【小学生向けに解説】なぜ絵本には動物がよく登場するの?物語と想像力のひみつを徹底解説!

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おもしろ雑学

絵本を開くと、くま・うさぎ・きつね・ねこ・いぬ……たくさんの動物たちが生き生きと動き出します。どうして絵本には動物が多いのでしょう? 

本記事では、動物が選ばれる理由物語の中での役わり読み聞かせの工夫学びにつながる活動アイデア、そしてよく登場する動物のイメージまで、やさしく・たっぷり解説します。家庭や学校でそのまま使える表、台本例、チェックリストも充実させました。


  1. 1. どうして絵本には動物が多いの?——選ばれる5つの理由
    1. 1-1. 親しみやすく、気持ちを重ねやすい
    2. 1-2. 現実と空想の橋わたしになる
    3. 1-3. だれでも「自分ごと」にしやすい
    4. 1-4. むずかしいテーマをやわらかく伝えられる
    5. 1-5. 文化や言語をこえて届く
  2. 2. 動物の物語が育てる力——心・ことば・学びの土台
    1. 2-1. 感情語彙が増える
    2. 2-2. 思いやりときまりを学ぶ
    3. 2-3. 困難をのりこえる工夫と勇気
    4. 2-4. 言葉・推理・創造の土台
    5. 2-5. 自然や命への敬意
  3. 3. よく出る動物とイメージ・役わり(早見表)
    1. 3-1. なぜそのイメージが生まれた?
    2. 3-2. 偏った見方に気づく
  4. 4. 読み聞かせのコツと“使える”声かけ
    1. 4-1. 3ステップ読み聞かせ
    2. 4-2. 声かけ例(ねらい別)
    3. 4-3. 年齢別の楽しみ方
    4. 4-4. 読み聞かせ“ミニ台本”例
  5. 5. 家庭・授業で使える活動アイデア
    1. 5-1. 感情カード・ごっこ遊び
    2. 5-2. もしも交換日記
    3. 5-3. 森のマップづくり
    4. 5-4. 言いかえチャレンジ(語彙ふやし)
    5. 5-5. 創作リレー絵本
  6. 6. カリキュラムとつなぐ(横断学習)
  7. 7. インクルーシブな読みのポイント
  8. 8. よくある“つまずき”とリフレーム
  9. 9. 著者・作り手の目線で見る
    1. 9-1. キャラクター設計のコツ
    2. 9-2. 舞台づくり
    3. 9-3. 話の型(テンプレート)
  10. 10. 10分ミニレッスン(台本つき)
  11. 11. 家庭・教室の環境づくりチェックリスト
  12. 12. Q&A
  13. 13. 用語辞典(やさしいことば)
  14. 14. まとめ——動物たちは想像力の“案内役”

1. どうして絵本には動物が多いの?——選ばれる5つの理由

1-1. 親しみやすく、気持ちを重ねやすい

ふわふわの毛、やわらかな目、かわいらしい仕草。動物は小さな子にも身近で、**「自分の気持ちを重ねやすい相手」**です。登場人物が動物だと、はずかしさがへり、うれしい・かなしい・くやしいといった心の動きに素直に寄りそえます。

1-2. 現実と空想の橋わたしになる

動物を主人公にすると、話す・歌う・空を飛ぶ、といったちょっと不思議が自然に受け入れられます。現実から離れすぎず、夢のある場面を描けるので、子どもは物語にのめり込みやすくなります。

1-3. だれでも「自分ごと」にしやすい

動物には国・年齢・性別などの枠が薄く、多様な子どもが自分を重ねやすいのが長所。ちがいをまたいで感情移入でき、読み手の数だけ答えが生まれます。

1-4. むずかしいテーマをやわらかく伝えられる

いじめ・死・障がい・戦争・災害などの重い話題も、動物キャラクターを通すと心の安全地帯を保ちながら伝えられます。強い説教にならず、子どもが自分の言葉で考える余地が生まれます。

