日本は世界でも有数の地震多発国です。だからこそ、知識を“知っている”で終わらせず、緊張下でも体が自動で動くレベルまで落とし込むことが重要。クイズで要点を押さえ、チェック表と行動テンプレで“迷わない自分”をつくりましょう。本記事は、家族や友達と一緒に学べるクイズ形式に加え、初動・二次災害・備蓄・室内安全・訓練までを1本に整理。読み合わせ→回答→補足→家族ルール化、の順でそのまま運用できます。
地震の基礎をクイズで理解する
日本で地震が多いのはなぜ?(Q1)
問題:日本で地震が多い理由は? A. 海が多いから/B. プレート境界にあるから/C. 山が多いから
正解:B。日本列島は4つのプレートがせめぎ合う境界域に位置し、沈み込みや横ずれで地震が頻発します。海域や山地の多さは主因ではありません。
震度とマグニチュードの違い(Q2)
問題:震度とマグニチュードの違いは? A. 同じ/B. 震度=揺れの強さ、M=地震の規模/C. 逆
正解:B。震度は地点ごとの揺れの強さ、マグニチュード(M)は地震そのものの規模を示します。同じ地震でも地点により震度は変動します。
地震が起こりやすい時間帯は?(Q3)
問題:最も起こりやすい時間帯は? A. 朝/B. 昼/C. どの時間帯も同じ
正解:C。時間帯に関係なく発生。夜間・在宅・通勤中など状況別の初動を平時に確認しておきましょう。
余震・本震・震源の基礎(ミニクイズ)
問題:大きな揺れの後、小さな揺れが続く現象は?
正解:余震。規模は小さくても倒壊寸前の建物の致命打になり得ます。立ち入りは安全確認後に。
参考表|震度の体感と行動の目安
震度 | 体感の例 | 行動の目安 |
---|---|---|
3 | 食器が触れ合う | 落下物へ注意、出口確認 |
4 | 立っていられないことも | 机下で頭部保護、火の元確認は揺れ後 |
5弱〜5強 | 家具転倒・ガラス破損 | Drop・Cover・Hold On、避難検討 |
6弱〜7 | 室内で移動困難 | 命を守る行動に全力、二次災害へ備える |
用語のサクッと整理
用語 | 意味 | ヒント |
---|---|---|
震源 | 地震が起きた地下の場所 | 震央は地表上の対応点 |
本震 | 連続地震のうち最大規模 | 先に大きいのが来るとは限らない |
余震 | 本震後の小規模地震 | 建物損傷時は特に警戒 |
揺れた瞬間の行動をクイズで定着させる
初動の優先順位(Q4)
問題:地震直後に最初にやるべきことは? A. 外へ飛び出す/B. 机の下に隠れる/C. 家具を押さえる
正解:B。Drop(低く)・Cover(覆う)・Hold On(保持)が基本。揺れの最中は移動を最小限にし、頭・首を守る。揺れが収まったら火の元・出入口の確保へ移行。
揺れの最中に避ける行動(Q5)
問題:避けるべき行動は? A. エレベーター使用/B. すぐ屋外へ/C. 揺れが収まるまで待機
正解:AとB。エレベーターは停止・閉じ込めの危険。屋外は落下物・ガラス片でリスク増。Cの待機が正解。
屋内外・場面別のOK/NG
場所・状況 | OK行動 | NG行動 |
---|---|---|
室内(住宅) | 机下で頭部保護→揺れ後に火の元確認 | 窓際・重家具の前に近づく |
商業施設 | その場で低く、案内・放送に従う | 階段・エスカレーターを駆け下りる |
学校 | 机下→点呼→安全な経路で避難 | 走る・ふざける |
屋外 | 看板・外壁・ブロック塀から離れる | ビル外壁や自販機沿いを歩く |
車内 | 徐々に減速し路肩停車、ラジオで情報 | 急ブレーキ・高架下や橋上で停車 |
エレベーター内 | 全階ボタン→停止階で速やかに退避 | むやみに非常扉をこじ開ける |
子ども・高齢者・要配慮者の配慮(ミニクイズ)
問題:乳幼児と一緒にいるときの最初の一手は?
