画面にふっと現れる動物のしぐさ、飼い主に甘える声、眠る前のあくび——ペット系チャンネルは、ただ可愛いだけにとどまらず、忙しい日々の心をそっとほぐしてくれます。
本記事は、いま人気の動物系YouTuberをジャンル別に整理しつつ、人気の理由、制作の工夫、暮らしと安全への配慮、これから始める人向けの実践までをわかりやすく深掘りします。
1.ペット系YouTuberの魅力と強み
1-1.癒しと共感を呼ぶ“ふつうの一瞬”
犬のしっぽが小刻みに揺れる、猫がのびをする、ハムスターがほお袋をふくらませる——こうしたふつうの一瞬が、視聴者の肩の力を抜き、画面から安心が伝わります。作り込みすぎない素朴な空気が、長く愛される土台です。
1-2.個性と物語が自然に育つ
動物の性格や習性はそれぞれ。おだやかな子、やんちゃな子、おしゃべりな子……。暮らしを積み重ねるうちに物語が生まれ、視聴者は家族の一員のような気持ちで見守るようになります。季節の行事、成長、けがや病気の乗り越えなど、続きが見たくなる理由が増えます。
1-3.家族で見やすく、広がりやすい
動物は年齢や性別をこえた共通の関心ごと。家族視聴に向き、コメントも温かく育ちます。保護活動や譲渡の話題、暮らしの工夫など、社会に役立つ発信へもつながります。
1-4.“五つの自由”に沿った制作姿勢
動物福祉でよく語られる五つの自由(空腹や渇きからの自由、不快からの自由、痛みや病気からの自由、自然な行動の自由、恐怖からの自由)を意識した撮影は、見る側の信頼にもつながります。嫌がる様子が見えたら撮らない、休ませる——この基本が長続きの鍵です。
早見表:ペット登場がもたらす効果
観点 | 主な変化 | 期待できること |
---|---|---|
雰囲気 | 画面がやわらぐ | 見続けやすくなる |
信頼 | 自然体が映る | 人柄が伝わる |
交流 | コメントが増える | 常連が育つ |
継続 | 物語が積み上がる | 回遊が生まれる |
社会性 | 保護や譲渡に関心 | 行動につながる |
視聴者層と求める“癒し”の傾向
層 | よく見る時間帯 | 好まれる内容 | 一言の工夫 |
---|---|---|---|
学生 | 夜〜深夜 | 面白い失敗・学び | 尺は短め、字幕丁寧 |
社会人 | 夜 | 日常の静けさ | 音を心地よく |
家族 | 夕〜夜 | 安心して見られる | 言葉づかい穏やかに |
高齢層 | 朝〜昼 | ゆっくり進む記録 | テロップを大きく |
2.猫系YouTuberの人気チャンネル
2-1.もちまる日記(猫・スコティッシュ)
飼い主“下僕”さんともち様の何気ない日常を、丁寧な映像で記録。食事、寝顔、あいさつ——静かな見どころを積み重ね、猫動画の基準を押し上げました。画面づくりの整え方が学べます。
2-2.ねこべや(猫・多頭)
数匹が暮らす多頭のリアルをていねいに映すチャンネル。けんかと仲直り、年長猫と子猫の距離感など、群れの社会が見えてきます。長く見るほど、関係の変化が味わいになります。
2-3.あつしと猫たち(猫・保護)
保護猫と暮らし、譲渡や見守りの現場をやさしく伝えます。可愛いだけでなく、命を支える手間と覚悟も届くため、視聴後に心が少し強くなる一冊の記録のような味わいです。
2-4.猫撮影のこつ(安全第一)
- 光:朝夕の柔らかい自然光が最適。直射は避け、まぶしすぎないこと。
- 音:掃除機・大声など大きな音は控えめに。環境音を生かすと心地よい。
- 距離:近づきすぎず、来てくれたら撮る姿勢。
- 休憩:短く撮り、こまめに休ませる。水と寝床をそばに。
猫系の主要チャンネル(印象メモ)
チャンネル | 猫の種類 | 特色 | 初めて見る人への一言 |
---|---|---|---|
もちまる日記 | スコティッシュ | 静かな日常、丁寧な映像 | 一日の終わりに合う |
ねこべや | 家猫(多頭) | 群れの社会、関係の変化 | 長く見るほど味が出る |
あつしと猫たち | 保護猫中心 | 社会性、譲渡や見守り | 学びと癒しが両立 |
3.犬系YouTuberの人気チャンネル
3-1.こむぎちゃんねる(犬・柴)
四季のさんぽ、家でのくつろぎ、素朴ないたずら——柴犬の日常をやさしく切り取ります。草の匂い、足音、風の音など暮らしの音が心地よく、家族での視聴に向きます。
3-2.もふもふ豆柴ちゃんねる(犬・豆柴)
小さな体に元気がぎゅっと詰まった豆柴が主役。しつけや体調の話も織り交ぜ、可愛いと実用の両立が魅力。はじめて犬を迎える人の参考にもなります。
