「日本一安全な県はどこ?」
引っ越しや移住を考え始めると、一度は気になるテーマです。できれば自然災害が少なくて、治安もよくて、病院も近くて、暮らしやすい場所に住みたい。これはかなり自然な感覚です。
ただ、ここで最初に言っておきたいのは、公的に決まった“日本一安全な県”はないということです。安全は一つの数字で決まりません。自然災害をどこまで避けたいか、治安をどこまで重視するか、通院や通学のしやすさをどこまで優先するかで、答えが変わるからです。国土交通省はハザードマップポータルサイトで洪水、土砂、津波、高潮などを重ねて確認できるようにしており、警察庁は都道府県別の犯罪統計を公表し、厚生労働省は医師数などの医療統計を出しています。つまり、「安全」は最初から一つの県名で決め打ちするより、複数の軸で見るほうが正確です。
この記事では、元記事のように無理に一県を断定せず、読者が自分の家庭に合う“安全な県”を判断できることを目標にします。前半で結論を返し、後半で「何を見ればよいか」「どこで失敗しやすいか」「移住前に何を確認すべきか」まで落とし込みます。読んだあとに、我が家ならどこを候補にするかが決めやすくなる構成です。
結論|この記事の答え
結論から言うと、日本一安全な県を一つに断定するのはおすすめしません。
その代わり、判断しやすい答え方があります。
まず、自然災害を最優先するなら、津波や高潮の直撃を受けにくい内陸県は候補に入りやすいです。海がないぶん、津波と高潮の心配が大きく減るからです。ただし、内陸なら何でも安全というわけではなく、洪水や土砂災害、冬季の雪害は地域差があります。国土交通省のハザードマップポータルサイトでも、洪水、土砂、津波、高潮などのリスクを場所ごとに確認する前提になっています。
次に、治安の数字を重視するなら、警察庁の2023年統計では、人口10万人当たり刑法犯認知件数は全国392.4に対し、岩手245.6、秋田262.9、福井381.7、長野387.7でした。少なくともこの年の数字だけを見ると、岩手、秋田、福井、長野は全国平均より低い水準です。
さらに、住みやすさまで含めて考えるなら、病院までの距離、通勤通学のしやすさ、買い物のしやすさ、雪や停電への強さまで見ないと、実際の「安全」は判断しにくいです。厚生労働省は医師数の都道府県別統計を公表していて、医療アクセスは確認できる項目ですし、国土交通省はハザードマップ確認を呼びかけています。つまり、安全な県を探すときは、県名より自宅の立地と生活動線を見るほうが実用的です。
※前提:公的に「日本一安全な県」を決めた公式ランキングはありません。
そこでここでは、自然災害の避けやすさ・治安・暮らしの回しやすさを重視した、家庭向けの実用ランキングとして整理します。自然災害は国のハザードマップで住所単位の確認が前提で、治安は警察庁や各県警の犯罪統計を土台に見るのが安全です。
日本一安全な県ランキング
1位 長野県
内陸で津波・高潮の直撃を避けやすく、犯罪率も全国平均以下。
海なし県の一つで、少なくとも沿岸災害を大きく減らしやすい候補です。加えて、警察庁の令和5年統計では、長野県の人口10万人当たり刑法犯認知件数は387.7で、全国平均392.4を下回っています。
「自然災害を減らしたい」「治安もある程度ほしい」人には最有力候補として置きやすい県です。
2位 福井県
治安の数字が比較的よく、暮らしの落ち着きも出しやすい県。
警察庁の令和5年統計では、福井県の人口10万人当たり刑法犯認知件数は381.7で、全国平均を下回っています。海には面していますが、日本海側なので、太平洋沿岸の津波・高潮リスクをそのまま当てはめる見方はしにくく、物件ごとにハザードマップを確認すれば候補に入れやすい県です。
3位 滋賀県
海なし県で、犯罪率も全国平均よりやや低め。
滋賀県は海に面していない県の一つで、滋賀県の令和5年犯罪概況では、人口1万人当たりの犯罪率は約55.0件、全国平均は約56.1件でした。単純換算で全国平均よりやや低い水準です。
「関西圏の利便性を残しつつ、津波や高潮の不安を減らしたい」人にはかなり現実的です。
4位 岩手県
犯罪率の低さは全国トップクラス。
警察庁の令和5年統計では、岩手県の人口10万人当たり刑法犯認知件数は245.6で、全国平均を大きく下回っています。治安の数字だけで見るならかなり強い候補です。
