風向きと黄砂・PMを読み分ける|窓の開閉判断ガイド

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防災

結論:黄砂やPM(微小粒子)は風向き・風の強さ・時間帯で室内侵入量が大きく変わります。窓は勘で開け閉めせず、①風向き→②粒子の濃さ→③住まいの向き→④時間帯→⑤換気方式の順に判断すれば、換気の効果を保ちながら粉じんの侵入を最小化できます。

本稿は、地図と方位の合わせ方窓の開け方の型住まい・家族別シナリオ運用チェック表と道具置き場やってはいけない行為まで、今日から使える手順を数値目安付きでまとめた保存版です。


  1. 風向きの読み方と家の方位をそろえる(基礎)
    1. 家の「風下」「風上」を地図で決める
    2. 時間帯で変わる風(海風・陸風・山風)
    3. 風速と粒子の舞い上がり(目安)
      1. 方位×風向×窓の基本 早見表
  2. 黄砂・PMの違いと「窓の開閉ルール」(判断フロー)
    1. 粒子の性格と侵入しやすさ
    2. 開ける/閉めるの基本判断(簡易フローチャート)
    3. 室内機器の併用ルール
      1. 目安となる濃さと運用(体感ベース)
  3. 窓の開け方の型:方角・時間帯・住まいの種類で最適化
    1. 典型的な間取り(南向きリビング)
    2. 海・川に近い家(昼:海風/夜:陸風)
    3. 高層階(10階以上)・気密の高い家
    4. 木造・RC・築年数での差
  4. 実践ツール:5分で決める開閉チェック表と置き場
    1. その日の「窓運用」チェック表(朝/昼/夜)
    2. 隙間対策の道具と置き場
    3. 室内の粉じんを増やさない家事順序
      1. 5分点検ルーチン(毎朝)
  5. 季節・地域別の傾向と一日の中のクセ
    1. 季節の傾向
    2. 地域の特徴(例)
    3. 一日の中のクセ
  6. 住宅の換気方式と気密で変わる運用(第一種・第三種ほか)
    1. 24時間換気の基本
    2. 換気方式別のコツ
    3. 気密の差を埋める道具
  7. 家族構成・生活シーン別の運用シナリオ
    1. 乳幼児・ぜんそく持ちがいる家
    2. 在宅ワーク(長時間滞在)
    3. 介護・ペット同居
  8. 測定と記録:見える化で迷いを減らす
    1. 簡易チェックのやり方
    2. 記録シート(例)
    3. トラブルシュート
  9. やってはいけないこと・よくある誤解
    1. NG行為(窓・換気)
    2. NG行為(家事)
    3. よくある誤解
  10. Q&A:迷いどころを即解決
  11. 用語辞典(やさしい言い換え)
  12. まとめ:風向き→濃さ→家の向き→時間帯→換気方式

風向きの読み方と家の方位をそろえる(基礎)

家の「風下」「風上」を地図で決める

  • 地図アプリや玄関前の景色で現在の風向き(どの方角から吹いてくるか)を確認し、あなたの家に対して風が当たる面=風上/抜ける面=風下を決める。
  • 基本形は、風上側の窓は閉じる/風下側の窓だけを細く開ける。これで室内への直撃を避けつつ、弱い通り道を作れる。

時間帯で変わる風(海風・陸風・山風)

  • 沿岸部:昼は海→陸(海風)、夜は陸→海(陸風)。昼は内陸側を細く/夜は海側を細く
  • 山沿い:午後は山からの下り風が強まり、夜〜明け方は谷を上がる風で空気が澄みやすい。夜間の短時間換気が有利。

風速と粒子の舞い上がり(目安)

  • 3m/s超:舞い上がり・飛来が増える。開放は10分以内
  • 5m/s超外窓は閉内循環+空気清浄機 強→中
  • 通り雨直後は一時的に落ち着くが、強風が重なると再飛散しやすい。

方位×風向×窓の基本 早見表

風向風上側(閉)風下側(細く開)ワンポイント
北風北面のすき間を重点封止
南風日射による上昇気流で舞いやすい
東風西朝は短時間、午後は様子見
西風西夕方の突風に注意

黄砂・PMの違いと「窓の開閉ルール」(判断フロー)

粒子の性格と侵入しやすさ

  • 黄砂:粒子は比較的大きい強風で一気に来て一気に去る風が弱まれば下側のすき間対策が効きやすい
  • PM(PM2.5含む)とても小さく長く滞留風が弱くても侵入するため、開ける時間を短く・回数を減らすのが要点。

開ける/閉めるの基本判断(簡易フローチャート)

