旅行前のハザード確認チェック|宿・移動・避難ガイド

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防災

楽しい旅は「安全の下ごしらえ」から。 本稿は、出発前に宿・移動・避難を同じ物差しで点検するための実践ガイドです。

気象・地形・建物・ルート・連絡の5軸チェックに、地域別(海・山・都市・離島)と同行者別(子ども・高齢者・妊婦・障がい)の観点、判断テンプレ(GO/DELAY/CANCEL)、到着15分ルーティン、48時間前〜当日朝のチェック表を加え、家族旅行・一人旅・出張までそのまま使えるように整えました。


  1. 旅の安全設計:5軸で全体像をそろえる
    1. 旅の条件を“数字”に置き換える(前提の見える化)
    2. ハザードの5軸(気象・地形・建物・ルート・連絡)
    3. リスクスコア(簡易版)
    4. 全体設計の“ひな形”
      1. 旅のリスク早見表(5軸×主な症状)
  2. 宿のハザード確認:建物・部屋・周辺を三層でみる
    1. 建物(共用部)の確認ポイント
    2. 部屋(専用部)の安全設計
    3. 周辺(外)での見取り図
      1. 宿チェックの“到着15分テンプレ”
  3. 移動のハザード確認:飛行機・鉄道・車・徒歩
    1. 飛行機(空港〜ホテル)
    2. 鉄道(駅〜宿)
    3. 車(レンタカー・自家用)
    4. 徒歩(街歩き・ハイキング)
      1. 移動手段×主なリスク×先に決めること
  4. 避難と連絡:はぐれを起こさない“2本線”
    1. 集合場所(屋外・屋内)の二重化
    2. 連絡の段取り(音声→テキスト→現地)
    3. 医療・持病の備え
      1. 連絡・合流テンプレ(配布用)
  5. 持ち物と分散:現金・充電・紙情報(48時間前〜当日)
    1. 分散の原則(身・手荷物・部屋)
    2. 充電計画(移動中を切らさない)
    3. 紙情報の強さ
      1. 旅行前48時間・荷造りチェック表
  6. 地域別・同行者別:設計のコツ(海・山・都市・離島/子・高齢・妊婦・障がい)
    1. 地域別の要点
    2. 同行者別の配慮
      1. 地域×同行者の注意点マトリクス
  7. オフライン準備:地図・連絡・翻訳・お金
    1. 地図と連絡の二本立て
    2. 簡易翻訳テンプレ(見せる用)
    3. お金の運用
  8. Q&A(よくある疑問)と用語辞典
    1. Q&A
    2. 用語辞典(やさしい言い換え)
  9. まとめ:旅の自由は“準備の自由”から

旅の安全設計:5軸で全体像をそろえる

旅の条件を“数字”に置き換える(前提の見える化)

  • 人数・年齢・体力:最年少/最高齢、15分連続歩行の可否、車酔いの有無。
  • 到着時刻と日没:到着が日没後なら、夜間移動の距離を1km以下に抑える設計へ。
  • 連泊か移動型か:移動型は代替行程(屋内候補×2)を事前に用意。

ハザードの5軸(気象・地形・建物・ルート・連絡)

  • 気象:大雨・強風・猛暑・寒波・雷・濃霧。
  • 地形:低地・川沿い・海沿い・山あい・雪道・狭隘路。
  • 建物:築年・階層・非常口・自家発電・受水槽・停電対応。
  • ルート:冠水・土砂・通行止め・橋・トンネル・夜の明るさ。
  • 連絡:家族/職場/宿の二重連絡線、集合場所、最寄り医療。

リスクスコア(簡易版)

各軸を0〜2点で採点(0=低/1=中/2=高)。合計6点以上行程見直し8点以上一部中止を検討。

判定基準(例)
気象警報級予報=2/注意報=1/平常=0_
地形低地・川沿い・崖下=2/坂多い=1/平地=0_
建物非常口不明・停電弱い=2/一部不安=1/整備=0_
ルート夜間・橋多数・迂回無し=2/一部難所=1/選択肢多=0_
連絡集合点未設定=2/片線のみ=1/二重化=0_
同行者要配慮多数=2/一部=1/なし=0_

判断テンプレ:合計0–5=GO/6–7=DELAY(到着時刻変更/区間短縮)/8以上=CANCEL(行程再設計)

全体設計の“ひな形”

  • 到着日(昼)宿チェック→避難経路→近隣の集結点確認
  • 到着日(夜)外出せず非常口と階段だけ復習。夜間は移動を短く
  • 中日朝8時の時点天候・運行・体調を見て行程更新

旅のリスク早見表(5軸×主な症状)

