持病と服薬の災害対策帳票化|お薬手帳バックアップガイド

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防災
  1. 要点先取り:命を守るのは“情報の二重化×3拠点分散×更新習慣”
    1. まず決めるのは「誰が、何を見て、すぐ行動できるか」
    2. 3拠点分散(家・職場/学校・携帯)の原則
    3. リスク別の優先度(まず何を印刷するか)
    4. 帳票化のゴール
  2. 帳票テンプレートの作り方|1枚で全体像、2枚目で詳細、付録で運用
    1. 1枚目:要点サマリー(救護・家族向け)
    2. 2枚目:詳細(薬局・医療者向け)
    3. 付録:運用ページ(家族・本人向け)
    4. 用語は“短く・平易に”
  3. 記載例と表|このまま転記して使える(書式の見本)
    1. 要点サマリー記入例(1枚目)
    2. 詳細(2枚目向け)
    3. 検査・デバイス欄の例
    4. 家族役割分担(更新・受診・在庫)
  4. 3重バックアップの作り方|紙・画像・クラウド+差替え運用
    1. 紙:停電・電池切れでも読める
    2. 画像:スマホで即提示
    3. クラウド:離れていても共有
    4. 更新運用のコツ(院外・院内のズレ防止)
    5. 個人情報の守り方(必要十分の掲載)
  5. 在庫・受診・緊急時の運用|“誰でも回せる”仕組みを数で決める
    1. 在庫表(家族が見ても分かる)
    2. 受診・処方切れ時の手順(掲示用)
    3. 緊急携行セット(外出ポーチ)
    4. デバイス系の停電対策・保管温度
    5. 災害タイプ別の配慮(地震・水害・停電)
  6. 症状別の追加欄サンプル|現場で迷わない短文指示と“見える化”
    1. ぜんそく(色:青)
    2. 糖尿病(色:緑)
    3. てんかん(色:紫)
    4. アナフィラキシー(色:赤)
    5. 妊娠・授乳中/小児・高齢の特記事項
  7. Q&Aと用語辞典|迷いをなくす最後の1枚
    1. よくあるQ&A
    2. 用語辞典(やさしい言い換え)

要点先取り:命を守るのは“情報の二重化×3拠点分散×更新習慣”

まず決めるのは「誰が、何を見て、すぐ行動できるか」

災害時に最初に必要なのは正確な服薬情報と連絡先を1ページで提示できること。家族・救護者・薬局のどれが見ても今すぐ投薬と連絡が再開できるよう、紙・画像・クラウド三重バックアップを基本にする。医師・薬剤師の指示が最優先であり、帳票は伝達と再開の橋渡しだと位置づける。

3拠点分散(家・職場/学校・携帯)の原則

家(玄関下段)/職場や学校(机の一段目)/携帯(スマホと財布)に、同じ内容の簡易版シートを配備。古い版が出回らないよう、毎月の更新日を固定して差し替える。家族カード最終更新日差替え担当者を記入。

リスク別の優先度(まず何を印刷するか)

リスク先に印刷する項目補足
服薬が複数・変更が頻回要点サマリー1枚誤投与防止が最優先
注射/吸入など手順が必要発作・緊急手順カード図解・太字の手順
アレルギー/禁忌あり赤枠の禁忌欄1行目に大きく表記
デバイス使用(血糖/酸素)設定表電池・センサーの数も

帳票化のゴール

  • 救護者が1分で理解できる要点サマリー
  • 薬局がそのまま入力できる薬剤一覧
  • 家族が手順通りに補充できる在庫・受診・問い合わせ表
  • 更新・廃版管理誰でも再現できる運用ルール。

帳票テンプレートの作り方|1枚で全体像、2枚目で詳細、付録で運用

1枚目:要点サマリー(救護・家族向け)

  • 氏名・生年月日・血液型・主治医・かかりつけ薬局
  • 診断名(簡潔)・禁忌薬・アレルギー
  • 現在の内服一覧(朝/昼/夕/寝前)と頓服
  • 緊急連絡先(家族・主治医・薬局)
  • 発作時の対応・注射/吸入の手順(太字・番号で)

2枚目:詳細(薬局・医療者向け)

  • 薬剤名(一般名/製品名)・用量・用法・開始日・変更履歴
  • 過去の副作用・中止理由
  • 自己注射・在宅酸素などデバイス設定
  • 最新検査値(直近6か月)(可能な範囲で)

