宇宙の気温は何度?驚くほど極端な宇宙空間の温度を徹底解説

スポンサーリンク
知識 経験

宇宙と聞いてまず思い浮かぶのは、底冷えするような超低温か、太陽のような灼熱か――。正解はその“どちらも”です。宇宙には、絶対零度に限りなく近い 2.7ケルビン(K) から、数百万度・数億度に達する高温まで、想像を超える温度差が共存しています。本記事では、宇宙の平均気温の正体場所ごとに異なる温度環境温度の測り方温度が生む宇宙の営み工学・探査への影響 までを、やさしい言葉で徹底解説。


  1. 宇宙の平均気温は約2.7K――そのわけ
    1. 2.7Kの正体は「宇宙背景放射」
    2. 絶対零度とのちがいと「冷えきらない」理由
    3. 一様なのにムラがある?微小ゆらぎの意味
    4. 宇宙はなぜ冷たいのか——3つの理由
  2. 場所でこんなに違う!宇宙の温度地図
    1. 恒星の内部と外層で見える温度の段差
    2. 星間・分子雲・星の“ゆりかご”は驚くほど冷たい
    3. 銀河団・銀河間の“熱い宇宙”もある
    4. 近地球空間の“日なた”と“日陰”の落差
      1. 温度の目安(保存版)
  3. 宇宙の温度を決める基本ルール(やさしい物理)
    1. 放射平衡:受け取る熱と捨てる熱のつり合い
    2. 吸収率・放射率・色
    3. 光を通すか遮るか(光学的厚さ)
  4. どう測る?宇宙の温度の測り方
    1. 光の“色と明るさ”から温度を読む(赤外線・電波)
    2. 線の“太さ”や“位置”で知る(スペクトル解析)
    3. X線・サンヤエフ‐ゼルドビッチ効果で“熱い宇宙”を見る
    4. 探査機の実測と、計算の組み合わせ
      1. 観測手段と測る対象(対応早見表)
  5. 温度がつくる宇宙の営み
    1. 星と惑星が生まれる温度条件
    2. 元素合成と高温の現場
    3. 宇宙温度と化学反応
    4. 居住可能条件と温度
  6. 工学・探査に直結する「温度」の話
    1. 宇宙船と宇宙服の温度調節システム
    2. 月・水星・小天体の極端温度
    3. 系外惑星の温度を見る
      1. 宇宙の“環境別”温度帯(一覧)
  7. 宇宙の“相”を知る:星間物質の温度と密度
  8. まとめ・実務に役立つ付録
    1. Q&A(よくある質問)
    2. 用語ミニ辞典(やさしい言い換え)
    3. 温度早見表(携帯版・再掲)
    4. この記事の使い方(運用メモ)

宇宙の平均気温は約2.7K――そのわけ

2.7Kの正体は「宇宙背景放射」

宇宙の“基準温度”はおよそ 2.7K(−270.45℃)。これは、ビッグバンの“名残”である 宇宙マイクロ波背景放射(CMB) が、宇宙全体を満たしているためです。空のどこを見ても、ほぼ同じ温度の電波(マイクロ波)が観測されます。

絶対零度とのちがいと「冷えきらない」理由

絶対零度(0K) は、原子の熱運動が止まる理論上の下限。ですが宇宙は背景放射でほんのり“温められ”、完全な0Kには到達しません。しかも真空では熱の伝わり方が 放射 しかなく、温度はゆっくりしか変化しません。

一様なのにムラがある?微小ゆらぎの意味

CMBはほぼ一様ですが、温度には ごくわずかなムラ(ゆらぎ)が存在します。この小さな差が、のちの 銀河・星・惑星 といった構造の“タネ”になりました。温度のわずかな違いが、宇宙の大模様を決めたのです。

