「ユーチューバーって楽そう」「好きなことをして生きているだけじゃないの？」そんな印象を持っている方も少なくありません。しかし、実際に人気ユーチューバーとして活動するには、地道な努力と膨大な作業時間が必要です。では、彼らはいったい1日に何時間働いているのでしょうか？
この記事では、ユーチューバーの働き方の実態に迫りながら、撮影・編集・企画・SNS運用など、多岐にわたる業務内容を細かく紹介。さらに、フルタイムYouTuber・副業YouTuberそれぞれのスケジュール例も交え、リアルな「1日の仕事時間」を解説していきます。また、今後の働き方や業界の変化にも目を向けながら、YouTuberという職業の未来像にも触れていきます。
1. ユーチューバーの1日の平均労働時間とは？
フルタイムYouTuberの平均労働時間は10〜12時間以上
専業のユーチューバーになると、1日の多くの時間を動画制作や関連業務に費やしています。特に登録者数が多く、再生数が安定している人気クリエイターほど、撮影だけでなく、打ち合わせや編集、企画会議、撮り直し、スタッフとの連携などに時間をかけており、実質の労働時間は10時間を超えることが一般的です。さらに、複数のチャンネルを運営するクリエイターの場合は、動画数も多くなり、1日の労働時間が12時間を超えることも珍しくありません。
副業・学生YouTuberの活動時間は1日2〜4時間
副業や趣味として活動するYouTuberの場合、撮影は主に土日や夜間に行われることが多く、編集などの作業も空き時間を活用して行います。時間に制限がある分、効率化や集中力が求められ、少ない時間の中で質の高いコンテンツを作り上げるスキルも重要です。こうした副業YouTuberでも、工夫次第でチャンネルを大きく成長させることができるため、「時間の長さ＝成功」とは限らないのも特徴です。
労働時間が不規則になりやすい理由
動画の企画や編集の都合上、日によって作業量が大きく異なることが特徴です。特に大型企画やコラボ、イベント、商品レビューなどがある日は丸一日かかることもあり、逆に撮影がない日は比較的自由な時間を取れるという「波のある働き方」が、ユーチューバーならではのライフスタイルです。また、視聴者の反応をリアルタイムでチェックしながら柔軟に対応する必要もあり、スケジュール通りにいかないことも多々あります。
2. ユーチューバーの仕事はどんな内容？時間配分をチェック
撮影：1〜3時間（企画によっては半日以上）
動画の撮影には準備・移動・段取り確認なども含まれ、1本の動画でも数時間を要することがあります。撮影内容が複雑な場合や、外でのロケ撮影では、事前のロケハンや照明・音声チェックなどの作業も加わり、まる1日がかりになることも。特に商品紹介や検証系の動画では、失敗が許されないため、何度も撮り直しが発生することもあります。
編集：2〜6時間以上の集中作業
撮影後の編集作業は、ユーチューバーにとって最も時間がかかり、神経を使う工程の一つです。映像のカット、テロップ挿入、BGM選び、エフェクトや音声調整、サムネイル作成など、視聴者を飽きさせず最後まで見てもらうための工夫が詰め込まれます。クオリティを重視するクリエイターほど編集にこだわる傾向があり、1本あたりの編集時間が6〜8時間に及ぶこともあります。
企画・リサーチ・台本作成：1〜3時間以上
ネタのアイデア出しから構成、台詞、リサーチまで、撮影前の準備にも時間が必要です。時事ネタや専門知識が求められる内容であれば、信頼できる情報ソースを探したり、複数の資料を比較検討したりする作業が発生します。特に教育系・ビジネス系のチャンネルでは、この工程にもっとも時間をかけるという声も少なくありません。
3. 人気ユーチューバーの1日スケジュール例
フルタイムYouTuberの1日：まるで企業経営者のような生活
- 8:00 起床・メールチェック・SNS対応
- 9:00 撮影準備・企画ミーティング
- 10:00〜13:00 動画撮影
- 13:00〜14:00 昼食・ロケ地移動