3-3.りりちゃんねる(犬・トイプードル)
暮らしを整える工夫、散歩道の季節、毛の手入れなど、暮らし提案に強い一本。おしゃれに偏りすぎず、快適さと安全を両立させる視点が手本になります。
3-4.散歩撮影の注意と工夫
- 温度:夏の路面温度、冬の冷えに注意。足裏を守る。
- 映り込み:個人情報や車の番号などが映らないよう確認。
- すれ違い:他の犬・人との距離を取り、無理な接触は避ける。
- 休憩:水休憩をこまめに。疲れの兆しが出たらすぐ切り上げる。
犬系の主要チャンネル(印象メモ)
チャンネル | 犬の種類 | 特色 | 初めて見る人への一言 |
---|---|---|---|
こむぎちゃんねる | 柴 | 四季のさんぽ、暮らしの音 | のどかな時間を味わう |
もふもふ豆柴ちゃんねる | 豆柴 | 元気、しつけや体調の話 | 迎え入れ前の学びにも |
りりちゃんねる | トイプードル | 生活の整え、身だしなみ | 暮らし提案が充実 |
4.小動物・爬虫類・鳥・夜行性などの注目チャンネル
4-1.まーくんのハムスター日記(小動物)
回し車、砂浴び、ほお袋——小さな命の営みを静かに記録。飼育のこつや注意点も添えられ、子どもとも一緒に学べる内容です。
4-2.カメレオンライフ(爬虫類)
温度・湿度・光の管理、えさの与え方、色や目の動きなど、飼い方の基礎がわかる一本。珍しい生き物ほど、正しい配慮の発信が求められます。
4-3.フクロモモンガ日記(夜行性)
夜の活動、木登り、滑空まがいの動きなど夜行性の暮らしをていねいに紹介。静かな語りで、生活のリズムへの配慮も伝えています。
4-4.インコ・文鳥(鳥)
ことばを覚える様子、手乗りの練習、羽づくろいの時間など、音と仕草が見どころ。香りの強い整髪料・洗剤は控え、室内の空気にも配慮を。
動物別・暮らしの配慮(早見表)
分類 | 住まい | 食べ物 | 時間 | 注意点 |
---|---|---|---|---|
猫 | 高低差・隠れ場 | 肉中心、清潔な水 | ねむり多め | 爪とぎ場所を確保 |
犬 | 広さ・散歩動線 | 肉・穀物の配分 | 朝夕の散歩 | 夏の暑さ対策 |
小動物 | 温度・かじり木 | 専用のえさ | 短い活動を区切る | 騒音・衝撃を避ける |
爬虫類 | 温度・湿度・光 | 生餌・人工飼料 | 日照の管理 | 脱走防止と衛生 |
夜行性 | 暗い休み場 | 種に合わせる | 夜に活動 | 昼は静けさを守る |
鳥 | 止まり木・風よけ | 専用の配合餌 | 日光浴の時間 | 香り・煙を避ける |
温度・湿度のめやす(季節の目安)
分類 | 春 | 夏 | 秋 | 冬 |
---|---|---|---|---|
猫・犬 | 18〜25℃/40〜60% | 25〜28℃/45〜60% | 18〜25℃/40〜60% | 18〜22℃/45〜55% |
小動物 | 20〜26℃/40〜60% | 24〜28℃/45〜60% | 20〜26℃/40〜60% | 20〜24℃/45〜55% |
爬虫類(種により調整) | 26〜32℃の温度差 | 28〜34℃の温度差 | 26〜32℃の温度差 | 26〜30℃の温度差 |
※上表は一般的な目安。体調・年齢・種によって調整してください。
5.はじめたい人の実践ガイド(段取りと道具)
5-1.初回から役立つ“土台づくり”
- 環境:隠れ場・高い所・静かな寝床を用意。床のすべり止めも。
- 安全:誤飲になりそうな小物、電気コードを片づける。
- 記録:食事・水・排せつ・体重の簡易表をつけ、小さな変化に気づく。
撮影と暮らしの配慮チェック表
項目 | 確認 | めやす |
---|---|---|
光 | 自然光中心、直射を避ける | まぶしすぎない |
音 | 大声・大音量を避ける | 静かな環境 |
時間 | 小分けに撮る | 1回5〜15分 |
休憩 | 合間に必ず休ませる | 水と寝床を近くに |
動き | 抱え上げを控え、来たら撮る | 自然体を尊重 |
衛生 | 水替え、毛の手入れ | 毎日こまめに |
匂い | 強い香りを控える | 換気をていねいに |
5-2.道具と費用のめやす
区分 | 目安 | 補足 |
---|---|---|
録画機材 | 手持ちのスマホで十分 | 手ぶれを抑える固定具が便利 |
音 | 小型マイク | 風切り音を避けるカバーが有効 |
明かり | 自然光が基本 | 足りないときは弱い補助灯 |
小道具 | 爪とぎ・おもちゃ等 | 誤飲しない大きさを選ぶ |
