海外で暮らす場所を考えるとき、あるいは旅行や留学の行き先を決めるとき、「地震が多い国はどこなのか」は気になるテーマです。日本に住んでいると地震は身近ですが、世界を広く見ても、揺れやすい国と比較的静かな国にははっきり差があります。しかも、その差は単なるイメージではなく、プレートの位置や地形、都市の置かれ方でかなり説明できます。
ただし、ここで注意したいのは、「地震が多い国ランキング」を見れば答えが出るわけではないことです。実際の暮らしやすさや危険の大きさは、国名よりも、どの都市に住むか、どの地盤に建つ建物を選ぶか、津波や停電まで含めて備えられるかで大きく変わります。この記事では、まずランキングで全体像をつかみ、そのうえで、どう判断し、何を備えればよいかまで生活者目線で整理します。
結論|この記事の答え
先に結論から言います。地震が多い国を実務目線で並べると、上位候補に入りやすいのは、日本、インドネシア、チリ、フィリピン、米国西部、トルコ、メキシコ、ニュージーランド、中国の一部、イランです。理由はシンプルで、多くがプレート境界、とくに沈み込み帯や大きな断層帯の近くにあり、強い揺れや津波、地盤増幅の影響を受けやすいからです。USGSは、世界最大の地震帯が太平洋の縁に沿う環太平洋帯で、地球上の大きな地震の約81%がこの帯に集中すると説明しています。
ただし、この記事でいちばん大事なのは、ランキングそのものよりも読み方です。地震が多い国でも、内陸の台地で、比較的新しい建物に住み、避難経路や情報の取り方を押さえていれば、生活上の不安はかなり減らせます。逆に、国全体としてはそこまで極端でなくても、埋立地、低地、古い建物、津波避難がしにくい海沿いを選べば、暮らしの安心感は下がります。GEMの全球地震ハザード図や各国のリスクプロファイルも、国内差や都市差を前提に読むべき資料です。
何を備えるべきかも、先に答えを置いておきます。一般的には、水は1人1日あたり約1ガロンを目安に少なくとも3日分、できればそれ以上。食料は温めなくても食べやすいものを数日分。加えて、ライト、予備電源、常用薬、連絡先の控え、靴、簡単な衛生用品があると現実的です。Ready.govは、数日間は外部支援なしでしのげる前提でキットを作るよう勧めています。
判断基準も、ここで先に整理しておきます。
とにかく地震そのものを避けたい人は、A=上位の地震多発国を長期滞在先の第一候補から外す。
それでも仕事や家族の事情で住む必要がある人は、B=国ではなく都市、さらに地盤と建物まで確認する。
旅行のように滞在が短い人は、C=ホテルの立地、非常口、津波避難のしやすさ、夜間の持ち出しを優先する。
迷ったらD=「海沿いすぎない」「埋立地ではない」「比較的新しい建物」「避難情報が取りやすい場所」を選ぶ。
この4つでかなり判断しやすくなります。
ここでひとつ、やらないほうがよいこともはっきり書いておきます。ランキングだけを見て、「この国は危険」「この国は大丈夫」と決め打ちすることです。地震の多さは国単位で均一ではありませんし、実際の被害は、津波、地盤、建物、人口密度、避難のしやすさまで重なって決まります。だからこそ、この記事では前半で全体像をつかみ、後半で「結局どこを見ればいいのか」「家庭では何を最低限やればいいのか」まで落とし込みます。
地震が多い国ランキング|まず全体像をつかむ
実務目線のランキングTOP10
まずは、検索ユーザーが最初に知りたいランキングを置きます。ここでの順位は、学術的な厳密順位というより、プレート配置、全球地震ハザード図、津波暴露、人口集中、生活者にとっての影響の大きさをまとめた「実務ランキング」です。環太平洋帯と主要プレート境界に近い国ほど上位に入りやすい、という理解で見てください。
| 順位 | 国・地域 | 主な理由 | 生活者が気をつけたい点 |
|---|---|---|---|
| 1 | 日本 | 複数プレートの会合域で、海溝型・直下型・津波の要素が重なる | 太平洋側、活断層帯、湾岸低地の差を必ず見る |
| 2 | インドネシア | 沈み込み帯と火山弧が重なる | 沿岸部は津波、都市部は地盤と建物差が大きい |
