【小学生向けに解説】なぜカラスは頭がいいの?鳥の知能のふしぎ

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おもしろ雑学

黒いつばさで空をすべり、電柱や公園の木から**「カー」と響く声をとどけるカラス。身近な鳥なのに、よく見ると道具を使う・顔を覚える・仲間と協力するなど、驚くほど知的な行動を見せます。

この記事では、カラスの体と脳のしくみ**、すごい行動のひみつ人と上手にくらすための知恵自由研究のやり方までを、小学生にもわかる言葉でたっぷり解説します。読み終えたら、いつもの通学路が小さな野外研究所に見えてくるはずです。

カラスの基本を知ろう:種類・すがた・声の使い分け

日本でよく会う二つのなかま

日本ではハシブトガラスハシボソガラスが代表的です。前者は太いくちばしと丸みのある頭が特徴で、都市の高い建物や大きな木を好みます。

後者は細めのくちばしで、田畑や河川敷など開けた場所でもよく見られます。どちらも黒い羽ですが、光の当たり方で青や紫にかがやくことがあります。足はがっしりとして歩く・跳ぶ・つかむの三役をこなし、くちばしはこじ開ける・ほじる・はさむなど細かい作業が得意です。

見分けのコツ(形・場所・声)

道で出会ったら、頭とくちばしの太さいる場所鳴き声を手がかりにしましょう。ハシブトは街路樹やビル屋上など高い場所でよく見張り、太めの「カー」と短く鳴くことが多いタイプ。ハシボソは畑や河川敷など開けた低い場所で地面を歩いて探すのが得意で、**しわがれた「ガー」**に近い声が目印です。

声は「ただ鳴く」だけじゃない

カラスは声の長さ・高さ・回数・間を使い分け、仲間の位置危険の知らせエサの発見などを伝えていると考えられています。夕方のにぎやかな鳴き合いは、ねぐらへ集まる合図の役目もあります。羽を広げる、尾羽をふくらませるなど体のサインも合わせて使います。

一日のスケジュール(観察のヒント)

朝はえさ探し、昼は休けい、夕方は集合といった一日のリズムがあります。観察ノートに時間・場所・行動を書きとめるだけで、カラスの生活が地図のように見えてきます。

むやみに近づかず、一定の距離を保って静かに見守りましょう。

カラスの基本比較表(見分けの目安)

項目ハシブトガラスハシボソガラス
くちばし太く曲がりぎみ細めでまっすぐ
よくいる場所都市部の高所、街路樹田畑・河川敷・公園の地上
よく聞く声短い**「カー」**しわがれた**「ガー」**
動きのクセ高所から周囲を見張る地面でとことこ歩く時間が長い
見張り・集合ビル屋上や大木電線・橋げた・林縁

一年のくらしカレンダー(地域で多少前後)

季節主なようす見どころ
早春〜春巣作り・子育て親鳥が巣の周りを警戒、枝運び
初夏ヒナの飛行練習親子で鳴き交わし、短距離の飛翔
エサ場の拡大虫や木の実を探して広範囲を移動
群れが大きくねぐら入り前の大合唱がにぎやか
ねぐらで越冬朝夕に一定方向へ行き来する群れ

「頭のよさ」を生む体と脳のひみつ

前脳が発達し、学ぶ力が高い

カラスの脳は体の大きさにくらべて割合が大きく、なかでも前脳(ぜんのう)がよく発達しています。ここは考える・覚える・えらぶといった働きをになう場所で、新しい体験を学びとして積み上げるのが得意です。だから一度成功した方法を、別の場面でも応用できます。

感覚のチームワーク(目・耳・体)

は動くものに敏感で、色や形のちがいも見分けられます。は仲間の声の高さや間のちがいをとらえます。は足のつかむ力とくちばしの器用さで、ふたを外す・袋をほどく・枝を道具化する細かな作業を実現します。これらの感覚が同時に協力して、むだのない判断を生みます。

