ドアのキズは自分で直せる?タッチアップの手順と失敗しないコツ

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駐車場での“当てキズ”や擦りキズ。気づいた瞬間のショックは大きいですが、浅いキズなら自分で十分きれいに直せます。本記事では色番号の調べ方→下地処理→色のせ→クリア→段差ならし→研磨→保護の順に、失敗しないタッチアップ作業を徹底解説。

さらにキズの深さ診断表道具と費用の相場塗装種類(ソリッド/メタリック/パール)別のコツ季節・環境・濃色/淡色ごとの注意応急処置と本補修の切り替えやってはいけないNG例Q&A用語辞典まで一気にまとめました。

安全上の注意:有機溶剤を含む製品を扱います。風通しの良い場所で、保護手袋・保護めがね・マスクを着用し、火気厳禁を徹底してください。


  1. 1.まず判定:タッチアップで直せるキズか?
    1. 1-1.キズの深さを見極める(塗装構造のどこまで?)
    2. 1-2.“やる・やらない”の判断フロー
    3. 1-3.キズ別おすすめ処置早見表
    4. 1-4.塗装種類と難易度の目安
  2. 2.準備:色番号の特定と道具の揃え方
    1. 2-1.色番号(カラーナンバー)の探し方
    2. 2-2.必須・あると便利な道具(拡張版)
    3. 2-3.作業環境の整え方(温湿度・照明・足場)
  3. 3.実践手順:タッチアップの正しい流れ
    1. 3-1.下地処理(成功の8割)
    2. 3-2.色のせ(ベースカラー)
    3. 3-3.パール層(該当車のみ)
    4. 3-4.クリアのせ(保護・艶)
    5. 3-5.段差ならし(サンディング)
    6. 3-6.研磨→艶出し→保護
    7. 3-7.色なじみの微調整(上級)
  4. 4.仕上がりを左右するコツ/NG例/比較表
    1. 4-1.“仕上がりが変わる”7つのコツ(拡張)
    2. 4-2.やってはいけないNG例
    3. 4-3.自分で直す/プロに出す 判断のめやす
    4. 4-4.費用と時間の違い(再掲・詳細)
  5. 5.メンテ&再発防止:直した後にやること
    1. 5-1.サビ・再劣化を防ぐ習慣
    2. 5-2.ドアパンチ対策
    3. 5-3.再補修のタイミング
  6. 6.Q&A(よくある疑問)
  7. 7.用語辞典(平易な言い換え)
  8. 8.季節・環境・色で変わる注意点
    1. 8-1.季節別のコツ
    2. 8-2.色別のコツ
  9. 9.応急処置と本補修の切り替え
    1. 9-1.外出先の最小セット
    2. 9-2.本補修へ移行するタイミング
  10. 10.印刷用チェックリスト(作業前→作業後)
    1. まとめ:ポイントは“薄く・待つ・削って整える”

1.まず判定:タッチアップで直せるキズか?

1-1.キズの深さを見極める(塗装構造のどこまで?)

  • クリア層のみ:白っぽいスリ傷。研磨+コーティングで消えることが多い。
  • ベース色層まで:色が欠けて素地がチラ見え。タッチアップ+ならしで目立たなくできる。
  • 下地(サフェーサー)〜金属までサビのリスクあり。防錆→タッチアップ→段差ならしが必須。

1-2.“やる・やらない”の判断フロー

  1. 指爪が引っかからない磨きのみでOK。
  2. 引っかかる&色が欠けているタッチアップへ。
  3. 金属露出・へこみ・折れ板金塗装を検討(自分での対応は難度高)。

1-3.キズ別おすすめ処置早見表

キズの状態推奨処置目安時間仕上がりの期待度
クリア細線傷研磨+コーティング30〜60分
ベース色欠け(点/線)タッチアップ+ならし60〜120分中〜高
金属露出(点サビ)防錆→タッチアップ90〜180分
えぐれ・へこみ板金塗装数日〜最高(プロ)

1-4.塗装種類と難易度の目安

種類見分け方難易度ポイント
ソリッド(単色)くっきりした単色色ズレが出にくい
メタリックきらめき有薄塗りを回数で色味を合わせる
パール(三層)角度で色が変わる中〜高色→パール→クリアの順を守る

2.準備:色番号の特定と道具の揃え方

2-1.色番号(カラーナンバー)の探し方

  • 運転席側のドア開口部エンジンルーム内の銘板カラーコードが記載。例:**「カラー:1K0」**など。
  • 見つからない場合は車検証の型式を控え、販売店や用品店で照合。

2-2.必須・あると便利な道具(拡張版)