| 3 | チリ | 南米西岸の沈み込み帯で巨大地震と津波の歴史がある | 沿岸都市は避難経路を前提に考える |
| 4 | フィリピン | 複雑なプレート境界と断層系 | 島ごとの差が大きく、洪水や台風も重なる |
| 5 | 米国西部 | サンアンドレアス断層など主要断層帯と沿岸津波リスク | 東部と西部を一緒に考えない |
| 6 | トルコ | 主要な横ずれ断層帯の影響が大きい | 都市直下に近い揺れと建物差に注意 |
| 7 | メキシコ | 沈み込み帯と盆地地形の増幅 | メキシコシティは地盤条件を別枠で見る |
| 8 | ニュージーランド | プレート境界上にあり直下型・津波双方の要素がある | 北島と南島で様相が異なる |
| 9 | 中国の一部 | 広く一律ではないが、西部や南西部は地震活動が目立つ | 中国全体ではなく地域別で判断する |
| 10 | イラン | 収束域に位置し、内陸地震の影響を受けやすい | 建物の質と都市差の確認が重要 |
この表で見てほしいのは、上位国の多くが太平洋周辺か、主要なプレート境界・断層帯に近いことです。USGSの説明どおり、地震はプレート境界付近で起きやすく、GEMの全球地震ハザード図でも、日本、インドネシア、チリ、メキシコ、ニュージーランド、トルコ周辺は高ハザード側に入りやすい地域です。
このランキングの正しい読み方
ここでよくある勘違いは、「上位の国は全部危ない」「下位なら安心」という読み方です。そうではありません。たとえば米国は西部と中部・東部で地震ハザードが大きく違いますし、中国も地域差が非常に大きい国です。国単位で見たランキングは、あくまで入口。実際に行く、住む、泊まるを判断するときは、都市単位、街区単位、物件単位に落とし込む必要があります。
比較のために、読み方の優先順位を整理しておきます。
| 優先順位 | 何を見るか | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | 国の大まかな地震傾向 | 候補から外すべき地域を見極めやすい |
| 2 | 都市の立地 | 沿岸、盆地、断層近接で差が出る |
| 3 | 地盤 | 低地や埋立地は揺れや液状化の影響を受けやすい |
| 4 | 建物 | 築年、構造、管理状態で被害の受け方が変わる |
| 5 | 避難と情報 | 津波、停電、夜間避難への対応力が変わる |
迷ったら、この順番で考えてください。国のランキングは便利ですが、最後に効いてくるのは地盤と建物です。ここを飛ばしてしまうと、記事を読んだのに判断が雑になる、というもったいない状態になりがちです。
なぜその国は揺れやすいのか|地震が多い国に共通する理由
プレート境界に近い国は大きく揺れやすい
地震が多い国に共通する一番大きな理由は、プレート境界に近いことです。地球の表面は複数のプレートに分かれていて、ぶつかる、ずれる、沈み込むといった動きが起きる場所で地震が多発します。USGSは、地震の多くがプレート境界の断層で起きると説明しています。とくに沈み込み帯では、巨大地震と津波、火山活動まで含めて複合的な危険が大きくなります。
世界地図で見ると、日本、インドネシア、チリ、フィリピン、ニュージーランドのように、太平洋の縁に沿う国が目立つのは偶然ではありません。USGSによると、環太平洋帯は世界最大の地震帯で、巨大地震が集中します。検索で「地震が多い国」と打つと日本やインドネシアがよく出てくるのは、こうした地学的背景がはっきりしているからです。
津波・火山・地盤条件が被害を広げる
地震が多い国で本当に怖いのは、揺れだけではありません。沈み込み帯では津波が起きやすく、USGSは、海底が大きく上下する浅い大地震が津波を生みやすいと説明しています。NOAAも、海辺にいるときに強い揺れや長い揺れを感じたら、それ自体が自然の津波警報だとして、すぐに高い場所へ移動するよう呼びかけています。
さらに、同じ規模の地震でも、盆地や低地、埋立地では揺れが増幅しやすく、建物被害やライフライン被害が広がりやすくなります。つまり、被害の出方は「地震の多さ」だけでなく、「揺れがどう伝わる地形か」「津波が来る海沿いか」「建物が耐えられるか」で変わります。ここを押さえると、ランキングを読んだあとに何を確認すべきかが見えてきます。
