台風(たいふう)はとても強い風と大雨をともなう自然現象です。日本には毎年いくつもの台風が近づき、学校や町、家に影響を与えることがあります。でも、しくみを知って、正しくそなえれば安全にすごせます。このページでは、台風の生まれ方・影響・準備・行動・情報の見方まで、小学生にもわかる言葉でたっぷり解説します。あわせてチェック表や早見表もつけたので、家族みんなで活用してね。
1. 台風のしくみを知ろう
1-1. どこでどうやって生まれる?
- 台風はあたたかい海の上で生まれます。海の表面がとてもあつくなると、水が水蒸気(すいじょうき)になってもくもくの雲が増えます。
- 雲がたくさんあつまってぐるぐる回ると、まんなかに**低気圧(ていきあつ)**ができ、強い風がふきはじめます。
- はじめは熱帯低気圧→風がもっと強くなると台風とよばれます。海の温度が高いほど、台風は大きく強くなりやすいよ。
- 北半球(日本のある場所)では反時計回りに風がふきます。これが台風が回って見える理由です。
1-2. 「目(め)」のひみつ
- 台風のまん中には**「目」と呼ばれる静かな場所**があります。風が弱く、雨も少ないことがあります。
- でも、その目のまわり(目の壁=アイウォール)はいちばん風と雨が強いところ。目に入って急に静かになっても、またすぐ強い風雨がもどるので油断しないで!
- 台風のまわりには**雨のしま(スパイラルレインバンド)**がぐるぐるとのびています。強い雨が時々どっと降るのはこのしまのせいなんだ。
1-3. 台風の動き方
- 台風はまわりの風の流れや太平洋高気圧のへりにそって進みます。曲がったりスピードが変わったりすることがあります。
- 大きい台風ほど、雨や風のエリア(強い風のはんい)がひろく、影響の時間が長いことがあります。
- 進路が少し変わるだけで影響が大きく変わるので、最新の情報をこまめにチェックしましょう。
風の強さのめやす(体感早見表)
平均の風の強さ | 外でおこること | とるべき行動 |
---|---|---|
10〜15m/s | 木のえだがゆれる、かさがさせない | 外出をへらす、かっぱを用意 |
15〜20m/s | 看板・ゴミ箱が動く | ベランダの物をしまう、外出はやめる |
20〜30m/s | 木がたおれる、屋根や窓がこわれることも | 室内にとどまる、窓から離れる |
ポイント:風が強いときはかさは使わない。レインコート+長ぐつが安全!
2. 台風が来るとどうなる?(影響)
2-1. 強い風の影響
- 木がたおれる、物が飛ぶ(かさ・看板・ゴミ箱・プランターなど)。
- 電線が切れて停電(ていでん)になることがあります。信号やエレベーターが止まることも。
- 屋根(やね)や窓(まど)がこわれることもあります。割れたガラスはとても危険!
- ときどき竜巻(たつまき)や突風が起きることもあるので、黒い雲や雷に注意。
2-2. 大雨の影響
- 川の水がふえて、あふれる(洪水)ことがあります。用水路や地下道はすぐ水でいっぱいになります。
- 道路や町が水びたしになり、車や人が動けなくなることも。
- 地面がゆるんで土砂くずれ(どしゃくずれ)が起こることがあります。がけや山の近くはとくに注意!
- 海に近い町では高潮(たかしお)で海の水がふきあがることがあります。
雨の強さのめやす(体感早見表)
1時間の雨の量 | 見ため | 危険になりやすい場所 |
---|---|---|
10〜20mm | ふつう〜やや強い雨 | 水たまり、すべりやすい道 |
30〜50mm | バケツをひっくり返したよう | 側溝・用水路・低い道が冠水 |
50mm以上 | 何も見えないほど | 川の急な増水、土砂くずれ、地下道の冠水 |
2-3. 台風のあとにも注意!
- 雨がやんでも川の水位はしばらく高いまま。近づかないでね。
- 木や看板がたおれている、電線が垂れているなどかくれた危険があります。さわらず大人に知らせる。
- 停電がつづくこともあるので、懐中電灯(かいちゅうでんとう)やモバイルバッテリーを用意。
- 家の前の道にフタの外れたマンホールがあるかもしれない。水の中は歩かない!
ポイント:台風は**風・雨・海の水(高潮)**がいっしょに来ることがあるよ。川・海・用水路には近づかない!