種類用途目安費用
タッチアップ塗料(色)欠けの補修純正ボトル/ペン1,000〜2,500円
パール層用塗料パール車用指定パール液1,000〜2,500円
クリア塗料艶・保護ペン/ボトル800〜1,800円
希釈液(うすめ液)粘度調整メーカー指定400〜800円
脱脂剤油分除去シリコンオフ等600〜1,200円
極細筆/極細綿棒塗布ネイル用極細等300〜1,000円
つまようじ/滴下針点置き盛り調整に便利100〜500円
マスキングテープ保護・ガイド低粘着/曲線用200〜400円
マスカー(養生シート)周囲保護ドア1枚分300〜600円
耐水ペーパー段差ならし#1500/#2000/#3000300〜600円
サンディングブロック均一研磨消しゴム可200〜600円
研磨剤(3種)仕上げ細目→極細→超微粒子800〜1,800円
マイクロファイバー拭き取り毛足短め400〜1,000円
防錆剤/さび転換剤金属露出時点サビ処理800〜1,800円
保護具安全手袋・めがね・マスク1,000円前後

2-3.作業環境の整え方(温湿度・照明・足場)

  • 直射日光・風・砂埃を避ける。屋内やテント内で20〜25℃/湿度50%前後が理想。
  • 照明は2方向以上(上+斜め)。斜光段差・ムラが見えやすい。
  • 足場片側のドアを全開にしても安全な広さを確保。ドアストッパーで急開防止。

3.実践手順:タッチアップの正しい流れ

3-1.下地処理(成功の8割)

  1. 洗車→乾燥:泥・粉塵を徹底除去。
  2. 脱脂:シリコンオフを無毛布に含ませ、一点に残さないよう拭く。
  3. サビ処理(必要時)240〜600番で軽く整え、防錆剤を点塗り→規定時間乾燥
  4. マスキング:キズの両脇0.5〜1mm外側に細幅テープ。エッジ保護。
  5. 下地色(必要時):地金が見える場合はプライマー点で薄く入れる。

3-2.色のせ(ベースカラー)

  • 極細筆の先端だけに塗料を取り、点置き→引き伸ばしキズ溝の中だけを埋める。
  • 厚塗り禁止1回薄く→10〜20分乾燥→2回目積層で段差を少しずつ埋める。
  • メタリック/パール角度で色が変わるため、極薄を回数で合わせる(厚く塗ると暗く沈む)。

3-3.パール層(該当車のみ)

  • 指定のパール液を極薄1〜2回ベース色の明るさを保つことを最優先。

3-4.クリアのせ(保護・艶)

  • カラーが面一(つらいち)より少し低い段階でクリアを点置き
  • はみ出し厳禁表面張力で盛るイメージで1〜2回
  • 最低3〜6時間、可能なら一晩乾燥。

3-5.段差ならし(サンディング)

  • #2000→#3000耐水ペーパー数cm角に切り、水で十分湿らせる
  • 平らなブロックに巻いて軽く往復“トントン→すべらす”のリズムで盛り上がりだけを削る。
  • 指腹と光の反射で段差を確認。周囲の塗膜を削りすぎないこと。

3-6.研磨→艶出し→保護

  • コンパウンド細目→極細→超微粒子の順で小面積ずつ
  • マイクロファイバー清潔な面をこまめに交換
  • 最後にコーティング/ワックス保護膜を作り、水はじきと防汚を付与。

3-7.色なじみの微調整(上級)

  • 仕上げで周囲を極軽くぼかし磨き。境界の光の段差を和らげる。
  • 濃色磨き跡(オーロラ)が出やすいので超微粒子→脱脂拭きで締める。

4.仕上がりを左右するコツ/NG例/比較表

4-1.“仕上がりが変わる”7つのコツ(拡張)

  1. 薄く重ねる:厚塗りは段差と色ムラの元。
  2. 乾燥を待つせっかちに触らない。規定時間厳守。
  3. 溝の中だけに塗る外へはみ出さない筆技が命。
  4. 段差はサンディングで:塗って誤魔化さない。
  5. 磨きは小さく始める周囲の艶引けを防止。
  6. 照明を変えて確認:上+斜光でムラと傷を拾う。
  7. 気温・湿度を管理高温=速乾ムラ/低温=硬化遅れに注意。

4-2.やってはいけないNG例

  • 濃色でのコンパウンドかけ過ぎオーロラ傷が増える。
  • 暑い直射下での作業速乾でムラ・ピンホール
  • 脱脂不足の上から塗る密着不良で剥離
  • 一発で厚塗り盛り上がり・色ズレが目立つ。
  • 粗い番手で広範囲研磨塗膜のやせ・白ボケ
  • 硬化前に雨に当てる白濁・染みの原因。

4-3.自分で直す/プロに出す 判断のめやす

状態自分でプロがおすすめ理由
点傷・線傷(10cm以内)タッチアップ範囲
複数面にまたがる傷色合わせ・面調整が難しい
えぐれ/へこみあり板金・パテ成形が必要
パール三層で広範囲調色・膜厚管理が難度高

4-4.費用と時間の違い(再掲・詳細)

項目自分で(タッチアップ)プロ(板金塗装)
費用2,000〜6,000円(道具込み)2万〜10万円超(範囲次第)
作業時間1〜3時間+乾燥数日(入庫〜受け取り)
仕上がり近距離で痕跡あり得る新車寄りの均一仕上げ
保証店舗保証が付く例あり

