韓国の伝統スイーツやデザートにはどんな種類がある?人気の韓国菓子とおすすめの楽しみ方を徹底解説

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韓国の伝統スイーツ(韓菓・ハングァ)は、彩りの美しさ、体にやさしい素材、四季や行事と結びついた物語性が魅力です。本稿では、宮中に端を発する歴史から家庭のおやつ、屋台の甘味、現代アレンジ、贈り物選びまでを網羅。

種類別の見分け方、味わいの特徴、相性のよい伝統茶、保存のこつ、撮り映えの工夫に加え、地域別の名物、簡単レシピ、アレルギー配慮、価格帯や購入先、Q&Aと用語辞典まで“これ一つ”でわかります。


韓国伝統スイーツの魅力・歴史・文化背景

宮中と暮らしで育まれた甘味史

王朝時代、宮中では行事や祭礼ごとに専任の菓子職人が四季の素材を生かした甘味を整えました。一方で市場や家庭では、米や雑穀、豆、木の実、果物を使った素朴な甘味が受け継がれ、祝い事やもてなしの必需品に。宮廷の精緻さと庶民の温かさ――二つの流れが合流して、現在の韓国菓子の豊かな世界が形づくられました。

素材と調理法に宿る「養生」の知恵

もち米・うるち米・雑穀、小豆・緑豆、胡麻、松の実、栗、棗(ナツメ)、柚子、蜂蜜、米飴など、土地の恵みを中心に使用。蒸す・和える・干す・揚げる・焼くといった製法で、砂糖に頼りすぎないほどよい甘さと香ばしさを引き出します。「体を温める」「季節の変わり目に備える」といった養生の発想が息づいています。

四季と行事に寄り添う甘味の役割

旧正月(ソルラル)、秋夕(チュソク)、初誕生日(トルチャンチ)、受験合格、婚礼や長寿祝い……節目に必ず登場するのが韓菓です。春は花餅、夏は涼菓、秋は木の実の菓子、冬は蒸し菓子や温かい甘粥と、季節ごとに主役が入れ替わります。


餅菓子(トッ/떡)の種類と選び方

行事を彩る「祝い餅」

  • ソンピョン(松餅):松葉の香りをまとわせた半月形の蒸し餅。秋夕の主役。中身は小豆・黒胡麻・栗など。つややかな表面とほのかな松の香りが持ち味。
  • ペクソルギ(白雪糕):まっ白でふんわり。初誕生日や合格祝いなど「新しい門出」に。
  • シルトク:果実やナツメ、松の実を散らして蒸す華やかな祝い餅。写真映えも抜群。

日常にうれしい「定番餅」

  • インジョルミ:つきたての餅に炒り大豆の粉をまぶした香ばしい王道。軽い甘さで世代を問わず人気。
  • カムジャトッ/ヨモギトッ:じゃがいも粉やよもぎを練り込んだ素朴な味わい。朝食やおやつに。
  • チャルトッ:もっちり食感の基本形。きな粉や黒胡麻、蜂蜜と相性よし。

見映えも楽しい「多色・重ね餅」

  • ムジゲトッ(虹餅):赤・黄・緑など色の層を重ねた祝いの主役。切り口の美しさが自慢。
  • コインドッ(型押し餅):花型や紋様型で抜いた上品なひと口サイズ。客人へのお茶請けに。
  • 花餅(ファトッ):食用花で彩った可憐な装い。春の贈り物に最適。

撮り映えのこつ:切り口を見せる、木皿や素朴な布を合わせる、季節の花や茶器を添えると色が引き立ちます。

餅菓子の早見表(主素材・味・相性の茶)

名称主素材味・食感よく食べる時季・場面相性のよい伝統茶
ソンピョンうるち米、松葉、豆餡もっちり、松の香り秋夕、婚礼前後ナツメ茶、五味子茶
ペクソルギうるち米ふんわり、淡甘初誕生日、合格祝い柚子茶、菊花茶
インジョルミもち米、炒り大豆粉香ばしく柔らか日常のおやつ緑茶、とうもろこし茶
ムジゲトッもち米、食材由来の色粉しっとり、多層祝いの席全般五味子茶、双和茶
シルトクうるち米、果実・木の実しっとり、具の香り婚礼、長寿祝い高麗人参茶、黒豆茶
花餅もち米、食用花やさしい甘み、華やか春の贈り物緑茶、菊花茶

