3日分と1週間分の備蓄運用差|メニュー設計と回転ガイド

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防災
  1. 要点先取り:3日分は“耐える”、1週間分は“回す”——違いはメニュー設計と在庫循環
  2. 1.3日分と1週間分の基本設計:“量”より“順番”
    1. 1-1.目的の違いと到達目標
    2. 1-2.火と水の使い方(節約の型)
    3. 1-3.賞味期限の設計思想(並べ方で勝つ)
    4. 1-4.家族属性で変える“配分”
  3. 2.3日分メニュー設計:火と水を最小、体力は最大
    1. 2-1.一日モデル献立(例:大人1人)
    2. 2-2.3日×3食の“具体メニュー”
    3. 2-3.3日間分の品目と数(成人1人)
    4. 2-4.“洗わない・こぼさない・燃やさない”調理手順
  4. 3.1週間分メニュー設計:回転で飽きを止め、栄養を整える
    1. 3-1.主食ローテーション(7日を崩さない)
    2. 3-2.たんぱく質の“二段構え”と一皿化
    3. 3-3.彩りと食物繊維を足す定番
    4. 3-4.家族属性別アレンジ(子・高齢・忙しい)
  5. 4.在庫を“回す”設計:ローリングの型と記録シート
    1. 4-1.買う→しまう→食べる→補充のルール
    2. 4-2.回転の記録シート(テンプレ)
    3. 4-3.置き場所の“分散配置”と棚どり
    4. 4-4.在庫数の“答え合わせ”(家族人数別)
    5. 4-5.買い方の型(無駄にしない)
  6. 5.運用の細則:栄養・衛生・節約・家族会議
    1. 5-1.栄養の骨組み(PFC+彩り)
    2. 5-2.衛生とごみ(洗い物ゼロ化)
    3. 5-3.燃料と火の管理
    4. 5-4.家族会議の型(毎月15分)
    5. 5-5.非常持出との連携(台所からの切り出し)
  7. Q&A(よくある疑問を一気に解決)
  8. 用語辞典(やさしい言い換え)

要点先取り:3日分は“耐える”、1週間分は“回す”——違いはメニュー設計と在庫循環

同じ「備蓄」でも3日分1週間分では、買い方・置き方・食べ方・使い切り方がまるで違います。3日分は停電・断水でも火と水を最小にして体力を落とさない食事に集中。1週間分は通常生活の延長として献立を回転させ、栄養の偏りと飽きを抑える設計が必要です。

本稿は家族会議でそのまま使えるメニュー表・在庫表・回転表付きで、買う→しまう→食べる→補充のサイクルを丸ごと組み立てます。

まず今日やる3ステップ:①家族人数×9食を“3日棚”に集約、②曜日ローテを紙に固定、③回転表を冷蔵庫に貼る。これだけで7割の備蓄運用は整います。


1.3日分と1週間分の基本設計:“量”より“順番”

1-1.目的の違いと到達目標

  • 3日分(72時間):救助・復旧を待つ短期耐久洗い物ゼロ化一鍋が柱。目標:火と水の使用を半分以下
  • 1週間分(7日)栄養・多様性・士気を維持。主食の回転たんぱく質の確保が柱。目標:主食を毎日変え、味の飽きを防ぐ

1-2.火と水の使い方(節約の型)

  • 3日分カセット1本/週の節約運用、保冷剤リレーで冷蔵延命。湯せんと直食できる袋飯中心。
  • 1週間分一日1回の調理集中(まとめ茹で・まとめ炊き)、食器は使い捨てで水節約。調理後の余熱利用で二品目を作る。

1-3.賞味期限の設計思想(並べ方で勝つ)

  • 3日分長期保存食+水不要食品を前面に。砂糖・塩・油などの基礎調味は小分けに。
  • 1週間分通常食品を“日常消費で回す”(ローリング)。期限の近い物が自然と先に減る陳列にする。

1-4.家族属性で変える“配分”

区分主食比率たんぱく比率補助(野菜・果物)
乳幼児50%25%25%(ペースト可)
成人45%30%25%
高齢40%30%30%(食べやすさ優先)

比較早見表

観点3日分1週間分
目的体力維持・簡便多様性・栄養・士気
調理一鍋・湯せん中心まとめ調理・アレンジ
飲用優先、洗い物ゼロ飲用+簡易洗浄
在庫長期保存寄り日常品を回転
管理専用“3日棚”固定台所下段で循環