1-5. 文化や言語をこえて届く

動物は世界共通のイメージを持ちやすく、翻訳や国境をこえて読まれます。国際理解や多文化共生の入り口にもなります。


2. 動物の物語が育てる力——心・ことば・学びの土台

2-1. 感情語彙が増える

動物同士のやりとりは心の動きがはっきり見えます。「うれしい」「もどかしい」「ほっとする」など、感情の言葉が増え、自分の気持ちを人に伝える練習になります。

2-2. 思いやりときまりを学ぶ

順番を待つ、わけ合う、助け合う……。動物の世界は社会の小さな練習場。きまりの意味を、説教ではなく物語で体に落としこめます。

2-3. 困難をのりこえる工夫と勇気

道に迷う、失敗する、仲たがいする——山場で登場動物は知恵を出し合い、やり直す力を見せます。読み手の「ぼく・わたしもできる」を引き出します。

2-4. 言葉・推理・創造の土台

くり返し・対比・伏線などの物語の型にふれることで、文のリズムや論理をつかみ、作文・読解・プレゼンの基礎が育ちます。

2-5. 自然や命への敬意

野山や季節の描写、食べ物の循環を通して、自然観察のまなざしと「いただきます」のこころが育ちます。


3. よく出る動物とイメージ・役わり(早見表)

物語の感じ方は自由です。下の表はよくある演じ方の例として活用してください。

動物よくある性格物語での役わり・象徴一言メモ
くまおおらか・力もち・やさしい家族を包む守り手、安心感の中心抱きしめる場面が似合う
うさぎ思いやり・気配り・機転主人公や親友、弱さと勇気の両立小さくても強い心
きつねずるがしこい・頭の回転が速い山場を作る・学びのきっかけいたずらから成長へ
ねこ自由・好奇心・自分らしさ探検役、旅立ちの象徴一人時間も大切にする
いぬ忠実・元気・仲間思い助っ人、励まし役、まとめ役「一緒に行こう」が口ぐせ
ぞうおだやか・包容力・長い見通し集団の柱、知恵を授けるゆっくり確かな歩み
りすすばしっこい・観察上手小さな冒険者、情報通小さな変化に気づく
おおかみこわい・孤高(でも誤解も)試練の相手、時に味方へ視点を変えると見え方も変わる
とり自由・希望・手紙を運ぶ新しい世界の案内役高い所から全体を見る
かめのんびり・ねばり強い時間と成長の象徴、昔話の知恵者遅くても着実
かえる変身・季節のめぐり変化に向き合う心雨の日が舞台にぴったり
ぶた無邪気・食いしんぼう生活の楽しさ、等身大の失敗失敗から学ぶ喜び
しかていねい・気高い礼節、自然の調和森と相性抜群

3-1. なぜそのイメージが生まれた?

体の特徴(速い・強い・よく見る等)が、物語での役わりに重ねられてきました。体の特徴 → 心のイメージへ置き換える工夫が、読みやすさを生みます。

3-2. 偏った見方に気づく

「おおかみ=こわい」だけにしないなど、多面的な描き方を意識すると読書体験が深まります。読後に「もし別の立場なら?」と問いかけてみましょう。


4. 読み聞かせのコツと“使える”声かけ

4-1. 3ステップ読み聞かせ

  1. 予告:表紙と題名で予想。「どんな気持ちのおはなしかな?」
  2. 本編:声の高低・間・視線で気持ちを音にする。
  3. ふり返り:感じたことを一言ずつ。正解は一つではありません。

4-2. 声かけ例(ねらい別)

ねらい読み中の声かけ読み終わりの問い
気持ちに気づく「今、うさぎはどんな顔?」「自分ならどう言う?」
思いやりを広げる「順番を待てたのはなぜ?」「明日まねできることは?」
工夫・解決「他のやり方はある?」「次はどう助ける?」
視点を変える「反対の立場から見ると?」「相手のよい所は?」

4-3. 年齢別の楽しみ方

  • 未就学:音・くり返し・擬音語を楽しむ。短い言葉で十分。
  • 小学校低学年:気持ちの変化を言葉に。「うれしい→ほっとした」など言いかえ遊び。
  • 中・高学年:立場のちがい、伏線や象徴に気づく。登場人物を入れ替えて再話してみる。

4-4. 読み聞かせ“ミニ台本”例

〈場面〉うさぎが迷子で心細い

  • 大人:(小さな声で)「うさぎは今、胸がきゅっとしてるね」
  • 子ども:「こわいのかな」
  • 大人:「もし近くにあなたがいたら、なんて声をかける?」
  • 子ども:「いっしょに帰ろう!」

5. 家庭・授業で使える活動アイデア

5-1. 感情カード・ごっこ遊び

登場動物の顔(よろこび・おこり・かなしい・びっくり)カードを作り、場面に合わせて気持ちをマッチング。言葉での表現が苦手な子にも効果的。

5-2. もしも交換日記

「もしもきつねがクラスに来たら?」などのテーマで一言日記。視点を動かす練習になります。

5-3. 森のマップづくり

物語の舞台を地図に。家・森・川・山を描き、動物シールで移動させて原因と結果を可視化。

5-4. 言いかえチャレンジ(語彙ふやし)