5.メンテ&再発防止:直した後にやること

5-1.サビ・再劣化を防ぐ習慣

  • 洗車後は必ず乾拭きドア下縁の水溜まりを残さない。
  • 季節ごとにコーティング防汚膜で微傷の進行を抑える。
  • 黄砂・花粉の時期早めの洗い流し染みを防止。

5-2.ドアパンチ対策

  • 端車に駐車風の強い日は離して停める
  • ドアエッジモールマグネット式ガードの併用も有効。
  • 駐車場の通路側を避けるなど配置でリスク低減。

5-3.再補修のタイミング

  • 色ズレや段差が気になれば1〜2週間空けてから二次研磨 or 追いクリア。塗膜の完全硬化後に行う。
  • 冬季は硬化が遅いため期間を長めにとる。

6.Q&A(よくある疑問)

Q1.色が微妙に合わない。どうしたら?
A.メタリック/パールは角度で見え方が変わるため、極薄で回数を重ねて調整。周囲を軽く磨くと馴染みやすい。

Q2.筆ムラが出る。
A.筆の毛量を最小にして点置き中心に。高温時はムラになりやすいので朝夕に作業。

Q3.削りすぎて色まで落とした。
A.慌てず再度ベース→パール(該当時)→クリア乾燥→ならし→磨きでやり直せます。

Q4.スプレーは使わない方がいい?
A.点傷・線傷なら筆タイプが安全。スプレーは広範囲になりやすく色ズレが目立つ。

Q5.どの研磨剤を選べばいい?
A.基本は細目→極細→超微粒子三段階いきなり粗い番手オーロラ傷の原因。

Q6.濃色車で磨き後の“モヤ”が消えない。
A.照明を変えて微傷の向きを把握。超微粒子→アルコール脱脂で仕上げ。

Q7.樹脂モールのキズはどうする?
A.****塗装ではなく樹脂用コート専用補修剤で対処。溶剤の強い製品は変形の恐れがあるため注意。

Q8.雨が降ってきたら?
A.クリア硬化前は絶対に濡らさない。屋根下へ移動し、白濁が出たら乾燥後に軽研磨→再クリア

Q9.応急処置はある?
A.外出先では脱脂→色を点置き→乾燥→簡易ワックスまで。後日段差ならしと本研磨を実施。


7.用語辞典(平易な言い換え)

  • タッチアップ:キズの欠けた部分だけに塗料を足す方法。
  • 段差ならし:盛り上がった塗面を耐水ペーパーで平らにする作業。
  • サフェーサー:色の下にある下地。傷が深いとここまで見える。
  • 面一(つらいち):周囲と同じ高さに揃った状態。
  • オーロラ傷:磨き跡が虹の帯のように見える症状。
  • プライマー:金属や樹脂に上塗りを密着させる下塗り剤。
  • ぼかし:境界をなだらかに見せる磨き・塗りの工夫。

8.季節・環境・色で変わる注意点

8-1.季節別のコツ

  • 春(花粉・黄砂):早めに洗い流し。染みが残る前に中性シャンプー。
  • 夏(高温)速乾ムラが出やすい。朝夕に作業し日陰を確保。
  • 秋(雨が多い)親水性コートで水はけを良くし作業後の残水を減らす。
  • 冬(低温):硬化が遅い。乾燥時間を長めにとる。

8-2.色別のコツ

  • 濃色(黒/紺/赤)磨き跡が出やすいため超微粒子で締める。疎水/親水の保護が無難。
  • 淡色(白/銀)撥水で見栄え良好。水垢は早めに除去。

9.応急処置と本補修の切り替え

9-1.外出先の最小セット

  • 脱脂シート・綿棒・小筆・小瓶タッチアップ・簡易ワックス

9-2.本補修へ移行するタイミング

  • 1週間以内段差ならし→研磨を実施。白濁やムラが出たら再クリアで整える。

10.印刷用チェックリスト(作業前→作業後)

作業前

  • _カラーコード確認:
  • _キズの深さ:クリア/色/下地/金属
  • _道具一式:筆・綿棒・脱脂剤・塗料・クリア・耐水ペーパー(#2000/#3000)・研磨剤(細/極細/超微粒子)・保護具
  • _作業場所:屋内/テント、風対策、照明(上+斜光)

作業中

  • _脱脂済み
  • _薄塗り→乾燥→重ね済み
  • _はみ出し無し
  • _クリアは面一手前で盛り、十分乾燥

作業後

  • _段差ならし(#2000→#3000)
  • _研磨(細→極細→超微粒子)
  • _保護(コート/ワックス)
  • _1〜2週間後の確認日を記録

まとめ:ポイントは“薄く・待つ・削って整える”

薄く重ねて、しっかり乾かし、段差は削って整える。 この3原則を守れば、近づいてもわからない仕上がりにぐっと近づきます。色番号の確認・環境づくり・下地処理を丁寧に行い、焦らず一工程ずつ進めましょう。

自分で直せる範囲は広く、道具代も数千円で済むことがほとんど。まずは小さな点キズからチャレンジし、成功体験を積み上げてください。

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