2.3日分メニュー設計:火と水を最小、体力は最大

2-1.一日モデル献立(例:大人1人)

  • おにぎりパック+味付きツナ野菜ジュース
  • クラッカー+缶詰ハンバーグ果物ゼリー
  • アルファ米雑炊(乾燥野菜+サバ缶)
  • 間食ナッツ・羊かん・ビタミンタブレット

2-2.3日×3食の“具体メニュー”

主食たんぱく補助
朝1おにぎりパックツナパウチ野菜ジュース
昼1クラッカー焼鳥缶ゼリー
夜1アルファ米雑炊サバ缶乾燥野菜
朝2即食ご飯ちいさな豆パウチフルーツ缶
昼2ビスケットミートボール缶コーンスープ
夜2レトルト粥サケ中骨缶わかめ
朝3おこわ缶ささみ缶トマトジュース
昼3クラッカーいわし缶くだものゼリー
夜3アルファ米カレー缶乾燥ねぎ

2-3.3日間分の品目と数(成人1人)

区分品目
主食アルファ米/即食ご飯/クラッカー9食分(+予備1)
たんぱくツナ・サバ・焼鳥缶、豆パウチ9個(味を分散)
野菜・果物野菜・トマトジュース、乾燥野菜、ゼリー9本/個
間食羊かん・ナッツ・ビスケット9個
飲料ペット水500ml6〜9本(気温で増減)

2-4.“洗わない・こぼさない・燃やさない”調理手順

  • 湯せん→袋のまま盛る→袋で捨てる洗い物ゼロ
  • 一鍋雑炊:アルファ米+缶汁+水少量→3〜5分
  • 保冷剤リレー:冷凍→冷蔵→クーラーボックスへ順移動。
  • ごみ二重袋におい物はベランダ側へ仮置き。

3.1週間分メニュー設計:回転で飽きを止め、栄養を整える

3-1.主食ローテーション(7日を崩さない)

曜日主食仕込みアレンジ
ごはんまとめ炊き→冷凍雑炊・焼きおにぎり
パン冷凍保存卵液で甘じょっぱく
うどんまとめ茹で→油絡め焼うどん・スープうどん
パスタまとめ茹で→小分けナポリ風・和風ツナ
ごはんまとめ炊き→保温カレーリメイク
そば茹で置き少量ぶっかけ・温そば
おかゆレトルト粥卵雑炊・梅茶漬け

3-2.たんぱく質の“二段構え”と一皿化

  • 段1(常温):魚・肉・豆の缶詰、魚ソーセージ、レトルト。
  • 段2(冷蔵/冷凍):卵、冷凍鶏むね、冷凍豆腐、冷凍枝豆。
  • 一皿化:主食+たんぱく+野菜を丼・スープ・焼き物にまとめ、洗い物ゼロへ。

3-3.彩りと食物繊維を足す定番

  • 乾燥野菜ミックス、切り干し大根、乾燥わかめ
  • 冷凍ブロッコリー、コーン
  • 海苔・ごま・梅干し塩分と食欲を補う。

3-4.家族属性別アレンジ(子・高齢・忙しい)

区分向く主食たんぱくの工夫食べやすさ
子どもうどん・粥つぶしやすい具小盛りを複数回
高齢おかゆ・柔らかパン卵・豆腐温かい汁物を添える
忙しいパスタ・パンツナ・ソーセージ片手で食べられる形

4.在庫を“回す”設計:ローリングの型と記録シート

4-1.買う→しまう→食べる→補充のルール

1)先入れ先出し(賞味期限が短い物から前面へ)。
2)1消費=1補充(食べた日か翌日に同じ物を1つ買う)。
3)月末点検(棚を空にして期限と数を記録)。
4)**人数×日数の“式”**を扉裏に貼る(例:4人×7日=主食28食)。

4-2.回転の記録シート(テンプレ)

日付品目出庫入庫
4/1アルファ米(梅)119
4/3サバ缶2212
4/6乾燥野菜103

4-3.置き場所の“分散配置”と棚どり

  • 台所下段毎日回す1週間分(手前が期限短、奥が長)。
  • 寝室クローゼット3日分の非常用(手を付けない)。
  • 車・職場行動不能対策のミニセット。
  • 棚の並べ順主食→たんぱく→補助→間食取り出し時間を短縮

