【小学生向けに解説】なぜ川には流れがあるの?川のはじまりと流れの理由のひみつ

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おもしろ雑学

山や森で生まれた一滴の水が、谷をくだり、町をぬけ、海へたどりつくまで——川は止まらない旅人です。この記事では、川がどこで生まれ、なぜ流れ続け、場所ごとに姿がどう変わるのかを、小学生にもわかる言葉でたっぷり解説します。観察のコツ、自由研究のヒント、まとめ表Q&A用語辞典安全チェックまでそろえ、読むだけで川博士に近づける一冊です。


  1. 川のはじまりをさがそう:源流と水の集まり
    1. 雨と雪は「川のたね」
    2. 土の中の道と湧き水
    3. 森は大きなスポンジ
    4. 岩や土のちがいもカギ
    5. 小さな流れがあつまって本流へ
  2. どうして流れる?重力と高低差のしくみ
    1. 重力が「下へ下へ」とみちびく
    2. 高低差と川の速さ
    3. 地面のかたむき・岩・曲がりが左右する
    4. 幅がせまいほど速くなる?
  3. 川は形を変える:けずる・はこぶ・ためる
    1. 三つのはたらき
    2. 瀬(せ)と淵(ふち)
    3. 砂州・中州(すなす・なかす)
    4. 滝はどうしてできる?
  4. 上流・中流・下流で変わる川の姿
    1. 上流:冷たく澄み、速く、岩が多い
    2. 中流:広がり、力がほどよく、くらしに近い
    3. 下流:ゆったり大河、海へ
  5. 川といのち・くらし:自然と人の関係
    1. 生き物のすみかと「水の道」
    2. 田んぼ・畑・水道をささえる
    3. 安全を守るしくみと川のケア
  6. 季節で変わる川の表情
    1. 春:雪どけと新しい命
    2. 夏:にぎやかな水遊びシーズン
    3. 秋:水が澄み、色づく川辺
    4. 冬:静かな流れと湧き水のぬくもり
  7. 観察・自由研究:川を学ぶ実践ガイド
    1. 地図で「流域」をたどる
    2. 川辺で安全に観察する
    3. かんたん流速測定(うき子法)
    4. 透明度と色の観察
    5. 家で作るミニ川(ペットボトル実験)
    6. 土のしみこみ実験
  8. まとめ表:川の流れのひみつ
  9. Q&A(よくある質問)
  10. 用語辞典(やさしい言いかえ)

川のはじまりをさがそう:源流と水の集まり

雨と雪は「川のたね」

川の出発点は、山や高原にふるや、冬に積もったがとけた水です。しずくは土にしみこみ、やがて湧き水となって地表にあらわれます。最初はポタポタという小さな流れでも、確かな川のはじまりです。

土の中の道と湧き水

しみこんだ水は、土や岩のすき間をたどって地下の小さな道を流れ、山の斜面のどこかでこんこんと湧き出すことがあります。これが**源流(げんりゅう)**にくらす水の姿。森に包まれ、人の手がほとんど入らない場所にひっそりあります。

森は大きなスポンジ

森の土は落ち葉こけがふかふかで、雨をいったんためてゆっくり放します。だから急にふっても、一気に流れ出さず、少しずつ細い流れになって集まります。森は川の水がめのような存在です。

岩や土のちがいもカギ

水をよく通す砂や土が多い所では、地下へしみこみやすく湧き水がふえます。固い岩が多い所では地表をさーっと流れやすく、雨のあとに流れが強くなります。

小さな流れがあつまって本流へ

源流から流れだした細い水は、谷ごとに集まり支流(しりゅう)となり、いくつも合わさって本流になります。雨が多い地方や雪どけの季節には、集まる水がふえて川は太く力強くなります。

源流の手がかり(フィールドメモ)