- 14:00〜20:00 編集作業・スタッフ連携
- 20:00〜22:00 コメント返信・視聴データ分析
- 22:00以降 自由時間 or 翌日の準備・再編集
人気クリエイターの多くは、専用スタジオや事務所スタッフとともに活動しており、YouTubeを「メディア事業」として本格的に運営しています。そのため、一日の業務量は中小企業の経営者と変わらないレベル。自己管理能力と企画力が問われる働き方です。
副業YouTuberの1日：本業の合間を縫った時間活用
- 6:30〜8:30 撮影（早朝のルーティン動画など）
- 9:00〜18:00 本業の仕事
- 18:30〜21:00 編集作業・ナレーション録り
- 21:00〜22:30 サムネ作成・SNS投稿
- 23:00〜自由時間 or 翌日の台本づくり
副業YouTuberは、短時間で高効率の作業が求められます。本業の疲れが残る中でも、地道な努力を積み重ねることが成功の鍵。短い時間をいかに濃く使うかが大切です。
4. ユーチューバーが抱える“見えない仕事”とは？
コメント対応・SNS運用・アンチ対策
動画公開後のコメント対応やSNSでの交流も、視聴者との関係構築に不可欠な要素です。ポジティブなコメントはモチベーションになりますが、時には誹謗中傷や不適切な書き込みへの対応も必要。こうした心理的負担へのセルフマネジメント力が求められます。
撮影許可・スケジュール管理・経理業務
ロケを行う場合は、撮影場所の許可申請や使用料の支払い、関係者との調整などが発生します。また、案件動画では企業とのスケジュール調整や報酬交渉も必要です。さらに、フリーランスとして活動するYouTuberは確定申告や収支管理、請求書の発行なども自ら行うため、ビジネススキルが必須となります。
機材トラブルや動画ボツなどのリスク管理
動画制作では、予期せぬトラブルがつきものです。SDカードの読み込み不良、編集ソフトのクラッシュ、映像のピンボケ、音声トラブルなど、さまざまな機材トラブルへの対応力も問われます。さらに、何時間もかけて撮影した動画が「面白くない」と判断され、お蔵入りになるケースも多々あります。
5. 今後の働き方はどう変わる？ユーチューバーの未来予測
AI編集やアシスタント導入による省力化
AIによる自動カットやBGM挿入、字幕生成などが進化し、編集作業の効率化が加速しています。すでに一部のYouTuberはAI編集ツールを導入しており、今後は動画作成のフロー自体が大きく変わる可能性があります。これにより、時間短縮とクリエイティブな作業への集中が期待されます。
チーム制での運営が主流に？
専業ユーチューバーの中には、映像編集者、マネージャー、SNS担当、企画担当などのチームで動いているケースも増加しています。個人がすべての工程を担うのではなく、役割分担することでより高いクオリティと投稿頻度を両立できる体制が今後のスタンダードとなるでしょう。
働き方改革とメンタルケアの必要性
長時間労働や不規則な生活は、心身の健康に影響を及ぼす恐れがあります。YouTube業界でもバーンアウトやうつ症状に悩むクリエイターが増えている中で、働き方改革とメンタルヘルスの重要性が叫ばれています。休息を取りながら継続可能な働き方を模索する時代に突入しています。
まとめ｜ユーチューバーの1日の労働時間は長く、想像以上に多忙
ユーチューバーの仕事は、楽そうに見えて実は過酷で多忙。特に専業で活動する場合、1日10〜12時間を動画制作や運営に費やすことが当たり前で、制作以外にもSNS対応、リサーチ、経理、トラブル対応など“裏方仕事”が山積みです。
しかしその分、自分のペースで働ける自由さや、好きなことを形にするやりがいも大きな魅力。動画1本に込められた努力や時間を知ることで、今後の視聴体験がより深くなるかもしれません。
YouTuberという職業は、まさに「好き」を仕事にする新しい時代の働き方。その裏にある情熱、努力、そして工夫の数々に注目しながら、より多くの人がこの業界の価値を再認識することでしょう。
