【小学生向けに解説】なぜピアノには白い鍵盤と黒い鍵盤があるの?音楽のしくみをやさしく徹底解説

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おもしろ雑学

はじめに──ピアノの前にすわると、白い鍵盤と黒い鍵盤がならんでいます。見た目のきれいさだけでなく、音をわかりやすく見分けて、指を動かしやすくするための大切な工夫がつまっています。ここでは、並び方のひみつ、音の広がり、歴史、練習のコツまで、たっぷりやさしく解説します。読み終えるころには、白と黒の「すてきな相棒関係」がきっと好きになります。


要点先どり(まずここだけ)

  • 白=基本7音、黒=半音。7音→12音に広がるから、世界中の音楽が弾ける。
  • 黒鍵が2こ・3こで並ぶのは「ド」を見つけやすくするための目印。
  • BとC、EとFの間には黒鍵がない(もともと半音の間が狭い関係だから)。
  • 黒鍵は少し高く細い。段差があるから指がすべり込みやすい
  • むかしは白黒が逆の鍵盤も。見やすさの工夫が今の形を育てた。

1.白い鍵盤と黒い鍵盤のならびと役わり

1-1.すぐに「ド」を見つけるしくみ

白い鍵盤は52こ、黒い鍵盤は36こ、ぜんぶで88けんばんです。黒い鍵盤が2こ・3このグループになっていて、2この左となりの白い鍵盤が「ド」。この決まりが、どこでも「ド」をすぐ探せる目印になります。ピアノのまん中にある「ちゅうおうド」を見つけられると、その上下の音も迷わなくなります。

1-2.白=基本7音、黒=半音の道しるべ

白い鍵盤は「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」という7つの基本の音(長音階の土台)。黒い鍵盤は半音のための鍵で、

  • 「シャープ(♯)=少し高く」
  • 「フラット(♭)=少し低く」
    をあらわします。白と黒があるから、7音→12音に広がり、世界じゅうの曲が弾けます。たとえば「ドのシャープ(C♯)」はレのフラット(D♭)と同じ鍵盤──こんなふうに呼び名が2つあることもあります(えんしょう音:同じ音でも名前がちがう)。

1-3.段差と幅の工夫で指が動きやすい

黒い鍵盤は少し高くて細め。段差があるから指がすべり込みやすく、速い動きや複雑な指づかいがしやすいのです。白鍵の広い面は、和音(音の重なり)を安定して押さえるのに向いています。鍵盤の高さがそろいすぎていないことが、むしろ弾きやすさを生み出しているのです。

1-4.なぜB–CとE–Fの間に黒鍵がないの?

音の間には「全音(少し広い)」「半音(せまい)」の2種類の間かくがあります。B–CとE–Fの間はもともと半音の間かくなので、黒鍵をはさまなくてもOK。だから鍵盤の並びは「白・黒・白・白・黒・白・黒・白・白・黒・白・黒」というくり返しのパターンで足りるのです。


2.音階と「調(ちょう)」のひみつ:12の音が音楽を広げる

2-1.半音と全音を耳と指で体験

となり合う鍵盤(白⇄黒、黒⇄白、白⇄白の一部)は半音の差。白鍵どうしで1こはさんだ関係は全音です。鍵盤でとなり合う音をゆっくり上がったり下がったりして、半音と全音の感じのちがいを耳でたしかめてみましょう。半音は“キュッ”と近い全音は“スーッ”と少し広い感覚になります。

2-2.調(キー)ってなに?黒鍵の出番

曲には「ハ長調(ドから)」「ト長調(ソから)」など調(ちょう)があります。調が変わると、使う黒鍵の場所が変わります。黒鍵があるおかげで、歌いやすい高さや楽器に合う高さに曲を移しかえる(移調)ことができます。合唱や合奏で「ちょっと高いね、少し下げよう」も、黒鍵のおかげでカンタン。

2-3.メロディと和音がどんどんふくらむ

黒鍵をまぜると、明るい・かなしい・なつかしい・かっこいいなどの色あいが増えます。和音(3つ以上の音の重なり)もたくさん作れ、同じメロディでも気分を変えて表現できます。黒鍵だけを使うと、**5音だけの“ペンタトニック”**という、やさしくてきれいな音階遊びも楽しめます(黒鍵だけで自由にひくと、びっくりするほど“それっぽい”音楽になるよ)。