同じ国でも危険度が変わる|都市・地盤・建物で差が出る
国より先に見るべきは都市の立地
地震が多い国でも、どこに住むかで印象はかなり変わります。たとえば、海溝型地震の影響を受けやすい国では、海沿いの低地より、内陸寄りの台地や高台のほうが、少なくとも津波の面では安心しやすいです。逆に、都市機能が集まる便利な場所ほど、湾岸、低地、埋立地に広がっていることも多く、住みやすさと災害リスクがきれいには一致しません。
ここでの判断フレームはシンプルです。
通勤や利便性を優先する人は、利便性の高い都市部を選びつつ、建物と避難導線を厳しく見る。
小さい子どもがいる家庭は、少し中心部から離れても、高台、台地、病院が近い地域を優先する。
旅行者は、観光地の中心より、避難しやすいホテル立地を優先する。
迷ったら、海から少し距離があり、徒歩で避難しやすい場所に寄せる。
この考え方がいちばん実用的です。
住まい選びで見落としやすいポイント
見落としやすいのは、建物の「新しさ」だけで安心してしまうことです。もちろん比較的新しい建物のほうが有利なことは多いですが、実際には、構造、管理状態、家具配置、非常口、停電時の動線も大切です。FEMAや関連チェックリストでも、建物そのものだけでなく、室内の落下物、家具固定、避難動線の確保が強調されています。
これはやらないほうがよい、という例をひとつ挙げるなら、海沿いの高層ホテルを景色だけで選ぶことです。眺めはよくても、津波避難や停電時の移動のしやすさは別問題です。とくに夜間や土地勘のない旅行先では、非常口の位置を確認していないだけで動きが遅れます。NOAAは自然警報に対して即時避難を勧めていますし、Ready.govも地震時にはまず身を守る行動を取るよう案内しています。
よくある失敗と、やらないほうがよい判断
「国が危ないから全部危ない」と決めつける失敗
ひとつ目の失敗は、国全体をひとまとめにしてしまうことです。たとえば「日本は危ない」「米国は大丈夫」「中国は広いからよくわからない」といった、ざっくりした印象だけで判断することです。けれど実際には、日本でも内陸の台地と湾岸低地では条件が違いますし、米国も西部と東部で地震ハザードはかなり違います。国名だけで思考を止めると、正しい比較ができません。
この失敗を避ける判断基準は、「その国の、どの都市の、どの立地の、どの建物か」と4段階で考えることです。言い換えると、国のランキングは広域フィルター。最後に効くのは都市と物件です。この視点を持つだけで、記事の読み方がだいぶ変わります。
「有名都市だから安心」と思い込む失敗
もうひとつ多いのが、有名都市や先進的な都市だから安心だろう、という思い込みです。実際には、大都市ほど人口が集中し、湾岸低地や埋立地まで広がり、交通や通信が止まったときの不便が大きくなりがちです。地震そのものの強さだけでなく、帰宅困難、停電、断水、物流の停滞が生活に響きます。地震リスクは自然現象だけでなく、暴露と脆弱性が重なって大きくなるというのがGEMの基本的な見方です。
失敗を避けるためのチェックリストを置いておきます。
| 確認項目 | 見るべき点 | 失敗しやすい例 |
|---|---|---|
| 国 | 地震帯に入るか | 国名の印象で決める |
| 都市 | 海沿いか、盆地か、断層近接か | 有名都市だから安心と思う |
| 地盤 | 低地、埋立地、台地の違い | 便利さだけで選ぶ |
| 建物 | 築年、構造、非常口 | 家賃や立地だけで決める |
| 備え | 水、薬、電源、連絡方法 | 行く先で何とかなると思う |
この表のうち、全部やるのが難しくても、国・都市・建物の3つだけは確認したいところです。迷ったらここだけでも見てください。
地震が多い国で何を備えるべきか|家庭・職場・旅行で分けて考える
家庭で備える量の目安