一方で沿岸部は津波リスクがあるため、「県全体が安全」というより、内陸部を選ぶなら強い候補と考えるのが現実的です。
5位 秋田県
治安の数字がかなり低く、落ち着いた暮らしを作りやすい県。
警察庁の令和5年統計では、秋田県の人口10万人当たり刑法犯認知件数は262.9で、全国平均を大きく下回っています。
ただし、日本海側の沿岸や豪雪リスクは無視できないため、「犯罪の少なさを重視しつつ、雪や生活動線まで考えられる人向け」の候補です。
ランキングを一言でまとめると
| 順位 | 県名 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 1 | 長野県 | 災害と治安をバランスよく重視したい人 |
| 2 | 福井県 | 落ち着いた暮らしと治安を重視したい人 |
| 3 | 滋賀県 | 関西圏の利便性を残しつつ安全寄りを狙いたい人 |
| 4 | 岩手県 | 治安をかなり重視し、内陸部を選べる人 |
| 5 | 秋田県 | 犯罪の少なさを重視し、雪への備えもできる人 |
このランキングは、「どの県が絶対安全か」ではなく、「どんな人に向くか」で使うのが正解です。
国のハザードマップポータルサイトでも、洪水、土砂、津波、高潮は住所単位で確認する前提になっています。だから、県ランキングで候補を絞ったら、最後は必ず物件の住所で確認してください。
迷ったら、次の判断フレームが使えます。
「津波や高潮を絶対に避けたい人」はA。内陸県を優先。
「治安の数字を重く見る人」はB。警察統計で全国平均より低い県を候補にする。
「高齢の親の通院や子どもの通学を重視する人」はC。病院と生活動線を先に見る。
「迷ったら」D。長野県のように、内陸で犯罪率も全国平均以下の県を“安全寄りの有力候補”として検討しつつ、物件ごとにハザードマップで再確認する。
これが、断定しすぎず、実生活でも使いやすい最適解です。
日本一安全な県は一つに決められない|まず押さえたい前提
「日本一安全な県」と聞くと、つい一位を知りたくなります。
でも、防災や暮らしの安全は、受験の偏差値のように一列で並べると、かえって判断を間違えやすくなります。なぜなら、沿岸部と内陸部、雪国と温暖地、大都市近郊と地方中核都市では、危険の種類が違うからです。気象庁も、台風、大雨、津波、地震、火山などをそれぞれ別の情報体系で発表しており、見るべき指標が違うことを前提にしています。
「安全」を4つに分けると判断しやすい
安全を考えるときは、少なくとも次の4つに分けると整理しやすいです。
| 軸 | 見るべきもの | 判断のポイント |
|---|---|---|
| 自然災害 | 洪水、土砂、津波、高潮、地震 | 県名より自宅の立地を確認 |
| 治安 | 人口当たり刑法犯認知件数、夜道の見通し | 数字と現地感覚の両方を見る |
| 医療 | 病院までの距離、救急、通院のしやすさ | 子育て世帯と高齢世帯で重要度が違う |
| 生活基盤 | 通勤通学、買い物、停電時の強さ | 「便利さ」も安全の一部 |
この表の意味は、「安全=災害が少ない」だけではない、ということです。たとえば災害リスクが相対的に低くても、夜道が暗く、病院が遠く、雪で孤立しやすいなら、家族によっては住みにくいかもしれません。逆に、多少の災害リスクがあっても、医療と交通が強く、避難体制が整っていれば、暮らしやすさは高い場合があります。
どんな人にどんな県が向くかの早見表
ここを先に整理すると、県選びがかなり楽になります。
| どんな人か | 向きやすい県の考え方 | 理由 |
|---|---|---|
| 津波・高潮がとにかく不安 | 内陸県 | 海がない分、そのリスクが大きく減る |
| 犯罪の少なさを重視 | 岩手・秋田・福井・長野などを候補に | 2023年の刑法犯認知件数が全国平均以下 |
| 子育てと通院を重視 | 県単位より市町と生活圏を優先 | 病院と学校の距離が体感安全を左右 |
| 迷ったら | 県ランキングより物件ごとのハザード確認 | 最後は住所単位で見るのが現実的 |
この「どんな人ならどんな県か」を先に決めると、ネットの雑なランキングをそのまま信じなくて済みます。ここが、元記事から一段実用的にしたいポイントです。
自然災害で見ると安全な県はどこか
自然災害だけを重く見るなら、海に面していない県はやはり有利です。
