狙われる家と狙われない家の境界線は？犯罪者の心理と防犯対策を徹底解説

「うちは大丈夫」と思っている家ほど、実は狙われる条件が静かにそろっていることがあります。犯罪者は、力まかせではなく観察と選別で獲物を決めます。見通し・明るさ・音・時間、この四つが緩い家は、短時間で静かに侵入できます。

本記事では、犯罪者の目線で弱点を洗い出し、今日からできる具体的な直し方を、家族全員で回せる運用まで含めて丁寧にまとめます。そのまま実行できるように書きました。読み終えたら、家のまわりを一周三分の点検で歩き、今すぐ三手を実行できるところまで伴走します。

1. 犯罪者が狙う家の共通点（心理と観察ポイント）

1-1. 人目・光・音・時間の四条件

侵入者が好むのは、人目が少なく、光が弱く、音を出さずに済み、破る時間が短い家です。高い塀と茂った植木は隠れ場所になります。門灯が切れたまま、通路が暗いまま、録画の表示がない家は、近づいても気づかれにくいと判断されます。逆に、足元で音が出る砂利、顔・手元・足元を照らす灯り、補助錠で五分の壁がある家は避けられます。

1-2. 留守の気配が漏れるサイン

たまった郵便物、置き配の滞留、夜も昼も同じ照明、閉まりっぱなしの雨戸。こうした小さな合図の積み重ねで、留守の周期が読み取られます。洗濯物の出しっぱなしや庭の手入れ不足も、管理が緩い指標になります。ベビーカーや子どもの遊具の置き方など生活のリズムも、観察対象になります。

1-3. 家周りの弱点：足場・抜け道・死角

脚立・資材・室外機の上は、窓に届く登り台です。塀の内側の黒い塊（茂み）は、しゃがんで作業できる死角です。家の裏手に抜け道があれば、近づきやすく逃げやすい経路になります。段差と陰が重なる場所（門柱の裏、物置の側面、車の後部）は要注意です。

1-4. 季節と時間帯の傾向

長期休み（大型連休・お盆・年末年始）や、台風による停電のときは注意が必要です。夕刻〜就寝前は通行が減り、明け方は音に気づきにくくなります。**行事の夜（花火大会・地域祭り）**も、街全体の目が薄くなりがちです。

1-5. デジタルの手がかり（外に漏れる情報）

外出先の写真や投稿の即時公開、位置情報の付与、室内の映り込みは、狙いを定める材料になります。配達時間の固定化、宅配箱の開けっぱなしも周期の手がかりです。公開は時差で、位置情報は常に切るが原則です。

狙われる家／狙われない家（対比表・拡張）

2. 侵入経路別リスクと弱点の直し方

2-1. 玄関：鍵・戸先・呼び出しの三本柱

新型の鍵に交換し、補助錠で二重化します。内側のつまみ（回し部分）には回し防止の覆いを付け、扉と枠のすき間（戸先）を金具で補強します。来訪の映像確認で相手の顔と手元を見てから扉を開けます。のぞき穴は外側から外せない型に替え、足元灯で夜の手元を明るくします。表札・郵便受けは手を差し入れにくい高さに見直しましょう。

2-2. 窓：破らせない・開けさせない重ねがけ

防犯膜は端まで密着させて貼り、クレセントに補助錠を追加。面格子や内側のつっぱり棒で二重の段差を作ります。勝手口と浴室の小窓は重点地点です。通風したいときは、補助錠で開口幅を指一本に制限し、在宅でも施錠を続けます。窓の外に足場になる物（室外機の上、物置、ベンチ）を置かない配置にします。

2-3. 庭・塀・駐車場：照明・植栽・柵で近寄りにくく

人感灯＋足元灯を玄関・裏口・通路・駐車場に。植木は低く間引き、塀沿いの黒い塊をなくします。脚立・資材・古い棚は屋内に移し、抜け道は柵と鍵で区切ります。砂利敷きは足音が出て抑止に効きます。車の陰は死角になりやすいので、壁面灯で補います。

2-4. ベランダ・屋根まわり・共用部（集合住宅の注意）

ベランダの物置や室外機は登り台になります。よじ登り防止の柵や上部の空間に注意を払い、はしご代わりの物は置かないこと。集合住宅では共用廊下の暗がりと非常階段が狙われやすいため、管理掲示板での注意喚起や共用灯の点検が有効です。

2-5. 生活動線別の優先順位

よく使う動線（玄関・勝手口・台所の窓）を最優先に強化し、次に見回りが少ない裏手、最後に二階窓・屋根周りの順で整えます。夜に通る道は必ず顔・手元・足元が照らされるよう角度を調整します。

手口×弱点×効く直し方（拡張表）

3. 見せる抑止と早期発見のしくみ

3-1. 照明計画：暗がりをつくらない

門灯は自動点灯へ。人感灯は玄関・裏口・勝手口・駐車場へ配し、顔・手元・足元の三点が映る明るさを確保します。表札と郵便受けは手を差し入れにくい高さへ見直します。逆光を避け、影で顔が黒くつぶれない角度に整えます。

