「激しい運動は苦手だけど痩せたい」「リバウンドせずに細く長く続けたい」――そんな願いに応えるのが、**1ヶ月に1kgずつ落とす“ゆるやかダイエット”**です。脂肪1kg=約7,200kcalという前提から逆算し、1日あたり約240kcalの赤字を無理なく積み上げれば、体への負担を抑えつつ確実に前進できます。
本稿では、カロリーの考え方/食事の整え方/運動が苦手でもできる動き方/睡眠と心の整え方/30日ロードマップ/外食・出張の乗り切り方まで、今日から使える具体策を完全網羅。表・早見表・チェックシートも豊富に添え、実践を後押しします。
基本戦略:1ヶ月に1kg痩せるカロリー設計
1-1.脂肪1kg=約7,200kcal、1日▲240kcalを積み上げる
脂肪1kgを落とすには、総カロリー収支で約7,200kcalのマイナスが必要です。30日で割ると1日あたり約240kcal。食事だけ・運動だけに偏らず、食事▲150kcal+活動▲90kcalなど**“小さな赤字の重ね合わせ”**が成功の近道です。
赤字づくりの比率例
A:食事▲200+活動▲40
B:食事▲150+活動▲90
C:食事▲120+活動▲120
自分の生活に合わせて、週単位で微調整しましょう。
1-2.“二刀流”が代謝を守る(食事×活動)
極端な食事制限は筋肉の減少・冷え・代謝低下を招きがち。軽い活動を足して筋肉を守ることで、同じ赤字でも体が楽で、リバウンドしにくい流れを作れます。
1-3.安全ラインと目安
- 安全な赤字の目安:総消費の10〜20%以内(小柄・高齢・持病ありは低めで)。
- 週で見る習慣:1日の誤差は大きいので、7日合計で▲1,700kcal前後を目指す。
- 数字のぶれ:体重は水分で±1kg動くことも。1〜2週間の平均で判断。
1-4.ざっくり消費量を知る(歩数・家事)
| 活動 | 目安時間/量 | 消費量の目安 |
|---|---|---|
| 早歩き | 30分 | ▲120〜180kcal |
| 階段の上り | 10分 | ▲70〜120kcal |
| 掃除・片づけ | 30分 | ▲60〜100kcal |
| 自重トレ(軽め) | 10分 | ▲40〜80kcal |
| 入浴(湯船) | 20分 | ▲20〜40kcal |
食事計画:満足感を保ちながら自然に減らす
2-1.たんぱく質を“毎食”の柱に(体重×1.0〜1.2g/日)
筋肉を守るには体重×1.0〜1.2g/日のたんぱく質を目安に。例:鶏むね・卵・豆腐・納豆・魚・ヨーグルト。主食+主菜+汁+野菜の形にすると不足しにくく、満腹感が長持ちします。
たんぱく質 1食の目安表
| 食品 | 量の目安 | たんぱく質 | 熱量の目安 |
|---|---|---|---|
| 鶏むね(皮なし) | 手のひら1枚(100g) | 22g | 110kcal |
| 卵 | 2個 | 12g | 150kcal |
| 木綿豆腐 | 1/2丁(170g) | 11g | 120kcal |
| 納豆 | 1パック | 8g | 100kcal |
| ツナ水煮 | 1缶 | 12g | 70kcal |
| ヨーグルト無糖 | 200g | 7g | 120kcal |
2-2.“良い主食”と食物繊維で間食を減らす
白米だけでなく、雑穀・玄米・オートミール・全粒粉パンを取り入れると、ゆるやかな満腹が続きます。野菜・海藻・きのこ・豆で食物繊維を足すと、血糖の波が小さくなり、夜のつまみ食いが減ります。
主食の量ガイド(手ばかり)
| 主食 | 量の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| ごはん | 茶碗軽め1杯(120〜150g) | 小盛りで▲50〜100kcal |
| パン | 手のひらサイズ1枚 | 全粒粉なら腹持ち◎ |
| うどん・そば | 両手1杯(ゆで) | 具を増やし麺を少なめに |
2-3.脂の“量より質”、調理を替える
揚げ物の頻度を減らし、焼く・蒸す・煮るへ置き換え。油は小さじ1から量り、マヨ・ドレッシングは別添えで“つける量”を調節。魚の脂やオリーブ油など質の良い脂は適量残すと満足度が保てます。
2-4.“よく噛む・順番を整える・夜は軽め”
20〜30回噛む、汁物→野菜→主菜→主食の順で、寝る3時間前までに夕食。これだけで食べすぎと夜の胃もたれを防げます。
2-5.調味料で差が出る“ひとさじ術”
- 砂糖→少量のはちみつ/みりんへ置き換え
- マヨ・ケチャップ→小さじ計量で半量に
- ドレッシング→酢+少量の油+塩で自家製
- しょうゆはスプレーor「つける」