1)風向きが家の背面から?はい:背面の風下面窓を2〜5cm対面は閉。→ いいえ外窓は閉
2)黄砂/PMが高い?(鼻目に違和感/空が白っぽい など)はい開放は5〜10分×2回/日台所・浴室の局所換気で補う。→ いいえ20〜30分×2回/日の交差換気へ。
3)風速5m/s超?はい窓は閉空気清浄機 強→中。→ いいえ:上記の範囲で短時間換気。

室内機器の併用ルール

  • 空気清浄機換気中もON。開始5分は、以降吸い込み口を風下側の窓に近づけると効率UP。
  • エアコンは**内部循環(再熱・除湿)**で。外気取り込み型は停止
  • 加湿弱〜中で粒子を落とす(窓の結露には注意)。

目安となる濃さと運用(体感ベース)

体感・見え方窓運用機器運用
軽い違和感・遠景が少し白風下面2〜3cm×10分×2回空清 強→中、内循環
目がしみる・遠景が白い開放5分×1〜2回空清 強連続、局所換気活用
匂い・せき・視界白濁窓閉空清 強連続、除湿・サーキュレーターで空気循環

窓の開け方の型:方角・時間帯・住まいの種類で最適化

典型的な間取り(南向きリビング)

  • 午前(北風/東風が入りやすい)北or東の“風下”窓を2〜5cm南は閉
  • 午後(南風が強まる)南は閉西or北の“風下”窓を細く
  • 夜間風が弱ければ北窓1〜2cm空気清浄は中で連続。

海・川に近い家(昼:海風/夜:陸風)

  • 海側が風上→海側窓は閉、内陸側窓を2〜3cm
  • 陸側が風上→陸側窓は閉、海側窓を2〜3cm短時間換気

高層階(10階以上)・気密の高い家

  • **風の剪断(上下の風向差)**が出やすい。ベランダ側は閉共用廊下側を細く
  • 強風注意報級では窓は閉玄関のすき間をドラフトストッパーで抑える。
  • 24時間換気弱〜中で継続(停止すると逆流が起きやすい)。

木造・RC・築年数での差

  • 木造・築古:すき間風が多い→窓開放幅はより小さくすき間テープで補う。
  • RC・築浅:気密が高い→開ける窓は1枚だけ室内ドアを少し開けて通り道を作る。

実践ツール:5分で決める開閉チェック表と置き場

その日の「窓運用」チェック表(朝/昼/夜)

時間風向き風速黄砂/PM今日は窓運用機器運用
北/北西など2m/s低/中/高通常/注意/警戒風下2cm×10分空清 強→中
南/南西など4m/s低/中/高通常/注意/警戒開放なしor2cm×5分内循環/除湿
風弱い1m/s低/中/高通常/注意/警戒北1〜2cm維持空清 中連続

「今日は」の欄体感(目のかゆみ・のどの違和感・子のぜんそく症状)も判断材料に。体感が悪ければ窓は閉空気清浄を上げる

隙間対策の道具と置き場

  • すき間テープ(サッシ上下)/ドラフトストッパー(玄関下)/マグネット網戸(虫対策兼ねる)を季節の入口で交換
  • 玄関内に**“外から帰った時セット”**(使い捨てマスク、目洗いボトル、押し拭き用シート)を常備。
  • 空気清浄機の予備フィルタ掃除機の紙パック流行期前に補充

室内の粉じんを増やさない家事順序

  • 朝:押し拭き→短時間換気昼:換気なしで内循環夜:北側1〜2cmでそっと
  • 掃除機は最後最初は濡れ押し拭きで舞い上がりを防ぐ。

5分点検ルーチン(毎朝)

手順やること目安
1風向・風速を確認体感+天気アプリ
2住まいの風上/風下を判断風下窓だけ開ける準備
3空清ON(強→中)5分後に中へ
4風下窓を2〜3cm×10分体感悪化なら即閉
5玄関マットを湿らせる再侵入防止

季節・地域別の傾向と一日の中のクセ

季節の傾向

  • :黄砂・花粉・強風が重なりやすい。開放は最小限室内除湿で浮遊を抑える。
  • :夕立後の再飛散に注意。夜間の短時間換気が有利。
  • :空気が澄みやすいが乾燥で舞い上がりやすい。
  • :**季節風(北西)**が続きやすい。北面封止・南面短時間が基本。

地域の特徴(例)

  • 沿岸都市:昼の海風が強い→昼は窓閉、夜に短時間換気
  • 内陸盆地:朝の冷え込みで空気が滞留→午前遅めの換気が向く。

一日の中のクセ

  • 朝日で室内が温まる前空気が重く、短時間なら侵入しにくい。
  • 午後の強風帯無理に開けない夕方以降に回す

住宅の換気方式と気密で変わる運用(第一種・第三種ほか)

