【地震】マグニチュードとは?震度との違いと地震規模の測り方を解説

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防災

ニュースで「**マグニチュード(M)◯◯**の地震」と聞くたびに、「被害の大きさ(震度)と同じ意味?」と迷う人は多いはず。結論から言うと、マグニチュードは“地震そのものの規模(エネルギー)”を表す指標震度は“ある地点での揺れの強さ”です。本記事は、Mの定義・計測の仕組み・各スケールの違い・震度との関係・事例比較・速報の読み方・行動テンプレまで、初学者でも腹落ちするよう図解イメージ・表・具体例で徹底解説します。


  1. マグニチュードの基礎知識|定義・意味・対数スケール
    1. マグニチュードの定義と位置づけ
    2. 震度との違い(混同しやすいポイントを整理)
    3. 32倍ルールを体感する(直感のための例)
  2. マグニチュードの種類と算出法|リヒターからMwへ
    1. 主なスケールと用途の違い
    2. 計算式のイメージ(概念を掴む)
    3. 速報値・暫定値・確定値(値が“動く”理由)
    4. 参考:規模と断層サイズの目安(概略)
  3. マグニチュードと震度の関係|“同じMでも揺れが違う”のはなぜ?
    1. 震度が変わる主因(M以外の要素)
    2. 震度階級と影響の目安(簡易早見表)
    3. よくある誤解と正しい理解
    4. 計測震度の仕組み(基礎)
  4. 過去の大地震で見るマグニチュードと影響
    1. 主要事例の比較(数値は代表値・概略)
    2. Mが大きいほど起きやすい現象(傾向)
    3. 事例からの実務ポイント(型別対策)
  5. 地震情報の読み解き方と備え|“数値→行動”に変える
    1. 速報・警報の見方(混乱しないために)
    2. 家庭・職場の行動フロー(テンプレート)
    3. 今日からできる“数値に強い備え”
    4. 60秒クイックフロー(印刷して玄関へ)
  6. よくある質問(FAQ)と誤解の修正
    1. Q1. Mが大きいのに自宅はほとんど揺れなかったのは?
    2. Q2. 海外のMwと日本の速報値で数値が違う?
    3. Q3. 「余震の方が大きくなる」ことはある?
    4. Q4. Mいくつで家は倒れる?
  7. まとめ|マグニチュードを正しく理解して行動へ

マグニチュードの基礎知識|定義・意味・対数スケール

マグニチュードの定義と位置づけ

  • 何を示す? 地震が放出したエネルギーの規模(地震そのものの“大きさ”)。
  • どう決まる? 地震波の振幅や、断層がどれだけ**ずれたか(地震モーメント)**などから推定。
  • どのくらい差がつく? 対数スケール。Mが1増えるとエネルギー約32倍2増えると約1000倍

震度との違い(混同しやすいポイントを整理)

指標何を表す?どこで決まる?値の特徴典型の使いどころ
マグニチュード(M, Mw, Mj など)地震そのものの規模(放出エネルギー)震源で起きた断層運動地震ごとに単一の値地震の“規模”比較、津波規模の初期見積もり
震度ある地点の揺れの強さ観測点(距離・地盤・建物に依存)地点ごとに異なる被害想定・現場の安全判断・緊急対応

要点:Mは“地震の強さの元(エネルギー)”、震度は“あなたのいる場所の揺れ”。

32倍ルールを体感する(直感のための例)

エネルギー比イメージ
M4 → M532倍手持ち花火 → 焚き火(規模感の差)
M5 → M71000倍小型発電機 → 小規模発電所(放出量の桁違い)
M6.8 → M7.832倍同じ“強い地震”でも桁違いのエネルギー

実際の被害は震源深さ・距離・地盤・建物で大きく変わります。Mだけで被害は決まりません。


マグニチュードの種類と算出法|リヒターからMwへ

主なスケールと用途の違い

記号名称仕組みの要点長所限界/注意
M(リヒター)局地的マグニチュード地震計の振幅震央距離で算出浅く中規模の地震で有効巨大地震で飽和、観測網の差を受けやすい
Mwモーメント・マグニチュード地震モーメント M₀ = μ×S×Dに基づく巨大地震でも飽和しにくい世界標準速報では参照データ確保まで時間が要る
Mj気象庁マグニチュード日本の観測網を用いた推定日本域の速報で安定海外値と若干の差が出ることあり

計算式のイメージ(概念を掴む)

  • リヒター:M=log⁡10(A)+BM = \log_{10}(A) + B(A:振幅、B:距離補正)
  • モーメント:Mw=23log⁡10(M0)−CMw = \frac{2}{3}\log_{10}(M_0) – C(M0=μSDM_0=μSD、Cは定数)
    • μ:岩盤の剛性、S:断層面積、D:すべり量

速報値・暫定値・確定値(値が“動く”理由)

  • 速報値:発生直後。データが少なく誤差大
  • 暫定値:追加波形や広域観測を反映して更新。
  • 確定値:断層モデル・長周期データまで加味して安定

ニュースの「M◯◯→◯◯に更新」は普通。値が動く=解析が精緻化のサインです。

参考:規模と断層サイズの目安(概略)

Mw断層長さ断層幅すべり量備考
6.010〜20 km数km数十cm直下型で強い揺れも
7.040〜80 km10〜20 km1〜2 m広域で強震、余震活発
8.0200 km級数十km数m以上海溝型で津波リスク大
9.0500 km級数十〜100 km数十m超巨大、長周期影響広域

※地質条件で大きく変動。あくまでイメージ。


マグニチュードと震度の関係|“同じMでも揺れが違う”のはなぜ?

