自然災害が多い国ランキング|発生件数ではなく「被害が大きくなりやすい国」を比較する

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防災

海外旅行や留学、駐在先を考えるとき、「自然災害が多い国はどこだろう」と気になるのは自然です。ニュースでよく見るのは台風、地震、洪水、山火事ですが、実際には「災害が多い国」と「被害が大きくなりやすい国」は、必ずしも同じではありません。

たとえば日本は地震も台風も多い国ですが、最新の世界リスク指標では世界24位です。一方で、フィリピンやインドネシア、インドのように、自然ハザードへの露出が高く、さらに社会の脆弱性も重なる国は、より上位に入ります。つまり、件数だけで見ると答えを外しやすいのです。

この記事では、最新のWorldRiskReport 2024を土台に、「自然災害が多い国ランキング」をただ並べるのではなく、なぜその国が上位なのか、旅行者・駐在者・家族連れは何を優先して備えるべきかまで整理します。前半だけ読めば世界の最新傾向がわかり、後半まで読むと「自分なら何を準備するか」が決められるようにしました。

結論|この記事の答え

先に結論を言います。

最新のWorldRiskReport 2024で自然災害リスクが最も高い国は、1位フィリピン、2位インドネシア、3位インド、4位コロンビア、5位メキシコです。続いて6位ミャンマー、7位モザンビーク、8位ロシア、9位バングラデシュ、10位パキスタンが入っています。これは「自然災害のニュースをよく見る国」ランキングではなく、自然ハザードへの露出と、社会の脆弱性、対処・適応能力まで含めた総合リスクです。

ここで大事なのは、ランキングの意味を取り違えないことです。
「災害の種類が多い国」はA。
「災害が起きると被害が大きくなりやすい国」はB。
「インフラや制度である程度持ちこたえやすい国」はC。
迷ったらD、つまり“件数より、露出・脆弱性・回復力を一緒に見る”が正解です。

この視点で見ると、日本やアメリカ、中国のように自然ハザードが多い国でも、必ずしもトップ10には入りません。日本は2024年のWorldRiskIndexで24位、中国は22位、アメリカはランキング表の国名表記上はUnited States of Americaとして15位です。災害そのものは多くても、建築基準、警報、医療、物流、行政対応といった回復力が順位を押し下げるからです。

では、何を備えるべきか。

短期旅行の人はAです。最優先は「現地の主要ハザード確認」と「警報アプリ登録」。数日間の滞在では、大量の備蓄より情報取得の速さが効きます。多ハザード早期警報システムを報告している国は2024年時点で108か国、世界の55%にとどまります。つまり、国によっては警報の届き方にも差があります。

駐在・留学・移住の人はBです。短期旅行より、住まいの場所選びと在宅継続力が重要になります。洪水国なら低地を避ける、地震国なら家具固定を優先する、サイクロン常襲国なら停電を前提に水・電源・衛生を厚めに持つ。ここまで考えると、同じ国でも“住む場所”でリスクがかなり変わります。

家庭での最小解も先に示しておきます。
迷ったら、まずこの3つで十分です。

  • 行き先の主要ハザードを1つ確認する
  • スマホに現地の警報アプリか公式情報源を入れる
  • 48時間しのげる水、電源、常備薬を分けて持つ

この3点だけでも、「災害が多い国」という曖昧な不安が、かなり具体的な準備に変わります。

「自然災害が多い国」はどう決まる?件数だけでは答えを間違える

発生件数と災害リスクは同じではない

「自然災害が多い国」と聞くと、多くの人は発生件数を思い浮かべます。たしかに、台風、地震、洪水、熱波、干ばつ、山火事のニュースが多い国は目立ちます。ただ、それだけで危険度を決めると、かなり雑になります。

WorldRiskReport 2024は、災害リスクを“Exposure(露出)”と“Vulnerability(脆弱性)”の組み合わせで算出しています。さらに脆弱性の中には、被害を受けやすさ、対処能力の不足、適応能力の不足が含まれます。つまり、同じ台風でも、堤防や警報や医療体制が整っている国と、そうでない国では、被害の重さが変わるという考え方です。