記憶の種類と使い分け

カラスの記憶には、場所を覚える場所記憶、顔や服装を覚える人物記憶、手順を覚える手順記憶などがあり、状況に合わせて引き出しのように使い分けます。

たとえば「あの時間に人が少ない公園」「このふたは回すと開く」といった組み合わせの記憶が、行動の素早さにつながります。

学び方の工夫:試行錯誤と観察学習

自分でやってみて学ぶ(試行錯誤)だけでなく、仲間の成功を見てまねる(観察学習)こともできます。まねから始めて自分流に改善するのが上手で、より少ない力で成功する道を見つけます。

すごい行動を見てみよう:道具・記憶・協力

道具を使って問題を解く

道路にクルミを落として車に殻を割らせる、深い容器からエサを取るために棒や針金を使うなど、目的に合わせて方法を作り出す力があります。石を落としてふたを押し開ける、木の枝の葉を取りのぞいて先を細くするなど、加工して使う例もあります。これは、目の前のようすをよく観察し、原因と結果を結びつけて考えている証拠です。

顔を覚え、行動を変える

嫌な体験をした人の顔を覚え、距離をとるようになります。やさしく見守る人には近づくこともあり、学んだ内容を仲間同士で共有していると考えられています。記憶は長くのこり、季節が変わっても活用されます。

仲間と情報を分け合う社会性

ねぐらやえさ場では声やしぐさで情報を伝え合い、見張り役を交代しながら危険にそなえます。子育ての時期には、親鳥がていねいにエサを運び、ヒナが安全に飛べるようになるまで根気強く世話をします。群れの中では順番距離感を守るルールも見られます。

知能のすごさを一望できる表

能力具体的な行動ねらい・ポイント
道具の使用枝や針金でエサを引き寄せる手が届かない問題を工夫で解決する
計画と予測車の通る道にクルミを置き、信号で回収安全なタイミングを選べる
記憶と学習人の顔・時間・場所を覚える良い結果を次につなげる
社会性見張り・合図・ねぐら集合仲間で生きのびる力を高める
遊びと好奇心空中キャッチ、雪すべり新しい動きを試して身につける

課題→戦略→学び(行動の流れ)

課題とった戦略学んだこと
固い殻のクルミが割れない車道に置き、車が通ったあとで安全に回収外力の利用タイミングの見きわめ
深い容器の底にエサ枝を加工してフック状にして引き上げる道具の加工形の工夫
人が多い公園で警戒が強い人の少ない時間帯に来る時間帯の学習予測

まちでの上手なつき合い方と安全の知恵

ゴミと食べ物の管理がいちばんの近道

カラスが集まる多くの理由は食べ物です。ふたのしまるゴミ箱ネットを使う、収集日の朝に出すなど、人の側の工夫で、おたがいに困らない距離を保てます。公園などで食べ物を見える場所に放置しないことも大切です。ベランダでは生ゴミを出しっぱなしにしない、袋は二重にするなどの小さな工夫が効きます。

子育ての季節は静かに遠回り

春から初夏は巣とヒナを守るために、親鳥が神経質になります。巣の近くを通ると大きな声で警告することがあるので、気づいたら静かにコースを変えるのが安全です。棒や石を向けるなどの行為は、危険を大きくするだけでなくルール違反にもなります。近づきすぎず、傘をさして頭上をさえぎるなど、おだやかな自衛を心がけましょう。

観察は距離と静けさが味方

望遠のできる双眼鏡カメラがあると、鳥をおどろかさずに行動を記録できます。小さな子どもといっしょの時は、走って追いかけない約束を先にして、やさしい目で自然を学ぶ時間にしましょう。地域のルールや案内板にも目を通し、迷惑にならない観察を。

まちで役立つチェックリスト

場面やることポイント
ゴミ出し収集日の朝/ふた付き容器ニオイや見た目を出さない
ベランダ生ゴミを出しっぱなしにしない袋は二重、ネットで目かくし
公園食べ物を放置しない片付けて学習機会を作らない
子育て期巣の近くを避ける遠回り・静かに・視線を向けない