代表的なリスク旅行への影響事前対策
気象大雨・強風・雷・猛暑交通遅延・停電・熱疲労代替日程・朝の再判定
地形低地・川沿い・急斜面冠水・土砂・通行止め高台・別ルートを事前に
建物非常口不明・停電弱い退避遅延・空調停止平面図で非常階段把握
ルート夜間の暗さ・橋・トンネル視認性低下・詰まり昼到着・複ルート準備
連絡電波弱・伝達遅れはぐれ・情報不足集合場所とSMS定型文

宿のハザード確認:建物・部屋・周辺を三層でみる

建物(共用部)の確認ポイント

  • 非常口・非常階段部屋→最近階段まで何歩か数える(停電時の行動に効く)。
  • 設備自家発電・非常灯・受水槽の有無。停電時の空調/エレベーター運用をフロントで確認。
  • 集合場所屋外の広場・駐車場雷・落下物時の屋内代替も確認。

部屋(専用部)の安全設計

  • 階層2〜6階は階段避難しやすい。津波・冠水域では低層回避。高層なら階段位置を先に把握。
  • 通路:荷物で出入口をふさがない。夜は懐中電灯を枕元へ。
  • 風向き側はカーテン閉。破損時の退避ルートの置き場を決める。

周辺(外)での見取り図

  • 高低差段差の上・高台・橋の手前を地図に記す。
  • 24時間施設コンビニ・交番・救急入口の方向と距離。
  • 夜の明るさ暗い道を避け街灯の多い通りを選ぶ。

宿チェックの“到着15分テンプレ”

時刻行動チェック
+0分チェックイン身分証・現金の分散確認
+5分部屋へ移動近い非常階段を確認(何歩か数える)
+10分周辺確認集合場所・24h施設の方向をメモ
+15分共有家族グループへ写真とテキスト送信

移動のハザード確認:飛行機・鉄道・車・徒歩

飛行機(空港〜ホテル)

  • 到着時間日没前着を優先。夜間陸路はできるだけ短く。
  • 空港の代替動線連絡バス・鉄道・タクシー第2乗り場を把握。
  • 悪天候時欠航・振替の基準オンライン手続きを出発前に確認。

鉄道(駅〜宿)

  • 構内の足元濡れ床・金属板を避け、手すりを使う。
  • 遅延時改札外の安全地帯(明るい店前・交番前)で待機。
  • 最終便:逃す前提で徒歩ルート・深夜バスを準備。

車(レンタカー・自家用)

  • 雨量・路面橋・合流・トンネル出口は横風で取られやすい。早めの減速
  • 山道落石・動物に注意。退避帯を地図で事前確認。
  • 給油1/2残量で給油するルール。夜は人のいるスタンド

徒歩(街歩き・ハイキング)

  • 靴と歩き方濡れた白線・金属板を踏まない。足裏フラット→親指付け根で荷重。
  • ルート川沿い・低地は雨量で変更。夜は明るい幹線へ回す。
  • 合流点店の軒→交番→広場の順で番号を振る

移動手段×主なリスク×先に決めること

移動主なリスク先に決めること
飛行機欠航・振替・夜間移動早着便・振替基準・空港連絡動線
鉄道遅延・人混み・足元改札外待機点・徒歩予備ルート
大雨・横風・渋滞速度余裕・退避帯・給油1/2ルール
徒歩濡れ床・暗がり白線回避・明るい通り・合流番号

避難と連絡:はぐれを起こさない“2本線”

集合場所(屋外・屋内)の二重化

  • 屋外広場・駐車場(落下物少・見通し良)。
  • 屋内駅ビル・公共施設の庇(雷・落下物時)。
  • 移動順1→10分で2へ。進捗はSMS定型文で共有。

連絡の段取り(音声→テキスト→現地)

  • 音声:つながらない前提で最初の一報のみ
  • テキスト:端末に定型文登録。「今○○、10分で××へ。返信不要」。
  • 現地交番・店固定電話を借用。

医療・持病の備え

  • 服薬・アレルギー薬の写真・用量を端末+紙で携行。
  • 受診最寄り救急入口時間外入口の位置をメモ。

連絡・合流テンプレ(配布用)

【集合1】ホテル前広場 → 【集合2】駅ビル入口(10分後)
【SMS】「○○に集合。10分で××へ移動。返信不要。」
【固定電話】交番/コンビニで借用可


持ち物と分散:現金・充電・紙情報(48時間前〜当日)

分散の原則(身・手荷物・部屋)

  • 身につける:少額現金・顔写真付き身分証・緊急連絡カード。
  • 手荷物:高額紙幣・保険書類・予備充電。
  • 部屋(隠し):小分け現金・身分証の両面コピー。