付録:運用ページ(家族・本人向け)

  • 在庫表・受診予定・処方切れ時の行動
  • 電池・センサー在庫、保管温度の注意
  • 更新チェックリストと差替え手順

用語は“短く・平易に”

心臓の薬(頻脈)」「血圧の薬(朝一回)」のように家族が読み上げられる言い換えも併記する。医療名は残しつつ、現場で誤解が生まれない言い換えを心がける。


記載例と表|このまま転記して使える(書式の見本)

要点サマリー記入例(1枚目)

項目記載例
氏名/生年月日山田 太郎/1975-05-12
主治医・診療科佐藤内科 医師 佐藤健
かかりつけ薬局ひまわり薬局(03-1234-5678)
診断名高血圧、気管支ぜんそく、花粉症
アレルギーペニシリン(発疹)
禁忌薬β遮断薬(ぜんそく増悪のため)
緊急連絡先妻:山田花子 090-xxxx-xxxx
発作時の対応ゼーゼー→吸入2回→改善なければ救急要請

内服・頓服一覧(1枚目向け)

時間帯薬剤(一般名/製品名)用量/用法用途の言い換え
アムロジピン(アムロジン)5mg 1錠血圧の薬
なし
モンテルカスト(キプレス)10mg 1錠ぜんそく予防
寝前ロラタジン(クラリチン)10mg 1錠花粉症
頓服サルブタモール吸入1回2吸入苦しい時

詳細(2枚目向け)

薬剤名(一般/製品)用法開始変更履歴副作用・中止理由
アムロジピン/アムロジン5mg朝12024/112025/02 増量検討浮腫軽度
モンテルカスト/キプレス10mg夕12023/04
ロラタジン/クラリチン10mg就寝前12025/01眠気ややあり
サルブタモール吸入規定量発作時2022/072024/03 吸入指導動悸時休止

検査・デバイス欄の例

項目値/設定日付メモ
血圧(家庭)128/782025/09朝夕2回平均
HbA1c5.8%2025/08
PEF(ぜんそく)420L/分2025/07黄色域で吸入追加
吸入器設定規定スペーサー併用

家族役割分担(更新・受診・在庫)

役割担当者頻度内容
更新担当親(A)毎月1日PDF更新・差替え
在庫担当親(B)毎週日曜錠数チェック・補充連絡
受診同行祖父母受診日メモの追記と伝達

3重バックアップの作り方|紙・画像・クラウド+差替え運用

紙:停電・電池切れでも読める

  • A4版(2枚)を透明ポケットに入れて玄関下段へ。
  • A6版(1枚)を財布・防災ポーチへ。
  • 色分け:本体は、子どもは水色、高齢家族は薄黄など家内で統一
  • 赤枠アレルギー・禁忌を囲む。

画像:スマホで即提示

  • スマホの写真に**「医療」アルバム**を作り、要点サマリーの写真を先頭に。
  • ロック画面メモに**「お薬手帳→写真→医療」と一言。緊急時に家族でも提示**できる。

クラウド:離れていても共有

  • 家族グループPDFを共有。更新日は毎月1日に固定。
  • ファイル名YYYYMM_氏名_服薬で統一し古い版はアーカイブ共有権限家族のみに限定。

更新運用のコツ(院外・院内のズレ防止)

  • 受診日変更点を赤ペンで紙へ追記→帰宅後にPDF更新三拠点差し替え
  • 月末チェック在庫と次回受診日家族カードへ記入。
  • 古い紙は破棄、クラウドは**“old”フォルダへ移動**。

個人情報の守り方(必要十分の掲載)

  • 最低限の識別情報(氏名・生年月日)に絞り、住所や詳細既往必要時に提示
  • スマホは画面ロック・生体認証、クラウドは家族グループのみ。
  • 財布のA6版封筒型ケース外から読めないように。

在庫・受診・緊急時の運用|“誰でも回せる”仕組みを数で決める

在庫表(家族が見ても分かる)

薬剤1日の回数残数残日数補充タイミング
アムロジピン5mg124錠24日残10日で補充
モンテルカスト10mg114錠14日残7日で補充
ロラタジン10mg120錠20日残10日で補充
サルブタモール吸入頓用2本1本未満で補充