置き換えアイデア表(定番)
| よくある選択 | 置き換え例 | 目安差分 |
|---|---|---|
| 菓子パン | おにぎり+ゆで卵 | ▲150〜200kcal |
| から揚げ定食 | 焼き魚定食 | ▲200〜300kcal |
| 生クリーム系デザート | ヨーグルト+果物 | ▲150kcal |
| 砂糖入り飲料500ml | 無糖茶・炭酸水 | ▲150〜200kcal |
2-6.間食200kcal以内リスト
- 無糖ヨーグルト200g+はちみつ少々
- 素焼きナッツ15〜20g
- 寒天ゼリー1個+果物少量
- ゆで卵1〜2個
- 小袋煎餅(塩分控えめ)
動きの計画:運動が苦手でも確実に消費
3-1.“歩く・階段”を日課に(NEATを稼ぐ)
早歩き30分でおよそ**▲120〜180kcal**。通勤で一駅歩く/エレベーターより階段を選ぶだけでも積み上がります。姿勢を伸ばし腕を振ると同じ時間でも消費が増えます。
歩数の目安
- まずは7,000歩/日、慣れたら9,000〜10,000歩へ。
- 在宅日は**“3分×5回”の室内歩き**で補う。
3-2.家でできる自重トレを“短く深く”
スクワット・プランク・かかと上げを各1分×2〜3周。週2〜3回で十分。筋肉を保てば基礎代謝が落ちにくく、見た目の引き締まりも早いです。
10分メニュー(例)
1)スクワット40秒+休20秒
2)プランク40秒+休20秒
3)ヒップリフト40秒+休20秒
4)もも上げ40秒+休20秒
5)ストレッチ2分
3-3.“ながら動作”で積み上げる
テレビの間に踏み台昇降、歯磨き中にかかと上下、信号待ちで片脚立ち。これら日常のこまめな動きが、実は大きな差になります。
1日▲240kcalを作る組み合わせ例
| 組み合わせ | 食事の工夫 | 活動の工夫 | 合計赤字 |
|---|---|---|---|
| A:最小限で堅実 | 夜の菓子▲120kcal | 早歩き20分▲80kcal | ▲200kcal(+入浴・家事で▲40kcal) |
| B:王道バランス | 主食を半量▲150kcal | 早歩き30分▲150kcal | ▲300kcal(余裕を作る) |
| C:外食多めの日 | 揚げ物→焼き物▲200kcal | 階段+立ち仕事▲60kcal | ▲260kcal |
コツ:疲れるほどやらない。“少し息が上がる”強度を毎日が続きます。
3-4.雨の日・在宅の日の代替案
- 3分エクササイズ×5回(合計15分)
- 室内踏み台昇降10〜20分
- 掃除機・床拭き・片づけで汗をかく
睡眠・メンタル・習慣:リバウンドを防ぐ土台
4-1.睡眠は“食欲のブレーキ”
7〜8時間眠ると、満腹サイン(レプチン)が整い、空腹サイン(グレリン)が暴走しにくくなります。室温18〜20℃・就寝90分前の入浴で深い眠りに。
4-2.就寝前90/60/30分ルール
- 90分前:入浴で体を温める
- 60分前:明日の準備・照明を少し落とす
- 30分前:スマホを閉じ、白湯・深呼吸・ストレッチ
4-3.ストレス対策は“毎日少し”
湯船・深呼吸・散歩・日記・好きな香り。完全主義を手放し「今日は歩けた、よし」の積み重ねが最強です。
4-4.女性の周期・体調に合わせて調整
むくみや食欲が増える時期は、塩分控えめ・汁物を増やす、運動は軽めでOK。体調を責めないのが長続きのコツ。
4-5.“できたこと”を数える
体重だけでなく、無糖の飲み物を選べた/おかわりを1回我慢できたなど行動の達成を記録。行動が続けば数字は後からついてくる。
一週間のならし計画(例)
| 曜日 | 食事の重点 | 動きの重点 | 睡眠・心の重点 |
|---|---|---|---|
| 月 | 主食をやや控える | 早歩き20分 | 90分前入浴 |
| 火 | たんぱく質を確保 | 階段を選ぶ | 寝る前の深呼吸 |
| 水 | 野菜・海藻を増やす | 自重トレ10分 | スマホを早めに閉じる |
| 木 | 甘い飲料を無糖に | 早歩き30分 | 白湯で一息 |
| 金 | 外食は焼き物を選ぶ | 歩数+2,000歩 | 湯船で緩める |
| 土 | 自炊・作り置き | 散歩45分 | 読書で落ち着ける |
| 日 | 胃を休める献立 | 軽いストレッチ | 早寝・週の振り返り |
実践ツール:モデル献立・買い物リスト・チェック表
5-1.一日のモデル献立(例)
- 朝:オートミール粥+卵+味噌汁+果物少量
- 昼:雑穀ごはん・焼き魚・ひじき煮・具だくさん汁
- 間:ヨーグルト or 素焼きナッツ少々
- 夜:豆腐と野菜の鍋/鶏むねの蒸し焼き+サラダ+汁
