危険表示と貼り紙テンプレ術|家庭内掲示で事故減ガイド

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防災

「その一枚で、つまずき・火傷・誤飲を未然に。」 家庭内の事故は見落とし・勘違い・うっかりから起こる。危険表示と貼り紙正しい場所・正しい言葉・正しいサイズで配置すれば、家族全員の共通ルールになり、来客や子ども・高齢者にも行動基準が素早く伝わる。

本稿は、部屋別の掲示設計文言テンプレ色・サイズ・ピクト掲示の運用と更新に、季節・年齢・持病への配慮費用の目安まで加えた実践ガイドである。印刷してすぐ使える表・チェックリスト・配置寸法つき。


  1. 1.まず決める:掲示の目的・優先度・言い方
    1. 1-1.目的を3分類(危険・注意・案内)
    2. 1-2.言い回しの基本(短く・具体的・肯定形)
    3. 1-3.家族で決める優先順位(3段階)
    4. 1-4.読みやすい日本語ルール(誤読を減らす)
    5. 1-5.合意の作り方(掲示前ミニ会議)
  2. 2.配置マップ:場所ごとに“その一言”を置く
    1. 2-1.玄関・廊下(出入り・通路の事故を防ぐ)
    2. 2-2.キッチン(熱・刃物・誤飲の三重リスク)
    3. 2-3.浴室・洗面所(水・すべり・感電)
    4. 2-4.子ども部屋・寝室(転落・誤飲・火災)
    5. 2-5.ベランダ・屋外(転落・火気・器具)
    6. 2-6.家電・配線まわり(過熱・発火を防ぐ)
    7. 2-7.介護スペース(転倒と誤飲を抑える)
  3. 3.見やすい作り:色・サイズ・ピクト・日本語
    1. 3-1.色の使い分け(直感で伝える)
    2. 3-2.サイズと書体(離れても読める)
    3. 3-3.ピクトと矢印(目で分かる)
    4. 3-4.素材と印刷設定(長持ちさせる)
    5. 3-5.誤読を防ぐ言い換え集(そのまま使える)
  4. 4.テンプレ集:すぐ貼れる文例とフォーマット
    1. 4-1.短文テンプレ(7〜12文字)
    2. 4-2.手順カード(3〜5ステップ)
    3. 4-3.連絡カード(緊急時)
    4. 4-4.子ども向け絵カード(色と言葉をそろえる)
  5. 5.運用と更新:続ける仕組みを作る
    1. 5-1.貼ったら終わりにしない(月次点検)
    2. 5-2.家族巻き込み術(参加で守る)
    3. 5-3.素材と取り付け(原状回復も考える)
    4. 5-4.掲示の費用と枚数の目安(家庭用)
    5. 5-5.月次点検表(貼って使える)
  6. 6.ケーススタディ・Q&A・用語辞典
    1. 6-1.ケーススタディ(3例)
    2. 6-2.よくあるQ&A
    3. 6-3.用語辞典(平易な言い換え)

1.まず決める:掲示の目的・優先度・言い方

1-1.目的を3分類(危険・注意・案内)

  • 危険:事故・火災・転落など生命に関わる。→黄黒即時停止を促す。
  • 注意:やけど・指挟み・誤飲など重症化し得る。→行動の切替を促す。
  • 案内:手順・場所・連絡先など迷いを減らす。→落ち着いて従う

1-2.言い回しの基本(短く・具体的・肯定形)

  • 短く:7〜12文字が読みやすい(例:「ここで手を添える」)。
  • 具体的:動作+部位(例:「熱いふたに手を置かない」)。
  • 肯定形:してほしい行動を言う(例:「帰宅後すぐ手洗い」)。
  • 主語を入れる:誰がするかを明確に(例:「子どもは台所に入らない」)。

1-3.家族で決める優先順位(3段階)

1)命に関わる(ガス・火・転落)。2)重症化しやすい(やけど・窒息・感電)。3)日常のけが(つまずき・打撲)。優先1から掲示を整え、月1回で見直す

1-4.読みやすい日本語ルール(誤読を減らす)

  • 一文一動作(「〜して、〜して」は分ける)。
  • 数字は算用数字(3分、2m)。
  • 難語を避ける(「携帯電話」より「けいたい」等)。
  • ふりがなは子どもが使う場所に入れる。

1-5.合意の作り方(掲示前ミニ会議)

  • 貼る前家族で回覧言葉を整える
  • 担当者(玄関・台所・浴室)を決め点検表を回す。
  • 貼り替え日カレンダーに書く。

2.配置マップ:場所ごとに“その一言”を置く

2-1.玄関・廊下(出入り・通路の事故を防ぐ)

  • 玄関「靴をそろえる→転倒防止」「傘の先は下向き」
  • 階段「手すりを持つ」「段の端に足を置く」
  • 廊下の角「小走りしない」「戸の向こうを声かけ」

2-2.キッチン(熱・刃物・誤飲の三重リスク)