震度が変わる主因(M以外の要素)

要素影響具体例
震源深さ浅いほど地表で強く、深いほど広域で中程度M6でも深さ10kmは強震、100kmは広域で震度3〜4
震源距離近いほど大、遠いほど小震央直下は震度6強、100km離れると震度3など
地盤条件軟弱地盤は増幅・長周期化造成地・埋立地は長く大きく揺れやすい
建物特性高層は長周期に共振同じ町内でも階・構造で体感が違う

震度階級と影響の目安(簡易早見表)

震度体感・屋内屋外・構造
震度3室内で揺れに気づくつり下げ物が少し揺れる
震度5弱棚の物が落ちることがある家具の固定がないと移動
震度6弱立っていられない壁にひび、ドア変形
震度7多くの家具が転倒木造の倒壊・インフラ被害

震度は地点ごとの観測値。同じ地震でも地図上で色分けされた“ばらつき”として表れます。

よくある誤解と正しい理解

  • 「Mが1違うだけなら大差ない」→ :エネルギーは約32倍
  • 「Mが大きい=どこでも被害大」→ :被害は深さ・距離・地盤・建物で大きく変動。
  • 「震度は全国一律で同じ」→ :地点ごとに大きく分布。同じ市内でも差が出る。

計測震度の仕組み(基礎)

  • 加速度センサーで地表や建物1階の揺れを計測し、周波数成分を加味した演算で「計測震度」を算出。
  • 人の感じ方だけでなく、揺れの速度・継続時間なども影響。だから同じMでも表示が異なるのは自然なことです。

過去の大地震で見るマグニチュードと影響

主要事例の比較(数値は代表値・概略)

年・地震マグニチュード最大震度特徴(概要)
1995 阪神・淡路M7.3震度7浅い直下型。都市直撃で強震域は狭いが被害甚大
2011 東日本M9.0震度6強極めて巨大な海溝型。津波長周期影響が広域
2016 熊本M7.0(本震)震度7活断層帯の連動。強い余震活動が長期化
2018 北海道胆振東部M6.7震度7斜面崩壊が多発。地盤条件の影響が顕著

学び:同じ“強震”でも、浅い直下型巨大海溝型では被害の質が違う(倒壊/津波/長周期)。

Mが大きいほど起きやすい現象(傾向)

  • M7台:広域で震度6前後、断水・停電などライフライン被害。
  • M8台津波リスクが高く、沿岸は高台避難が最優先。
  • M9級超長周期の揺れが広域に到達。高層・大型構造物で長い揺れ。

事例からの実務ポイント(型別対策)

  • 直下型(内陸)家具固定と**初動(Drop/Cover/Hold on)**が生死を分ける。
  • 海溝型(海域):揺れが収まったらただちに高台。情報待ちより先に動く
  • 長周期地震動:高層階はエレベータ停止・長揺れを想定。ヘルメットと靴を常備。

地震情報の読み解き方と備え|“数値→行動”に変える

速報・警報の見方(混乱しないために)

  • 震度速報:まず自分の地点の震度を確認。余震に備える。
  • マグニチュード速報:値は更新前提。Mの大小だけで避難判断しない。
  • 津波情報:沿岸部は揺れが強く/長いとき迷わず高台へ。発表前でも先に動く。

家庭・職場の行動フロー(テンプレート)

フェーズ家庭職場
揺れの最中頭を守る・低く・動かない机下退避・機械停止・火気確認
直後〜10分出口確保・火元/ブレーカー確認安否点呼・初期消火・設備点検
10分〜1時間家族連絡・避難の要否判断代替拠点/BCP切替・情報収集
1日以内水・食・衛生の確保業務優先度の再設定・シフト調整

今日からできる“数値に強い備え”

  • ハザードマップで自宅・職場の地盤/津波/土砂のリスクを確認。
  • 非常用:水(1人1日2〜3L×3日分)・ライト・モバイル電源・常用薬・衛生品。
  • 住環境家具固定飛散防止通路確保。寝室の足元に靴・手袋・ライト
  • 家族連絡集合地点(近隣/広域)と定型文(安否/現在地/次の行動)を端末に保存。

60秒クイックフロー(印刷して玄関へ)

  1. 揺れ→ 頭を守る/低く/動かない
  2. 停止→ 火気・機械・エレベータの利用中止
  3. 確認→ 出口確保・落下物・ガス/ブレーカー
  4. 連絡→ 家族の安否と定型文送信
  5. 判断→ 津波/火災/倒壊リスク→避難の要否

よくある質問(FAQ)と誤解の修正

Q1. Mが大きいのに自宅はほとんど揺れなかったのは?

A. 震源から遠い/深い、地盤が固い、建物の固有周期と合わなかった等の要因。震度は地点差が大きいのが普通です。

Q2. 海外のMwと日本の速報値で数値が違う?

A. 演算手法・観測網・参照データの違いにより数値のブレが出ます。確定値で近づくことが多いです。

Q3. 「余震の方が大きくなる」ことはある?

A. まれに本震・余震の判定が入れ替わるケースはありますが、統計的には本震が最大です。いずれにせよ強い揺れに備える行動は同じ。

Q4. Mいくつで家は倒れる?

A. 倒壊はM」ではなく「あなたの地点の震度×建物条件で決まります。家具固定・耐震が最優先です。


まとめ|マグニチュードを正しく理解して行動へ

  • マグニチュードは地震の規模(エネルギー)震度は地点の揺れの強さ
  • M+1で約32倍のエネルギー差。ただし被害は深さ・距離・地盤・建物で変わる。
  • 過去事例から、直下型/海溝型/長周期で対策が異なると理解する。
  • 数値を見たら行動に翻訳:家具固定、持ち出し袋、家族ルール、避難経路の確認を今日やる。

数字の理解は“恐れを減らす力”。次に地震速報を見たら、「何を確認し、どう動くか」を1枚のメモにしておきましょう。

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