【小学生向けに解説】なぜセミは大きな声で鳴くの?虫のなぞにせまる

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おもしろ雑学

夏になると木の上から聞こえる大合唱。「どうしてセミはあんなに大きな声で鳴くの?」というぎもんに、体のしくみ・鳴く理由・種類ごとの違い・観察のコツまで、やさしく徹底解説します。自由研究にも使える表とワークつき!このガイドでは、聞く・見る・記録するの3ステップで、セミの世界を深く楽しく学べます。


  1. 1.セミはなぜ大きな声で鳴くの?5つの理由
    1. ① メスへの合図と「ここにいるよ!」の知らせ
    2. ② オス同士の競争とアピール合戦
    3. ③ 季節・天気との関係(鳴くタイミングのわけ)
    4. ④ 外敵への警戒・身を守るため
    5. ⑤ なわばりの主張・良い場所の確保
  2. 2.大音量のひみつ:セミの体のしくみ(+ライフサイクル)
    1. 発音膜(はつおんまく)=音を作る「たいこ」
    2. 共鳴室(きょうめいしつ)=音を大きくする「からっぽの部屋」
    3. 鳴きやすい姿勢・場所のえらび方
    4. セミの一生(ライフサイクル)早わかり
  3. 3.種類別・鳴き声カタログ(聞き分け&観察のコツ)
    1. 身近な種類の鳴き声 早見表(拡充版)
    2. 鳴く時間・場所のちがいを地図にしよう
    3. 録音・聞き分けのコツ(家庭でできる)
    4. ミニ実験:家のものを“共鳴室”にしてみよう
  4. 4.ほかの虫とのちがい(しくみ・時間・役わり)
    1. 「どこで音を出すか」のちがい
    2. 鳴く時間・音の使い分け
    3. 観察・比べ方のポイント
  5. 5.セミの声で読み解く自然のサイン&研究ワーク
    1. 季節の進みをよむ
    2. 天気の変化をよむ
    3. 観察ワーク(自由研究にそのまま使える)
      1. 観察チェック表(印刷して使える)
    4. 観察マナー&安全チェック
  6. 6.地域と環境でかわるセミ(上級編)
    1. 住む場所と分布のちがい
    2. 都会と自然の“音の景色”
    3. 環境の変化とセミ
  7. まとめ・Q&A・用語辞典
    1. まとめ(5行でおさらい)
    2. よくある質問(Q&A)
    3. 用語辞典

1.セミはなぜ大きな声で鳴くの?5つの理由

① メスへの合図と「ここにいるよ!」の知らせ

オスのセミが鳴く一番の目的は、木のあちこちにいるメスに自分の場所を知らせるためです。遠くのメスにも届くように、強い音で長く鳴き続けます。にぎやかな昼間でも聞き取ってもらえるよう、はっきりした音の高さやリズムになっています。鳴き声の“型(パターン)”は種類ごとに決まっていて、同じ種類のメスにだけ分かりやすい合図になっています。

② オス同士の競争とアピール合戦

同じ木に何匹もオスが集まると、より目立つ声・通りのよい声を出すオスが有利になります。鳴き声の強さ、続く時間、休みの取り方のちがいが、メスに選ばれる可能性につながります。いわば「恋のアピール合戦」。ときには**鳴く順番をずらす“鳴きかわし”**で、互いの声をじゃましないようリズムを工夫することもあります。

③ 季節・天気との関係(鳴くタイミングのわけ)

セミは温かくて湿度がほどよいときに元気に鳴きます。気温が下がったり雨がふりそうになると、いっせいに静かになることも。鳴き声は、夏の進み具合や天気の変化を教えてくれる自然のサインです。朝の涼しい時間や、風が弱い日ほど遠くまでよく届きます。

④ 外敵への警戒・身を守るため

強い音で外敵(鳥、カマキリ、ムクドリ、トカゲなど)をおどろかせる効果があります。敵の影を感じると一斉に鳴き止み、気配が去るとまた大合唱に戻る——この急なオン・オフも、身を守る作戦の一つです。

⑤ なわばりの主張・良い場所の確保

響きやすい枝先や高い位置は“人気の席”。そこをめぐってオス同士が鳴き合い、場所の取り合いが起きます。よく響く場所を確保できたオスほど、遠くのメスにアピールできます。

ワンポイント:耳をすませば、同じ木の中でも「高い所=よく響く強い声」「低い所=やや弱い声」などの音の段差が聞こえます。


2.大音量のひみつ:セミの体のしくみ(+ライフサイクル)

発音膜(はつおんまく)=音を作る「たいこ」

オスの腹部には、うすい板のような膜(発音膜)が左右にあり、筋肉で高速にふるわせて音を出します。この膜が「ジー」「ミーン」などの基本の音を作ります。ふるえる回数が増えるほど音は高く、回数が少ないほど低く聞こえます。

