はじめに、温暖化(おんだんか)とは地球全体の気温が少しずつ上がっていくことです。ほんの少しの上がり方でも、台風や大雨が強くなる・暑い日がふえる・北極や南極の氷がとけるなど、わたしたちの生活に大きなえいきょうを与えます。
夏の校庭がいつもより熱く感じたり、秋が短くてすぐ冬になったように感じたりすることも、温暖化のサインかもしれません。この記事では、温暖化のしくみ、起こっている変化、そして今日からできる対策を、小学生のみんなにもわかりやすく、たくさんの例といっしょに説明します。
温暖化のしくみ|どうして地球はあつくなるの?
温室効果(おんしつこうか)のはたらき
地球には温室効果ガスという空気のなかまがあり、太陽から来たあたたかさをちょうどよく閉じこめるはたらきがあります。これがあるおかげで、地球は生き物がくらせる気温に保たれています。ところが、**二酸化炭素(にさんかたんそ)**などが増えすぎると、あたたかさを閉じこめすぎて、ビニールハウスみたいに地球があつくなってしまいます。たとえるなら、ふとんを何枚も重ねて寝ると暑くなりすぎるのと似ています。
二酸化炭素がふえる理由
工場や発電所で電気を作るとき、車やバスが走るとき、ゴミをもやすときに二酸化炭素が空へ出ることが多くなります。お肉や野菜を遠くから運ぶときにもエネルギーが使われます。さらに、木がへると二酸化炭素をすいとる力がよわくなり、空にたまってしまいます。紙をむだに使ったり、買ったものをすぐすててしまったりすると、作るときや運ぶときに出る二酸化炭素がふえてしまうのです。
地球の熱のやりとりをイメージしよう
昼は太陽の光で地面や海があたためられ、夜はその熱が空へにげていきます。温室効果ガスがふえると、にげる熱がつかまりやすくなるので、少しずつ地球に熱がたまっていきます。空にふわふわうかぶ雲や水蒸気も熱の出入りに関係していますが、人間の活動でふえた二酸化炭素が長いあいだ空に残ることが、とくに問題なのです。
人間のくらしとのつながり
電気をたくさん使う、遠くまで車で出かける、物をすぐすてる。こうした毎日の行動が少しずつ温暖化を進めることにつながります。反対に、使いかたを工夫すると温暖化をへらす力にもなります。家族みんなでエアコンの温度を見直したり、近い場所は歩いたり、自分の水筒を持っていったりする小さな行動が、地球を守る大きな力になります。
まとめ:「出す二酸化炭素をへらす」「木をふやす」——この2つが温暖化をおさえるカギです。
温暖化が進むとどうなる?|身の回りに起きる変化
気温と体への影響
夏の最高気温が35℃以上の猛暑日になることがふえ、熱中症(ねっちゅうしょう)で体調をくずす人が増えます。夜も気温が下がらない熱帯夜が多くなると、しっかり眠れず体の調子をくずしやすくなります。外で遊ぶ時間が短くなったり、体育の授業が室内に変わったりすることもあります。学校や家で水分をこまめにとり、日かげを上手に使うことが大切になります。
天気と災害の変化
空気と海があたたまると水がたくさん蒸発し、まとまった雨がふりやすくなります。その結果、大雨・台風のパワーアップ、洪水(こうずい)や土砂くずれのリスクが高まります。ふだん雨が少ない地域でも、急な大雨に注意が必要です。風が強く吹く日も増え、木の枝が折れたり、看板が倒れたりすることもあります。家の外の物をかたづけて、けがをしないように気をつけましょう。
海と氷の変化
北極や南極の氷がとけると海の水がふえ、海面上昇がおこります。海に近い町や島は水にしずみやすくなり、海の生き物のすみかも変わります。ホッキョクグマのように氷の上でくらす動物たちも困ってしまいます。海の温度が上がると、**サンゴが白くなる(白化)**など、海の景色や魚の集まり方も変わってしまいます。
食べ物やくらしへのひろがる影響
暑さや雨の変化で育ちやすい作物が変わることがあります。お米や野菜、果物のとれる時期がずれたり、量がへったりすることもあります。アイスや飲み物の売れ方、電気の使い方、服のえらび方など、わたしたちの毎日のくらしにも静かに影響がひろがります。
分野 | どんな変化が起きる? | わたしたちへのえいきょう |
---|---|---|
気温 | 猛暑日・熱帯夜がふえる | 熱中症・睡眠不足がふえる |
雨・風 | 大雨・台風が強くなる | 洪水・土砂くずれのリスクアップ |
海・氷 | 海面上昇・氷がとける | 海辺の町の浸水・生き物のすみかの変化 |
食べもの | 作物の成長が変わる | 旬の時期のずれ・値段の変化 |
今日からできる!温暖化を止める行動
電気をたいせつに使う
使っていない部屋の電気は消す、エアコンは夏は28℃めやす・冬は20℃めやすに近づける、テレビやゲームは使わないときに主電源を切る。こうした小さな工夫で、発電所から出る二酸化炭素をへらせます。冷蔵庫はドアの開けしめを少なくし、中身をつめこみすぎないと、電気のむだをへらせます。
移動のしかたを工夫する