  • 加熱機器まわり「火のそば離れない」「鍋の柄 内向き」
  • 流し「包丁は刃を下向き」「スポンジ 子の手の届かない位置」
  • 調味・洗剤「食品と洗剤は棚を分ける」「チャイルドロック」
  • 油保管「ふたを閉める・高所に置かない」

2-3.浴室・洗面所(水・すべり・感電)

  • 浴室入口「足ふきマットを広げる」「すぐに換気」
  • 洗面台「ドライヤー 水から離す」「コンセント 濡れ禁止」
  • 薬箱「鍵付き・日付記録」「子ども前で薬を見せない」
  • 給湯「お湯は先に水を入れてから」

2-4.子ども部屋・寝室(転落・誤飲・火災)

  • 窓まわり「網戸に寄りかからない」「ひもは束ねる」
  • ベッドまわり「コンセント周りに布をかけない」「充電は壁側で」
  • おもちゃ収納「小物はフタ付きへ」「床は毎晩リセット」
  • 寝る前「充電器は外す」

2-5.ベランダ・屋外(転落・火気・器具)

  • サンダル置き場「履く前に裏を確認」(虫刺され防止)。
  • 物干し「脚立は使ったら片づけ」
  • 火気「強風中止」「消火器ここ」
  • 手すり「乗り出さない」「物を置かない」

2-6.家電・配線まわり(過熱・発火を防ぐ)

  • たこ足配線「合計A数を超えない」「埃をためない」
  • 暖房機器「前に物を置かない」「切タイマーON」
  • 充電場所「布の上に置かない」「寝る前に外す」

2-7.介護スペース(転倒と誤飲を抑える)

  • 歩行補助付近「立つ前に手すり」
  • 薬・食品「見た目が似た容器を分ける」「ラベル大字」
  • 水分補給:**「むせやすい時はとろみ」**の掲示で誤嚥を減らす。

場所別・掲示の推奨仕様表

場所推奨サイズ背景色耐水取り付け
玄関A6〜A5青/緑マグネット/両面
階段A5黄/黒ネジ/ピン
キッチンA6赤/橙クリップ/磁石
浴室前A6防水防水テープ
子ども部屋A5黄/青両面/弱粘着
ベランダA6耐候赤/黄結束バンド
充電コーナーA6両面/スタンド
介護スペースA5青/緑クリップ/マグネット

3.見やすい作り:色・サイズ・ピクト・日本語

3-1.色の使い分け(直感で伝える)

赤=危険/黄=注意/青・緑=案内1枚1目的色を混ぜない。背景と文字のコントラスト比を高くし、黒文字+白余白を基本にする。色弱の見え方に配慮し、赤と緑の組合せは避け形や下線でも区別する。

3-2.サイズと書体(離れても読める)

  • 視認距離1m→文字12〜16pt2m→24ptが目安。
  • 太字の見出し+短文本文難しい漢字はひらがな送り仮名は適切に。
  • 行間は文字の1.3〜1.5倍で詰めすぎない。

3-3.ピクトと矢印(目で分かる)

手・足・炎・落下など直感的な絵文字を右に置くと読みやすい。矢印太く短く動作方向に合わせる。指さしマークは「ここ」を示す位置へ。

3-4.素材と印刷設定(長持ちさせる)

  • 紙厚:家庭用は普通紙→ラミネート、水回りは防水紙
  • ラミネート厚100μで十分、屋外は150μ
  • 穴あけ位置上端10mm内側、裂け防止補強シールを。

配色と文字サイズの早見表

用途背景文字文字サイズ目安追加の工夫
危険白/黒24pt〜太枠・絵大きめ
注意18pt〜下線/矢印
案内青/緑16pt〜図解・地図

3-5.誤読を防ぐ言い換え集(そのまま使える)

  • ×「注意」→○「ここで止まる」
  • ×「感電」→○「濡れた手でさわらない」
  • ×「危険」→○「ここに立たない」
  • ×「火気厳禁」→○「火を使わない」

4.テンプレ集:すぐ貼れる文例とフォーマット

4-1.短文テンプレ(7〜12文字)

  • 階段「手すりを持つ」「小走りしない」
  • キッチン「鍋の柄 内向き」「火のそば 離れない」
  • 浴室「足元ふく」「ドライヤー 水から離す」
  • 子ども部屋「小物はふたへ」「床を空に」
  • 配線「布の上に置かない」「こまめにほこり取り」

4-2.手順カード(3〜5ステップ)

  • コンロ前:①火力中→②鍋の柄内向き→③その場から離れない→④タイマーON→⑤消火確認。
  • 外出前:①ガスOFF→②電源タップOFF→③窓施錠→④消火器位置確認→⑤鍵携帯。
  • 寝る前:①充電を外す→②加熱機器を切る→③通路確保→④非常灯確認→⑤玄関鍵確認。

