離婚しにくい県はどこか。この問いは、単なるランキングへの興味で終わらないことが多いはずです。これから結婚する人、子育て中で生活の立て直しを考えている人、移住やUターンを検討している人にとっては、「どんな環境なら夫婦が続きやすいのか」を考える材料になります。
ただ、このテーマは数字の見方を間違えると危うくなります。離婚率が低い県を「夫婦仲が良い県」と決めつけるのも、高い県を「問題が多い県」と見るのも雑です。離婚率は、文化、家族構造、住居費、通勤、子育て支援、相談しやすさなど、いくつもの条件が重なって表に出た結果だからです。2024年の全国の離婚率は1.55、2023年は1.52で、全国平均そのものも年によって動いています。まずは「低い県はどこか」を押さえつつ、後半で「なぜ差が出るのか」「自分の暮らしにどう置き換えるか」まで整理していきます。
結論|この記事の答え
まず押さえたい結論
相対的に離婚しにくい県を、2023年ベースの都道府県別離婚率でみると、低い順の下位グループには富山県、新潟県、山形県、石川県、島根県が入っています。紹介記事ベースでは、富山県1.12、新潟県1.18、山形県1.19、石川県1.22、島根県1.23とされています。反対に高い側には、沖縄県2.16、宮崎県1.72、北海道1.69、福岡県1.67、大阪府1.66が並びました。別ソースでは細かな小数点に差がありますが、低位グループと高位グループの顔ぶれは大きくは変わっていません。
ここで大事なのは、「離婚しにくい県」イコール「幸せな県」ではないことです。離婚率は一般に粗離婚率、つまり人口1,000人あたりの年間離婚件数を指します。しかも、人口動態統計の都道府県表章は、1970年以降は「別居する前の住所」による集計です。つまり、その地域に住んでいた夫婦の事情が数字として出ているのであって、単純な県民性の優劣を示しているわけではありません。
さらに言うと、「都市部は高く地方は低い」とも言い切れません。2023年の全国平均1.52に対し、東京は1.49でやや下回っていました。一方で、沖縄や宮崎のような地方県が高位に入っています。つまり、都会か地方かだけではなく、住居費、家計の余裕、親族支援、相談のしやすさ、仕事の忙しさなど、暮らしの中身を見ないと数字は読み違えます。
迷ったときの最小解
離婚率の低い県を見て、引っ越せば安心なのかと考えたくなる人もいると思います。ですが、最小限の結論としては、県の順位より「生活の設計」のほうが優先です。迷ったら、次の3点だけ先に見てください。
| 優先順位 | 先に確認すること | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | 住居費と通勤時間 | 毎日の疲れと家計負担に直結する |
| 2 | 近居・同居や支援の受けやすさ | 子育て・介護負担が偏りにくい |
| 3 | 相談窓口や逃げ道の有無 | つまずいたときに抱え込みにくい |
迷ったらこれでよい、という基準は「夫婦の負担を減らせるかどうか」で暮らしを選ぶことです。ランキングの低い県でも、通勤が長く、頼れる人がおらず、家計が苦しいなら関係は荒れやすくなります。逆に、離婚率が平均的な地域でも、住居費が抑えられ、親族やサービスに頼れ、対話時間が確保できれば、夫婦はかなり安定しやすいです。
まず失敗したくない人は、「低い県だから大丈夫」「高い県だから不安」と短絡しないことです。県の数字はあくまで傾向であって、実際の生活は家計、時間、支援、人間関係で決まります。引っ越しや定住を考えるなら、数字は入口、判断は暮らしの中身で行う。この順番を崩さないほうが、あとで後悔しにくいです。
離婚率とは何か|最初に定義をそろえる
粗離婚率は人口1,000人あたりの件数
離婚率という言葉はよく使われますが、一般に報道やランキングで使われるのは「粗離婚率」です。これは人口1,000人あたり、1年間に何件の離婚があったかを見る指標です。厚生労働省の人口動態統計でも、離婚率は人口千対で表されています。2024年の全国の離婚率は1.55、2023年は1.52でした。
この指標のよいところは、都道府県同士をざっくり比べやすいことです。反面、弱点もあります。既婚者の割合が違う県、若年人口が多い県、高齢化が進む県では、同じ1.5でも意味が少し変わってきます。だから、粗離婚率は「入口の数字」としては便利でも、それだけで県民性や夫婦関係の質を断定するのには向きません。
離婚率が低いことと幸福度は同じではない
