最小調味料セットで回す献立術|塩・油・乾物ガイド

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防災

「家に調味料が多すぎて管理できない」「停電・断水でも回せる台所にしたい」。そんなときは、塩・油・乾物の三本柱に絞った最小調味料セットで献立を回すのが近道です。

本ガイドは、味を作る理屈分量の目安1週間の回し方非常時の代替在庫の回し方まで詳解します。常備が少なくても、旨み・香り・食感を重ねれば、栄養も満足感も落とさずに回せます。


  1. 要点先取り(まずここだけ)
  2. 1.最小調味料セットの設計(常備5〜7点)
    1. 1-1.必携:塩・油・水(+しょうゆ・酢)
    2. 1-2.乾物は「旨み×食感×保存性」で選ぶ
    3. 1-3.“味の軸”を作るミニブースター(任意)
    4. 1-4.台所の配置と容器
  3. 2.分量の黄金比と計算のコツ
    1. 2-1.塩分%早見表(手で計れる)
    2. 2-2.油の目安と“減らし方”
    3. 2-3.酢の使い分け・配合
    4. 2-4.しょうゆの塩分換算(感覚を掴む)
  4. 3.最小調味料で作る“6技法×テンプレ味付け”
    1. 3-1.茹でる→和える(主菜・副菜の柱)
    2. 3-2.焼く(炒める)→仕上げ一滴
    3. 3-3.蒸す→塩の蒸気で旨み凝縮
    4. 3-4.和える→乾物の“即席だし”
    5. 3-5.汁に落とす→5分で一汁
    6. 3-6.軽く煮る→“煮びたし”発想
  5. 4.1週間“最小セット”献立の回し方
    1. 4-1.3カテゴリで考える(主菜・副菜・一汁)
    2. 4-2.買い物と在庫(7日分・2人想定)
    3. 4-3.時短オペレーション
    4. 4-4.別パターン:非常時7日献立(加熱少なめ)
  6. 5.非常時・制約下でも回る工夫
    1. 5-1.水が少ない日(断水・節水)
    2. 5-2.火が弱い/使えない日(停電・小型バーナー)
    3. 5-3.味の変化を出す“最後の一手”
  7. 6.味付け・塩分・油の“実務早見”
    1. 6-1.主菜100gあたりの塩・油目安
    2. 6-2.副菜100gあたりの塩・油目安
    3. 6-3.汁物の塩分(だし有無別)
    4. 6-4.子ども・高齢の配慮(目安)
  8. 7.保存・衛生・アレルギー配慮
    1. 7-1.乾物の保存
    2. 7-2.油・しょうゆの管理
    3. 7-3.アレルギー・減塩の工夫
  9. 8.コスト・在庫・ローテーション管理
    1. 8-1.概算コスト感(2人・7日)
    2. 8-2.在庫ラベリングと回し方
    3. 8-3.廃棄を出さないコツ
  10. 9.家族・体調・季節別アレンジ
    1. 9-1.子ども向け
    2. 9-2.高齢・やわらか食
    3. 9-3.季節の切り替え
  11. 10.失敗百科(原因→対処の早見)
  12. Q&A(よくある疑問)
  13. 用語辞典(やさしい言い換え)
  14. まとめ:塩0.6〜0.8%・油小さじ1で回す

要点先取り(まずここだけ)

  • 最小セット=塩・油・乾物+水。ここにしょうゆを足すと味の幅が急拡大。
  • 味の核は塩分0.6〜0.8%(汁ものは0.5〜0.7%)。**油は食材100gに小さじ1(5ml)**が基本。
  • 乾物は旨みと食感の装置削り節・乾燥わかめ・切り干し大根・高野豆腐・干ししいたけ・海苔のうち3品で十分に回る。
  • 調理は茹でる/和える/焼く(炒める)/蒸す/汁に落とす/軽く煮るの6技法で完結。火・水が無い日の代替も用意。
  • 在庫は小瓶・小袋で月末に消費→同数補充のローテで鮮度と衛生を維持。

1.最小調味料セットの設計(常備5〜7点)

1-1.必携:塩・油・水(+しょうゆ・酢)