正解:子を抱え込み自分の身体で頭部を覆う。杖・車椅子の方は安全空間に移動→ブレーキ固定。ペットはリード短く保持。
ベッドサイド3点セット:靴・手袋・ライトを枕元に常備。夜間の破片踏み抜き事故を防ぎます。
津波・火災・ライフライン——二次災害に備える
津波避難の原則(Q6)
問題:揺れの後に避けるべき場所は? A. 海岸沿い/B. 倒れそうなビルのそば/C. 広い公園や避難所
正解:Cへ移動。海岸沿いは津波の危険。強い揺れ・長い揺れ・緊急地震速報後の海域では**“ためらわず高所へ”が鉄則。車は渋滞になりやすいので徒歩で垂直・水平避難**を優先。
火災・漏電・ガスの安全確認(Q7)
問題:余震が続く中での注意点は? A. 安全確認までは帰宅しない/B. 電気・ガスを確認/C. すぐ帰宅
正解:AとB。帰宅は建物安全確認後。揺れが収まったらブレーカーを落とし、ガスの元栓を確認。異臭・破損があれば専門員の点検まで使用しない。
停電・断水時の生活維持(追加)
- トイレ:**携帯トイレ(1人/1日5回目安)**と凝固剤・消臭袋。
- 水:飲料と分けて生活用水を浴槽に確保。手指はアルコール→保湿で荒れを防止。
- 冷蔵庫:開閉最少、冷凍ボトルで保冷延長→痛みやすい→常温品→非常食の順に消費。
時系列チェック(初動〜1日)
時点 | 優先確認 | 備考 |
---|---|---|
T+5分 | 人命(出血・意識・呼吸) | 出血は圧迫止血、119へ通報 |
T+30分 | 火の元・ガス・ブレーカー | 漏れ・異臭は使用停止 |
T+60分 | 家屋損傷・避難判断 | 余震・落下物・ガラスに注意 |
T+24時間 | 水・食・衛生の運用 | 共助で情報共有・物資分担 |
情報・連絡の基本ライン
緊急時は電話よりSMS・災害用伝言が繋がりやすい傾向。家族で誰が誰へ、何を送るか(安否・現在地・次の行動)を定型文に。遠方の親族を情報ハブに指名。
持ち出し・備蓄・室内安全をクイズで最適化
持ち出し品の三本柱(Q8)
問題:避難時に持つべきものは? A. スマホ・充電器/B. 非常食・水/C. 貴重品
正解:A・B・Cすべて。通信・身元・生活維持の三本柱を防水袋で一括管理。眼鏡・常用薬・保険証の写しも同封。
持ち出しボリュームの目安:体重の10〜15%以内、両手が空く背負い型。出入口の手近な高所に常時設置。
家庭備蓄の目安(Q9)
問題:非常食の目安は? A. 1日分/B. 3日分/C. 1週間分
正解:Bが最低ライン。可能なら1週間分へ。調理不要食+軽調理食を組み合わせ、季節・体質に合わせて最適化。
備蓄設計表(1人分の目安)
カテゴリ | 3日分の目安 | 運用のコツ |
---|---|---|
飲料水 | 9L(1日3L) | 2Lと500ml混在で運搬性UP |
主食 | アルファ米・パン缶 | 調理不要を必ず含める |
たんぱく源 | ツナ・豆・サバ缶 | 缶切り不要タイプを選ぶ |
エネルギー | ビスケット・ようかん | 低血糖対策・ストレス緩和 |
衛生 | 使い捨てトイレ・アルコール | 1人1日5回×日数が目安 |
照明 | ランタン・ヘッドライト | 電池は単三統一で流用 |
家族構成別:追加アイテム早見表
家族構成 | 追加推奨品 | ポイント |
---|---|---|