5-3.一日の流れ・一週間の段取り
- 朝:換気・水の交換・体調確認→短い撮影
- 昼:編集の下ごしらえ(切り出し・仮の文字)
- 夕:遊びや散歩の撮影→休憩
- 夜:静かな時間の撮影→仕上げ
- 週の流れ:企画だし→撮影→仮編集→撮り直し→仕上げ→公開→ふり返り
5-4.台本の雛形(短尺向け)
- 始まりの一言(天気や気分など)
- 今日の見どころ(先に言い切る)
- 観察の要点(行動・しぐさを短く)
- ひとこと感想(ねぎらいの言葉)
- 次回予告(無理に引っぱらない)
5-5.サムネづくり五つの指針
- 顔(目)が大きく見える一枚を選ぶ
- 文字は7文字前後で太く読みやすく
- 背景はすっきり、主役を一つに
- 色は多くて三色
- 同じ型で連作し、並べたときにそろう
5-6.企画の種・30本(すぐ撮れる)
企画 | 一言メモ | 撮るこつ |
---|---|---|
朝のあいさつ集 | 伸び・あくび・身づくろい | 低い位置で静かに |
好きなおもちゃ3選 | 音・動き・飽きまで | 1回3分で小分け |
日向ぼっこ観察 | 光の角度で表情比較 | 逆光で輪郭を生かす |
ごはんの音だけ記録 | 咀嚼の音に集中 | 音割れに注意 |
眠気の合図図鑑 | 目元・耳・しっぽ | 長回し→数秒採用 |
夕方のさんぽ | 外の音と匂い | 交通と暑さに注意 |
来客時どう過ごす? | 隠れ場→再会 | 無理に触れない |
季節の身支度 | 夏の涼、冬の寝床 | 温度計を画面に |
ねこの通り道MAP | 高い所・隠れ場の線 | 図と実写を重ねる |
爪切りの手順 | 一歩ずつ慣らす | 失敗も正直に |
体重の見守り | 週ごとの折れ線 | 量り方を見せる |
水飲み場の工夫 | 置き場を分ける | 台所・廊下・寝室 |
小さな失敗談 | 片づけと見直し | 叱らず整える |
思い出の一年 | 月ごとの顔まとめ | 静止画で余韻 |
ありがとうの日 | 迎えた日の振り返り | 写真とひとこと |
初めての道具 | はじめて触れた反応 | 無理強いしない |
好きな音・苦手な音 | 音の近づけ方を工夫 | 小さい音から |
手入れの一日 | ブラシ・耳・爪 | 途中でやめてよい |
ごはんの器えらび | 深さ・重さ・形状 | こぼれにくさ重視 |
遊びの順番 | 追う→捕まえる→休む | 休むを大切に |
寝床の定点撮影 | 時間帯で変わる場所 | 定点でふわっと |
名前の由来 | つけた日の思い出 | 写真を添える |
仲よし紹介 | 同居の子との距離 | 逃げ道を残す |
苦手克服記録 | 爪切り・掃除機など | 日をまたいで |
季節の草花と一枚 | 食べられない種類は避ける | 屋外は短時間 |
通院の準備 | キャリー慣れ | 事前に練習 |
帰宅後の見守り | ごほうび・休息 | その日は無理しない |
誕生日の記録 | 小さな祝い | 甘いものは人だけで |
ありがとう手紙 | 飼い主からの言葉 | 画面に短い文字 |
6.注意と配慮(安全・法とマナー)
6-1.してはいけないこと
- 危険な行為のまね、誇張、無理な食べ物や量の強要
- 痛みや恐怖を与える映し方
- 個人情報の映り込み(住所、車の番号、通学路など)
6-2.体調の変化に気づく目安
兆し | よくあるサイン | すぐにすること |
---|---|---|
食欲 | 食べない・急な過食 | 水分の確認・休ませる |
動き | ぐったり・落ち着かない | 静かな場所へ |
皮ふ・毛 | かゆがる・抜けすぎ | 清潔に保ち様子見 |
排せつ | 回数や色の変化 | 記録して相談 |
心配なときは専門家に相談。動画では無理に映さず休ませること。
6-3.生配信(ライブ)のきまり
- 時間を短めにし、途中に休憩を入れる
- 課金を急がせる言い回しをしない
- 視聴者の質問は選んで答え、踏み込み過ぎない
6-4.コメント欄のあたため方
- あいさつ固定文を置く(例:「今日も見守りありがとうございます」)
- 誹謗中傷は非表示、注意は穏やかに
- 参考になった意見へお礼を短く返す
7.これからの流れ(見取り図)
- 社会性:保護活動の紹介、飼い方の正しい知識の共有が重視される。
- 交流:質問回、生配信での見守りなど、双方向の工夫が進む。
- 海外:簡潔な字幕、やさしい語りで、国をこえた視聴につながる。
- 記録性:通院記録や体重表など、暮らしの実用情報が喜ばれる。
よくある質問(Q&A)
Q1:動物が嫌がるときはどうする?