自由研究に挑戦:観察ノートで賢さを見つける

研究テーマを決めて、同じ条件で記録する

たとえば「朝と夕方で鳴き方は変わるか」「雨の日の行動」「ねぐら入りの時刻」など、一つの疑問にしぼると、結果がくらべやすくなります。同じ場所・同じ時間帯10分間の観察を続けると、変化のパターンが見えてきます。

メモのコツは「数字と言葉」をセットに

鳴き声の回数、飛んだ方向、人や車との距離、地上にいた分数など、数字を入れると観察が科学に近づきます。気づいたことはやさしい言葉で良いのでその場で書きとめ、写真や簡単な図も添えると発表に強い記録になります。

観察シートの例(コピーして使える)

日付天気時刻場所行動のメモ鳴き声回数
4/○くもり16:30-16:40学校横の公園6電線から地面へ降りてえさ探し18

かんたんな集計とグラフ化

1週間の観察が集まったら、回数の合計割合を出して、棒グラフ・折れ線にしてみましょう。「夕方に鳴き声が増える」「雨の日は地面より木にいる時間が長い」など、数字で見える発見が生まれます。

倫理と安全を守る姿勢を学ぶ

観察は自然との対話です。近づきすぎない、エサを与えない、巣をさがさないといったルールを守ることが、生き物を尊ぶ心を育てます。結果が思い通りにならなくても、その理由を考えること自体が大切な学びです。

Q&A:気になる疑問をすっきり解決

Q1:カラスは人をねらって飛んでくるの?
A:多くの場合は巣やヒナを守るための警告です。見上げてにらむより、静かに離れると安心させられます。

Q2:黒い色にはどんな意味があるの?
A:黒い羽は光や熱を吸収しやすい性質があり、雨や汚れが目立ちにくい利点もあります。夜や木かげでは見つかりにくい色でもあります。

Q3:カラスは何を食べているの?
A:虫・木の実・小さな動物・人の食品残さなどいろいろです。食べ物を残して放置すると、学習して通うことがあります。

Q4:どうして同じ時間に同じ場所に来るの?
A:成功体験を覚えるからです。「ここは安全」「この時間は人が少ない」などを記憶し、効率よく動きます。

Q5:カラスは色を見分けられるの?
A:色や形のちがいを見分ける力があります。光の反射や動きにも敏感です。

Q6:仲間どうしで本当に情報を伝えるの?
A:声や動きで合図を出し、危険やエサの情報を共有していると考えられています。ねぐらへ集まる前のにぎやかな会話はその一例です。

Q7:カラスはどのくらい生きるの?
A:環境によりますが、数年以上生きる例もあります。安全な場所や食べ物があるほど長生きしやすくなります。

Q8:人の言葉をまねできるの?
A:個体差はありますが、音まねをすることがあります。はっきりした会話ではなく、音のまねに近いものです。

Q9:カラスは夜も活動するの?
A:夜は多くがねぐらで休みます。明け方と夕方に移動が増えるのがふつうです。

Q10:どれくらい近づいても大丈夫?
A:近づきすぎないのが基本です。双眼鏡などを使い、鳥がこちらを気にしない距離を保ちましょう。

用語辞典(やさしい言いかえ)

ハシブトガラス/ハシボソガラス:日本でよく見る二つの種類。くちばしの太さやすむ場所の好みが少しちがう。
前脳(ぜんのう):考える・覚える・えらぶなど、学ぶ力に関わる脳の部分。
ねぐら:夜に集まって休む場所。大きな木や橋の下など。
社会性:仲間どうしで助け合い、情報を分け合って生きる力。
観察記録:見たことを時間・場所・行動といっしょに書いたノート。考えるヒントがつまる。
観察学習:仲間の行動を見て学ぶこと。
試行錯誤:やり方を何度もためして一番よい方法を見つける学び方。

まとめ:身近な賢者から学ぼう

カラスは道具を使い、覚え、予測し、仲間と協力します。これは、前脳の発達すぐれた観察力、そして経験を生かす力が支えているからです。

私たちも、よく見て・よく考えて・やさしくふるまうことで、自然とよりよい関係を作れます。次に黒い翼を見つけたら、少し離れた場所から静かな科学者の目で、その行動を味わってみましょう。きっと新しい発見が待っています。

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