2-4.平均律(へいきんりつ)というならし方

世界じゅうで同じ鍵盤で弾けるように、ピアノは音の間かくを少しずつならした仕組み(平均律)を使っています。むずかしく聞こえるけれど、「どの調でも大きく音がくるわないようにみんなで仲良く分けた」と考えればOK。この仕組みがあるから、1台でどんな曲も演奏できるのです。


3.鍵盤の歴史とデザイン:白黒は見やすさの知恵

3-1.昔は色が逆の楽器もあった

ピアノの先ぞう「チェンバロ」や「クラヴィコード」には、白黒が逆の配色もありました。どこを押しているかを見分けやすくするために、時代や地方で工夫され、今の白鍵=基本、黒鍵=半音という見やすい配色が広まりました。ステージのライトの下でも、白地に赤い指先がはっきり見え、演奏者も観客も位置をつかみやすくなります。

3-2.88鍵になったわけ

むかしは鍵盤の数が少なかったのですが、作曲家たちが広い音域を求め、だんだん増えて88鍵に落ち着きました。これで低い音から高い音まで、ひとりで大きな楽団のような表現ができます。映画音楽やゲーム音楽のダイナミックな低音・高音も、88鍵があるからこそ。

3-3.材料と手ざわりの工夫

白鍵は昔、ぞうげ(象牙)も使われましたが、今は人工素材が主流で、手がすべりにくく手入れもしやすい表面です。黒鍵は指先になじむ軽いざらつきや高さで、正確に押さえやすく作られています。電子ピアノでも、白黒の手ざわり差をほどよく再現して、指の道しるべになるよう工夫されています。


4.練習がもっと楽しくなる観察とワザ

4-1.「ド」さがしゲームと目のガイド

2こ並びの黒鍵を見つけたら、その左の白鍵がド。目で見つけてから耳でたしかめる、をくり返すと、どの高さのドでも迷わない耳と目になります。はじめのうちは、白鍵の上に小さくド・レ・ミなどのシールを貼るのもOK(のちほどはがす)。

4-2.白鍵だけ→黒鍵まぜの作曲あそび

まず白鍵だけで「きらきら星」などを弾いたら、1か所だけ黒鍵を入れて気分を変えてみましょう。たった1音で曲の表情ががらっと変化します。黒鍵だけで自由にひいて、家族に**“夜空のBGM”**をプレゼントするのも楽しいね。

4-3.手の形と黒鍵の使い道

手の平はたまごをにぎるように丸く。親指は白鍵の手前、ほかの指は黒鍵の段差をつかって、指かえをなめらかに。段差を味方にすると、速い階段のような音形もラクになります。小さな音からはじめて、ゆっくり→少しずつ速くが近道です。

4-4.ペダルと黒鍵の相性

右のダンパーペダルを軽く使うと、黒鍵だけのメロディがひびき豊かに。にごる時はペダルを少しはなして、透明な音にしてみましょう。耳で聞いて「きれい!」と思うタイミングを探すのがコツ。


5.ほかの鍵盤楽器とくらべてみよう

5-1.風で鳴らすオルガン

オルガンは空気の流れで音を出します。鍵盤の並びは似ていますが、音の伸び方や重なり方がちがいます。教会や音楽室で聴くと、ピアノとの音の性格の差がわかります。足でふむ足鍵盤まで使う大型のものも!

5-2.電子の鍵盤(電子楽器)

電子の鍵盤は、ピアノの並びを使いながら、鐘・ひょうしぎ・太鼓のような音まで出せます。音色を切りかえると、黒鍵の使い方の感じも変わって面白い発見ができます。トランスポーズ機能でかんたん移調も体験できます。

5-3.鍵盤の数が少ない/多い楽器

小さめのキーボードは鍵盤の数が少なめですが、学習や持ち運びにべんり。反対に、パイプオルガンは鍵盤が2段・3段あるものもあり、音の重ね方の世界がぐっと広がります。


6.表でわかる!白鍵と黒鍵・音階・歴史の要点

比べること白い鍵盤黒い鍵盤ひみつ・ポイント
数(合計88)52こ36こ2こ+3この黒鍵グループで「ド」をさがす
役わり基本の7音(ドレミファソラシ)半音(シャープ/フラット)7音→12音に広げる道
形・高さひろくて低めほそくて高め段差で指が入りやすい、速い動きに強い
B–C/E–Fその間は半音なので黒鍵なし黒鍵の“ない場所”が目印にもなる
音づくりやさしい歌・和音の土台表情づけ・調の切り替え明るい/かなしい/かっこいい等の色あい
歴史配色は見やすさ重視で定着昔は白黒が逆の楽器も世界中で同じ配列に統一
平均律どの調でもなじむ1台でどんな曲も弾ける“ならし方”