津波と高潮のリスクがなくなるのは大きいからです。気象庁は高潮を、台風や発達した低気圧による「吸い上げ効果」「吹き寄せ効果」で短時間に急激な潮位上昇が起こる現象だと説明しており、沿岸部では暴風が吹き始める前に避難完了が重要だとしています。つまり、沿岸に住む限り、このリスクは避けにくいわけです。
内陸県が有利になりやすい理由
内陸県が有利なのは、単純に海がないからだけではありません。
津波、大規模高潮、塩害、沿岸低地の広域浸水といった、海由来の大きな被害を受けにくいのが強みです。だから「自然災害を減らしたい」という意味では、長野、山梨、群馬、岐阜のような内陸県は候補に入りやすいと言えます。これは公式ランキングではなく、ハザードの種類から見た実務的な推論です。
ただし、内陸県にも弱点はあります。
河川沿いの洪水、扇状地の浸水、山沿いの土砂災害、寒冷地なら大雪や路面凍結です。土砂キキクルでは「危険(紫)」が警戒レベル4相当で、危険な場所からの避難が必要とされています。つまり、海がなければ終わりではなく、「自宅の近くに川や斜面がないか」を必ず見ないといけません。
海あり県でも安全性を上げられるケース
一方で、海がある県がすべて不利とも言えません。
県内でも内陸寄りの市町に住む、標高のある場所を選ぶ、ハザードマップで津波・高潮浸水想定区域を外す、といった方法で安全性を上げる余地があります。国土交通省のハザードマップポータルサイトは、住所や現在地から洪水、土砂、津波、高潮などを重ねて確認できる仕組みです。移住や住宅選びでは、この確認をやらないのはかなりもったいないです。
治安で見ると安全寄りの県はどこか
治安を数字で見たいなら、警察庁の統計が土台になります。
2023年の人口10万人当たり刑法犯認知件数は、全国392.4でした。その中で、岩手245.6、秋田262.9、福井381.7、長野387.7は全国平均を下回っています。少なくとも「犯罪の数字を重く見たい人」にとって、この4県は候補に入れやすいです。
警察統計で見える傾向
ここで見えてくるのは、必ずしも「有名な住みやすい県」=「犯罪率が低い県」ではない、ということです。
また、県全体の数字が低くても、駅周辺や繁華街、観光地で体感は変わります。だから、県の統計は入口としては便利ですが、最後は市町村や生活圏で見直す必要があります。これは移住で見落としやすいポイントです。
数字だけでは見えない夜道と生活動線
治安は、数字だけで決めると失敗することがあります。
たとえば、夜道が暗い、歩道が狭い、駅から家までに死角が多い、子どもの通学路に見通しの悪い場所がある。こういう要素は、統計だけでは見えません。
なので、「治安を優先したい人」はA。まず警察統計で候補県を絞る。
「子育て世帯」はB。夜の帰宅ルートと通学路を現地で歩く。
「迷ったら」C。昼と夜、平日と休日の2回は現地を見る。
これをやるだけで、体感のズレはかなり減ります。
住みやすさまで含めて考える|医療・交通・買い物で差が出る
本当に住み続けられる県を探すなら、自然災害と治安だけでは足りません。
病院が遠い、雪の日に通院できない、買い物が極端に不便、停電時に生活が止まる。こうした要素も「安全」の一部です。厚生労働省は都道府県別の医師数統計を公表しており、医療アクセスは客観的に確認できる項目です。
子育て世帯と高齢世帯では安全の意味が違う
安全の意味は、家庭で変わります。
子育て世帯なら、小児科、保育園、通学路、夜間救急。
高齢世帯なら、日常の通院、冬の移動、買い物、近所付き合い。
一人暮らしなら、治安、駅から家までの道、停電時の孤立しにくさ。
つまり、「みんなに安全な県」を探すより、「うちにとって安全な県」を探したほうが、ずっと正確です。
移住前に確認したいチェックリスト
次の表は、そのまま使える確認用です。
| 確認項目 | 見るもの | 失敗しにくい見方 |
|---|---|---|
| 災害 | 洪水・土砂・津波・高潮ハザード | 物件の住所で確認 |
| 治安 | 警察統計、夜道、通学路 | 数字+現地歩き |
| 医療 | 病院までの時間、夜間救急 | 晴れの日だけでなく荒天も想像 |
| 生活 | スーパー、学校、駅、職場 | 毎日の動線で見る |
| 住宅 | 1階か2階以上か、川や崖との距離 | 県より立地を重視 |