ここは誤解しやすいところです。離婚率が低いと、「夫婦がうまくいっている県」と思いたくなります。ですが、実際には、離婚に踏み切りにくい文化、経済的に別れにくい条件、相談しにくい空気が数字を押し下げている場合もあります。逆に離婚率が高い県には、関係が悪いからというだけでなく、離婚を選びやすい環境や価値観の多様さが影響していることもあります。
つまり、「低い=幸せ」「高い=不幸」と見ないことが大切です。離婚率は、夫婦がどう生きるかの選択の出方を、地域単位で映した数字にすぎません。善悪のラベルにしないほうが、現実に役立つ読み方ができます。
都道府県比較では住所の考え方にも注意
人口動態統計では、都道府県別の離婚は「別居する前の住所」で表章されます。これは細かいようで大事です。離婚届をどこで出したかではなく、別居前の生活圏がどこだったかを軸に集計されるため、その地域の暮らしの条件が数字に反映されやすいからです。
数字を比較するときは、同じ年、同じ指標で比べるのが基本です。2023年の確定数で県別を見るのか、2024年の概数で全国の動きを見るのかを混ぜると、順位や平均の読み方がぶれます。ここを丁寧にそろえるだけでも、ランキング記事の見え方はかなり変わります。
離婚しにくい県はどこか|都道府県別の傾向
低いグループに入りやすい県
2023年ベースで相対的に離婚率が低かった県として、富山、新潟、山形、石川、島根が下位グループに並びました。紹介記事によって小数点には若干差がありますが、富山県が最も低く、新潟県、山形県、石川県、島根県が続くという大枠は一致しています。
この並びを見ると、日本海側や北陸・東北の一部が目立ちます。ただし、「雪国だから」「保守的だから」と単純化しすぎるのは危険です。実際には、親族との距離感、住居費、持ち家の比率、近居のしやすさ、地域での相互扶助など、複数の条件が重なっていると考えるほうが自然です。高い県も低い県も、一つの要因だけで説明できるほど単純ではありません。
高いグループに入りやすい県
2023年の高位グループには、沖縄、宮崎、北海道、福岡、大阪が入りました。こちらもソースによって1.66と1.71のような細かな差はありますが、顔ぶれは近いです。全国平均1.52と比べると、沖縄県2.16はかなり高く、低位の富山県1.12とは倍近い開きがあります。
ここで押さえておきたいのは、「大都市が高位を独占しているわけではない」という点です。大阪や福岡は入っていますが、東京は平均並みかやや低めでした。つまり、地方か都市かだけではなく、産業構造、賃金、暮らし方、家族構成まで含めて見ないと、本当の傾向は読めません。
全国平均と比べるとどう見えるか
2023年の全国平均は1.52、2024年は1.55です。全国平均を真ん中に置くと、低いグループは1.1〜1.2台、高いグループは1.6〜2.1台に集まっており、差はかなりあります。数字だけ見ると、同じ日本でも夫婦の暮らしや別れ方に地域差があることがわかります。
ただし、全国平均を少し上回っただけで「離婚しやすい県」と決めつける必要はありません。大切なのは、平均との差より、その背景にある生活条件です。ランキングを眺めるだけで終わらせず、「なぜこの差が出るのか」を次で見ていくことが、この記事の本題になります。
なぜ地域差が出るのか|背景の読み方
家族構造と近居・同居の影響
夫婦関係にとって、近くに頼れる人がいるかどうかはかなり大きいです。子どもの送迎、発熱時の対応、急な残業、介護の入り口。こうした負担を夫婦だけで抱えると、関係は荒れやすくなります。三世代同居や近居の厚みは地域差が大きく、2020年時点でも高い県では3割強が三世代同居という分析があります。
もちろん、同居や近居が万能というわけではありません。親族との距離が近すぎてストレスになることもあります。ただ、少なくとも「困ったときに頼れる人がいる」環境は、離婚率の低さと相性がよい説明要素になりやすいです。県の順位を見るときは、親族支援が得やすい地域かどうかも一つの読み筋になります。
住居費と通勤時間の影響
夫婦関係は、お金と時間にかなり左右されます。住居費が高い、通勤が長い、帰宅が遅い。これだけで会話は減り、家事育児の押し付け合いも起こりやすくなります。反対に、住居費が抑えやすく通勤も短めなら、家計と時間の両方に余裕が出やすくなります。
ここで重要なのは、県の平均値より自分の生活動線です。同じ県でも、都心部に住むのか郊外に住むのかで負担は変わります。ランキングを見るときも、「この県は低いから安心」ではなく、「ここならわが家は家計と時間に余白を作れるか」で考えたほうが、実際の判断に使えます。
地域の相談しやすさと支援資源