地震が多い国に住む、または長く滞在するなら、最低限の備えは必要です。Ready.govは、数日間を自力でしのげるよう、飲料と衛生用途を含めて1人1日あたり1ガロンの水、少なくとも3日分の保存食を基本にしています。薬が必要な人は、7〜10日程度の処方薬・市販薬の備えを検討するようCDCが案内しています。
家庭目線で整理すると、最初にそろえたいのは、水、食料、ライト、モバイル電源、常用薬、靴、簡易衛生用品です。余裕があれば、簡易トイレ、ラジオ、現金、小さなメモと連絡先の控えを追加。これだけでもかなり違います。費用も、最初から完璧な防災セットを買う必要はありません。普段飲む水やレトルト、缶詰、電池を少し厚めに持つだけでも、初動の安心感は変わります。
子ども・高齢者・持病がある人がいる場合の注意点
ここは安全性の面で雑に言い切らないほうがいい部分です。乳幼児がいる家庭では、量より「使えるかどうか」が大事です。飲み慣れたもの、食べ慣れたもの、夜間対応しやすい灯り、着替えや衛生用品が必要です。高齢者がいるなら、薬の一覧、かかりつけ情報、眼鏡や補聴器の予備、移動しやすさを重視したほうがよいです。CDC系の資料でも、薬の一覧や処方情報、補助機器、支援計画の準備が勧められています。
火気や電源機器の扱いも慎重にしたいところです。発電機や燃料器具、加熱器具は便利ですが、密閉空間、車中泊、就寝時の使用は危険につながることがあります。ここは一般論で押し切らず、製品表示や現地ルールを優先してください。防災では「便利そう」より「安全に使えるか」が先です。
結局どう判断すればいいか|迷ったときの最小解
○○な人はA、○○な人はBの整理
最後に、判断をひとつにまとめます。
とにかく地震の少ない場所を最優先したい人はA=上位の地震多発国を長期滞在先から外し、安定大陸内部やプレート境界から遠い地域を候補にする。
仕事や家族の事情で地震が多い国に住む人はB=国を避けるのではなく、都市、地盤、建物、避難導線を丁寧に見る。
旅行や短期出張の人はC=宿の立地、非常口、夜間の持ち出し、津波避難のしやすさを優先する。
迷ったらD=「海から少し離れた高台寄り」「埋立地ではない」「比較的新しい建物」「水と薬と電源だけは切らさない」でよいです。
今日からできる現実的な進め方
結局どう備えればいいか。答えは、いきなり完璧を目指さないことです。まずは、候補国を3つまで絞る。その国の中で、海沿いすぎない都市を2〜3個見る。ホテルや住まいの候補では、非常口と立地を確認する。家では、水、ライト、薬、電源の在庫を見る。この4つで十分スタートできます。
地震が多い国の記事は、不安をあおる方向にも、単なる知識の羅列にも寄りがちです。でも、本当に価値があるのは、「で、うちはどうするか」が決められることです。ランキングは入口でしかありません。そこから先は、自分の家族構成、滞在目的、住む場所の条件に合わせて判断する。これが、いちばん現実的で、しかも続けやすい備え方です。
揺れの最中の行動も、最後にひとつだけ覚えておくと安心です。屋内では、Drop, Cover, and Hold On が基本です。そして海辺で強い揺れ、長い揺れを感じたら、警報を待たずに高い場所へ移動する。この2つは、地震が多い国に行くなら最低限の共通知識として持っておいて損はありません。
まとめ
地震が多い国は、主にプレート境界、とくに環太平洋帯や大きな断層帯の周辺に集中します。実務目線で見れば、日本、インドネシア、チリ、フィリピン、米国西部、トルコ、メキシコ、ニュージーランドなどは、注意して見たい国・地域です。
ただし、本当に大事なのはランキングそのものではありません。
同じ国でも、都市、地盤、建物、避難しやすさで暮らしの安心感は大きく変わります。
だから、国名だけで決めない。
有名都市だから安心とも思い込まない。
迷ったら、内陸寄り、高台寄り、埋立地ではない、比較的新しい建物を選び、水と薬と電源を切らさない。
これが、いちばん現実的で、家庭でも再現しやすい答えです。
この記事で読者が今日やるべき行動を3つ
- 気になる国を3つ選び、国名ではなく「都市名」で比較を始める
- 候補のホテルや住まいが海沿いすぎないか、埋立地ではないかを確認する
- 家にある水、常用薬、ライト、モバイル電源の在庫を今夜見直す