宇宙はなぜ冷たいのか——3つの理由

  1. 物質が少ない(伝導・対流がほぼ起きない)/2) 膨張により光が伸びて冷える/3) 放射冷却 が支配的。これらが合わさり、宇宙の平均は極低温に落ち着きます。

場所でこんなに違う!宇宙の温度地図

恒星の内部と外層で見える温度の段差

太陽の 表面は約5,500℃中心は約1,500万℃。さらに大質量星では中心温度が 1億℃超 に達することも。外層ほど冷えるとは限らず、太陽の コロナ100万〜数百万℃ と超高温(加熱の仕組みは研究が続いています)。

星間・分子雲・星の“ゆりかご”は驚くほど冷たい

星と星の間に広がる 星間空間 は超低密度で、温度は 数K〜数十K。星の卵が育つ 分子雲10K前後(−263℃ほど) が一般的。冷たさが分子を守り、星作りの材料が保たれます。

銀河団・銀河間の“熱い宇宙”もある

銀河団には 数千万Kの高温ガス(銀河団ガス) が満ち、X線 で明るく輝きます。銀河の少ない空隙(ボイド)では背景に近い 2.7K。場所により“極寒”と“灼熱”が共存します。

近地球空間の“日なた”と“日陰”の落差

低軌道では、太陽光が当たる面が +120℃、影側は −150℃ 近く。空気が無く 対流 が起きないため 放射 だけで温度が決まります。宇宙機は 多層断熱(MLI)ヒーター/ラジエータ で体温調節。

温度の目安(保存版)

場所・現象温度の目安補足
宇宙全体の基準(CMB)約2.7K(−270.45℃)ビッグバンの名残が作る“宇宙の底冷え”
宇宙空隙(ボイド)約2.7K前後物質が極端に少ない領域
分子雲(星の卵の材料)10〜50K(−263〜−223℃)低温で分子が保たれる
散光星雲(電離ガス)約1万K若い星の紫外線で加熱
銀河団ガス(ICM)数千万KX線で観測される超高温ガス
太陽表面(光球)約5,500℃私たちが目にする太陽の“顔”
太陽コロナ100万〜数百万℃加熱機構は研究が進行中
太陽中心約1,500万℃水素の核融合が進む場所
大質量星の中心1億℃以上重い元素の合成が進む極限状態
中性子星表面数十万〜数百万K超高密度天体の“地表”
ブラックホール降着円盤数百万〜数億℃摩擦・重力で加熱
地球周回軌道(日なた)約+120℃直射で加熱、断熱材で制御
地球周回軌道(日陰)約−150℃放射冷却で大きく低下

目安値。天体の種類・年齢・環境で大きく変わります。


宇宙の温度を決める基本ルール(やさしい物理)

放射平衡:受け取る熱と捨てる熱のつり合い

天体や機器の温度は 「吸収するエネルギー=放射で捨てるエネルギー」 のつり合いで決まります。太陽光をどれだけ 反射(アルベド) し、どれだけ 放射(放熱) できるかがカギ。

吸収率・放射率・色

表面の材質や色で 吸収率放射率 が変わります。黒に近いほど吸収・放射が大きく、温度応答も強くなります。宇宙機のサーマル設計は、ここを緻密に最適化します。

光を通すか遮るか(光学的厚さ)

ガスや塵の“濃さ”は 光学的厚さ で表され、厚いほど内部は冷えやすく、薄いほど外からの光で加熱されやすい。星雲の温度構造を左右する重要な指標です。


どう測る?宇宙の温度の測り方

光の“色と明るさ”から温度を読む(赤外線・電波)

冷たい塵やガスは 赤外線、さらに冷たい領域は 電波 でよく見えます。放たれる光の分布から 黒体放射 の考えを使って温度を推定。背景放射の2.7Kもこの方法で精密に測られました。

線の“太さ”や“位置”で知る(スペクトル解析)

天体の光には元素ごとの“すじ”= スペクトル線 が含まれます。線の (熱運動の速さ)や 位置(運動によるずれ)から、ガスの温度・密度・動きを推定。星・星雲・銀河の温度計として欠かせません。