このチェックをやってからなら、県ランキングに振り回されにくくなります。逆に言うと、これをやらずに「安全そうだから」で決めるのは危ないです。
よくある失敗とやってはいけない例
「安全な県探し」で多い失敗は、県名だけで安心してしまうことです。
でも、同じ県でも海沿いと山沿いでは条件が違いますし、県庁所在地と郊外でも暮らしやすさは変わります。安全は県名で決まるのではなく、住所と生活動線で決まる部分が大きいです。
ランキングだけで決める失敗
ありがちな失敗は、こんな感じです。
「海がないから絶対安全」と思い込み、土砂や洪水を見ない。
「犯罪率が低いから安心」と思い込み、夜道や駅前を見ない。
「病院が県内に多い」と聞いて安心し、実際の通院時間を見ない。
「住みやすい県ランキング」を信じて、ハザードマップを確認しない。
どれも、引っ越してから後悔しやすいパターンです。
これはやらないほうがよい判断
一般的には、次の判断はやらないほうがよいです。
・県全体の印象だけで物件を決める
・沿岸県なのに高潮や津波想定区域を見ない
・山沿いなのに土砂災害警戒区域を見ない
・夜の駅前や通学路を一度も歩かない
・高齢家族がいるのに通院ルートを確認しない
・「安全そうだから防災備蓄は少なくてよい」と考える
特に最後は危ないです。どの県でも停電、断水、道路寸断は起こりえます。気象庁や国土交通省が災害リスク確認を繰り返し呼びかけているのは、そのためです。
結局どう備えればいいか|我が家版「安全な県」の決め方
ここまで読むと、「じゃあ結局どこがいいのか」と思うかもしれません。
答えは、県を当てにいくより、家庭の優先順位を先に決めることです。
実務的には、この順番が失敗しにくいです。
1つ目に、津波・高潮を避けたいかどうか。
2つ目に、犯罪の少なさをどこまで重く見るか。
3つ目に、通院・通学・買い物のしやすさをどこまで必要とするか。
4つ目に、物件単位でハザードマップを確認する。
この流れなら、「なんとなく良さそう」で決めずに済みます。
戸建て・車あり家庭
戸建てで車を使う家庭は、県より立地が重要です。
1階浸水、止水、雪、車の退避先、近くの川、崖、夜道。見る場所が多いぶん、物件選びの時点で防げる失敗も多いです。
「海が怖い戸建て家庭」はA。内陸県を先に候補化。
「治安も重視したい戸建て家庭」はB。長野や福井のように犯罪率が全国平均以下の県を候補に。
「迷ったら」C。県より標高、川との距離、病院までの時間を見ます。
このCがいちばん実用的です。
集合住宅・子どもや高齢者がいる家庭
集合住宅は、浸水にはやや強いことがありますが、停電、断水、エレベーター停止には弱いです。
子どもがいる家庭は、学校と小児科。
高齢者がいる家庭は、通院と避難のしやすさ。
持病がある人がいる家庭は、一般論より主治医や薬の確保を優先する場面もあります。
「子育て世帯はA。通学路と夜間救急を先に」
「高齢世帯はB。普段の通院と買い物動線を先に」
「迷ったら」C。2階以上、水、簡易トイレ、照明、充電、薬をひとまとめにする。
どの県でも、この最小解はかなり強いです。
最後に、雑学として一言で言うなら、
「日本一安全な県」は一つの名前で決まるものではなく、“災害に強い立地”と“治安の低さ”と“暮らしの回しやすさ”が重なる場所です。
だから、話のネタとしては「総合1位は断定できないけれど、長野や福井のような県は候補に入りやすい」と覚えておくと、かなり現実に近い言い方になります。
まとめ
「日本一安全な県はどこか」に、公式の一つの答えはありません。
自然災害を強く避けたいなら内陸県が有利になりやすく、治安の数字を重く見るなら岩手、秋田、福井、長野のように刑法犯認知件数が全国平均以下の県は候補に入りやすいです。けれど、最後は県よりも住所と生活動線で決まります。
結局のところ、安全は「場所×運用」です。
海から離れる、川や斜面を確認する、夜道を歩く、通院ルートを見る、水と簡易トイレを備える。こうした地味な確認の積み重ねが、県ランキングよりずっと強いです。
この記事で読者が今日やるべき行動を3つ
- 候補の県を3つに絞ったら、まず物件の住所でハザードマップを確認する。
- 候補の県や市町について、夜の駅前・通学路・通院ルートを現地または地図で確認する。
- どの県に住んでも使えるように、水、簡易トイレ、照明、充電、家具固定の5点を先に整える。