- 飲み物:水・麦茶・無糖炭酸
5-2.作り置きと買い物のコツ
- 主食:炊いて小分け冷凍(150gパック)
- 主菜:鶏むねの下味冷凍、ゆで卵を常備
- 副菜:カット野菜・海藻・きのこのストック
5-3.外食・コンビニの選び方
| シーン | 良い選択 | 工夫ポイント |
|---|---|---|
| 定食屋 | 焼き魚・生姜焼き | ごはん小盛、汁は具だくさん |
| 麺類 | そば(温・冷) | 天ぷら別皿、つゆは飲み干さない |
| コンビニ | サラダ+サラダチキン+おにぎり | ドレッシングは半量 |
| カフェ | サンド+スープ | 菓子はシェア or 小サイズ |
5-4.毎日のチェック表(印刷推奨)
| 項目 | できた | メモ |
|---|---|---|
| 無糖の飲み物を選んだ | □ | |
| たんぱく質を毎食とった | □ | |
| 早歩き or 階段を選んだ | □ | |
| 就寝90分前に入浴した | □ | |
| 今日の“できた”を1つ書いた | □ |
5-5.30日ロードマップ(例)
- 1週目:飲料を無糖へ/歩数+2,000歩/就寝90分前入浴
- 2週目:主食の量を見直し/自重トレ開始(10分×2回)
- 3週目:外食で“焼き・蒸し”を選ぶ/間食200kcalルール
- 4週目:停滞チェック→歩数or筋トレを微増/就寝時間の固定
よくある“つまずき”→すぐ効く修正案
| つまずき | よくある原因 | すぐ効く修正 |
|---|---|---|
| 夜にお腹が空く | 朝・昼が軽すぎ | 昼にたんぱく質+主食をしっかり |
| 甘い物が止まらない | 疲れ・睡眠不足 | まず寝る/食後に小さく1個に限定 |
| 便通が悪い | 水分・食物繊維不足 | 水+野菜+発酵食品を増やす |
| 体重が動かない | 塩分・水分の影響 | 3日平均で判断、歩数+2,000歩 |
| 外食が続く | 仕事・交際 | 主食半量+焼き物+汁物で調整 |
よくある質問(Q&A)
Q1:本当に1ヶ月1kgずつ落ちますか?
A:日々▲240kcalの赤字を積み上げられれば現実的です。週で見ると▲1,700kcal前後。体重の上下は水分でもぶれるので、1〜2週間の平均で判断しましょう。
Q2:運動がほぼできません。食事だけでも大丈夫?
A:可能ですが、日常のこまめな動き(歩く・階段・掃除)だけでも足すと代謝が落ちにくいです。
Q3:停滞期に入ったら?
A:歩数+2,000歩を1週間だけ追加、または主食を1食だけ少し減らすなど小さな変更で再開します。
Q4:甘い物がやめられません
A:量とタイミングを管理。食後に小さく1個にする、週2回だけにするなどルール化が有効です。
Q5:飲酒は?
A:休肝日を設け、1回の量を少なめに。つまみはたんぱく質+野菜中心に。
Q6:夜遅い食事になりがち
A:汁物+たんぱく質中心で軽めに。主食は翌朝へ回すのも手です。
Q7:筋トレはいつやるのが良い?
A:夕方〜夜の短時間が続けやすい人が多いです。寝る直前は軽めに。
Q8:体重が増えた朝がありました
A:塩分・水分・便通の影響が大きいです。3日平均で見ればぶれが減ります。
Q9:旅行・出張で崩れました
A:帰宅後3日間だけ整える(無糖飲料・主食控えめ・歩数増)。週単位で帳尻が合えばOK。
Q10:プロテインは飲むべき?
A:食事で不足するなら1日1回まで補助的に。甘味の摂りすぎに注意。
Q11:朝食は抜いた方が痩せますか?
A:空腹が強くなり昼・夜に反動が出やすい人は軽く食べる方が続きます。
Q12:サプリは必要?
A:基本は食事が土台。不足が明らかな時だけ検討を。
用語の小辞典(やさしい言い換え)
基礎代謝:何もしなくても生きるために使うエネルギー。
総消費カロリー:基礎代謝+日常の動き+運動で使うエネルギーの合計。
カロリー赤字:摂るより使う方が多い状態。これが続くと体重が落ちる。
食物繊維:腹持ちを良くし、血糖の急な上昇を抑える成分。野菜・海藻・豆・きのこに多い。
たんぱく質:筋肉や血液の材料。減ると代謝が落ちやすい。
NEAT:運動以外の日常の消費。歩く・階段・家事など。
リバウンド:無理をやめた反動で体重が戻ること。小さく続けると起きにくい。
まとめ
1ヶ月に1kg痩せるために必要なのは、完璧さではなく、日々の小さな赤字の積み重ねです。食事は“置き換えと量の調整”、活動は“歩く・階段・家トレのちょい足し”、土台は“よく寝て心を緩める”。これらを無理のない範囲で組み合わせれば、体は確実に変わります。まずは今日、無糖の飲み物に替える/早歩きを10分追加――小さな一歩が、30日後の1kgにつながります。