3. 台風が来る前の準備(おうち・外・持ち物)
3-1. おうちの中でできること
- 窓と雨戸(あまど)・カーテンをしっかりしめる。カーテンは両方しめて、ガラスが割れても飛び散りにくく。
- ガラスの近くに物を置かない。高い所の物は下におろす。わると困る物はしまう。
- スマホやモバイルバッテリーを満充電。ラジオや予備の電池もテーブルへ。冷蔵庫はなるべく開けないようにして長もち。
- 家の中の安全な場所(窓から遠い部屋・廊下)を家族で決めておく。
3-2. おうちの外でできること
- ベランダの物(プランター・物干し・マット)は室内へ。すべて飛ばないようにする。
- 自転車・ゴミ箱は固定するか、家の中へ。車のワイパーや窓も点検。
- 雨どい・側溝(そっこう)に落ち葉やゴミがつまっていたら取りのぞく。玄関の排水口もチェック。
- ペットがいる家はキャリーケース・リード・えさを用意しておこう。
3-3. 「もし避難(ひなん)」の持ち物ミニリスト
- 水・食べ物(3日分が目安、ゼリー・クラッカー・缶詰など)。
- 懐中電灯・電池・モバイルバッテリー、充電ケーブル。
- タオル・着がえ・レインコート・くすり(常備薬)。
- マスク・ティッシュ・ハンカチ(ほこり対策)。
- 身ぶんしょうめいのコピー(保険証など)はおうちの人が管理。
持ち物チェック表(印刷して使える)
もの | 家での準備 | 避難時 |
---|---|---|
水(ペットボトル) | 1人1日500ml×6本以上 | 小さめを数本 |
食べ物 | レトルト・缶詰・おやつ | すぐ食べられる物 |
明かり | ランタン・懐中電灯 | 小型ライト |
充電 | モバイルバッテリー | 充電ケーブル |
服 | ぬれてもいい着がえ | レインコート |
くすり | 常備薬・絆創膏 | 常備薬の分けもち |
そのほか | ティッシュ・ビニール袋 | 連絡メモ・筆記用具 |
準備の時間わけ(タイムライン)
いつ | やること |
---|---|
2〜3日前 | ベランダの片づけ、食べ物・電池の買い足し、避難所と連絡先の確認 |
前日 | 充電フル・洗濯すませる・おふろに水ためる(断水対策) |
当日 | こまめに情報チェック、早めに室内へ、夜の外出はしない |
4. 台風が来たときの行動(安全にすごす)
4-1. 家の中ですごすコツ
- 窓から離れてすごす。カーテンをしめ、割れても近づかない。
- 停電してもあわてない。ライトはいつもの場所に。ロウソクは使わない(火事のもと)。
- 料理や入浴は早めにすませ、夜はムリをしない。冷蔵庫は開け閉めをへらす。
- もし窓ガラスが割れたら:近づかない→長いほうきで集める→厚手の手袋→ビニール袋へ。はだしで歩かない!
4-2. 外に出るときの注意
- できるだけ外出しない。どうしても出るなら大人といっしょに。
- かさは使わず、レインコート(かっぱ)+長ぐつ。手をあけて転ばないように。
- 川・海・用水路・地下道・マンホールにぜったい近づかない。橋の上や高いところも風が強くて危ないよ。
4-3. 避難が必要になったら
- 学校・自治体(じちたい)のお知らせにしたがう。「避難指示」が出たらすぐに移動。
- 家族で決めた避難所(ひなんじょ)へ一緒にむかう。夜より明るいうちに動くのが安全。
- ヘルメットや帽子・手袋があると安心。両手があくリュックがのぞましいよ。
やっていいこと/ダメなこと(早見表)
場面 | やっていいこと | ダメなこと |
---|---|---|
強い風 | かっぱ・長ぐつで移動 | かさをさす |
大雨 | 早めの避難 | 水たまりで遊ぶ |
停電 | 懐中電灯を使う | ロウソクをたく(火事のもと) |
川や海の近く | 近づかない | 様子を見に行く |
5. 台風情報の見方とまとめ(ことばに注意)
5-1. 情報を集める方法
- テレビ・ラジオの台風ニュースをこまめに見る・聞く。
- スマホの天気アプリで進路や雨の予想をチェック。
- 学校や自治体からのお知らせもかならず見る。SNSのうわさは大人に確認しよう。
5-2. 気をつけることば(意味)
- 注意報:気をつけようの合図。外出はようすを見て。
- 警報:とてもあぶない。川・海・外出はやめる。
- 特別警報:命にかかわる危険。ただちに安全な場所へ。
- 避難指示:今すぐ避難(安全な親せきの家・指定の避難所など)。
避難情報の早見表
情報(警戒レベル) | どのくらい危険? | 行動のめやす |
---|---|---|
注意報(レベル2めやす) | 危険が近づいている | 外出をひかえ、準備 |
警報(レベル3・4の可能性) | とても危険 | 要配慮者は避難、全員避難の準備 |
避難指示(レベル4) | 災害のおそれが高い | 全員避難 |
緊急安全確保(レベル5) | 命の危険 | その場で命を守る最善の行動 |
予報円のコツ:地図に出る白い円は台風の大きさではないよ。動くかもしれない範囲をしめしています。
5-3. まとめ:台風にそなえて安全に!
- 台風はあたたかい海で生まれる、強い風と雨の現象。目の静けさにだまされないでね。
- 外に出ない・窓をしめる・川や海に近づかないが合言葉。
- 持ち物の準備・家の安全チェック・情報の確認を家族みんなでやろう。
- 落ち着いて行動できるよう、今日から準備をはじめよう!
おうちの人へ:子どもと一緒に避難先・連絡方法・集合場所を決め、雨の前日までに持ち物の位置を確認してください。防災アプリの通知設定、母子手帳・おくすり手帳のコピー、ペット同行避難のルールも事前にチェックを。小さな**成功体験(停電ごっこ・避難ルート散歩)**が、本番での落ち着きにつながります。