X線・サンヤエフ‐ゼルドビッチ効果で“熱い宇宙”を見る

銀河団の超高温ガスは X線 で直接観測。さらに、背景放射の光が高温電子で散乱される サンヤエフ‐ゼルドビッチ効果 を使うと、温度と密度の分布を別の角度から測れます。

探査機の実測と、計算の組み合わせ

惑星・衛星の近くでは、探査機の 温度計・放射計 が直接はかります。遠い天体は 観測データ+数値シミュレーション で温度分布を再現。近年は AI画像解析 の進歩で精度が上がっています。

観測手段と測る対象(対応早見表)

観測の光得意な対象わかること
電波背景放射、分子雲、COなど超低温ガスの温度・量・流れ
赤外線塵、原始星、系外惑星冷たい物体の温度分布、成長段階
可視光恒星表面、電離ガス星の表面温度、星雲の目安温度
紫外線高温の薄いガス電離度、加熱の痕跡
X線・γ線超高温ガス、降着円盤、爆発現象数百万度以上の極限温度、衝撃波

温度がつくる宇宙の営み

星と惑星が生まれる温度条件

冷たい分子雲(〜10K) は、重力が勝ると収縮。中心が温まり 原始星 になり、十分熱くなると核融合が始まって 恒星 が誕生。周囲の 原始惑星系円盤 では温度差により、内側は岩石惑星、外側は氷・ガスが集まりやすくなります。

元素合成と高温の現場

恒星の中心や超新星、降着円盤など 高温の現場 では、軽い元素から重い元素が作られます。宇宙にある鉄・金・ヨウ素といった 私たちの体を形づくる元素 は、こうした高温環境で生まれ、のちに宇宙へ放出されました。

宇宙温度と化学反応

極低温では化学反応は遅くなりますが、塵の表面で分子が作られ、紫外線で壊され、また作られる——この“低温化学”が生命材料の前駆体を育てます。

居住可能条件と温度

居住可能域(ハビタブル帯) は、恒星からの距離と大気の温室効果で決まります。温度が安定して液体の水が保てるかどうかが、生命探しの第一関門です。


工学・探査に直結する「温度」の話

宇宙船と宇宙服の温度調節システム

宇宙服は −150℃〜+120℃ の極端な環境に耐えるため、液冷下着(冷却チューブ)断熱層ヒーター を内蔵。宇宙機は MLI、ラジエータ、サーマルスイッチ で自動的に“体温調節”します。

月・水星・小天体の極端温度

大気がほぼ無い天体は日較差が巨大。月面は日中 約+120℃、夜間 約−170℃。水星は +430℃/−180℃。小惑星の表面温度は自転周期・表面の色で大きく変化します。

系外惑星の温度を見る

系外惑星は、平衡温度(恒星から受ける光と放射のつり合い)でおおよそを推定します。大気の有無・成分・雲で実際の地表温度は大きく変わります。

宇宙の“環境別”温度帯(一覧)

環境代表温度帯備考
真空の平均2.7KCMBが作る基準
分子雲の核7〜15K星形成の種
電離星雲8,000〜12,000KHII領域
銀河団ガス10^7〜10^8 KX線が強い
低軌道衛星外板−150〜+120℃日陰/日なた差
月・水星表面−180〜+430℃大気が無く日較差大
ガス惑星上層100〜数千K高度・成分で変化
降着円盤内縁10^6〜10^8 Kブラックホール周辺

宇宙の“相”を知る:星間物質の温度と密度

相(フェーズ)代表温度代表密度主な場所・特徴
分子相10〜50K高密度星形成領域、分子が豊富
中性原子相(冷)50〜200K中密度HI雲、電波で観測
中性原子相(温)6,000〜10,000K低密度銀河円盤の広域
電離相8,000〜12,000K低密度若い星周辺のHII領域
コロナ相10^5〜10^6K非常に低密度超新星衝撃波で加熱

星間物質は、加熱(紫外線・衝撃波)と冷却(放射)のバランスで、温度の違う“相”に分かれます。相の移り変わりが、星の誕生と死を循環させるエンジンです。


まとめ・実務に役立つ付録

Q&A(よくある質問)