揚げ菓子・蜜菓子・焼き菓子を深掘り

香ばしさが決め手の「油菓(ユグァ)・薬菓(ヤックァ)」

  • 薬菓(ヤックァ):小麦粉やもち米粉に胡麻油・蜂蜜・生姜汁などを合わせ、型で抜いて揚げた後に蜜にからめる伝統菓子。しっとりとコク深い甘さ。
  • ユグァ(油菓):米粉生地を揚げ、米飴でからめた軽やかな口あたり。祝儀や贈答に用いられます。

市場・屋台で愛される焼き立ての甘味

  • ホットク:もっちり生地に黒糖・胡桃・桂皮を包み、鉄板で押し焼き。寒い季節の行列名物。
  • クァベギ:ねじり揚げパンに砂糖をまぶした素朴な一本。食べ歩きに最適。
  • プンオパン(鯛焼き風):小豆餡入りの型焼き。冬の定番おやつ。
  • ホドゥグァジャ(胡桃まんじゅう):香ばしい胡桃と餡のベストマッチ。お土産にも人気。

祝い・贈答で映える「カンジョン・茶食」

  • カンジョン:炒った米や雑穀、ナッツを米飴で固めた香ばしい板菓子。色や形の組み合わせが楽しく、箱入りの進物にも向きます。
  • 茶食(チャシク):胡麻や松の実を練って丸めた一口菓子。お茶席に最適。

揚げ・蜜・焼き菓子の早見表

名称主素材特色似合う場面相性の茶
薬菓小麦粉、胡麻油、蜂蜜しっとり、香り高い婚礼、季節の贈り物生姜茶、双和茶
ユグァ米粉、米飴軽やか、ぱりっと祝い、茶会緑茶、玄米茶
ホットク小麦粉、黒糖、胡桃熱々、香ばしい蜜冬の屋台、軽食柚子茶、桂皮茶
クァベギ小麦粉、砂糖素朴、食べ歩き市場散策のお供牛乳、豆乳
カンジョン米、雑穀、ナッツ、米飴ザクザク香ばしい進物、客人もてなし五味子茶、黒豆茶
ホドゥグァジャ小麦粉、胡桃、餡香ばしい、常温向き土産、ティータイム緑茶、ナツメ茶

伝統茶とペアリング/季節の楽しみ方

基本の伝統茶(効能と味わい)

  • 五味子茶(オミジャ茶):酸・甘・塩・苦・辛の五味。爽やかな酸味で夏場ののどを潤す。冷やしても温めてもよし。
  • 柚子茶(ユジャ茶):皮の香りと蜂蜜のやさしい甘さ。冬場の乾燥対策や喉のいたわりに。
  • ナツメ茶(テチュ茶):まろやかな甘みで体を温める。就寝前にも向く。
  • 菊花茶(クックァ茶):すっきりとした香り。油菓や焼き菓子の後味を整える。
  • 双和茶(サンファ茶):生姜・桂皮などを煎じた濃い薬茶。寒い日の一杯にうれしい。
  • とうもろこし茶/黒豆茶:ノンカフェインで食中・食後に万能。香ばしさが餅と好相性。

菓子別ペアリング早見表

菓子の系統具体例合う伝統茶理由
餅菓子(淡甘)ペクソルギ、インジョルミ柚子茶、緑茶淡い甘さを香りで引き立てる
餅菓子(具入り)ソンピョン、シルトクナツメ茶、五味子茶木の実・豆のコクに調和
揚げ・蜜菓子薬菓、ユグァ、カンジョン菊花茶、双和茶油の後味をすっきり整える
焼き立て屋台ホットク、プンオパン柚子茶、桂皮茶甘い蜜と香りの相乗効果
ナッツ系茶食、胡桃菓子黒豆茶、高麗人参茶こうばしさを丸く包む