3-2. 録画と表示、通報の連携

録画装置＋「録画中」表示＋足元灯をセットで。窓・扉の開閉の感知と警報、照明、録画を連動させます。月に一度、時刻合わせ・保存期間・通報の試験を行い、記録を短いメモに残します。停電時の動作と電池交換日も家族で共有します。

3-3. 近隣との連絡網と日課

あいさつと声かけが最大の抑止です。見回りの時刻を決め、色・形・方角・時刻の四点で異変を共有します。長期不在は郵便の取り込みを依頼し、照明の自動点灯で生活の気配を保ちます。回覧板に一言メモを添えるだけでも、意識が街に広がります。

3-4. 音の設計：鳴らす・響かせる・止めない

足音が出る砂利敷き、窓・扉連動の警報（大音量・自動復帰）、門鈴の録画。この三点で近づく・触る・開けるの各段階に音を用意します。誤作動が多い機器は周囲が無視するので、設置角度と感度を整えます。

3-5. 記録の扱いと個人情報の配慮

記録の保存先は二重化し、保存期間を決めます。外へ公開する映像には細心の注意を払い、住所や生活の手がかりを出さないよう配慮します。時刻のずれは、月一の時刻合わせで防げます。

現状→最低ライン→強化（部位別）

4. 「狙われる家」から「狙われない家」へ：30日改善計画

4-1. 今日〜3日：即効の三手

1）窓の補助錠を追加し、通風は指幅に統一。
2）門灯を自動点灯へ切替、録画中の表示を目線高さに。
3）脚立・資材を屋内へ移し、抜け道は仮の鎖と鍵で区切る。

4-2. 1〜2週：物理の底上げ

防犯膜（端まで密着）を主要窓に、勝手口・浴室に面格子。玄関は新型鍵＋補助錠へ交換し、戸先補強と内側つまみの覆いを追加します。照明の角度を整え、顔・手元・足元が映るか実見します。

4-3. 3〜4週：連動と運用の定着

窓・扉の感知→警報→照明→録画を一度通しで試験。時刻合わせ・保存先・通報先をメモにし、月一の点検日を家族で決めます。声出し確認の短い言葉（例：「二重・補助・表示よし」）を作って張り出します。不在時の置き配は日時指定か受け取り場所変更で管理します。

4-4. 家族訓練：10分ドリル（週1回）

ドア前での来訪対応の練習、夜の帰宅ルートの確認、通報先の復唱を10分で。**合図の言葉（例：無事・着）**を決め、声出し手順をそろえます。

30日タイムライン（表）

5. 自己診断と実行チェック表（保存版）

5-1. 20問チェック：狙われ度を測る

1）門灯や人感灯が切れたままの場所がある。
2）玄関は古い鍵で補助錠がない。
3）勝手口・浴室の小窓に面格子がない。
4）窓の防犯膜を貼っていない（端まで密着していない）。
5）録画の表示はあるが、記録を最近見ていない。
6）裏口側に脚立や資材を出しっぱなし。
7）郵便物・置き配がよく滞留する。
8）塀沿いに茂った植木の黒い塊がある。
9）夜、通路の足元が暗い。
10）長期不在時の取り決め（照明・郵便・見回り）がない。
11）表札と郵便受けが低く、手を差し入れやすい。
12）ベランダに物置や脚立を置いている。
13）非常階段や共用廊下の暗がりを放置している。
14）置き配の時間や場所が固定されている。
15）外出中の写真をその場で公開している。
16）のぞき穴が曇っている、外から外せる型のまま。
17）警報機の誤作動が多く、周囲が気にしなくなっている。
18）門柱の裏に黒い影ができる。
19）車の後部で人がかがめる暗がりがある。
20）録画の時刻がずれている。
3つ以上当てはまれば要強化、5つ以上なら即時対応。

5-2. 部位別の最低ラインと強化策（保存表）

5-3. 時間帯別の声出し手順

朝：「玄関施錠、勝手口施錠、窓補助錠、録画よし」
日中外出前：「門灯自動、配達管理、近所へ一声」
夜：「二重施錠、補助錠、足元灯、表示よし」
長期不在前：「郵便停止、取り込み依頼、照明自動、置き配停止」

5-4. 季節・行事・非常時の要注意（早見表）

むすび

狙われる家は、たいてい人目・光・音・時間のどれかが欠けています。物理の底上げで入らせず、見せる抑止で近寄らせず、早期発見で被害を小さくする——この三本柱に沿って30日で整えるだけで、家の強さは見違えます。最後に、今日の三手——補助錠の追加、門灯の自動化、脚立と資材の屋内化。ここから始めれば、明日の安心がひとつ増えます。家族で声に出す確認を一文にまとめ、毎晩唱和しましょう。それだけで、抜けは確実に減ります。