充電計画(移動中を切らさない)

  • モバイル電源容量違い×2台短いケーブルで軽量化。
  • 節電機内モード・低電力・画面輝度を調整。
  • ホテル充電置き場を一箇所に固定。出発前の残量コールを習慣化。

紙情報の強さ

  • 地図・合流テンプレ・連絡先A6の紙に印刷。
  • 停電・圏外でも使え、第三者に見せやすい

旅行前48時間・荷造りチェック表

時点やること実施
T-72〜48h行程草案・代替候補(屋内×2)
T-24h現金・身分証の分散/SMS定型文登録
T-12hモバイル充電/紙情報印刷
当日朝天候で行程更新・集合場所復唱

地域別・同行者別:設計のコツ(海・山・都市・離島/子・高齢・妊婦・障がい)

地域別の要点

  • 海沿い潮風と横風防風柵の内側高台の避難路を確認。橋の手前で待機点を設定。
  • 山あい落石・倒木・霧退避帯明るい幹線への逃げ道を地図に。
  • 都市濡れた鏡面床・人混み屋根続き動線を優先。夜は明るい通りへ切り替え。
  • 離島欠航・物資遅延予備日現金の多め分散宿の自家発電を確認。

同行者別の配慮

  • 子ども合流点を細かく声かけテンプレを紙で携行。
  • 高齢者段差と階段距離の把握、日中到着の徹底。
  • 妊婦休憩間隔を短く医療機関の時間外入口を事前確認。
  • 障がい段差回避ルート、**エレベーター代替(停電時)**を設計。

地域×同行者の注意点マトリクス

地域/同行子ども高齢者妊婦障がい
海沿い風で体が流れる→屋内合流階段避け→緩い坂休憩密度↑斜路・手すり確認
山あい落石情報→幹線へ坂連続→距離短縮車移動多め段差回避マップ
都市濡れ床→白線回避エスカレーター混雑回避座れる場所地図エレベーター位置
離島欠航→予備日医療・薬の在庫確認船揺れ対策送迎・車椅子有無

オフライン準備:地図・連絡・翻訳・お金

地図と連絡の二本立て

  • 地図主要エリアを端末に保存+A6紙集合1→2の矢印を記入。
  • 連絡定型文日本語/英語で登録。

【日本語SMS】「今○○にいます。10分後××へ移動。返信不要。」
【英語SMS】”At ○○ now. Moving to ×× in 10 min. No reply needed.”

簡易翻訳テンプレ(見せる用)

  • 場所:”I need shelter. Where is the nearest police box or shop entrance?”
  • 病気:”I need help. I have an allergy to ○○.”

お金の運用

  • 少額現金身につける(千円札×3〜5)。
  • 高額手荷物内ポケット小分け部屋の見えにくい場所へ。

Q&A(よくある疑問)と用語辞典

Q&A

Q1.到着が夜になりそう。安全に移動するコツは?
A.空港/駅から屋根続きのルートを選び、改札外の明るい店前を中継点に。タクシー不足に備え徒歩予備ルートも用意。

Q2.子ども連れ。最優先で確認すべきは?
A.宿の非常階段までの歩数集合場所24h施設の位置。荷物は通路をふさがない配置に。

Q3.悪天候で予定が崩れた。
A.朝に行程を丸ごと更新し、行かない判断も選択肢に。屋内代替を2つ用意。

Q4.現金はどのくらい?
A.少額は身につけ高額は手荷物小分けは部屋電子決済一本化は避ける

Q5.英語が苦手。どう伝える?
A.紙の連絡テンプレ(施設名・電話番号・宿名)を見せる。指差し+短文が最速。

Q6.高層ホテルは危険?
A.階数より非常階段までの動線把握が重要。夜の靴と懐中電灯を枕元へ。

Q7.離島で欠航が出た。
A.****予備日宿の延泊可否別航路を同時に確認。現金の残量を声出しで確認。

用語辞典(やさしい言い換え)

  • 庇(ひさし):建物入口の出っ張り。雨や落下物をよける。
  • ピロティ:建物1階が抜けた空間。雨や風をよけやすい。
  • 待避:危険から一時的に離れること。
  • 集合場所:はぐれたとき落ち合う場所
  • 固定電話:店や交番の置き電話。電波に左右されにくい。

まとめ:旅の自由は“準備の自由”から

気象・地形・建物・ルート・連絡の5軸で同じフォーマットを回せば、どの土地でも安全の見取り図が描けます。到着15分チェック移動の予備案集合場所の二重化紙情報の携行、そしてGO/DELAY/CANCELの判断テンプレ準備の自由が、旅の自由を確実に広げます。

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