地域差は、相談しやすさでも出ます。行政窓口、家族相談、子育て支援、法的な相談先、ファミリーサポート。こうした入口が身近な地域では、問題が深刻化する前に手を打ちやすくなります。逆に、頼ること自体に心理的ハードルが高いと、夫婦だけで抱え込みやすくなります。
低い県には地縁が強いという特徴がよく挙げられますが、これは支えにも圧にもなります。外からの目があるぶん、困りごとが可視化されやすい一方で、相談しづらさにつながる場合もあります。だから、数字が低い県ほど「逃げ道がなくても続く」と誤解しないことが大事です。
都市部と地方をどう比べるべきか
都市部が必ず高いわけではない
よくある説明に「都市部は離婚率が高い」がありますが、2023年の数字を見ると、東京は1.49で全国平均1.52をやや下回っていました。大阪や福岡は高位に入っていますが、東京や神奈川は極端には高くありません。つまり、大都市だから一律に高いという見方は、今の数字には合いにくいです。
都市部の強みは、サービスや選択肢が多いことです。保育、相談窓口、働き方の多様さ、再出発のしやすさ。これらは夫婦関係にとってもプラスになりえます。一方で、家賃や通勤の負担が重いと、それがマイナスに振れます。都市の問題は「都会だから」ではなく、コストと時間の圧力が強いことだと考えると整理しやすいです。
地方が低いから安心とも言い切れない
地方は低い県が多く見えますが、そこに安心しきるのも危険です。地域の支援が厚い一方で、プライバシーが薄い、価値観が均一で離婚を選びにくい、相談の入口が少ないといった面もあります。低い数字が「我慢の多さ」で支えられていないかは、統計だけでは見えません。
だから、地方移住を考える人ほど、数字だけでなく「何に頼れるのか」「困ったときの出口があるか」を確認したほうがよいです。離婚しにくい県を探すより、行き詰まりにくい暮らしを作れる県を探す。この発想のほうが失敗が少なくなります。
子育て期・共働き期で見え方が変わる
同じ県でも、子育て期と夫婦二人期では見方が変わります。子育て期は近居や送迎支援が効きやすく、共働き期は通勤と住居費の軽さが効きやすいです。つまり、県の数字を見るときも、自分たちがどのライフステージにいるかを合わせないと意味が薄れます。
以下の整理表で考えると判断しやすいです。
| ライフステージ | 優先したい条件 | 離婚率を見るときの着眼点 |
|---|---|---|
| 子育て期 | 近居、送迎、保育、病児対応 | 親族支援や地域支援が使えるか |
| 共働き期 | 通勤、家賃、家事分担 | 時間と家計に余白があるか |
| 介護期 | 親との距離、医療アクセス | 夫婦だけに負担が偏らないか |
よくある失敗とやってはいけない例
ランキングだけで移住先を決める
いちばん多い失敗は、低い県ランキングだけを見て移住先を決めようとすることです。県全体では低くても、自分の通勤先、住むエリア、親族との距離、収入水準が合わなければ、生活はむしろ苦しくなることがあります。
離婚率は地域の輪郭を見るには便利ですが、家賃や職場環境のような個別条件までは教えてくれません。移住先選びで本当に見るべきなのは、毎月の固定費と毎日の時間の使い方です。ランキングは入口にすぎません。
低い県なら夫婦関係も安定すると決めつける
低い県に住めば関係も安定する、という期待も危険です。夫婦関係は、家計、分担、対話、睡眠、親族との距離感でかなり左右されます。環境は助けになりますが、内部の課題を消してくれるわけではありません。
これはやらないほうがよい考え方です。外部条件が良くても、夫婦の話し合いがない、家事育児が偏る、我慢だけで持たせる、という状態なら、関係はやはり苦しくなります。地域の数字を万能薬のように扱わないことが大切です。
夫婦の内部課題を地域のせいだけにする
逆に、今の関係の苦しさを全部住んでいる地域のせいにするのも違います。確かに環境の影響はありますが、改善できることは県をまたがなくてもあります。固定費の見直し、家事分担の見える化、頼る先の洗い出し、週1回の短い対話。このあたりは今日からでも変えられます。
地域は土台、夫婦の運営は中身です。どちらか片方だけでは判断を誤りやすいです。
ケース別|どんな人が何を優先すべきか
子育て世帯
子育て世帯は、離婚率の低い県を探すより、支援の受けやすい県を探したほうが実用的です。保育園の入りやすさ、祖父母の近さ、病児対応、送迎のしやすさ。これらは夫婦の衝突をかなり減らします。三世代同居の厚みや親族支援の差が地域によって大きいことは、国勢調査関連の分析からも読み取れます。
子育て世帯ならA、つまり「一人で回さなくて済むか」を最優先にすると判断しやすいです。
共働きで忙しい夫婦