「かなしい→しょんぼり→胸がずんとする」など、段階のある言葉を集める。

5-5. 創作リレー絵本

1ページずつ交代で絵と文を足す協力創作。終わりまで残したい要素(主人公・目的)を最初に決めるとまとまります。


6. カリキュラムとつなぐ(横断学習)

  • 国語:登場人物の心情曲線をグラフ化。クライマックスを客観視。
  • 図工:動物マスク・指人形制作で身体表現
  • 生活・理科:実際の動物の生態を調べ、物語の設定と比べる
  • 音楽:場面に合うBGMを選曲し、読み聞かせに合わせて演奏。
  • 道徳:思いやり・約束・やり直しを具体行動に落とす。

7. インクルーシブな読みのポイント

  • ちがいに光を当てる:体・心・環境のちがいを価値として描く台詞を一言添える。
  • 安全な場づくり:こわい場面の前は予告、終わりに安心のしめくくり
  • ことばの配慮:ラベリングを避け、行動に注目。「○○だから××」ではなく「こうしたら助かったね」。

8. よくある“つまずき”とリフレーム

つまずきありがちな対応リフレーム(言いかえ・工夫)
こわがる「大丈夫でしょ」「こわい気持ちに名前をつけよう。どこがこわかった?」
途中で飽きるただ読み進める役を交代・台詞を一言まねっこ・次の展開を予想
暴れる場面で真似するしかる代わりの行動を提示(深呼吸・もぐもぐガムのまね)

9. 著者・作り手の目線で見る

9-1. キャラクター設計のコツ

  • 弱さと強さの両方を入れる(強いくまにも怖いものがある等)。
  • 口ぐせ・しぐさ・好きなものを決め、一目で伝わる個性に。

9-2. 舞台づくり

季節・時間帯・音・においを一つずつ足すと、没入感が上がります。

9-3. 話の型(テンプレート)

「出発→試練→助け合い→発見→帰還→成長」の6コマで下書きすると、安心して広げられる


10. 10分ミニレッスン(台本つき)

  1. 表紙を見せて予想(1分)
  2. 1場面だけ音読(3分)
  3. 感情カードで気持ち当て(3分)
  4. 明日できる一歩を宣言(3分)

例の宣言:

  • 「順番まつの合図に手をひざに」
  • 「『貸して』を言ってみる」

11. 家庭・教室の環境づくりチェックリスト

  • 表紙が見える向きで本を並べる(選びやすい)
  • 床座りスペースと背中クッション
  • しずかなBGM/読みの前後はBGMオフ
  • こわかった人の避難席(退出OKの合図)
  • 感情カード・指人形の常備

12. Q&A

Q1. どうして人間でなく動物が主人公なの?
A. だれでも自分を重ねやすく、空想の場面も自然に受け入れられるから。心の学びに入りやすくなります。

Q2. こわい動物が苦手な子には?
A. 読む前に予告、読む最中は共感の言葉、読後は気持ちの言語化と安心のしめで。別の見方(助けてくれる面)も一緒に考えます。

Q3. 同じ本をくり返し読みたがるのは大丈夫?
A. 大歓迎。くり返しは安心感と理解の深まりにつながります。読むたびに新しい発見が生まれます。

Q4. 家に動物がいなくても大丈夫?
A. 絵本は想像の入り口。公園の鳥や季節の虫を観察するだけでも実感がふくらみます。

Q5. 読み聞かせが苦手…どう練習する?
A. 録音して声の速さ・間を確認。**一冊を“得意本”**に決めて繰り返すと上達が早いです。


13. 用語辞典(やさしいことば)

  • 感情移入:登場人物の気持ちを自分のことのように感じること。
  • 山場:お話の一番はらはらする場面。気持ちや出来事が大きく動く。
  • 象徴:ある物や動物に、考えや気持ちの意味を持たせること。
  • 再話(さいわ):物語を自分の言葉で言いかえること。理解が深まる。
  • 伏線:後の展開のためにさりげなく置かれたヒント。

14. まとめ——動物たちは想像力の“案内役”

動物たちは、読み手の心にそっと寄りそい、空想と現実のあいだに橋をかけてくれる存在です。くまの包容力、うさぎの思いやり、ねこの自由さ、きつねの知恵——それぞれの姿に、自分や友だちの一面が映ります。

今日の読み聞かせから、一つの気持ちの言葉・一つの思いやりの行動を持ち帰ってみましょう。絵本の時間が、明日のやさしさと学びにつながります。

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