  • :粒度は中粒が万能。下味=0.6〜0.8%を基準に、野菜は控えめ、肉魚はやや強め。精製/自然の違いは好みで、まずは溶けやすさを優先。
  • 菜種油・米油・こめ胚芽油など加熱に強い油を1本。香り付けはごま油を小瓶で。油は空気・光・熱で劣化するため小容量運用が吉。
  • しょうゆ:少量で塩味+香り+色が決まる“万能の一滴”。小瓶で使い切る。
  • 米酢は和の骨格。塩分を抑えても満足を保てる。浅漬け・冷ややっこ・和え物で活躍。
  • :味の7〜9割。汲み置きで塩素臭を和らげる。非常時は飲用適合水を最優先。

1-2.乾物は「旨み×食感×保存性」で選ぶ

  • 削り節出汁・ふりかけ・和え衣に。香りの“最後の一手”。
  • 干ししいたけ:戻し汁がだし、本体が食感。炒め・蒸しに強い。
  • 乾燥わかめ1分で汁物。カルシウム・ヨウ素の補助に。
  • 切り干し大根:水戻しでも甘みと歯ごたえ。和え物・炒め物の要。
  • 高野豆腐たんぱく質のブロック。焼き・汁・煮物に万能。
  • 海苔香りと旨みの即席増幅器。ご飯・豆腐・汁に。

1-3.“味の軸”を作るミニブースター(任意)

  • 砂糖(またはみりん風)塩味の角を取り、照りを出す。少量の常備で十分。
  • ごま香りと油分を一挿し。すりごまは和え衣の主役。
  • 生姜チューブ臭み消し&温感。魚・肉・汁に少量。
  • こしょう/七味:少量で締まり。辛味は後入れにして可変。

1-4.台所の配置と容器

  • 小瓶・小袋に分ける(酸化・湿気対策)。
  • 火元から離す・遮光する(油・しょうゆ劣化予防)。
  • 計量スプーンを容器に常備し、**“迷う→入れすぎ”**を防ぐ。

2.分量の黄金比と計算のコツ

2-1.塩分%早見表(手で計れる)

料理量(総重量)0.6%0.7%0.8%
200g1.2g1.4g1.6g
400g2.4g2.8g3.2g
600g3.6g4.2g4.8g
800g4.8g5.6g6.4g
1000g6.0g7.0g8.0g

目安:小さじ1=塩約6g、しょうゆ約6g(食塩相当約1.0g)ひとつまみ=約0.5g人差し指の先=約0.2g

2-2.油の目安と“減らし方”

  • 食材100gに小さじ1(5ml)が基本。減らすときはゆで→和えるへ置換。香り油(ごま油)は仕上げに小さじ1/全体で十分。
  • 焼き物は油をひく→拭く→追い油数滴でコントロール。

2-3.酢の使い分け・配合

  • 基本:塩1:酢1で“即席浅漬け”。
  • 甘酢:塩1:砂糖1:酢3で常備菜の骨格。
  • さっぱり和え:塩1:酢2:油1で青菜・豆腐・鶏に万能。

2-4.しょうゆの塩分換算(感覚を掴む)

しょうゆ量塩分相当の目安使いどころ
小さじ1(6g)約1.0g仕上げの香り付け
小さじ2(12g)約2.0g全体の味を決める量
大さじ1(18g)約3.0g肉200gの下味など

3.最小調味料で作る“6技法×テンプレ味付け”

3-1.茹でる→和える(主菜・副菜の柱)

  • 青菜の塩油和え:青菜200gをゆで、塩1.2g(0.6%)+油小さじ1。海苔で香り足し。
  • 鶏むねのしっとり塩ゆで:鶏200gに塩1.4g(0.7%)。余熱で火入れし、ごま油数滴で風味。

3-2.焼く(炒める)→仕上げ一滴

  • もやしと切干の炒め:油小さじ1で炒め、しょうゆ小さじ1/全体、最後に酢小さじ1でキレ。
  • 高野のカリ焼き:戻した高野100gに塩0.6g、油小さじ1で両面焼き、仕上げに削り節

3-3.蒸す→塩の蒸気で旨み凝縮

  • 鮭の塩蒸し:鮭200gに塩1.2g、香りに昆布片。仕上げに酢をひと回し。
  • 野菜ミックス蒸し:根菜300gを塩1.8g、油小さじ1で艶出し

3-4.和える→乾物の“即席だし”

  • 切干×わかめさっぱり和え:切干30g+わかめ2gを戻し、塩0.4g+酢小さじ2
  • 海苔まぶし豆腐:絹150gに塩0.9g(0.6%)、海苔1枚ちぎり、油数滴。

