にんげんは、楽しい・うれしい・ほっとしたときだけでなく、はずかしい・びっくりしたときにも思わず笑ってしまいます。笑いはただの反応ではなく、心と体を元気にし、家族や友だちをつなぐ合図でもあります。
本記事では、笑いのしくみ・理由・健康との関係・世界や動物とのちがい・今日からできる実践を、たっぷり&やさしく解説します。さらに歴史やことわざ、マナー、自由研究のアイデアまで大幅に広げました。最後にQ&Aと用語辞典、チェックリストもつけています。
1.笑うって何?—心と体で起きていること
1-1.笑顔が生まれる流れ:こころ→あたま→顔
おもしろいことやうれしいことがあると、まずこころが反応します。その合図があたま(脳)に伝わり、顔の筋肉がうごいて口角(口のはし)が上がる・目が細くなる・ほおが上がるなどの変化が起こります。これが笑顔です。おもしろさが強いと、声(あはは)や体のゆれまで出てきます。
1-2.笑うと出る“しあわせの物質”
笑うと、体の中で気分を明るくする物質が出ます。たとえば、エンドルフィン(気持ちを楽にする)、セロトニン(こころを安定させる)、ドーパミン(やる気を高める)など。これらがストレスをやわらげ、前向きな気持ちを助けます。
1-3.笑いは全身運動!
口・ほお・目のまわりだけでなく、おなか・胸・のど・首・肩の筋肉も働きます。大笑いをすると深呼吸を何度もしたのと同じで、体がぽかぽかしてきます。たまに「おなかが痛いほど笑う」ことがあるのは、このためです。
1-4.笑い声のちがい—くすくす・にこにこ・げらげら
小さくくすくす笑うときは安心の合図、にこにこは好意の合図、げらげらはうれしさが大きいとき。声の大きさや速さで、気持ちの強さが伝わります。
1-5.「作り笑い」と「自然な笑い」
作り笑いは口だけが動きがち。自然な笑いは目じりやほおもいっしょに上がります。鏡で見比べると、目の表情がいちばんのちがいです。
1-6.笑うと涙が出るのはなぜ?
大笑いで息がはずむと、目の近くの筋肉が動いて涙の道が刺激され、涙が少し出ることがあります。これは体の正常な反応です。
2.どうして笑うの?—場面別の理由を知ろう
2-1.楽しい・うれしい・安心の笑い
ゲームや遊び、面白い話、なつかしい思い出、「わあ、うれしい!」という気持ちが顔に表れるのがこの笑い。安心感がある場所では笑顔が増えます。赤ちゃんがだっこされてニコッとするのも同じです。
2-2.仲良くなるための笑い(社会の合図)
はじめて会う人ににっこりすると、「敵ではありません」「仲良くしたい」という合図になります。クラス替えやキャンプでも、笑顔があると話しかけやすくなり、信頼が生まれます。
2-3.緊張・てれ・困ったときの笑い
発表前にニヤッとしてしまったり、失敗後に照れ笑いすることがあります。これは心を落ち着かせる工夫で、場の空気をやわらげるはたらきがあります。だれかが転んだときは、心配の笑顔で**「大丈夫?」**と声をかけられると安心します。
2-4.意外性の笑い—予想外が楽しい
「思っていたのとちがった!」という意外(いがい)が笑いを生みます。なぞなぞやことば遊び、落語やこっけい話が楽しいのはずらしやどんでん返しがあるからです。
2-5.学ぶときの笑い—覚えやすくなる
覚えにくい内容でも、楽しいたとえやゆかいな語りがあると記憶に残りやすくなります。笑いは学びの味つけにもなります。
2-6.夢の中でも笑う?