季節ごとの甘味カレンダー

季節主役の甘味楽しみ方の例
花餅、よもぎ餅野点風に外で。薄茶や柚子茶と
スジョングァ、果物の涼菓、かき氷氷を浮かべた五味子茶で涼をとる
ソンピョン、カンジョン、栗餅収穫祭や秋夕の食卓で家族と
ホットク、温甘粥(タンパッチュク)生姜の茶で体を温め、ゆっくり語らう

地域別・名物スイーツ案内(旅のヒント)

地域名物甘味特徴・買える場所旅のワンポイント
ソウル(広蔵市場ほか)薬菓、カンジョン、ホットク伝統市場の専門店と屋台が密集食べ歩きと量り売りの両方を体験
全州韓屋カフェの茶食、花餅韓屋街で上質な盛り付け文化韓屋ステイで朝の茶菓を楽しむ
安東ユグァ祝い事用の上品な油菓が有名箱入り進物をホテルに配送可能
釜山クァベギ、ホドゥグァジャ港町らしい屋台文化が色濃い焼き立て時間を店員に聞くと吉
済州みかんカンジョン、柚子菓柑橘×ナッツのご当地アレンジ空港売店の限定パッケージを狙う

かんたん実践レシピ(家庭で再現)

電子レンジで作るミニ・インジョルミ(約10分)

  1. もち粉100g・砂糖大さじ1・塩ひとつまみ・水120mlを耐熱ボウルで混ぜる。
  2. ラップをふんわりかけ、600Wで2分→よく混ぜる→さらに2分加熱。
  3. きな粉(砂糖少々・塩少々を混ぜる)を広げた台に生地を落とし、粉をまぶして一口大に切る。
  4. 仕上げに蜂蜜をほんの少し。黒胡麻を振ると風味アップ。

フライパンで作る即席ホットク(4枚)

  1. 強力粉120g・薄力粉30g・砂糖小さじ1・ドライイースト小さじ1/2・塩ひとつまみ・ぬるま湯100mlを混ぜ、10分休ませる。
  2. 黒糖40g・シナモン少々・刻み胡桃大さじ2を餡にする。
  3. 生地で餡を包み、油をしいたフライパンで押し焼き。両面こんがりで完成。

スジョングァのベーシック

  1. 水1Lに干し柿3個・生姜スライス10g・桂皮(シナモン)1本・砂糖大さじ2を入れ、弱火で20分。
  2. 冷やして松の実を浮かべる。甘さとスパイスは好みで調整。

アレルギー・食習慣への配慮ガイド

関心ごと選びやすい菓子注意ポイント
小麦を控えたい餅菓子(米主体)、茶食薬菓・ホットク・ホドゥグァジャは小麦使用が多い
乳成分を避けたい伝統餅、ユグァ、カンジョンモダン韓菓のクリーム系は原材料表示を確認
ナッツ不使用にしたいペクソルギ、シンプル餅茶食・カンジョン・ホドゥ系は避ける
ベジ志向多くは植物性蜂蜜使用の有無を確認(ヴィーガン配慮)
低糖を意識餅を小さく切り、茶で満足感を補う米飴・蜂蜜でも糖質はあるので量に注意

購入先・価格帯・保存と持ち帰り

どこで買う?

  • 伝統市場:量り売りで少量から試せる。職人と会話も楽しい。
  • 百貨店・空港:贈答向けの美麗パッケージが豊富。保冷材付き対応も。
  • 韓屋カフェ・専門店:盛り付けや器まで含めた体験重視。
  • オンライン:長期保存の乾菓子・缶入りが中心。季節限定も狙い目。

おおよその価格感(目安)

品目価格帯(現地)備考
インジョルミ(1人前)3,000〜6,000KRWカフェはドリンクセットも
ホットク(1枚)1,500〜3,000KRW具材で変動
薬菓(個包装)1,000〜2,500KRW箱入りは単価上昇
カンジョン(100g)3,000〜7,000KRWナッツ種類で差
贈答セット20,000〜100,000KRW季節・箱・量で幅広い