ここを生活者目線で言い換えるなら、こんな整理になります。

見る軸何を見るか生活での意味
露出台風、地震、洪水、干ばつなどにどれだけ当たりやすいかそもそも災害に遭いやすいか
脆弱性住宅、貧困、都市化、地形、制度の弱さ被害が大きくなりやすいか
回復力警報、医療、物流、行政対応、復旧の速さ生活を立て直しやすいか

この3つを分けて考えると、「自然災害が多い国」への見え方がだいぶ変わります。日本のように露出は高いけれど回復力も高い国と、露出も脆弱性も高い国は、同じ“災害国”ではありません。

最新ランキングは何を基準に見るべきか

最新の総合リスクを見るなら、いま使いやすいのはWorldRiskReport 2024です。これは193か国を対象にした年次評価で、トップ10はフィリピン、インドネシア、インド、コロンビア、メキシコ、ミャンマー、モザンビーク、ロシア、バングラデシュ、パキスタンでした。

一方で、世界全体の災害発生状況を見るならEM-DATのようなデータベースも参考になります。2024年は自然災害393件、死者16,753人、影響を受けた人1億6,720万人、経済損失約2,419億5,000万ドルでした。件数を見ると、世界全体で災害が依然として非常に多いことがわかりますが、件数だけでは「どの国が危ないか」は決めきれません。

つまり、
「世界の災害の多さを知りたい人」はEM-DAT系。
「国としてどこが危険か知りたい人」はWorldRiskIndex系。
迷ったら、旅行や移住の判断にはWorldRiskIndexを先に見る。
この順番がわかりやすいです。

自然災害が多い国ランキング【最新】

1〜5位|フィリピン、インドネシア、インド、コロンビア、メキシコ

最新のWorldRiskReport 2024の上位5か国は、1位フィリピン、2位インドネシア、3位インド、4位コロンビア、5位メキシコです。

フィリピンが1位なのは、台風、豪雨、洪水、高潮、地震、火山と、複数ハザードが重なりやすいからです。しかも群島国家なので、港や橋が寸断されると物流が止まりやすい。単に“災害が多い”だけでなく、“止まりやすい国土構造”でもあります。WorldRiskReportでも、フィリピンは露出39.99、脆弱性55.03と両方が高く、総合リスク46.91で1位でした。

インドネシアは地震、津波、火山、豪雨が重なる多ハザード国家です。プレート境界と火山帯が重なり、沿岸人口も多いため、地震の揺れだけでなく津波避難の難しさも大きい。総合リスクは41.13で2位でした。

インドは3位ですが、ここは少し見方が必要です。国土が広く、サイクロン、豪雨、洪水、熱波、干ばつ、地震とハザードが多様です。大都市の急膨張もあり、都市型水害や熱波リスクが生活へ直結しやすい国です。総合リスク40.96でした。

コロンビア、メキシコも上位です。どちらも地震や洪水、ハリケーン・豪雨、地すべりのリスクがあり、地形の複雑さや都市集積が被害を増幅しやすい。特にメキシコは太平洋側とメキシコ湾側の両方にハザードがあり、単一の災害だけ見ていると判断を誤りやすい国です。

6〜10位|ミャンマー、モザンビーク、ロシア、バングラデシュ、パキスタン

6位以降は、ミャンマー、モザンビーク、ロシア、バングラデシュ、パキスタンです。

ミャンマーはサイクロンや洪水、地すべりなどのリスクが重なり、加えて社会基盤の脆弱さがリスクを押し上げています。モザンビークはサイクロンと洪水の影響を受けやすく、沿岸部の脆弱性が高い国です。

バングラデシュはデルタ地帯という地形上、洪水、高潮、サイクロンの影響が非常に大きいことで知られています。自然ハザードだけならもっと前から有名ですが、いまも上位に入るのは、低地に多くの人口が集中しやすいからです。WorldRiskIndexでは9位でした。

パキスタンも10位に入りました。洪水、豪雨、熱波、地震の組み合わせが重く、インフラや生活基盤への打撃が長引きやすいのが特徴です。

ここで面白いのは、ニュースでよく名前が出る日本やアメリカがトップ10ではない一方、旅行者が油断しがちな国が上位に入ることです。ランキングは知名度ではなく、リスク構造を見たほうが役立ちます。

