雨戸・シャッターがない窓対策|合板・養生テープ活用の完全ガイド

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防災

強風・飛来物・横殴りの雨は、雨戸やシャッターがない窓にとって大きな弱点です。とはいえ、合板・ポリカ板・養生テープ・補助金具を正しく使えば、短時間でも被害を大幅に減らすことは可能です。

本ガイドでは、準備→固定→養生→退避→復旧の順に、家庭で再現できる手順を徹底的に整理しました。必要な道具、サイズの決め方、固定位置、テープの貼り方、窓種別ごとの注意点、そしてやってはいけないことまで、表とチェックリストで迷わず実行できます。最後に、賃貸でもできる方法高所で無理をしない代替案保管と再利用のコツまで踏み込みます。


  1. 1.方針を決める:窓のタイプと外力を見極める
    1. 1-1.自宅の窓タイプを把握
    2. 1-2.外力の想定(風速×飛来物)
    3. 1-3.対策の大原則
    4. 1-4.風向面の優先度(どの窓から守るか)
    5. 1-5.構造別・居住形態別の考え方
      1. 構造×居住形態×工法の適合表
  2. 2.材料と道具:サイズ決めと買い出し計画
    1. 2-1.材料の選び方(入手しやすさ優先)
    2. 2-2.道具(最低限+あると便利)
    3. 2-3.サイズ決め(採寸のコツ)
      1. 代表寸法と材料の目安表
    4. 2-4.費用と買い出しの順番(混雑前に)
  3. 3.施工手順:外部合板→室内二重化→枠周り養生
    1. 3-1.外部合板の取り付け(基本形)
    2. 3-2.室内側の二重化(賃貸や高所向け)
    3. 3-3.枠周りの養生(割れ・すき間対策)
    4. 3-4.代替工法(外壁に穴を開けられないとき)
      1. 施工チェックリスト(現場で使える)
  4. 4.よくある失敗と回避策:破損・浸水・共振
    1. 4-1.合板が風で“鳴く”(共振)
    2. 4-2.雨が回り込む(浸水)
    3. 4-3.ガラスが先に割れる
    4. 4-4.下地にビスが効かない/位置が分からない
    5. 4-5.結露・カビが出る
      1. 失敗→対策 早見表
  5. 5.当日の運用と復旧:退避場所・撤去・後処理
    1. 5-1.待機のしかた(割れてもケガしない)
    2. 5-2.撤去の順序(安全第一)
    3. 5-3.点検と次回への改善
      1. 復旧・保管チェック表
  6. Q&A(よくある疑問)
  7. 用語辞典(やさしい言い換え)
  8. まとめ:面で受けて、すき間を消し、室内で守る

1.方針を決める:窓のタイプと外力を見極める

1-1.自宅の窓タイプを把握

  • 引き違い窓:戸が左右に動く一般的な窓。中央の合わせ目が弱点。
  • 掃き出し窓:床まである大きな窓。飛来物と風圧に弱い。
  • はめ殺し窓(FIX):開閉しない窓。枠の剛性は高めだが、ガラス面が広い
  • 小窓(トイレ・浴室):面積が小さく室内二重化が効きやすい。
  • 型板ガラス・網入りガラス:割れても飛散しにくいが、熱・風圧ひびが広がることがある。

1-2.外力の想定(風速×飛来物)

  • 10m/s級:小物が飛ぶ。軽い養生と小物撤去で対応。
  • 15〜20m/s:プランター・物干し台が動く。合板・補助金具の出番。
  • 25m/s超:看板・波板が外れ得る。屋内退避を優先し、施工は前日までに完了。
  • 瞬間風速の山が予想される時間帯は、一段上の対策に格上げ。

1-3.対策の大原則

  1. 外の飛散物をゼロに(撤去・固定)。
  2. 窓を面で守る(合板で受ける/室内側で二重化)。
  3. すき間風と破片の飛散を抑える(養生テープは枠周り重視)。
  4. 人が安全であることを最優先(高所での無理な作業はしない)。

1-4.風向面の優先度(どの窓から守るか)

  • 風上(真正面)>角(建物の曲がり角)>上階の大窓>道路側の順で優先。
  • 片側だけ対策する場合は、風上面の掃き出し窓から着手。

1-5.構造別・居住形態別の考え方

  • 木造(戸建)柱・梁の位置を探してL金具が効きやすい。
  • RC(マンション):外側施工が難しい場合が多く、室内二重化+枠周り封止が主戦術。
  • 賃貸:穴開け不可が基本。仮枠・突っ張り・室内板で対応。

構造×居住形態×工法の適合表

住まい/工法外側合板+金具外側合板(外構固定)室内二重化(仮枠+板)テープ主体
木造・持ち家
木造・賃貸○(外構許可要)
RC・持ち家
RC・賃貸×

×は原則不可/△は条件次第/○は有効/◎は最有効の目安。


2.材料と道具:サイズ決めと買い出し計画

2-1.材料の選び方(入手しやすさ優先)