Q1. 宇宙は2.7Kで“ほぼ一定”なの?
A. 基準は2.7Kですが、天体の近くや降着円盤など 局所的に大きく上下 します。宇宙は“冷たい背景の上に熱い島が点在”しているイメージです。

Q2. 宇宙空間では物はすぐ凍る?
A. 空気が無く 熱が逃げにくい ため、速くは凍りません。放射 で少しずつ冷えていきます。日なたなら逆に加熱されます。

Q3. なぜ宇宙服は大げさな装備なの?
A. 日なたと日陰で 数百℃の差 があるため、断熱・冷却・加熱 を同時に行う必要があるから。体温を一定に保つ仕組みが詰まっています。

Q4. 宇宙の平均温度は今後どうなる?
A. 宇宙の 膨張 が続く限り、背景放射はゆっくり 低下。平均温度もさらに下がります。

Q5. 太陽の表面より外側のコロナが熱いのはなぜ?
A. 強い 磁場 によってエネルギーが運ばれ、外層が加熱されると考えられています。詳細は現在も研究中です。

Q6. 月や小惑星はなぜこんなに日較差が大きいの?
A. 大気が無い ため熱を運ぶ対流がなく、表面は日なたで急加熱、夜は放射で急冷します。

Q7. 系外惑星の温度はどうやって推定?
A. 恒星からの受熱と放射の 平衡温度 を計算し、大気・雲・温室効果で補正します。日面通過時の赤外観測で直接推定できる場合もあります。

Q8. ブラックホール自体は“熱い”?
A. ブラックホールそのものの温度は極端に低いとされますが、周囲の降着円盤 は摩擦・重力で 超高温 になります。

用語ミニ辞典(やさしい言い換え)

  • ケルビン(K):温度の単位。0Kが絶対零度。水の氷点は約273.15K。
  • 絶対零度:熱運動が止まると考えられる理論上の下限温度(0K)。
  • 宇宙マイクロ波背景放射(CMB):ビッグバン直後の光が冷えて現在は電波になったもの。宇宙全体をほぼ一様に満たす。
  • 黒体放射:物体が温度に応じて放つ光。色と明るさから温度を見積もれる。
  • 分子雲:星間ガスが濃く冷えた雲。星の卵の材料が集まる場所。
  • HII領域:若い星の強い紫外線で水素が電離した“温かい星雲”。
  • 降着円盤:物質が天体に落ち込む前に円盤状にまとまったもの。摩擦や重力で高温になる。
  • 居住可能域(ハビタブル帯):液体の水が安定して存在できる距離の範囲。
  • 放射冷却:赤外線として熱を宇宙へ放つことで冷える現象。
  • アルベド:表面の反射率。大きいほど太陽光をはね返して温度が上がりにくい。

温度早見表(携帯版・再掲)

区分温度の目安覚え方
宇宙の基準2.7K宇宙の“空気の温度”のような基準
星のゆりかご10K前後冷たいほど星作りが進む
星雲(電離ガス)1万K若い星の光で温められる
太陽表面約5,500℃私たちが見ている太陽の温度
太陽コロナ100万〜数百万℃表面より外側が熱い特別地帯
銀河団ガス10^7〜10^8 K宇宙最大級の“熱い海”
降着円盤数百万〜数億℃宇宙屈指の“灼熱工場”
近地球空間+120℃ / −150℃日なたと日陰の差が極端

この記事の使い方(運用メモ)

  • 初学者向けの 導入講義 やワークシートの素材に。
  • 理科授業・自由研究の 温度比較 ネタに。
  • 宇宙関連の 展示・商品説明 のテンプレートに。

結論:宇宙は“冷たい背景の上に熱い現場が点在する世界”。この温度差こそが、星や銀河、そして私たちの材料を生み出し続けています。温度を知れば、宇宙の営みがぐっと身近に なります。

タイトルとURLをコピーしました