共鳴室(きょうめいしつ)=音を大きくする「からっぽの部屋」

腹部の中は空洞が多く、そこが共鳴室としてはたらきます。発音膜の音がこの空洞で反射して重なり、体の大きさからは想像できないほどの大音量に。体の向きや枝の形、木の幹の硬さでも響き方が変わります。

鳴きやすい姿勢・場所のえらび方

日当たりのよい枝先や、音が広がりやすい位置で鳴くことが多いです。風が弱い朝は音が遠くまで届きやすく、にぎやかな正午は、より強くはっきりと鳴いて目立とうとします。**木の“舞台効果”**を上手に使っているのです。

セミの一生(ライフサイクル)早わかり

段階どこでどんなようす観察ポイント
木の枝の割れ目など秋に産みつけられる春〜初夏にふ化。産卵跡の筋(みぞ)を探してみよう
幼虫(地中生活)地面の下木の根から樹液を吸って数年過ごす雨のあとに小さな穴(羽化前の出口)が見つかることも
地上へ(羽化直前)木の根元〜幹夜、地上に出て登り始める夕方〜夜に観察。さわりすぎ注意
羽化(うか)幹・壁・柵など殻(ぬけがら)から成虫が出る白っぽい体→だんだん固く色づく様子を記録しよう
成虫(鳴く)木の上オスが大合唱、メスをさがす朝・昼・夕方で鳴き方の変化を比べよう

コラム:寿命のホント
セミは地上に出てからは1〜数週間で一生を終えることが多いですが、地中の幼虫期間は数年かけてじっくり育ちます。短い夏の成虫生活に全力をそそぐため、鳴き声も大きくなると考えられます。


3.種類別・鳴き声カタログ(聞き分け&観察のコツ)

身近な種類の鳴き声 早見表(拡充版)

種類鳴き声の聞こえ方(例)鳴きやすい時間よくいる場所音の大きさ観察メモ
アブラゼミジーーー…(濃く長い)公園・街路樹大きい幹にぴったり止まり、止まり木を変えながら鳴く
ミンミンゼミミーンミンミン…(はっきり)朝〜昼林・学校の木中〜大涼しい場所を好み、雲が出ると静かに
クマゼミシャーシャー…(連続・力強い)朝〜昼都会の公園・海沿いとても大きい太い街路樹で大合唱になりやすい
ツクツクボウシツクツクボーシ…(しり上がり)夕方〜夏の終わり庭木・林夏の終わりを知らせる代表選手
ヒグラシカナカナカナ…(透明で物悲しい)早朝・夕方山・里山気温が下がるとよく鳴く。薄暗い時間帯に注目
ニイニイゼミチー…チー…(小刻み)低い木・藪小〜中初夏のはじまりに出会いやすい。小さくても負けない声
エゾハルゼミミョー…ミョミョ…初夏の朝北国の森早い季節に登場。地域の特色を感じる種

鳴く時間・場所のちがいを地図にしよう

種類ごとに「朝型」「昼型」「夕方型」があり、好む木の高さや太さも少しずつちがいます。同じ公園でも、エリアごとに聞こえる声が変わるので、地図にシールや色で書きこむと見比べやすくなります。

録音・聞き分けのコツ(家庭でできる)

  • スマホやボイスレコーダーで10〜20秒ずつ録音し、音の高さ(低い・高い)とリズム(長い・短い・くり返し)をメモ。
  • 2回目以降は録音を流しながら種類あてクイズ。家族や友だちと得点表を作ると盛り上がります。
  • 風切り音が入らないよう、マイクにハンカチを軽くかぶせると録音がきれいになります。

ミニ実験:家のものを“共鳴室”にしてみよう

コップ・小箱・紙筒に録音した音を流してみると、入れ物の形で音の響きが変わることが体験できます。セミの体の共鳴室と同じ“仕組みのミニ版”です。


4.ほかの虫とのちがい(しくみ・時間・役わり)

「どこで音を出すか」のちがい

生き物音の出し方音の広がり
セミ腹部の発音膜をふるわせ、共鳴室で増幅昼間のにぎやかな環境でも遠くへ届く大音量
コオロギ・スズムシ左右の羽をこすり合わせて音静かな夜に遠くまで通る細い音
キリギリス羽のギザギザ(やすり)をこする高くパリッとした音色

鳴く時間・音の使い分け

セミは昼のにぎやかな時間帯に、遠くへ届く大きな声でアピール。コオロギやスズムシは夜に、静けさの中でよく通る細い音を使います。**環境に合わせた“鳴き分け”**と言えます。