3-5.汁に落とす→5分で一汁

  • 即席わかめ汁:水400mlに塩2.4g(0.6%)、わかめ2g、削り節ひとつかみ。
  • 干ししいたけだし汁:戻し汁400ml+塩2.4g、しいたけ薄切りを落とす。

3-6.軽く煮る→“煮びたし”発想

  • 青菜の煮びたし:水300ml+塩1.8g(0.6%)で1分煮、火を止めてしょうゆ小さじ1
  • 切干と高野の含め煮:戻し汁200ml+水200mlに塩2.4g。弱火で5分。

4.1週間“最小セット”献立の回し方

4-1.3カテゴリで考える(主菜・副菜・一汁)

曜日主菜副菜一汁
鶏むね塩ゆで青菜の塩油和えわかめ汁
鮭の塩蒸し切干の酢和えしいたけ汁
高野のカリ焼きもやし切干炒め海苔の吸い口
豚こま塩焼きキャベツ浅漬けわかめ+豆腐
いわし缶温め青菜ごま和えかつおだし
野菜ミックス蒸しじゃが塩オイルしいたけ+海苔
残り+卵で雑炊即席浅漬けだし茶漬け

4-2.買い物と在庫(7日分・2人想定)

品目目安量コメント
肉・魚700〜900g1日100〜150g/人
豆腐・卵豆腐2丁・卵10個たんぱくの保険
青菜・根菜2〜3kg火を通し回しやすい
乾物各30〜100g切干・わかめ・しいたけ・高野
調味塩200g・油500ml・酢300ml・しょうゆ300ml小瓶で十分

4-3.時短オペレーション

  • “ゆで置き”→冷蔵:青菜・根菜は**塩0.5%**のお湯でさっとゆでる。
  • 乾物は小分け:1回分(例:切干15g)に分けて袋へ
  • 汁はだし→具→塩の順で5分完結

4-4.別パターン:非常時7日献立(加熱少なめ)

曜日主菜(低燃料)副菜(袋和え)一汁(戻し汁活用)
いわし缶+高野切干+酢わかめ+塩
鶏塩ゆで(保温仕上げ)キャベツ浅漬けしいたけ戻し汁
豆腐+海苔青菜塩油和えかつお水だし
鮭蒸し(短時間)じゃが塩オイルわかめ汁
豚こま湯せん切干ごま和え戻し汁+塩
高野カリ焼きもやし酢和え海苔の吸い口
雑炊(残り+卵)浅漬けだし茶漬け

5.非常時・制約下でも回る工夫

5-1.水が少ない日(断水・節水)

  • 袋のまま和える:耐久袋に野菜+塩+油揉む→和える。洗い物ゼロ。
  • 乾物主役切干・高野・缶詰水量最小の献立に。
  • 戻し水は全部使う:だしとして汁・煮物へ。

5-2.火が弱い/使えない日(停電・小型バーナー)

  • 湯せん調理:缶詰主菜+切干を袋で湯せん→ごま油数滴で満足UP。
  • 保温調理:鍋を布で包み余熱で仕上げ。燃料を節約。

5-3.味の変化を出す“最後の一手”

  • 酢をひと回し塩分を抑えつつ満足感
  • 海苔・ごま・削り節ふりかけ兼だし。飽きを防ぐ。

6.味付け・塩分・油の“実務早見”

6-1.主菜100gあたりの塩・油目安

食材塩分目安油の目安備考
鶏むね0.7%(0.7g)小さじ1余熱でしっとり
豚こま0.7〜0.8%小さじ1焼きは香り油仕上げ
魚(切身)0.6〜0.7%小さじ0.5蒸し・焼きで
高野豆腐0.6%小さじ1焼き+だし吸わせ

6-2.副菜100gあたりの塩・油目安

食材塩分目安油の目安備考
青菜0.5〜0.6%小さじ0.5和え物は控えめ
もやし0.5%小さじ0.5水分多いので塩控えめ
根菜0.6%小さじ0.5〜1蒸し→油で艶出し

6-3.汁物の塩分(だし有無別)

1杯(200ml)塩分目安コツ
だし無し0.7%(塩1.4g)具に旨み乾物を使う
だし有り0.5〜0.6%戻し汁を活用

6-4.子ども・高齢の配慮(目安)

  • 子ども:香り(海苔・ごま・酢)で満足度を上げ、塩分は控えめ側に。辛味は後入れ
  • 高齢噛みやすい切り方・柔らかさを優先。塩は**0.5〜0.6%**側で様子を見る。