7.体験ミッション:家でできる鍵盤たんけん

  • ミッション1:黒鍵だけで即興(そっきょう) 1分間、黒鍵だけで自由に。ペダルを少し使って“映画の音楽”を作ってみよう。
  • ミッション2:ドさがしリレー 家族と交代で「ド」を順番に弾く。スピードアップに挑戦!
  • ミッション3:調を変えて同じ曲 「きらきら星」をハ長調→ト長調に。黒鍵の場所がどう変わる?
  • ミッション4:耳コピチャレンジ 好きなCMやゲーム音の最初の3音を探してみる。白黒どちらが使われている?

8.よくあるつまずき&すぐ効くコツ

  • 黒鍵をこわがる → まずは黒鍵だけであそぶ日をつくる。音がにごったらペダルをはなす。
  • 指がもつれる → 段差を使って“指の抜け道”を作る。親指は白鍵の手前を通る意識。
  • 鍵盤の場所を忘れる → 2こ黒鍵=ドの目印。3こ黒鍵のまんなかの白鍵は、など小さな暗記カードを作る。
  • 音がかたくなる → 手の平を丸く、指先は“やさしく置く”。手首を少しゆらしてリラックス。

9.Q&A(よくあるギモン)

Q1.黒い鍵盤を使わなくても曲は弾ける?
A.弾けます。白鍵だけでも多くの童謡やわらべ歌はひけます。ただし、調を変えたり気分を変えたりするには黒鍵がとても便利。世界の名曲の多くは黒鍵を上手につかっています。

Q2.「シャープ」「フラット」ってむずかしい?
A.「少し高く」「少し低く」と覚えれば大丈夫。黒鍵を1こまぜるだけで色あいが豊かになります。楽譜のはじめに書く調号も、どの黒鍵をたくさん使うかのヒントです。

Q3.なぜ鍵盤は88こ?もっと増やせないの?
A.作曲家が求める音域をおおむねカバーでき、楽器としての大きさ・強さのバランスもよいから。特別な楽器にはもっと多いものもありますが、世界の標準は88こです。

Q4.速い曲で指がもつれる……コツは?
A.黒鍵の段差をあえて通る指づかいにすると、無理に白鍵だけをねらうよりラク。小さな音量でゆっくり→少しずつ速くを守ると安定します。

Q5.楽譜が苦手。どう練習したらいい?
A.まずは**「ド」を目でさがす→耳でたしかめる練習。短いフレーズを覚えてから、楽譜で場所を確認する行ったり来たり**が効果的。黒鍵の場所を“地図のランドマーク”にして覚えると早いよ。

Q6.黒鍵だけで曲は作れる?
A.作れます。黒鍵だけ=ペンタトニックはどんな順番でも美しくなりやすい音の集まり。はじめての作曲や即興にぴったり!

Q7.B–CとE–Fだけ黒鍵がないのは不公平?
A.むしろ道しるべ。黒鍵“なしゾーン”があることで、ひく位置を見つけやすくなっています。


10.用語じてん(やさしいことばで)

  • 半音:となり合う鍵盤の差。とてもせまい音の間。
  • 全音:半音2つ分。白鍵どうしで1こはさんだ差など。
  • 調(ちょう):曲の中心となる音と、その並び方。歌いやすい高さに合わせるしくみ。
  • 和音(わおん):2つ以上の音を同時にならして作る響き。
  • 移調(いちょう):曲の高さをまとめて変えること。
  • 音域(おんいき):出せる音のひろさ。低い音から高い音までの幅。
  • 調号(ちょうごう):楽譜のはじめに書く♯や♭のまとめ。曲でよく使う黒鍵のヒント。
  • 平均律:どの調でも弾きやすいように、音の間かくをみんなで少しずつ分け合った“ならし方”。

11.まとめ:白と黒で世界が広がる

白い鍵盤は基本の道、黒い鍵盤は寄り道や近道。2つの色があるから、私たちは12の音を自由にあやつり、明るさ・かなしさ・力強さなど気持ちの色を思いのままにえがけます。

見分けやすい配色、指が入りやすい形、長い歴史の工夫……そのぜんぶが**「ひく人にやさしい楽器」**を支えています。さあ、白と黒の鍵を両方使って、自分だけの一曲を生み出してみましょう!

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