  • 構造用合板 9〜12mm:風雨に強く、面で受ける。外部用には12mmを推奨。
  • OSB合板 9〜12mm:入手性が高い。端部のささくれ紙やすりで処理。
  • ポリカーボネート中空板(4〜8mm):室内側の二重化に有効。軽く割れにくい。
  • 押さえ板(30×90mm程度の角材):合板の縁を面で押さえるための部材。
  • L金具(ステンレス)+コーチスクリュー外壁の柱・下地に固定して合板を締結。
  • 養生テープ+布テープ枠周りの封止と仮固定。米字貼りは補助(破壊防止ではない)。
  • 発泡スペーサー(10〜20mm):合板とガラスの当たり防止
  • 防腐塗料:再利用を見込む合板の耐久アップ

2-2.道具(最低限+あると便利)

  • 最低限:メジャー、差し金、鉛筆、充電ドライバー、下穴ドリル、軍手・保護メガネ、脚立、カッター、ロープ。
  • あると便利スタッドファインダー(柱探し)、紙やすり面取りカンナヘッドライトシーリング材

2-3.サイズ決め(採寸のコツ)

  • 開口寸法(W×H)+左右・上下それぞれ+30〜50mmが合板寸法の目安(枠を覆う)。
  • 2枚貼りの場合は下側先行→上側重ねで雨水の侵入を抑える。
  • サッシの出っ張り手すりを避けるため、紙型を作ってから切断すると失敗が少ない。
  • 合板は端部を面取りすると割れにくく、テープも密着しやすい。

代表寸法と材料の目安表

窓の大きさ合板寸法(外側)固定点追加材参考枚数
小窓 600×600700×7004点スペーサー1枚
腰窓 900×10001000×11006点押さえ板1〜2枚
掃き出し 1650×20001750×21008〜10点押さえ板+補助桟2〜3枚

2-4.費用と買い出しの順番(混雑前に)

品目目安単価必要数(腰窓1か所)小計の目安
構造用合板12mm1枚
押さえ板2〜3本
L金具+ビス低〜中4〜6組低〜中
養生テープ+布テープ各1巻
スペーサー4個

買う順番:合板→押さえ板→金具→テープ→スペーサー。直前は売切れやすいため前日までに確保。


3.施工手順:外部合板→室内二重化→枠周り養生

3-1.外部合板の取り付け(基本形)

  1. 撤去・清掃:ベランダ・庭の飛散物ゼロ。窓周りの汚れを拭く。
  2. 仮合わせ:スペーサーを四隅に置き、ガラスに直当てしない
  3. 固定金具の位置決め:窓左右の柱位置(外壁ビスの並びで推定)にL金具を仮止め。
  4. 押さえ板+ビス固定:合板の外周に押さえ板(30×90mm程度)を当て、**等間隔(150〜200mm)**で締める。
  5. すき間封止:合板の周囲を養生テープ→布テープの順に重ねて雨の吹込みを減らす。
  6. 最終点検:角の浮き・ビス緩みがないかを触って確認。

3-2.室内側の二重化(賃貸や高所向け)

  1. 仮枠(2×2材)でサッシ内側はめ込み枠を作る。
  2. ポリカ板または薄合板ビス/結束バンドで固定。
  3. 緩衝材(発泡パッキン)を壁・ガラス接触部に入れて共振を軽減
  4. 枠周り封止:サッシと板のすき間をテープで連続封止

3-3.枠周りの養生(割れ・すき間対策)

  • テープは“枠周り”優先:四辺のサッシ枠とガラスの境目を連続で封止。
  • 米字貼りは補助:破片の飛散軽減が目的。破壊防止ではないことを理解。
  • クレセント(カギ)の上下に短冊テープを貼り、合わせ目がたつきを抑える。
  • 排水溝・換気口をテープで完全に塞がない(結露・漏水の原因)。

3-4.代替工法(外壁に穴を開けられないとき)

  • 突っ張り棒+内桟+板:窓内側に上下突っ張り→横桟→板で圧着(毎時点検)。
  • ベランダ手すり固定:手すりにロープ・ラチェットベルトで合板を外付け(共用部は管理規約を確認)。
  • 外構フェンス固定:窓正面に支柱を仮設し、そこへ合板を固定(転倒防止の下部重し必須)。

施工チェックリスト(現場で使える)

工程確認点完了
撤去・清掃飛散物ゼロ/窓周り清掃
仮合わせスペーサーあり/干渉なし
金具位置柱推定位置に設定
固定周囲等間隔で締結(150〜200mm)
封止枠周り→上端→側面→下端の順
室内二重化仮枠ガタつきなし
代替工法毎時点検の計画あり

4.よくある失敗と回避策:破損・浸水・共振

4-1.合板が風で“鳴く”(共振)

  • 症状:ドンドンと低い音が続く→ビス間隔が広い/押さえ板が短い
  • 対策押さえ板を追加ビス間隔を150〜200mmに、中央に横桟を足す。

4-2.雨が回り込む(浸水)