24時間換気の基本

  • 停止しないのが原則。止めると逆流・結露・臭い滞留の原因に。
  • 粉じん高濃度日は弱運転に落とし窓開放をより短く

換気方式別のコツ

  • 第一種(給気・排気とも機械):給気口の簡易フィルタを清掃・交換。窓開放は1枚だけで十分。
  • 第三種(排気のみ機械)給気口の位置を確認し、風上側の給気口は最小風下側窓を細く
  • 局所換気(台所・浴室):窓閉でも使える換気匂い・湿気の排出に優先

気密の差を埋める道具

  • すき間テープドア下ブラシカーテンの裾重り隙間風を抑える。
  • サーキュレーター窓方向へは向けず室内の空気を回すだけに使う。

家族構成・生活シーン別の運用シナリオ

乳幼児・ぜんそく持ちがいる家

  • 開放は最小限就寝1時間前は窓閉→空清中で寝室の粒子を落とす。
  • 帰宅時玄関で衣類を払わず洗面所直行→洗顔・うがい

在宅ワーク(長時間滞在)

  • 午前中に5〜10分×2回を確保し、午後は窓閉・除湿で集中。
  • 匂い・こもり局所換気を活用。

介護・ペット同居

  • トイレ・ケア手順で局所換気を先に回してから短時間換気。
  • 散歩帰りの足裏拭きを玄関で徹底(再侵入防止)。

測定と記録:見える化で迷いを減らす

簡易チェックのやり方

  • 窓際の白紙に指でなぞった粉の量鼻・目の体感遠景の見え具合朝・昼・夜にメモ。
  • 空清のフィルタの汚れ方も指標。表面が灰色なら強運転を増やす。

記録シート(例)

日付風向/風速体感開放時間空清設定備考
10/09北西/4m目かゆい5分×2強→中夕方は閉維持

トラブルシュート

  • 開けたのに匂いが取れない風上側を開けている可能性→風下側だけに修正。
  • 粉っぽさが増した掃除機を先にかけた可能性→押し拭き→掃除機の順に変更。

やってはいけないこと・よくある誤解

NG行為(窓・換気)

  • 風上面を大開放(粉じん直撃)。
  • 強風時の長時間開放(侵入+家具の微傷)。
  • 空気清浄機をOFFにして換気(粒子が室内で再浮遊)。

NG行為(家事)

  • 乾いたモップで強くこする(舞い上がる)。
  • ベランダで布団を強く叩く(再拡散)。
  • 洗濯物の外干し(付着→室内持ち込み)。

よくある誤解

  • 「雨だから窓を開けてOK」:通り雨直後は再飛散しやすい。風が落ち着くまで待つ
  • 「深夜は粒子が少ない」地形風で集まる場合も。風向を再確認してから開ける。

Q&A:迷いどころを即解決

Q1. 何cmくらい開ければ安全?
A. 2〜5cmが基本。風下の窓だけ細く開け、対面は閉短い通り道を作ります。

Q2. どれくらいの時間が目安?
A. 10分×2回/日。黄砂・PMが高い日は5分×1〜2回に短縮。空清は強→中で。

Q3. 観葉植物や布団はどうする?
A. 窓際から1m離す布団は室内干し観葉は葉を押し拭きしてから。

Q4. 子どものぜんそくが心配。
A. 開放は最小限内循環+空清連続就寝前30分は窓閉→空清中で寝室の粒子を落とします。

Q5. 匂いがこもる時は?
A. 台所・浴室の局所換気5〜10分使い、窓開放は0〜2cmに抑えます。

Q6. 扇風機や送風機は使ってよい?
A. 窓方向へは向けない室内の空気循環だけに使い、空清の近くに置くと効果的。

Q7. 車通勤で窓は開けてよい?
A. 内気循環+窓閉が原則。曇り防止除湿・送風弱で対処します。


用語辞典(やさしい言い換え)

  • 風上/風下風が当たる側/抜ける側。開けるのは風下の窓
  • 風速風の強さ5m/s超窓閉→内循環の合図。
  • PM2.5とても小さい粒子で長く滞留。
  • 内循環外の空気を入れず室内だけで回すこと。
  • 交差換気離れた2か所を開けて空気を通すこと(粉じん日は片側だけが基本)。
  • 押し拭きこすらず上から押して粒子を布に移す拭き方。

まとめ:風向き→濃さ→家の向き→時間帯→換気方式

窓の開閉は風向きに従うのが最も効きます。風上側は閉/風下側を2〜5cmだけ高濃度日は短時間換気+内循環時間帯ごとに開ける向きを変え、空気清浄機は常にON(強→中)5分点検ルーチン道具の置き場固定を今日から始めれば、換気の効果を保ちながら黄砂・PMの侵入を最小化できます。

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