観察・比べ方のポイント

同じ場所で昼と夜に観察して、鳴く虫の種類・時間・音の高さを表にまとめます。羽で鳴く虫は、鳴きながら体を左右にふるなど、しぐさも観察メモに残しましょう。


5.セミの声で読み解く自然のサイン&研究ワーク

季節の進みをよむ

初夏=ニイニイゼミ、盛夏=アブラゼミ・クマゼミ、晩夏〜初秋=ヒグラシ・ツクツクボウシ…というように、鳴き声の主役は入れかわります。耳で季節の物差しを作るつもりで**定点観測(同じ場所・同じ時間)**をしましょう。

天気の変化をよむ

晴れて気温が上がると合唱が強まり、雨や強風の前は静かになりがち。天気予報と照らし合わせて、「鳴き声指数」を自分でつくるとおもしろいです。(例:弱=0、ふつう=1、強=2)

観察ワーク(自由研究にそのまま使える)

  • 地図作り:公園や学校の地図を用意し、聞こえた種類と時刻をピンで記録。
  • 音の記録:同じ場所・同じ時刻で3〜7日連続録音し、音の長さや休みの間を数える。
  • 気温との関係:気温・湿度を一緒にメモ。鳴く強さとあわせてグラフ化。
  • 時間帯比較:朝・昼・夕で主役の交代を確認しよう。

観察チェック表(印刷して使える)

日付場所天気気温時刻聞こえた種類音の強さ(0/1/2)メモ
例)7/25学校のけやき並木晴れ32℃10:30アブラゼミ、クマゼミ2日なたで合唱、風弱い
例)8/28裏山の杉林くもり26℃17:45ヒグラシ1夕方から一斉に鳴き出す

観察マナー&安全チェック

  • 木や幼虫・羽化中の個体をむやみにさわらない(羽が乾く前は特に弱い)。
  • 私有地や住宅の庭には立ち入らない。人の迷惑にならない時間に観察。
  • ゴミは持ち帰る。抜け殻(ぬけがら)は必要以上に集めすぎない

6.地域と環境でかわるセミ(上級編)

住む場所と分布のちがい

都会の公園・街路樹ではアブラゼミやクマゼミ、山の多い地域ではヒグラシやミンミンゼミが目立つなど、場所によって主役が変わることがあります。樹木の種類(広葉樹・針葉樹)や水辺の有無も影響します。

都会と自然の“音の景色”

車の音が多い街中では、より強い・連続する声のクマゼミが目立つ場合も。静かな山では、ヒグラシの澄んだ声が遠くまで届きます。耳で“音の地図”を描いてみましょう。

環境の変化とセミ

植えかえや伐採、気温や降水のちがいで、見られる種類が年ごとに入れかわることもあります。毎年同じ場所を観察すると、小さな変化に気づけます。


まとめ・Q&A・用語辞典

まとめ(5行でおさらい)

1)オスのセミは、メスへの合図と競争のために大きな声で鳴く。
2)腹部の発音膜共鳴室のおかげで、小さな体でも大音量。
3)鳴き声は季節や天気のサイン。定点観測で自然の変化が見える。
4)種類ごとに時間・場所・リズムがちがう。地図と録音で聞き分け上手に。
5)観察はマナーと安全第一。生きものと人にやさしい研究を。

よくある質問(Q&A)

Q1.メスのセミは鳴かないの?
A.鳴くのはオスだけ。メスには発音膜・共鳴室が発達していません。

Q2.同じ木で急に静かになるのはなぜ?
A.天敵(鳥・カマキリなど)を感じたり、急な日ざしや風の変化で警戒するからです。

Q3.家の近くにセミが増えた/減ったのは?
A.木の種類や太さ、植えかえ、気温・雨の量など環境の変化が影響します。

Q4.うるさく感じるときの対策は?
A.窓を閉める・厚手のカーテン・耳を休める時間を作る・朝の録音あそびに切り替えて聞こえ方を楽しむのも方法です。

Q5.抜け殻は集めてもいい?
A.少量ならOKですが、地域のきまりに合わせて。取りすぎず、屋外に戻すのがおすすめです。

Q6.羽化(うか)はいつ見られる?
A.夕方〜夜に始まることが多いです。明るいライトに集まる個体もいるので、ライトをまぶしすぎないよう注意して観察しましょう。

用語辞典

  • 発音膜(はつおんまく):オスの腹部にある、音を作るうすい膜。
  • 共鳴室(きょうめいしつ):体内の空洞。音を大きく響かせる部屋のはたらき。
  • 警戒音:外敵に気づいたときなどに出す短い強い音や、急な沈黙。
  • 羽化(うか):地中で育った幼虫が地上に出て、成虫になること。
  • 鳴きかわし:近くのオス同士がリズムを合わせたり、ずらしたりして鳴くこと。
  • 定点観測:同じ場所・同じ時間でくり返し観察し、変化をくらべる方法。

★ワンポイント:録音データは、日付・時刻・気温とセットで保存しよう。翌年に同じ場所でくらべると、季節の進み方のちがいが見えてきます。必要なら地図・音・気温の3つを1枚にまとめる“観察ポスター”にして発表しよう!

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