手がかりどう見つける?注意すること
湧き水斜面や岩の下からにじむ水足元がすべりやすい
ぬれた落ち葉の筋谷すじに沿うしめった道無理に奥へ入らない
せせらぎの音風のない日に耳をすませるどうぶつのすみかに配慮
霧や冷気夏でもひんやりする場所体温調節・防寒

どうして流れる?重力と高低差のしくみ

重力が「下へ下へ」とみちびく

地球には、ものを**下に引っぱる力(重力)**があります。水も例外ではなく、高い所から低い所へ自然に流れます。お風呂の水が栓へ向かって集まるのと同じ考え方です。

高低差と川の速さ

山頂と海のあいだには高さの差(高低差)があります。差が大きいほど水は速く流れ、差が小さいところではゆっくり。同じ川でも、場所によって速さが変わるのはこのためです。

地面のかたむき・岩・曲がりが左右する

川底が急に下るときは水は勢いを増し、平らなら落ちついた流れに。川の中の岩や石、倒木は水の進み方を変え、**曲がり(蛇行)**では外側が速く、内側がゆるやかになります。

幅がせまいほど速くなる?

同じ量の水でも、道(川幅)がせまいぎゅっと押し出されて速くなり、広いゆっくりになります。川の真ん中が速く、岸ぎわが遅いことが多いのは、岸で水がこすれてブレーキがかかるからです。

流れを決める要素(早見表)

要素速さへの影響具体例
高低差大きいほど速い山間の急流/平野のゆるい流れ
川底の傾き急傾斜で速い滝・早瀬/淵(ふち)
障害物多いと乱れやすい岩・倒木・水草
曲がり外側が速いカーブの外岸は削られる
川幅せまいと速い狭い谷・橋の下

川は形を変える:けずる・はこぶ・ためる

三つのはたらき

川は流れながら、土地をけずる(侵食)・土砂をはこぶ(運搬)・下流やすみやかな所にためる(たい積)という三つのしごとをします。これが谷河原三角州といった地形を作ります。

瀬(せ)と淵(ふち)

川には、**浅くて速い場所(瀬)**と、深くてゆるい場所(淵)がつらなります。石の大きさや川底の形で決まり、魚たちは瀬でえさをさがし、淵で休むなど、場所を使い分けています。

砂州・中州(すなす・なかす)

流れがゆるむ所では、川がはこんできた砂や小石が島のようにたまることがあります。これが砂州中州。季節や大雨で形がどんどん変わる、生きた地形です。

滝はどうしてできる?

固い岩とやわらかい岩が重なった場所で、水がやわらかい岩を早くけずる段差ができます。水は段差を落ちてになり、長い時間の中で滝は上流へ少しずつさがることがあります。


上流・中流・下流で変わる川の姿

上流:冷たく澄み、速く、岩が多い

生まれたての川は幅がせまく水が冷たく流れが速いのが特徴。川底には大きな石が目立ち、急な段差もよく見られます。ヤマメやイワナ、サワガニなど冷たい水を好む生き物がくらします。足元はすべりやすいので観察は慎重に。

中流:広がり、力がほどよく、くらしに近い

川幅が広がり、流れはおだやかに。川岸には草木がふえ、アユやコイなど多くの魚が見られます。釣り、カヌー、水辺の公園など、人の暮らしと寄りそう姿が見えてきます。**河原(かわら)**で石の形や色を見比べるのも楽しいです。

下流:ゆったり大河、海へ

平野部では川は大きくゆっくり流れます。土や砂を運び、河口では三角州をつくることも。水門が多く、船が行き交い、沿岸の田んぼや町の水もここへ集まって最後は海へそそぎます。海の水とまざる**汽水(きすい)**の世界も見どころです。

上流・中流・下流の比較表

区分川幅速さ水のようす川底主な風景生き物の例
上流せまいとても速い冷たく澄む大石多い滝・急な谷ヤマメ・イワナ・サワガニ
中流ひろいほどよい透明〜ややにごる砂利・中石河原・草地アユ・オイカワ・カワセミ
下流とても広いゆっくりおだやか砂・泥水門・三角州コイ・ボラ・シジミ