夢の中で楽しい出来事が起きると、寝言で笑うことも。体が安心しているしるしです。
3.動物と世界の笑い—ちがいとなかまのしるし
3-1.動物たちの“笑い”を観察
チンパンジーやゴリラは、遊ぶときに**「ハッハッ」と息をはずませ、口角が上がります。犬はしっぽをふり**、口がゆるんでいわゆる犬スマイルに。猫はゴロゴロとどをならして気持ちよさそう。イルカは高い声で鳴き、仲間と遊ぶと笑顔っぽく見えます。鳥もさえずりがはずむとき、仲間との良い合図になっています。
3-2.国や文化ごとの笑い方
日本ではにこにこやほほえみが多く、場をわきまえる笑いも好まれます。ほかの国では大きな声で笑ったり、身ぶり手ぶりが大きかったりと、笑い方の文化がちがいます。どの国でも共通なのは、人と人を近づける力があることです。
3-3.言葉がなくても通じる笑顔
言葉が通じなくても、笑顔は**「やさしい」「うれしい」の合図として世界共通。旅行や交流会でも、まず笑顔が最初の橋**になります。
3-4.世界の笑い比べ(例)
| 地域・場面 | よく見られる笑い方 | 伝えたい気持ち | 注意すること |
|---|---|---|---|
| 日本の学校 | ほほえみ・にこにこ | 思いやり・安心 | 場に合わせ音量を調整 |
| 欧米の集まり | 大きな声・身ぶり | 元気・開放感 | 相手との距離に気をつける |
| 祭り・行事 | 手をたたく・体で表す | 一体感 | まわりの安全に配慮 |
4.笑いと健康・学び—こころと体が元気になる理由
4-1.ストレスをへらす・気持ちが軽くなる
笑うと、緊張でかたくなった体がゆるみ、息が深くなります。いやなことがあった日でも、家族や友だちと笑うと気分転換になり、前向きに考えやすくなります。
4-2.体のめぐりが良くなる・病気に負けにくくなる
大笑いは深呼吸のくり返し。新しい空気が体に入り、血のめぐりが良くなります。笑う時間を日々つくると、元気が出る人が多いのはこのためです。
4-3.勉強・運動・チームワークにも効果
笑いがあるクラスは話しやすく、質問もしやすい雰囲気に。運動会や発表会でも、笑顔が緊張をほぐし、力を出し切る助けになります。思い出も増えます。
4-4.姿勢と呼吸もよくなる
笑うと胸が開き、姿勢が楽になり、息が深く入ります。ふだんから深い呼吸を意識すると、落ち着きやすくなります。
4-5.気持ちの「天気予報」をつけよう
笑った回数や時間を、晴れ・くもり・雨などで記録すると、自分の気分のくせがわかります。晴れが少ない日は、短い散歩や好きな音楽で気分づくりを。
5.今日から実践!—観察・遊び・マナー
5-1.笑いの観察ノート(テンプレ)
- 今日いちばん笑ったこと:
- だれと笑った?:
- どこで?:
- どんな気持ちになった?:
- 明日ためしたい「笑顔づくり」:
5-2.みんなが笑える話の作り方
人を下げない・からかわないことが大原則。自分の失敗談やあるあるを、大げさにしすぎずテンポよく話すと、やさしい笑いになります。オチ(まとめ)は短くはっきりと。
5-3.困ったときの笑顔の使い方(エチケット)
場に合わない大笑いはひかえめに。だれかが困っているときは、にっこりと短い言葉(大丈夫?手伝うよ)をそえると、相手を安心させられます。
5-4.笑いの四つの約束
1)悪口で笑わない 2)時間と場所を選ぶ 3)声の大きさを調整 4)安全に気をつける
5-5.学校で使える「笑顔スイッチ」
教室に入る前にゆっくり深呼吸→目じりを下げて口角を少し上げる→心の中であいさつ。これだけで話しかけやすい人になります。
6.笑いの種類と効果—ひと目でわかる表
| 笑いの種類 | どんなとき? | 体・心への良い点 | 注意点 | 例 |
|---|---|---|---|---|
| ほほえみ | 安心・うれしい | 場がやわらぐ/話しかけやすい | 小さくて気づかれないことも | あいさつ、ありがとう |
| くちもと笑い | てれ・気まずさ | 緊張をゆるめる | ごまかしに見えることも | 失敗後の「てへ」 |
| 大笑い | とても楽しい | 深呼吸・血のめぐりアップ | 場により音量注意 | 友だちと爆笑 |
| ふきだし笑い | 思わず出た笑い | 気分転換になる | 食事中はむせないように | 宿題中の一コマ |
| ほっと笑い | 不安が消えたとき | 体のこわばりがとれる | 油断しすぎない | 合格発表・成功のあと |
| からだで笑う | 手をたたく・身ぶり | 一体感が高まる | 人にぶつからないように | 発表会・応援 |
7.場面別「笑いの理由」早見表
| 場面 | ねらい・意味 | 体や心の変化 | よくある失敗 | コツ |