受診・処方切れ時の手順(掲示用)

1)帳票の1枚目を持参。
2)主治医が不在診療所名の近隣医療機関へ連絡。
3)薬局が休止別薬局へお薬手帳PDFを提示。
4)禁忌・アレルギー最初に口頭で伝える

緊急携行セット(外出ポーチ)

  • A6要点サマリー頓服(ぜんそく・片頭痛など)、人工涙液/保湿使い捨て手袋メモとペン
  • 血糖測定器自己注射予備電池・針も小分け。寒冷地は電池を内ポケットで保温。

デバイス系の停電対策・保管温度

デバイス/薬注意点代替・運用
インスリン高温・凍結NG保冷剤+断熱袋、日陰保管
自己注射針の破損・衛生針予備、シャープス容器代替に硬質ボトル
在宅酸素電源確保予備バッテリ・避難所の電源位置確認

災害タイプ別の配慮(地震・水害・停電)

災害先にやること避けること
地震眼鏡・帳票を玄関下段から回収家具周辺の滞留
水害帳票を防水袋へ移す低い棚・床置き
停電紙版が主力と再確認スマホ頼みの運用

症状別の追加欄サンプル|現場で迷わない短文指示と“見える化”

ぜんそく(色:青)

  • 息苦しい・ゼーゼー吸入2回10分で改善なければ救急要請
  • 冷気で悪化マスクで温める
  • 家族へ発作の時刻と回数をメモ。

糖尿病(色:緑)

  • 低血糖ブドウ糖タブレット15g15分後再測
  • 針・センサーの予備は三拠点
  • 食事が遅れる時主治医の指示票を確認。

てんかん(色:紫)

  • けいれん頭を守る時間を測る5分超で救急要請
  • 頓用薬の置き場は家族で共有

アナフィラキシー(色:赤)

  • 全身じんましん・息苦しさ自己注射救急要請
  • 食物禁忌リスト赤枠で強調。

妊娠・授乳中/小児・高齢の特記事項

区分配慮記載例
妊娠中服薬可否の最新指示産科の指示日付を書く
授乳中投与タイミング授乳前/後の目安を記載
小児体重と用量体重更新日を明記
高齢飲み忘れ対策朝・昼・夕の仕切りケース利用

Q&Aと用語辞典|迷いをなくす最後の1枚

よくあるQ&A

Q1.薬の一般名と製品名、両方必要?
A.必要。薬局や地域で表記が違うことがあるため、どちらでも照合できるようにする。
Q2.家族に医療の言葉が難しい。
A.言い換えを併記。例:降圧薬(血圧の薬)気管支拡張薬(息を楽にする)
Q3.更新を忘れる。
A.毎月1日に固定し、冷蔵庫のカレンダーにチェック欄を作る。差替え担当も決める。
Q4.スマホが壊れたら?
A.紙が主力玄関下段のA4財布のA6で代替できるようにしておく。
Q5.個人情報が心配。
A.紙は家族だけが分かる場所へ。スマホは画面ロッククラウドは家族グループ限定で共有。
Q6.主治医が変わった/休診が続く。
A.帳票の連絡先を即更新近隣の受入医療機関の連絡先も予備欄に追加。
Q7.薬が急に変わった。旧名しか分からない。
A.一般名を併記していれば同等薬の照合がしやすい。

用語辞典(やさしい言い換え)

  • 一般名:薬の成分名。場所が変わっても同じ。
  • 製品名:薬の商品名。薬局によって違うことがある。
  • 用量・用法どれだけ・いつ飲むか
  • 禁忌使ってはいけない条件や薬
  • 頓服症状が出た時だけ飲む薬
  • 在庫手元に残っている数
  • PEF息の勢いの指標(ぜんそくの目安)。
  • デバイス測定器や吸入器などの器具
  • 家族カード更新日・置き場・担当者をまとめた紙。

まとめ
1枚目の要点サマリー+2枚目の詳細+付録の運用ページ紙・画像・クラウド三重に持ち、家・職場/学校・携帯三拠点に分散する。

受診日に赤ペン追記→PDF更新→差し替えの流れを毎月の習慣にすれば、誰が見ても1分で正しく動ける服薬体制が整う。今日からテンプレを写して、家族分を玄関下段にそろえ、更新担当・在庫担当を決めて運用を回すところまで一気に進めよう。

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