4-3.連絡カード(緊急時)

  • 通報住所・建物名・階状況(火・けが)通話を切らない
  • 家族連絡集合場所代替連絡先近所の協力先
  • 医療情報持病・薬・アレルギーかかりつけ

4-4.子ども向け絵カード(色と言葉をそろえる)

  • 「さわらない」(炎・刃の絵)。
  • 「ゆっくり」(階段・角)。
  • 「ならぶ」(玄関・外出)。

貼り場所と高さの基準表

対象目線高さ貼る位置
大人140〜150cmスイッチ横/ドア横
子ども100〜120cmベッド足元/学習机横
車いす90〜110cmドアノブ横/通路壁
介助者150〜160cm介護ベッド足元/台所釣戸棚下

5.運用と更新:続ける仕組みを作る

5-1.貼ったら終わりにしない(月次点検)

  • 剥がれ・汚れ月1回で確認。
  • 事故のヒヤリがあれば文言を差し替え
  • 季節行事(年末・新学期・台風期)に総入れ替えでリフレッシュ。

5-2.家族巻き込み術(参加で守る)

  • 子どもの手描きピクトを採用すると目に留まる
  • 担当制(玄関・台所・浴室)で点検表を回す。
  • 来客前の一斉確認位置ズレを戻す。

5-3.素材と取り付け(原状回復も考える)

素材長所注意推奨場所
ラミネート紙安価・防水反射台所・浴室前
マグネットシート付け外し簡単磁性面が必要冷蔵庫・玄関ドア
発泡ボード立体で目立つ厚みあり階段壁
耐候プレート雨・日差しに強いコスト高ベランダ・屋外
弱粘着フィルム跡が残りにくい剥がれやすい子ども部屋
結束バンド+穴外れにくい穴位置に注意屋外手すり

5-4.掲示の費用と枚数の目安(家庭用)

セット内容目安費用
基本10枚玄関2・階段2・台所3・浴室前2・連絡11,000〜2,000円(印刷+ラミネート)
水回り防水防水紙+防水テープ5枚800〜1,500円
屋外耐候耐候プレート3枚+結束具1,500〜3,000円

5-5.月次点検表(貼って使える)

項目判定備考
はがれ・汚れなし交換日を記入
文言の分かりやすさ読み上げテスト実施
誤作動の原因除去例:センサー前の物撤去
季節の入替実施台風期・乾燥期など
連絡カード更新住所・電話・医療情報

6.ケーススタディ・Q&A・用語辞典

6-1.ケーススタディ(3例)

  • A:幼児のいる家庭誤飲マークを低い棚に、階段「手すり」を段の始まりと終わりに2か所台所は赤多めで視線を引き、調味料と洗剤の棚分けを掲示で固定。
  • B:シニア世帯浴室前の防水掲示足ふきを習慣化。連絡カードは電話横に。段差注意玄関と勝手口へ。文字大きめ・電球色照明で読みやすく。
  • C:賃貸住まい弱粘着とマグネット中心で原状回復に配慮。点検表は冷蔵庫に貼り、貼る位置の記号を壁側に小さく残して元の場所へ戻しやすく

6-2.よくあるQ&A

Q:貼りすぎて逆に見なくなる。
A:一壁一テーマに絞り、色は2色まで月1入れ替えで新鮮さを保つ。

Q:子どもが字を読めない。
A:ピクト+色で伝え、ひらがな短文に。読み上げ練習を家族で。

Q:来客に見られたくない。
A:室内側に貼る、可動式ボードで普段は収納。目的は家族の安全

Q:高齢者が小さい文字を読めない。
A:24pt以上高コントラスト足元灯で明るさ補助

Q:色弱の家族がいる。
A:色だけに頼らず形・下線で区別。赤と緑の並置は避ける。

Q:外国の友人が来る。
A:絵中心にして簡単な英単語1語(Hot/Stop/Exit)を小さく添えると伝わる。

6-3.用語辞典(平易な言い換え)

危険表示命に関わる危険を知らせる表示。赤や黄黒で目立たせる。
注意表示けがにつながる可能性を知らせる表示。黄や橙が多い。
案内表示やること・手順・場所を示す表示。青や緑で落ち着かせる。
ピクト図で意味を伝えるしるし(手・足・炎など)。
コントラスト色の明るさの差。差が大きいほど読みやすい。
耐候外の雨や日差しに強いこと。
弱粘着はがしても跡が残りにくい粘着。


まとめ
家庭の掲示は数より質場所に合う一言正しい高さと色で貼り、月次点検で更新するだけで、うっかり事故は目に見えて減る。家族で作る・回す・直すの循環を作り、**「見れば動ける家」**へ。今日の一枚が、明日の事故を消していく。

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