4-4.在庫数の“答え合わせ”(家族人数別)

家族構成3日分(主食/たんぱく/飲料)1週間分(主食/たんぱく/飲料)
1人9食/9個/6本21食/14個/14本
2人18食/18個/12本42食/28個/28本
4人36食/36個/24本84食/56個/56本

4-5.買い方の型(無駄にしない)

  • 同じ味は3個まで:飽きを防ぐ。
  • 箱買いは半箱に:置き場を圧迫しない。
  • 値引きは“先入れ先出し”が守れる数だけ

5.運用の細則:栄養・衛生・節約・家族会議

5-1.栄養の骨組み(PFC+彩り)

  • P(たんぱく):缶詰・卵・豆腐・魚ソーセージ。
  • F(脂質):オイル漬け缶・ナッツ。
  • C(炭水化物):米・麺・パン。**彩り(緑黄赤)**は海苔・トマト缶・コーンで補う。
  • 甘味・塩味の調整:蜂蜜・黒糖・塩昆布・梅で少量でも満足感

5-2.衛生とごみ(洗い物ゼロ化)

  • 使い捨て皿×耐熱袋洗浄水ゼロ
  • 缶は水切り→踏み潰し→袋へ
  • におい物二重袋+ベランダ側で仮置き。
  • 手洗いの順流水→なければウエット→アルコール

5-3.燃料と火の管理

  • カセットボンベ3本/家庭/週を目安。
  • 耐熱ボード・換気・1m離隔を徹底。
  • ろうそく禁止、LED一択
  • 一酸化炭素警戒:頭痛・気分不良で即停止→換気

5-4.家族会議の型(毎月15分)

  • 買い足しリストを回覧→承認。
  • 回転表を確認→期限間近を献立へ。
  • 新規食品の試食→口に合う物だけ採用。
  • 役割カード(水番・火番・在庫番)で参加感を高める。

5-5.非常持出との連携(台所からの切り出し)

  • 3日棚の一部持出袋へ移す訓練を季節ごとに実施。
  • 子ども用・高齢者用軽量・食べやすさを最優先。

Q&A(よくある疑問を一気に解決)

Q1.アルファ米が苦手。どう食べやすく?
A.雑炊アレンジが最短。ツナ缶+梅+乾燥ねぎで香りと塩気を足す。

Q2.缶詰ばかりで塩分が心配。
A.汁は全部使わず必要量だけ。海藻・野菜ジュースカリウムを足すとバランスが良い。

Q3.子どもが飽きる。
A.曜日固定メニューで予測性を持たせ、**味変(ふりかけ・ソース)**を2〜3種常備。

Q4.在庫の置き場がない。
A.ベッド下・押入れ上段を活用。平箱(段ボール)に品目別でまとめ、表に数量ラベル

Q5.停電中、冷凍品はどうする?
A.開閉最小+保冷剤数時間延命先に解凍された物から食べ切る

Q6.賞味期限がバラバラで管理が大変。
A.“月末点検日”を固定し、その日に期限短い順へ前出し回転表に転記するだけで回る。

Q7.食物アレルギーがある。
A.成分表示を紙で控え安全な代替を必ず一つ用意。配給食品は疑わしきは食べない

Q8.水を使わず栄養を足すには?
A.野菜ジュース・果物ゼリー・海苔・ごまを常備。粉末スープで温かさも補える。


用語辞典(やさしい言い換え)

  • ローリング普段食べる→買い足すを繰り返し、在庫を新しく保つやり方。
  • 先入れ先出し先に買った物から使うルール。
  • 一鍋化一つの鍋で料理を完結させ、洗い物と燃料を減らす。
  • 保冷剤リレー冷凍→冷蔵→クーラーへ順に移し替え、冷却を長持ちさせる。
  • 回転表食べたら書く→同じ数を買うためのメモ。
  • 3日棚3日分専用の置き場所。非常時の触らない在庫

まとめ
3日分は“耐える”、1週間分は“回す”。この違いを踏まえ、メニューの型(72時間は一鍋、7日はローテ)在庫の型(3日は長期保存、7日は日常回転)、**運用の型(先入れ先出し・1消費1補充・月末点検)**をセットで回しましょう。

今日、家族数×9食の3日分と、曜日ローテの1週間分を紙に落として、台所の扉裏に貼れば準備は完了。次の買い物から、備蓄はもう“暮らしの一部”です。

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