|---|---|---|---|---|
| 楽しい・うれしい | 喜びの表現 | しあわせ物質が出る | はしゃぎすぎ | 空気を見て音量調整 |
| 仲良くしたい | 安心の合図 | 心の距離が近づく | 作り笑いに見える | 目もいっしょに笑う |
| 緊張・てれ | 気持ちの調整 | 呼吸が深くなる | ふざけに誤解 | 一言そえる(大丈夫です) |
| 困った人を助ける | 支え合い | 相手が安心 | 笑いすぎて失礼に | まず心配の言葉を |
| 予想外に出会う | 意外の処理 | こころが軽くなる | 人を笑わない | できごとそのものを笑う |
| 学びの場 | 覚えやすくする | 記憶に残る | 私語が増える | 区切りをつけて笑う |
8.ミニワーク&自由研究アイデア
- 笑い日記:1週間、毎日「笑った回数」と**気分の点数(0〜10)**を記録し、笑いと気分の関係を調べる。
- 笑顔マップ:家・学校・公園など、笑える場所を地図に書きこむ。共通点を見つけよう。
- ことわざ調べ:世界の笑いのことわざを集め、日本のものと意味比べをする。
- 家族インタビュー:「いつ、だれと、どんな笑いが多い?」を聞き取り、世代のちがいをくらべる。
- 深呼吸と笑いの実験:笑う前後で脈(みゃく)や気分点をはかって変化を見る。
9.笑いの歴史・ことわざ・昔話
9-1.ことわざに見る笑い
- 笑う門には福来たる:よく笑う家には幸せが来る。
- 笑いは医者いらず:笑いは心と体の薬になる。
- 泣きっ面に蜂、笑う顔に花:表情は出来事の感じ方を変える。
9-2.昔話と笑いの役目
昔話にはこっけいな登場人物やとんちがたくさん。笑いは教えをやわらかく伝える道具でした。
9-3.芸と笑い(やさしい説明)
落語はひとり語り、漫才はふたりのやりとり。どちらも言葉の工夫と**間(ま)**で笑いを生みます。
10.場を明るくする笑いのマナー
10-1.場所と時間をえらぶ
教室、図書室、病院など、静かにする場では小さな笑いに。外や運動場ではのびのび笑ってOK。
10-2.人を大切にする笑い
からかい・見下しで笑わない。笑いはみんなで分け合うもの。
10-3.うまくいかなかったら
「ごめんね」のひとことと小さな会釈で気持ちは伝わります。
11.「今日からできる」チェックリスト
- 朝、鏡の前で口角をちょっと上げる練習をした
- その日3回以上だれかに笑顔であいさつした
- 悪口で笑わないを守れた
- 夜、笑い日記に3行書いた
- 明日の笑顔スイッチを決めた
Q&A—よくある疑問
Q1.ひとりでも笑っていいの?
A. いいです。好きな本や動画でくすりと笑うだけでも気分転換になります。
Q2.笑うと勉強がおろそかにならない?
A. 笑いは休けいや切りかえにぴったり。時間を決めれば集中力も上がります。
Q3.人をからかう笑いはダメ?
A. 相手が傷つく笑いはダメ。みんなが安心できる笑いを選びましょう。
Q4.緊張して笑ってしまう…どうすれば?
A. 深呼吸して、短い言葉で気持ちを伝える(緊張しています)。水を一口飲むのも効果的。
Q5.マスクをしていても笑顔は伝わる?
A. 目もと・声の調子・うなずきで伝わります。目じりが下がると笑顔がわかりやすいです。
Q6.笑いすぎて涙が出るのは変?
A. 変ではありません。筋肉や涙の道がよく動いている合図です。
Q7.くすぐられると笑ってしまうのは?
A. 体がびっくりして、守る反応として笑いが出ることがあります。いやならはっきりやめてと言おう。
Q8.人に笑われてつらいときは?
A. 先生や家族に相談しよう。相手を下げる笑いは良くありません。
Q9.無理に笑う必要はある?
A. ありません。つらい日は休む、静かに過ごすも大切。少し落ち着いたら深呼吸から始めよう。
Q10.朝と夜、どちらが笑いやすい?
A. 人それぞれ。朝のあいさつや夜の家族の時間など、自分の笑える場を見つけてみよう。
用語辞典(やさしい言いかえ)
- 口角(こうかく):口のはし。上がると笑顔に見える。
- 筋肉:体を動かす力。笑うと顔やおなかの筋肉がはたらく。
- 深呼吸:ゆっくり大きく息を吸って、ゆっくりはくこと。
- しあわせの物質:笑うと体の中で出る、気分を明るくする物質のまとめ。
- 照れ笑い:はずかしさをやわらげるための小さな笑い。
- 一体感:みんなの心がひとつにまとまった感じ。
- 間(ま):話すときの静かなすき間。おもしろさを強める。
【まとめ】
笑いは心の合図であり、体を元気にする力でもあります。楽しい・うれしい・安心・仲良くしたいなどの気持ちが顔と声にあらわれ、人と人をつなぐ架け橋になります。今日から笑い日記や観察を始め、やさしい笑いで毎日を明るくしていきましょう。


