おうちの水そうや夏まつりの屋台で見かける金魚。どうして金魚や魚たちは水の中で生きられるのでしょうか?人間は水の中で息ができないのに、金魚は水の中で元気に泳いでいます。そのひみつは「えら」と「呼吸のしかた」にあります。
この記事では、小学生のみなさんに金魚や魚が水の中でどうやって生きているのか、より詳しく、楽しく、たくさんの角度から説明します。観察や実験のアイデア、魚の進化やいろんな種類の呼吸、豆知識もたっぷり紹介します。
金魚はなぜ水の中で生きられるの?魚のからだと呼吸のしくみ
金魚の体のつくりと水の中の生活
金魚や魚は水の中で生きるための特別な体のつくりを持っています。体はぬるぬるしたうろこでおおわれ、外敵やばい菌から身を守ったり、水の中ですばやく泳いだりします。ひれ(尾ひれ・胸ひれ・背びれ)は水の中でバランスをとり、前へ進むときや方向転換の時にも大活躍。目は水の中でもはっきり見えるようになっていて、口や鼻も水中用に進化しています。
金魚のえらとは?どこにある?
金魚の「えら」は、口のすぐうしろにある赤いひだひだの部分です。えらぶたをそっとめくると赤い線がたくさん見えます。人間の「肺(はい)」と同じように、呼吸をする大事な役割を持っています。魚はえらで呼吸しながら泳ぐことができるのです。
水の中で呼吸する仕組みをくわしく
金魚はまず口から水を飲み込みます。その水がえらの中を通ると、えらの表面で「酸素(さんそ)」を体にとりこみ、いらない「二酸化炭素(にさんかたんそ)」を水の外に出します。えらは表面積が広く、毛細血管(もうさいけっかん)がたくさん集まっていて、水の中の酸素を効率よくキャッチできるしくみです。
えらの動きを観察しよう
水そうをじっくり見ていると、金魚の口とえらぶたがパクパク動いているのが分かります。これは水を口から吸って、えらを通して出しているから。水流を作って、いつも新しい酸素をとりこめるようにしているのです。
えらぶたの役割と水のきれいさ
えらぶたは、えらを外のゴミやばい菌から守る役目もあります。水がよごれているとえらがつまったり、呼吸がしにくくなってしまうので、きれいな水そうで飼うことが大切です。
魚と人間の呼吸のちがいをくらべてみよう
人間はどうやって呼吸している?
人間は「肺(はい)」を使って呼吸します。空気を鼻や口から吸い込み、肺で「酸素」を体に取り込み、「二酸化炭素」をはき出しています。空気が必要なので、水中では呼吸できません。
魚と人間の「呼吸器官」のちがい
金魚や魚はえら、人間は肺と呼吸器官がまったく違います。魚のえらは水の中の酸素を取り入れるのが得意ですが、人間の肺は水中の酸素をとり出せません。だから人間は水の中で息ができないのです。
なぜ人間は水の中で息ができないの?
人間の肺は空気中の酸素をとりこむようにできているので、水の中にとけている酸素をうまく取り出すことができません。だから泳ぐときは必ず顔を水の外に出して呼吸しなければならず、長く水中にいるためにはスノーケルや酸素ボンベなど道具が必要です。
皮ふや皮膚呼吸もある生き物
カエルやイモリなどの両生類は、子どものときはえら、大人になると肺と皮ふ(皮膚呼吸)で呼吸できる種類もいます。魚と人間の間の進化のヒントにもなっています。
えらのひみつと魚のすごい呼吸テクニック
えらの中のしくみを探ろう
えらの中には毛細血管がびっしりはりめぐらされています。金魚の血液はえらを通るときに、外の水から酸素をとりこみ、体の中の二酸化炭素を水に出します。
対向流交換でパワフルに呼吸!
金魚のえらは「対向流交換(たいこうりゅうこうかん)」というしくみで、水と血液が反対方向に流れます。このおかげで水の中の酸素をできるだけたくさん取り込むことができるのです。魚は同じ水でも、人間よりずっと効率よく酸素をキャッチできるのがポイントです。
水そうの水のきれいさ・温度も呼吸に大事
えらはとてもデリケートなので、よごれや水温の変化に弱いです。水温が高すぎたり、酸素が足りなくなると金魚は水面でパクパクしはじめます。水そうの中に水草やエアーポンプを入れて、酸素を増やす工夫も大切です。
金魚の「口パク」は息をしているサイン
金魚が水面で口をパクパクしているときは、酸素が足りないサインかもしれません。よく観察して、魚たちが元気に過ごせるよう気をつけましょう。
えらのそうじ・お手入れの工夫
金魚を健康に飼うには、定期的に水を替えたり、フィルターをそうじしたり、えさのあげすぎに注意することもポイントです。きれいな水そうは金魚の命を守ります。
いろんな魚と呼吸のふしぎをくらべてみよう
海の魚と川の魚のちがい
金魚は川や池にすむ淡水魚ですが、海の魚も同じようにえらで呼吸します。ただし、海水魚は塩分を外に出すしくみが発達していたり、体の水分バランスを保つためにちがう工夫をしています。
空気呼吸ができる魚もいる!?