川といのち・くらし:自然と人の関係

生き物のすみかと「水の道」

川は魚・カニ・カエル・水生昆虫の大切な家です。流れがあることで水がよどみにくく、酸素も入りやすくなります。春には川をさかのぼる魚、秋には川岸でくらす鳥——四季の命の舞台です。

田んぼ・畑・水道をささえる

昔から人は用水路水車で川の水を上手に使い、田んぼや畑をうるおしてきました。きれいにあらった川の水は水道にも使われ、料理やおふろ、工場の仕事など、くらしのすみずみを支えています。

安全を守るしくみと川のケア

大雨のとき、川があふれないよう堤防水門遊水地(ゆうすいち)ダムなどで水量を調節します。ふだんからごみを出さない油を流さない草木を守るなど、川を大切にする行動が安全にもつながります。

川と人のつながり(まとめ表)

分野川のはたらきくらしの例
自然生き物のすみか産卵場・越冬地・渡りの道
農業田んぼ・畑の水用水路・水車・かんがい
生活飲み水・家事浄水・水道・おふろ
安全洪水対策堤防・水門・遊水地
文化まつり・舟運花火大会・川舟・橋の名所

季節で変わる川の表情

春:雪どけと新しい命

雪どけで水がふえ、川音が力強くなります。川岸の草花が芽ぶき、魚も活発に。

夏:にぎやかな水遊びシーズン

雨が多い時期は増水に注意。晴れた日はで水しぶき、はひんやり休けい所。

秋:水が澄み、色づく川辺

水が落ち着き、透明度が上がる日も。落ち葉の色と川の青のコントラストがきれい。

冬:静かな流れと湧き水のぬくもり

気温が下がり流れは静かに。湧き水の近くは凍りにくいこともあります。

季節×観察のコツ(早見表)

季節水の量見どころ気をつけること
やや多い雪どけの勢い足元のぬかるみ
変わりやすい水遊び・生き物雷雨・増水
安定澄んだ水・落ち葉夕方の冷え
少なめ静けさ・湧き水氷・すべり

観察・自由研究:川を学ぶ実践ガイド

地図で「流域」をたどる

紙の地図や地図アプリで、家の近くの川がどこから来てどこへ行くのか、支流と本流、**分水界(ぶんすいかい)を追ってみましょう。川の家(流域)**の広さが見えてきます。

川辺で安全に観察する

観察は晴天の日の昼間に。長ぐつ軍手帽子を用意し、増水のサイン(にごり・流木)があれば近づかない。生き物はやさしく観察し、もとの場所へかならず戻すのがルールです。

かんたん流速測定(うき子法)

10メートル先を決め、葉っぱ小枝を流してかかった時間をはかります。
速さ(m/秒)= 距離(m) ÷ 時間(秒)
川の中でも、まんなか岸ぎわで速さがちがうのを比べてみましょう。

透明度と色の観察

白いコップに水をくんで、色・におい・細かい砂の有無をチェック。日光の下と日かげで見え方のちがいも比べます。

家で作るミニ川(ペットボトル実験)

空のペットボトルやトレイに砂や小石で斜面を作り、上から水を流します。坂を急にすると速く流れ、石を置くと流れが分かれる様子が見られます。せきを作ると小さなため池にもなります。

土のしみこみ実験

紙コップに砂・土・粘土を入れ、水を同じ量ずつ注いでしみこむ速さをくらべます。しみこみにくい土ほど、雨が地表を流れやすいことがわかります。

観察・記録テンプレート

日付場所天気前日雨水の色水温(℃)速さ(速・中・遅)透明度(高・中・低)生き物音・におい気づき

安全チェック(出発前に)

  • 大人といっしょに行く・行き先を伝える
  • 天気予報・川の水位情報を確認
  • サンダルでなくかかとのある靴
  • ライフジャケット(深い所・ボート遊び)
  • 雨のあとは近づかない勇気も大事