近くなら歩く・自転車で行く、遠くは電車やバスを使う、どうしても車のときは家族や友だちと乗り合う(相乗り)。自転車通学や徒歩通学にするだけでも、一人ひとりの移動で出る二酸化炭素をぐっと少なくできます。お出かけの計画を立てるとき、地図で近道をさがすのも良い工夫です。
ものと食べ物をむだにしない
ノートや紙を両面つかう、文房具や服は長く大切につかう、食べ物は食べきれる量をえらぶ。むだをへらすことは、作るとき・はこぶとき・すてるときに出る二酸化炭素をへらすことにつながります。マイボトルやマイはしを使うことも、ゴミをへらして温暖化対策になります。
やること | どうやる? | CO2がへるわけ |
---|---|---|
電気を節約 | エアコン温度の見直し、消し忘れゼロ | 発電のための燃料が少なくなる |
移動を工夫 | 歩く・自転車・電車をえらぶ | 車のガソリン使用が減る |
リデュース | むだを出さない使い方 | 作る・運ぶ・すてる量が減る |
マイボトル | ペットボトルをへらす | プラスチックごみと製造時のCO2が減る |
家や学校でできる実践アイデア
家でのエコチャレンジ
毎日1回、家族で電気の消し忘れチェックをします。おふろの残り湯を洗たくに再利用し、ベランダや庭で小さな苗木をそだてると、二酸化炭素をすいとる“ちいさな森”がふえます。夏はつる性の植物で緑のカーテンを作ると、部屋の温度が下がり、エアコンの電気をへらせます。
学校でのエコチャレンジ
教室を出る前に電気とエアコンのスイッチ点検をして、使わない教室は明かりを消します。給食は食べきりを目標にして食品ロスをへらし、理科や社会の学習で温暖化ポスターや観察ノートを作って発表します。運動場に木を植える活動や、校内のリサイクル回収も立派な取り組みです。
まちでできること
買い物にはマイバッグを持っていき、レジ袋をへらします。ごみは分別(ぶんべつ)してリサイクルへ。近くの公園や学校のイベントで**植樹(しょくじゅ)**や清掃活動に参加すると、地域全体の力が大きくなります。図書館で地球温暖化に関する本を借りて学ぶのもよい方法です。
場所 | できること | 今日のチェック |
---|---|---|
家 | 電気の消し忘れゼロ/おふろの残り湯再利用 | □できた □次がんばる |
学校 | 教室のスイッチ点検/食べきり給食 | □できた □次がんばる |
まち | マイバッグ/分別リサイクル | □できた □次がんばる |
よくある質問とミニクイズでふり返り
よくある質問
Q1:冬がさむい年もあるのに、ほんとうに温暖化しているの?
A:冬にさむい日があるのはふつうのことです。長い年数のならしで見ると、地球全体では気温が少しずつ上がっています。
Q2:ぼく一人、わたし一人の行動で変わるの?
A:小さな行動がたくさん集まると、とても大きな力になります。家族や友だちといっしょに取り組めば、もっと大きな変化を生み出せます。
Q3:木を一本植えるだけで意味はあるの?
A:木は二酸化炭素を長い時間かけてすいとるので、ゆっくりでも確かな助けになります。植えた木を大切に育てることがたいせつです。
ミニクイズ
地球が暑くなる原因で、ふやしすぎるといけない気体は何でしょう。本文の中から探してみましょう。答えを友だちや家族と話し合うと、もっとよく覚えられます。
用語のわかりやすい解説
温室効果ガス:空のなかで熱をにがしにくくする気体。代表は二酸化炭素で、メタンや一酸化二窒素もふくまれます。
二酸化炭素(CO₂):石炭や石油、ガスを燃やすと出る気体。出しすぎると地球があつくなります。
熱中症:暑さで体の水分や塩分が足りなくなり、体調がわるくなること。水分と休けいがだいじです。
海面上昇:海の水が増えて、海の高さが少しずつ上がること。海の近くの町で**浸水(しんすい)**が起きやすくなります。
まとめとこれから|地球を守るために
大事なおさらい
温暖化は地球があつくなる現象で、原因は二酸化炭素がふえ、熱を閉じこめすぎること。進むと猛暑・大雨・海面上昇などが起こり、わたしたちの生活に影響します。だからこそ、電気をたいせつに・移動を工夫・むだをへらすという毎日の行動が、未来をまもる力になります。
家族会議のヒント
今日から1週間、家族で**「エコチャレンジ目標」を1つえらび、できたらカレンダーに★をつけましょう。たとえば、エアコン温度を見直す/歩いて買い物に行く/マイボトルを持つなど、やりやすいことからスタートすると続けやすいです。週のおわりにできたことをほめ合う**と、次の週もがんばれます。
学びを広げる
学校で学んだことを友だちや家族に伝えると、えいきょう力が何倍にもなります。自由研究やポスター、学級新聞で温暖化ストップのアイデアを紹介し、みんなで取り組めば、地域の地球はもっと元気になります。図書室の関連図書を活用して、自分の言葉で説明できるようになると、とても心強いです。
**結論:**温暖化は大きな問題ですが、小さな一歩の積みかさねがいちばん強い力になります。今日の1回のスイッチオフ、1回の徒歩、1つのリサイクルが、地球の未来を明るくします。いまできることから、いっしょにやっていきましょう。