A:撮らずに休ませるのが基本です。無理をしない方が良い表情が撮れます。
Q2:照明は必要?
A:自然光が基本。暗いときはまぶしくない補助灯を短時間だけ使います。
Q3:音楽は流してよい?
A:小さな音量なら可。落ち着かない様子なら止めましょう。
Q4:名前や住所などの個人情報は?
A:出さないのが基本。背景の郵便物や外観が映らないよう注意します。
Q5:保護活動を伝えるときの注意は?
A:事実をやさしく。不安をあおらず、支援先の案内をわかりやすく添えます。
Q6:収益化は急ぐべき?
A:急がず暮らしの調子を優先。無理のない更新が長続きの鍵です。
Q7:多頭飼いの工夫は?
A:えさ場・水場・トイレを分ける。争いを避け、隠れ場を増やします。
Q8:子どもと一緒に映してよい?
A:顔出しは慎重に。声だけ・手元だけでも温度は伝わります。
Q9:病気やけがを見せるべき?
A:見せる場合は尊厳を守る映し方で。具体的な診断は医師に任せ、経験談として伝えます。
Q10:海外の視聴者に見てもらうには?
A:短い字幕とゆっくりの語りが有効です。数字や温度を画面に出すと伝わりやすいです。
Q11:におい対策は?
A:換気、こまめな掃除、強い香りの製品を避ける。弱い香りを選ぶ。
Q12:サムネの文字は何文字くらい?
A:7〜10文字が目安。太く読みやすく、色は三色まで。
Q13:生配信の頻度は?
A:月1〜2回から。動物の調子を最優先に、短時間で。
Q14:夜行性の子はいつ撮る?
A:活動が増える夕〜夜。明るさは弱めで。
Q15:爪切りが苦手です
A:一度に全部は切らず、日を分けて。嫌がったら終わる。
Q16:散歩動画の音が割れます
A:風よけカバーを付け、体に近づけすぎない。
Q17:初投稿で気をつけることは?
A:長くしない、見どころを先に言い切る、説明は短く。
Q18:老犬・老猫の映し方は?
A:休みを多く、段差を減らす。昔の写真を交えて無理をしない。
Q19:季節の危険は?
A:夏は熱中症、冬は乾燥。水と湿度を意識。
Q20:機材は何から?
A:まずは手持ちのスマホ。固定具と小型マイクがあると十分。
用語の小辞典(やさしい言い換え)
用語 | 説明 |
---|---|
隠れ場 | 安心して身を隠せる小さな空間 |
余韻 | 見終えたあとに残る静かな心地よさ |
抜き | 本編の合間に置く数秒の空白や静止画 |
見守り | 過度に手を出さず、そっと支える姿勢 |
回遊 | 一本を見終えて、続けて別の動画へ移る動き |
里親 | 保護された動物の新しい家族になる人 |
五つの自由 | 動物福祉で重んじる基本的な配慮の柱 |
生配信 | その場で同時に配信すること |
雛形 | 台本や文面の元になる形 |
まとめ|“癒し”と“気づき”を届ける存在
ペット系YouTuberは、可愛いだけでなく、学びや社会への目配りもそっと添えられる発信者です。一つひとつの動画に、飼い主の想いと動物の生命力が宿ります。あなたの暮らしに合う“推しの一本”を見つけ、小さな癒しを日々に取り入れてみてください。