まとめ表:川の流れのひみつ

ふしぎしくみ観察・工夫のヒント
川のはじまり雨・雪・湧き水が集まる地図で源流をさがす
流れ続ける理由重力と高低差斜面でミニ川づくり
場所で違う姿上流・中流・下流でちがう葉っぱを流して速さ比べ
地形が変わるけずる・はこぶ・ためる瀬と淵・中州を探す
くらしとの関係水道・農業・安全用水路・堤防を見つける
季節のちがい雪どけ・梅雨・台風季節ごとに同じ場所で比べる

Q&A(よくある質問)

Q1:川は北から南へ流れるの?
A:いいえ。川は高い所から低い所へ流れるので、向きは場所によってちがいます。東西に流れる川もあります。

Q2:川が海へ行かないことはある?
A:あります。にそそぐ川や、砂でせき止められて湿地になる所もあります。

Q3:川が逆流することはある?
A:台風や満潮の時に、河口ちかくで一時的に水位が上がり、流れがよわくなったり逆向きになることがあります。

Q4:川の色がにごるのはなぜ?
A:雨のあとなどに土や砂を多く運ぶとにごります。時間がたつと重い粒は下に沈み、水はまた澄んできます。

Q5:一番速いのは川のどこ?
A:カーブの外側や、川のまんなかが速いことが多いです。岸ぎわや内側はゆっくりです。

Q6:川の音が場所でちがうのは?
A:岩の大きさ・水の量・速さがちがうと、音も変わります。上流のさらさら、滝のごうごう、下流のゆったりなど、耳でも観察できます。

Q7:雨がふっていないのに増水するのは?
A:上流や支流で雨がふると、下流は晴れていてもあとから水位が上がることがあります。

Q8:川のどこまでが「川」なの?
A:ふだん水がない河原も、雨の時には水が流れる川の一部です。広い所は**氾濫原(はんらんげん)**ともいいます。

Q9:湧き水はなぜ冷たい(ときに温かい)の?
A:地中の温度は急に変わりません。夏は外より冷たく、冬は外よりあたたかめに感じます。温泉は地下深くで温められた水です。

Q10:石が丸くなるのはどうして?
A:流れの中で石どうしがぶつかり合い、角がけずれて丸くなります。上流の石は角ばり、下流に行くほど丸い石がふえます。


用語辞典(やさしい言いかえ)

  • 源流(げんりゅう):川のいちばん上の出発点。
  • 支流・本流:小さな川(支流)が集まって大きな川(本流)になる。
  • 上流・中流・下流:山に近い所/まん中/海に近い所。
  • 流域(りゅういき):その川に雨が集まってくるなわばり
  • 分水界(ぶんすいかい):雨がどの川へ流れるかを分ける山の尾根。
  • 蛇行(だこう):川がくねくね曲がること。
  • 瀬・淵(せ・ふち):浅く速い所(瀬)と深くゆるい所(淵)。
  • 砂州・中州(さす・なかす):川の中にできる砂や小石の島
  • 侵食(しんしょく):流れが土地をけずること。
  • 運搬(うんぱん):土や石をはこぶこと。
  • たい積(堆積):運んだものをためること。
  • 三角州(さんかくす):川が海へはいる所でできる三角形の土の台地
  • 湧き水(わきみず):土の中から自然にしみ出す水
  • 堤防(ていぼう):川があふれないように岸を高くした土手
  • 遊水地(ゆうすいち):大雨のときだけ水をためるひろばのような土地。
  • 汽水(きすい):川の水と海の水がまざった水

さいごに
川は、雨や雪という小さな一滴からはじまり、重力にみちびかれて高い所から低い所へと旅を続けます。その道すがらいのちを育み、くらしをささえ、やがて海へ。今日からは、地図と観察カードを手に、身近な川のはじまりと流れをたどってみましょう。科学の目で見ると、いつもの川がもっとおもしろく見えてきます。

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