保存と持ち帰りの実践ポイント

  • :乾燥に弱い。すぐ食べない分は小分け冷凍→自然解凍→軽く蒸す。
  • 油・蜜菓:湿気厳禁。乾燥剤と一緒に密封。高温を避ける。
  • 渡航持ち帰り:液体蜜は機内手荷物NGのことも。常温可の個包装が安全。

盛り付け・撮影・贈る作法のヒント

  • 盛り付け:白磁や木皿に“余白”を残して置くと上品。色の強い餅は中央に、高さ差をつける。
  • 撮影:自然光・斜光・影を活かす。断面を1つ見せ、茶器や季節の花を添える。
  • 贈る作法:目上には落ち着いた配色と上質素材。韓紙(ハンジ)や布包みで一層格上げ。

よくある質問(Q&A)

Q1.甘さは強いですか?
A.砂糖だけに頼らず、蜂蜜や米飴、木の実の香ばしさで味を整えるものが多く、穏やかな甘さが基本です。

Q2.小麦を控えているのですが、選べますか?
A.餅菓子の多くは米が主原料。原材料表示を確認し、薬菓や焼き菓子系は避けると安心です。

Q3.菜食でも楽しめますか?
A.多くは植物性ですが、蜂蜜を使う品があります。気になる場合は蜂蜜不使用の表示や店員に確認を。

Q4.どこで買えば良いですか?
A.伝統市場、韓屋カフェ、百貨店の菓子売り場、専門店の通販など。旅では市場×カフェの“はしご”がおすすめ。

Q5.写真をきれいに撮るこつは?
A.自然光、木皿や白い器、茶器・季節の花を添える、断面を見せる――この四点で一気に映えます。

Q6.行事ごとの定番は?
A.初誕生日は白いペクソルギ、秋夕はソンピョン、婚礼や長寿祝いはシルトクやカンジョンが定番です。

Q7.子ども向けには?
A.甘さ控えめのペクソルギや小さなインジョルミを。ナッツ類は年齢に合わせて調整を。

Q8.お茶以外の飲み物は?
A.焙煎麦茶や豆乳、無糖の微発泡水も相性良し。コーヒーなら浅煎りが合わせやすいです。


用語辞典(やさしい解説)

  • 韓菓(ハングァ):韓国の伝統菓子の総称。餅菓子、油菓、蜜菓、茶食など幅広い。
  • トッ(餅):米や雑穀を蒸して搗いた菓子。形や具材で種類が豊富。
  • ソンピョン:松葉の香りを移した半月形の蒸し餅。秋夕の主役。
  • インジョルミ:きな粉をまぶしたもちもち餅。香ばしさが身上。
  • ペクソルギ:真っ白でふわふわの蒸し餅。門出の象徴。
  • 薬菓(ヤックァ):胡麻油や蜂蜜を使った揚げ菓子。しっとり濃厚。
  • ユグァ(油菓):軽い食感の揚げ菓子。祝い事に用いられる。
  • カンジョン:雑穀やナッツを米飴で固めた板菓子。香ばしい。
  • 茶食(チャシク):胡麻や松の実を練って丸めた一口菓子。茶席の定番。
  • スジョングァ:干し柿・生姜・桂皮を煮出した涼やかな飲み物。
  • 五味子茶:五つの味を感じる鮮やかな色の薬果茶。
  • トルチャンチ:赤ちゃんの初誕生日祝い。
  • 秋夕(チュソク):秋の大きな名節。収穫を祝う。
  • 韓紙(ハンジ):韓国の伝統紙。包装や敷紙に用いられる。

まとめ

韓国の伝統スイーツは、歴史と暮らしの知恵が生み出した「やさしい甘さ」。種類ごとの素材と製法、行事との結びつき、伝統茶との組み合わせ、地域の個性や現代的アレンジまで知れば、味わいはさらに深まります。

市場での食べ歩きも、韓屋カフェでの一服も、贈り物選びも――今日からもっと楽しく、豊かに。季節のうつろいとともに、あなたの甘味手帖を更新していきましょう。

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