7.保存・衛生・アレルギー配慮

7-1.乾物の保存

  • 湿気・光・熱を避ける小分けして1か月単位で使い切る。袋に日付ラベルを。

7-2.油・しょうゆの管理

  • 小瓶運用で酸化を防ぐ。高温のそばに置かない。開封日を書き、1〜2か月で使い切る

7-3.アレルギー・減塩の工夫

  • しょうゆ無しでも塩+酢+海苔・ごまで味は決まる。
  • 減塩時は酢と香り素材(海苔・ごま・生姜)で満足度を保つ。

8.コスト・在庫・ローテーション管理

8-1.概算コスト感(2人・7日)

区分目安費用備考
調味(塩・油・酢・しょうゆ)500〜800円小瓶換算
乾物(4種)800〜1200円切干・わかめ・しいたけ・高野
たんぱく(肉・魚・豆腐・卵)1500〜2500円産地・セールで変動
野菜・芋1000〜1800円季節変動

8-2.在庫ラベリングと回し方

  • 月末に残った乾物を全回収→一斉に小袋化。袋に月名重さを書く。
  • **“使ったら同数補充”**の棚ルールを紙で貼り出す。

8-3.廃棄を出さないコツ

  • 戻し汁は全使用。汁・煮物・雑炊へ。
  • **端材は“刻み箱”**に集め、週末に雑炊・お好み焼き風へ再編。

9.家族・体調・季節別アレンジ

9-1.子ども向け

  • 塩控えめ(0.5〜0.6%)+酢少量で満足度を確保。辛味・こしょうは別添

9-2.高齢・やわらか食

  • 蒸す・煮る中心にし、繊維は繊維方向に沿って短く切る。高野豆腐は含め煮でふっくら。

9-3.季節の切り替え

  • :酢を多用、浅漬け・冷や汁で火を弱める。
  • 油を5〜10%増、蒸し・煮で温感を足す。

10.失敗百科(原因→対処の早見)

症状よくある原因すぐできる対処
しょっぱい塩入れ過ぎ酢を数滴汁で割る茹で野菜を追加
ぼんやりだし不足・油ゼロ削り節ひとつかみごま油数滴
べたつく炒め油過多・水切り不足ペーパーで拭く→追い油数滴、火力を上げる
旨み不足乾物未使用戻し汁を使う、海苔をちぎる

Q&A(よくある疑問)

Q1.この5〜7点だけで飽きない?
A. 乾物の組合せと酢一滴で変化が出ます。**香り(海苔・ごま)**を“後入れ”にすると毎回表情が変わります。

Q2.砂糖を置かないとコク不足?
A. 切干・玉ねぎなど素材の甘みで補えます。必要なら小袋砂糖を少量だけ。

Q3.だしパックは要る?
A. 削り節・干ししいたけ・わかめ3分だしが作れます。戻し汁を無駄なく使いましょう。

Q4.油は1本で足りる?
A. 加熱に強い油1本+香り油小瓶で十分。仕上げの数滴が効きます。

Q5.塩分%は面倒。もっと簡単に?
A. **“0.6%=600gで塩3.6g=小さじ0.6”**が基準。重さが半分なら塩も半分、と覚えるだけでOK。

Q6.酢が苦手。代わりは?
A. しょうゆを減らし、海苔・ごま・削り節で香りを強めて満足度を上げる方法が有効です。


用語辞典(やさしい言い換え)

最小調味料セット:料理を回すために最低限の調味料を絞った組合せ。
塩分%:料理全体の重さに対する塩の重さの割合
旨みの重ねだし・香り・食感を段階的に足し、塩を増やさず満足度を上げる考え方。
浅漬け塩と酢で短時間に味を入れる漬け物。
戻し汁:乾物を水で戻したときに出る旨みの強い液
保温調理:短時間の加熱後、鍋を布などで包み余熱で仕上げる方法。


まとめ:塩0.6〜0.8%・油小さじ1で回す

塩0.6〜0.8%・油小さじ1/100g、そして乾物で旨みを重ねる。この3原則だけで献立は回ります。茹で→和える/蒸す/焼く/汁/軽く煮るのテンプレを用意し、酢と香りを最後に一滴。調味料が少ないほど在庫管理は軽く、味はぶれず、非常時にも強い台所になります。

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