグ”化(行動の合図づけ)

  • 朝は柑橘、仕事はハーブ、夜は樹木系など時間帯で香りを固定
  • 重要な会議や学習前に同じ香りを使い、合図にする。

4-4.五感スキャン(短時間の集中法:60秒)

  • 呼吸5秒→音→体の接地→匂い→視界の周辺の順に注意を移す。
  • 思考の渋滞をほどき、感覚と記憶の通り道を整える。

4-5.30日チャレンジ(写して使える)

重点具体課題完了欄
1週目触覚毎日「3語描写」+入浴描写
2週目聴覚通勤で録音復習(10分)×5日
3週目視覚仕事メモを図1枚へ要約×5日
4週目嗅覚+味覚作業に香り固定/食事に五味メモ

4-6.計測とふり返り(自分の伸びを見える化)

  • 1日の覚えていた数(固有名詞・要点)を就寝前にメモ。
  • 週末にベスト3の出来事を五感付きで書き出す。
  • 3週連続で伸びないときは、刺激を減らす・時間を短くで再設計。

5.仕事・学習・暮らしでの“五感設計”

5-1.学習:見る+聞く+書くの三位一体

  • **読む(視覚)+声に出す(聴覚)+手を動かす(触覚)**を1セットに。
  • 30分区切りで香りと音を固定し、集中モードを合図づけ。
  • 暗記の山は、朝の嗅覚合図で登ると時短になる。

5-2.仕事:記憶に残る会議・資料の工夫

  • 1枚1主題の図解、色は3色以内
  • 開始合図の短い同じ曲で場の切り替え。
  • 会議後5分で音声要約→配布までセット化。

5-3.暮らし:イベントを“複数の感覚”で設計

  • 誕生日は好きな音・色・香り・手ざわりを一つずつ入れる。
  • 家族アルバムは写真+ひと言の匂い・音の記憶を添える。
  • 旅行先では土地の匂い・足裏の感触を一言メモ。

5-4.子どもと高齢者:感覚のケアと活かし方

  • 子ども:工作・料理・紙芝居など手を動かす学びが王道。図+声+触れた記録でぐっと残る。
  • 高齢者大きな文字・はっきりした音・明るさの調整が効く。香りは弱く短く
  • 家庭内の安全:足元の段差・床材の変化を触覚合図として活用。

感覚と記憶の特徴・活用早見表

感覚記憶への残りやすさ強み弱み即効テク
視覚◎ とても残る形・色・位置の同時処理情報過多で散らかる図解・3色以内・位置固定
嗅覚◎ 感情と強結合場面一式を呼び戻す再現が難しい場も作業ごとに香り固定
聴覚○ 残りやすいリズムと反復に強い雑音で邪魔されやすい声出し・録音反復
味覚△ 文脈しだい出来事と結びつく単体では薄れやすい五味メモ+誰とどこで
触覚× 忘れやすい危険察知に敏感背景化して埋もれる3語描写・入浴描写

感覚比較:刺激の性質と記録のしやすさ

項目視覚聴覚嗅覚味覚触覚
刺激の持続中〜長短〜中
再現手段写真・図録音香りの再現料理困難
感情との結び中〜高低〜中
代表トリガー写真・色曲・声香水・料理場所・人温冷・圧覚
学習での役割図・位置記憶反復・暗唱気分合図出来事の印手書き・実技
仕事での活用図面・スライド議事録音声香りでON/OFFランチMTG手順の手触り化

週間&月間トレーニング表(写して使える)

週間表

曜日触覚3語五味チェック香りタグ視覚メモ(図1枚)ひと言ふり返り

30日プランの進捗表

日付今日の合図(香り/音)図1枚の題名録音復習(分)触覚3語合計スコア(/5)
1
2
3
30

自己診断チェック(今の得意・弱みを知る)

各項目に○×をつけ、○が多い感覚があなたの強み、×が多い感覚が伸びしろです。

感覚チェック項目
視覚図を見ると理解が速い/色分けすると落ち着く/場所を覚えるのが得意
聴覚人の声の特徴を覚えている/口に出すと覚えやすい/同じ曲で集中が戻る
嗅覚季節の匂いで思い出がよみがえる/香りで気分を切り替えられる
味覚食事の記憶が場面と結びついている/味の違いを説明できる
触覚手触りで物を選ぶ/温度や圧の違いを言葉にできる

よくある落とし穴と対策(やってはいけない集)

落とし穴ありがちな例代わりにこうする
色の氾濫スライドに5色以上3色以内に統一、強弱は太さと余白で
強すぎる香り部屋全体を濃い香りで満たす弱く短く、個人の小物に限定
BGMの歌詞読み書き中に歌詞ありBGM歌詞なし・短い合図音に変更
過信「私は視覚型だけ」2〜3感覚の重ねで底上げ

Q&A(よくある疑問)

Q1:本当に触覚が一番忘れやすいのですか?
A:一般には背景化しやすいため忘れやすい傾向があります。ただし、痛み・熱さなど危険に関わる触覚は強く残ります。

Q2:香りが苦手です。嗅覚を使う別の方法は?
A:台所や自然の生活の匂いを短時間観察するだけでも効果があります。無理に強い香りを使う必要はありません。

Q3:視覚に頼り過ぎて頭が疲れます。
A:音(聴覚)での反復に切り替える、目を閉じて触覚描写を行うなど、使う感覚を交代させましょう。

Q4:子どもの記憶を伸ばすコツは?
A:図解+声出し+手作業を同時に。工作や料理など手を動かす活動が効果的です。

Q5:味覚の記憶を強くするには?
A:誰と・どこで・どんな気分で食べたかを一言メモ。出来事と結合させるのが近道です。

Q6:忙しくて訓練の時間が取れません。
A:通勤や入浴の1分スキャンで十分。毎日少しが一番続きます。

Q7:においで気分が悪くなることがあります。
A:香りは弱く短時間。体調に合わない時は無香に戻し、別の感覚(視覚・聴覚)を使ってください。

Q8:年齢とともに記憶が落ちました。
A:反復・感情づけ・複数感覚の併用が有効です。新しい趣味で感覚の幅を広げるのも助けになります。

Q9:会議の内容をすぐ忘れます。
A:会議中に図1枚へ要約→終了後音声要約を自分宛に送る→同じ合図音で翌朝3分復習、の三段構えを習慣化。

Q10:人の顔と名前が一致しません。
A:名刺に特徴の図解(髪型・眼鏡)+声の特徴をひと言。香りや場面も一語添えると結びが強まります。


用語の小辞典(やさしい言い換え)

作業記憶:短いあいだ頭の中に保つメモのような記憶。
長期記憶:長く残る記憶。出来事や知識が入る。
感覚順応:同じ刺激に慣れて、感じにくくなること。
場面記憶(エピソード記憶):いつ・どこで・誰と、という出来事の記憶。
五感日記:一日の中で気づいた感覚を短く書き留める習慣。
場面タグ:特定の香りや音で、同じ気分や集中を呼び出す工夫。
三位一体学習:読む・聞く・書くを同時に行う覚え方。
合図づけ:特定の刺激(香り・音)を合図にしてモードを切り替える手法。


まとめ

五感はそれぞれ役割が違い、記憶への残り方も別々です。触覚は背景化しやすく忘れやすい一方で、視覚・嗅覚・聴覚は感情と結びつけやすく定着が強い傾向があります。大切なのは、得意な感覚を生かしつつ、忘れやすい感覚を言葉・香り・リズムでサポートすること。今日から1分の五感スキャン3語描写合図づけの三つを始めて、記憶と感性の底上げを図りましょう。

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