共働き夫婦は、住居費と通勤時間を最優先にしたほうがよいです。忙しい家庭ほど、支援の厚さより、まず疲れを増やさないことが重要になるからです。数字が低い県でも、通勤が長く、帰宅が遅く、家賃が重いと関係は荒れやすくなります。
費用を抑えたいなら、家賃が少し下がる地域に寄る、通勤を短くする、在宅勤務しやすい住まいを選ぶなど、家計と時間の余白を作る工夫のほうが効きやすいです。
親族支援を受けにくい夫婦
近くに親がいない夫婦は、地域サービスの厚みがかなり重要です。ファミリーサポート、一時保育、相談窓口、家事代行へのアクセス。こうした外部資源があるかどうかで、同じ家計でもしんどさは変わります。親族支援がない分だけ、地域支援をどう使えるかを見たほうが現実的です。
移住を検討している夫婦
移住を考える人は、県の離婚率ランキングを参考にしてもよいですが、それを最終判断にしないことです。移住後に仕事が不安定になる、親族から遠ざかる、地域に馴染めず孤立する。こうしたことが起きるなら、数字の低さは生きません。
移住希望なら、次のチェックリストで考えると失敗しにくいです。
| チェック項目 | 確認したいこと |
|---|---|
| 家計 | 家賃・車・通勤費で本当に楽になるか |
| 支援 | 親族、保育、相談窓口に頼れるか |
| 時間 | 帰宅時間と夫婦の対話時間が増えるか |
| 価値観 | 地域の空気が自分たちに合うか |
保管・管理・見直しのポイント
家計・家事・育児分担の見直しタイミング
地域がどうであれ、夫婦が続きやすいかどうかは、定期的に分担を見直しているかでかなり変わります。おすすめは、引っ越し、転職、出産、子の進学、親の介護の入り口です。この節目で役割を更新しないと、以前の分担がそのまま負担になります。
月1回でも、固定費、残業予定、送迎、休日の分担を確認するだけで、関係の荒れ方はかなり違います。数字の低い県に住んでいても、この見直しがないと関係は持ちにくくなります。
地域の相談窓口を先に把握しておく
困ってから調べると遅いことがあります。市区町村の相談窓口、子育て支援、法的相談、カウンセリングの入口は、先に一覧化しておくと安心です。とくに移住したばかりの家庭や、親族支援がない家庭ほど、これは保険になります。
「まだ困っていないから不要」と思いがちですが、実際には早く知っているほど頼りやすいです。これは防災の備えに少し似ています。使わないに越したことはないけれど、知っているだけで行き詰まりにくくなります。
結局どうすればよいか
優先順位で整理するとこうなる
結局どうすればよいかを、優先順位でまとめます。最初に見るべきは、離婚率の低い県ランキングではなく、自分たちの負担がどこにあるかです。家計なのか、通勤なのか、育児なのか、親族との距離なのか。ここが見えないまま県だけ選んでも、数字を生活に活かせません。
次に、県の数字は「暮らしの相性」を見る補助線として使います。近居・同居が多い地域が合うのか、サービスが多い都市型が合うのか、住居費が軽い場所が合うのか。これを夫婦で言葉にできれば、県の順位はかなり使いやすい情報になります。まず失敗したくない人は、「自分たちに必要なのは支援か、時間か、家計の軽さか」を先に決めてください。
後回しにしてよいものと今すぐやること
後回しにしてよいのは、「低い県に行けば全部うまくいく」という期待です。これは魅力的に見えますが、現実には効きません。今すぐやることは3つです。ひとつ目は、今の生活でいちばん大きい負担を書き出すこと。ふたつ目は、頼れる人・サービス・窓口を夫婦で整理すること。みっつ目は、移住や住み替えを考えるなら、県の順位ではなく、家賃・通勤・支援の3点で候補地を比べることです。
離婚しにくい県は確かにあります。けれど、本当に大事なのは、その県の空気をうらやむことではなく、自分たちが続きやすい暮らしの条件を見つけることです。数字はヒントになりますが、答えそのものではありません。暮らしの設計、負担の分散、頼る先の確保。この3つを整えるほうが、地域差をただ眺めるよりずっと役に立ちます。
まとめ
離婚しにくい県を最新の傾向でみると、富山、新潟、山形、石川、島根などが低いグループに入りやすく、2023年の全国平均1.52に対して1.1〜1.2台の県が並びました。一方、高いグループには沖縄、宮崎、北海道、福岡、大阪などが入っています。ただし、離婚率はあくまで人口1,000人あたりの年間離婚件数であり、幸福度や夫婦関係の質をそのまま表す数字ではありません。大事なのは、家計、通勤、親族支援、相談しやすさといった暮らしの条件をどう整えるかです。県の順位は参考にしつつ、最終的には「自分たちの負担を減らせる環境か」で判断するのが現実的です。