  • 症状:合板の下から水滴、室内の敷居に水
  • 対策上側を外側重ねにし、上端のテープを二重下端に水切り(薄板)を付ける。

4-3.ガラスが先に割れる

  • 症状:合板の角が当たるテープのみで安心していた。
  • 対策スペーサーで浮かす室内二重化を同時に行う。米字だけは不可。

4-4.下地にビスが効かない/位置が分からない

  • 症状:ビスが空転する、手応えがない。
  • 対策スタッドファインダーで柱を探す、押さえ板の幅を広げ複数箇所で固定。

4-5.結露・カビが出る

  • 症状:窓周りが湿る、黒ずむ。
  • 対策風下側の小窓を短時間換気除湿剤封止し過ぎない(排水経路を確保)。

失敗→対策 早見表

失敗例原因すぐできる対策
合板が鳴る固定点不足押さえ板追加・ビス間隔200mm以内
水が回る上端のかぶせ不足上→側→下の順にテープ二重
ガラス割れ直当て・飛来物スペーサー+室内二重化
ビス効かず下地不明柱探索+幅広押さえ板
カビ発生密閉し過ぎ風下側小窓で短時間換気

5.当日の運用と復旧:退避場所・撤去・後処理

5-1.待機のしかた(割れてもケガしない)

  • 風下側の部屋窓の少ない中央寄りで待機。
  • 足元は厚手の靴手袋を手元に。割れた後は無理に片付けない
  • 停電備え(ライト・モバイル電源・ラジオ)を手の届く範囲にまとめる。

5-2.撤去の順序(安全第一)

  1. 風が弱まるまで待つ。脚立作業は無理にしない。
  2. 上からビスを外す→押さえ板→合板の順に。風上側から外すとあおられにくい
  3. テープ糊中性洗剤→ぬるま湯→専用リムーバーの順で。
  4. 写真で記録(合板・金具配置・不具合)。次回の改善資料にする。

5-3.点検と次回への改善

  • サッシのがたつきガラスの微細な欠けシール材の割れを確認。
  • 合板は乾燥させ、防腐塗装で再利用性アップ。次回用の穴位置をマーク。
  • 部屋ごとの保管札を作り、どの窓にどの板か一目で分かるようにする。

復旧・保管チェック表

区分すること完了
サッシガタ・鍵・レール点検
ガラス欠け・ヒビ点検
テープ跡洗剤→ぬるま湯→専用剤
合板乾燥・防腐塗装・保管札
写真before/afterを保存

Q&A(よくある疑問)

Q1. 養生テープの米字貼りだけで大丈夫?
A. 不可です。米字は破片の飛散を減らすだけ合板やポリカ面で受ける対策が基本です。

Q2. 賃貸で壁に穴を開けられない。
A. 室内側の仮枠+ポリカ板で二重化し、枠周りの封止を徹底。突っ張り棒+押さえ板を併用する方法もあります。

Q3. 何mmの合板を選べばいい?
A. 外部は12mmが目安。風当たりが強い面や上階は押さえ板と固定点を増やしてください。

Q4. 台風直前で合板が買えない。
A. ポリカ中空板+段ボール重ね+仮枠でもないより数段良い室内側二重化を急ぎ、外の撤去を優先しましょう。

Q5. ガラスが割れたあと、塞ぐ最短手段は?
A. 厚手の養生シート+ベニヤの仮当て枠周りを先に封止し、後で押さえ板で補強します。

Q6. 合板は外側・内側どちらが良い?
A. 外側が基本(飛来物の直撃を面で受ける)。高所・賃貸は内側二重化を主にし、可能なら外側も併用。

Q7. どのテープが良い?
A. 養生テープ剥がし跡が少ない布テープ補強用。ガムテープ糊残りが多く推奨しません。

Q8. 防犯フィルムが貼ってある窓は?
A. 破片の飛散は減る風圧への強化ではない合板or室内二重化は必要です。

Q9. 何年も同じ合板を使って良い?
A. 反り・割れ・腐食が出たら交換。防腐塗装乾燥保管で寿命が延びます。

Q10. 換気はどうする?
A. 風下側の小窓を短時間だけ開け、割れ物から離れて行います。風上の大窓は開けません。


用語辞典(やさしい言い換え)

  • 合板(ごうはん):薄い板を重ねて接着した板。強く変形しにくい
  • OSB:木片を押し固めた板。入手しやすい
  • ポリカ板:軽くて割れにくい板。室内二重化に向く。
  • 押さえ板:合板の端を面で抑えるための木材。
  • スペーサー:ガラスと合板の緩衝材
  • 仮枠:内側に作るはめ込みの枠。そこへ板を固定する。
  • 封止:すき間をテープでふさぐこと。
  • スタッド(柱):壁の中の支え材。ここにビスが効く。

まとめ:面で受けて、すき間を消し、室内で守る

雨戸・シャッターがなくても、外の飛散物ゼロ→合板で面受け→枠周り封止→室内二重化の順で手を打てば、被害は確実に減らせます。施工は前日までに、当日は屋内退避と安全確認を最優先に。次回に備え、採寸・材料・仮枠窓ごとにキット化しておけば、準備時間は劇的に短縮できます。さらに、写真記録と保管札で再現性を高め、家族で手順を共有しておくと、直前の慌てを最小化できます。

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