「アロワナ」や「ベタ」、「ハイギョ」など、一部の魚は、水中の酸素が少なくなると水面に上がって空気を取り込むことができます。ベタは「ラビリンス器官」という特別な呼吸器を持っています。
進化のなぞと陸に上がった魚たち
昔の魚の中には、進化して「肺」を持つようになり、やがて陸に上がる生き物(両生類やは虫類)になったと考えられています。今でも「ハイギョ」や「ウナギ」など、空気呼吸ができる魚がいます。
世界のいろんな水の中の生き物たち
世界には「エラ呼吸」と「皮膚呼吸」や「腸呼吸」など、さまざまな呼吸の工夫を持つ水の生き物がいます。熱帯魚、サメ、エイ、カメ、カエル、おたまじゃくし……みんなそれぞれの環境にあわせて呼吸方法を進化させてきました。
魚の呼吸と気温・水温の関係
水温が高いと水の中の酸素が少なくなります。夏は特に、水そうの温度やエアーポンプにも気をつけて、金魚が苦しくならないようにしてあげましょう。
魚が苦しいときのサイン
水面で何度も口パクをしていたり、底でじっと動かなくなったりしたら、呼吸がうまくできていないかもしれません。水をきれいにしたり、酸素をふやす工夫をしてみましょう。
金魚や魚の呼吸を観察&実験してみよう!自由研究にもおすすめ
えらの動きと呼吸の回数を調べてみよう
水そうのガラス越しに金魚のえらぶたがパクパク動く様子を観察してみましょう。10秒間で何回動くか数えて、記録ノートにまとめてみると、おもしろい発見があるかもしれません。えさをあげたあとの変化もチェックしてみてください。
水草やエアーポンプの役割を観察
水草は光合成で水中に酸素を増やしてくれます。エアーポンプは水に空気を入れて酸素を増やします。金魚の健康にはどちらも大事です。水草の成長と金魚の呼吸をセットで観察してみましょう。
水温や水そうの大きさで呼吸は変わる?
水温が高いとき、低いとき、水そうが大きいとき小さいときで、金魚の呼吸回数や動きに違いがあるか自由研究してみよう。
えさの量や水のきれいさと呼吸の関係
えさをたくさんあげると水がよごれやすくなります。えさの量や水のきれいさによって金魚の元気や呼吸にどんな違いがあるかも調べてみよう。
他の水の生き物ともくらべてみよう
メダカやザリガニ、エビ、カメなど、同じ水そうで飼える他の生き物と呼吸の様子をくらべてみるのも面白いです。
呼吸の自由研究・まとめアイデア
・金魚が水そうでどんなときに水面に上がってくるか記録する
・えさをあげたとき、呼吸の回数がどう変わるか調べてみる
・エアーポンプのありなしで金魚の様子を比べてみる
・いろんな魚や生き物の呼吸方法を図でまとめてみる
金魚や魚の呼吸 まとめ表
生き物 | 呼吸する場所・器官 | どんなしくみ? | ポイントや豆知識 |
---|---|---|---|
金魚・川魚 | えら | 水の中の酸素をえらで取り入れ、二酸化炭素を外に出す | きれいな水が大切。水の中だけで生きられる |
海の魚 | えら | えらで呼吸。海水の塩分に合わせて体のつくりも進化 | 塩分バランス調節が上手。サンゴやイソギンチャクとも共生する魚もいる |
空気呼吸する魚 | えら+口や特別な器官 | 水中の酸素が少ないときに水面から空気を吸うこともできる | ベタやアロワナ、ハイギョなど特殊な呼吸を持つ魚がいる |
両生類 | えら+肺+皮ふ | おたまじゃくしのときはえら、大人になると肺と皮ふで呼吸 | カエルやイモリなど。水中・陸上両方で生きることができる |
人間・動物 | 肺 | 空気中の酸素を肺で取り入れ、二酸化炭素をはく | 水中では息ができない。泳ぐときは息つぎが必要。シュノーケルや酸素ボンベが必要 |
その他の生き物 | 皮ふ・腸呼吸・えら外呼吸 | 特殊な生き物は皮ふや腸、体表でも呼吸できる | 一部のウナギや熱帯魚などは腸や皮ふでも酸素を取り入れられる |
【まとめ】
金魚や魚は、水の中で生きられる特別な体のしくみ「えら」を持っています。えらで水の中の酸素を取り入れ、二酸化炭素を出すことで、ずっと水の中で元気にくらせるのです。また、水そうや自然環境のきれいさ、気温や水温、エサの量など、いろんなことが魚の呼吸と健康に関わっています。
観察や飼育を通して、魚たちの呼吸や生活をもっと知ると、自然のふしぎや生き物の工夫がわかってきます。自分で金魚や魚を観察したり、呼吸の実験をしてみたり、自由研究やまとめに挑戦してみるのもおすすめです。魚と水の世界の不思議やおもしろさを、ぜひ自分の目で確かめてみてください!