乳幼児 | 粉ミルク・離乳食・消毒綿・紙おむつ | 好み・月齢に合わせた銘柄で |
高齢者 | 常用薬7日・入れ歯用品・滑りにくい靴 | お薬手帳コピーを封入 |
アレルギー | 専用食・アレルゲン表示表 | 家族で“誰が何を食べられるか”共有 |
ペット | フード・水・トイレ用品・ワクチン証明 | ケージとリードを即持出できる配置 |
家具固定と室内の安全設計
問題:どの家具対策が有効? A. L字金具/B. 突っ張り棒/C. 飛散防止フィルム
正解:A・B・Cすべて。L字金具+下部ストッパーで倒れを抑え、耐震ラッチで扉の飛び出しを防止。ガラスは飛散防止フィルムで破片拡散を抑制。
室内安全チェックポイント
対象 | 施策 | 補足 |
---|---|---|
本棚・食器棚 | L字金具固定+耐震ラッチ | 天井との隙間は充填材でゼロへ |
冷蔵庫・テレビ | 転倒防止ベルト+耐震マット | 配線を束ね引っ掛かり防止 |
窓・鏡 | 飛散防止フィルム | 端まで密着、脱脂して貼付 |
通路 | 物を置かない | 夜間でも通れる幅を常時確保 |
インフラ遮断のミニガイド
種類 | 止め方の要点 | 再開の注意 |
---|---|---|
電気 | 分電盤の主ブレーカーOFF | 感電・通電火災の恐れが無いか確認 |
ガス | 元栓閉、メーターの安全装置確認 | 匂い・異音があれば事業者連絡 |
水道 | 止水栓閉(漏水時) | 再開後は濁り水の一時排水 |
家族・職場・学校で回す訓練テンプレ
家族ルールの言語化(Q10)
問題:家族で事前に決めておくべきことは? A. 避難場所/B. 連絡手段/C. 役割分担
正解:A・B・Cすべて。近隣集合地点と広域集合地点の二段構え、SMSや伝言板の定型文、誰が何を持つかを紙にして冷蔵庫へ掲示し、全員のスマホへ保存。
5分家族会議テンプレ
- 今日の避難経路を口頭で再確認
- 連絡定型文を読み上げ&コピー保存
- 持ち出し袋の中身を一人1点ずつ点検
職場・通勤中の行動(Q11)
問題:職場での正しい初動は? A. 机の下で身を守る/B. すぐ帰宅/C. 非常口確認
正解:AとC。揺れが収まるまで身を守り、非常口・消火器・AEDの位置を確認。帰宅困難時は無理に移動しない判断も重要。徒歩帰宅はルート・水分・靴を確保してから。
近所と共助の仕組み化(追加)
- 安否札(玄関に“無事/要支援”掲示)を取り決め。
- 役割分担(見回り・情報収集・物資・医療)を簡易で。
- 公園・集会所に集合地点を設定し人数・要支援者を共有。
今日からの実装ステップ(簡易→定着)
ステップ | 具体行動 | 完了の目印 |
---|---|---|
1 | Q1〜Q13を家族で3問ずつ出題 | 正答率70%で次へ |
2 | 玄関・寝室・キッチンの障害物除去 | 夜間でも素足で通れる |
3 | 持ち出し袋の水・食・ライト点検 | ラベルに開封・期限を記入 |
4 | 家族ルールを紙掲示&スマホ保存 | 月1の更新日をメモ |
5 | 週末に家具固定を1か所前進 | Before/Afterを撮影保管 |
地震クイズは、知識を優先順位化された行動に変える近道です。正しい初動、二次災害への目配り、持ち出しと備蓄、家族と地域の連携。小さな準備を積み重ねるほど、あなたの生活は強く、しなやかになります。