日本やアメリカが「最上位ではない」理由

ハザードが多い国と、被害が大きくなりやすい国は違う

日本は台風も地震も豪雨も火山もあるので、「世界トップクラスで危ない」と思われがちです。それは半分正しく、半分違います。

WorldRiskIndex 2024で日本は24位でした。中国は22位、アメリカは15位です。どの国も自然ハザードへの露出はかなり高いのに、最上位ではありません。理由は、建築基準、警報システム、医療、物流、行政対応などの回復力が相対的に高いからです。

これは読者にとって大切な視点です。
「災害の種類が多い国」はA。
「被害が大きくなりやすい国」はB。
「災害は多いが、ある程度立て直しやすい国」はC。
迷ったら、旅行の不安はBを重く見る。

つまり、自然災害のニュースを多く見る国が、必ずしも旅行者にとって最悪とは限りません。

回復力がある国は順位が下がりやすい

WMOとUNDRRの報告では、2024年時点で多ハザード早期警報システムを報告している国は108か国、2015年の52か国から倍増しました。ただし、裏を返せば、まだ世界の半分近くは十分な体制を持っていないことになります。

さらにWMOの2024年気候報告では、極端気象による新たな避難・移動は2008年以来で最多だったとされます。一方で、WMOの2024 State of Climate Servicesは、早期警報や災害リスク管理の改善で、気象・気候関連災害の死亡率は長期的に低下傾向にある一方、経済損失は増えていると指摘しています。つまり、警報や備えがある国は「死者は減らしやすいが、損失ゼロにはできない」のです。

このため、回復力が高い国はランキング上では少し下がりやすい。だからといって、安心してよいわけではありません。旅行者や駐在者にとっては、「その国の中でどこに滞在するか」のほうが、順位より重要です。

旅行者・駐在者・留学生はどう判断するべきか

短期旅行の人

短期旅行の人は、国ランキングを細かく覚えるより、行き先の主要ハザードを一つ押さえるほうが実用的です。

台風・サイクロン国へ行く人は、雨季と沿岸部の高潮に注意。
地震・津波国へ行く人は、避難ビルと高台の位置を先に確認。
熱波・山火事リスクが高い地域へ行く人は、水と空気の確保を優先。

短期旅行なら、備えの優先順位は「情報」「移動」「持病対応」です。大きな防災セットを持ち込むより、現地の警報アプリ、モバイルバッテリー、常備薬、現金少額、飲み水のほうが効きます。

駐在・留学・移住の人

駐在や留学、移住を考える人は、ランキングだけで国を決めると失敗しやすいです。

同じフィリピンでも、低地の浸水しやすい地域と、高台で比較的安全な地域では備え方が違います。同じメキシコでも、沿岸と内陸でハザードは変わります。つまり、長く住む人はA、国ランキングより住居選び。短期の人はB、情報取得。ここが分かれ目です。

駐在や移住なら、最低でも次の4点は見ておきたいです。

確認項目なぜ大事か目安の見方
主要ハザード国ごとの危険の中心が違う地震、洪水、サイクロン、熱波のどれか
住居の立地同じ都市でも危険度が違う低地、沿岸、斜面、埋立地を避ける
警報と避難早く知って早く動けるか公式アプリ、避難場所、言語対応
在宅継続力停電や断水に耐えられるか水、衛生、電源、常備薬

迷ったら、住む人は「建物」より先に「場所」を見る。これが一番失敗しにくいです。

よくある失敗と、やらないほうがよい備え方

ランキングだけで国を丸ごと判断する

一番多い失敗は、「この国は危ない」「この国は安心」と国単位で決めつけることです。

たとえば日本24位と聞いて安心するのも、フィリピン1位と聞いて全部危険だと思うのも、どちらも雑です。大事なのは、国の中のどこに行くか、どの季節に行くか、何日滞在するかです。

水害の国で地震対策だけして安心する

これもありがちです。日本人は地震対策に意識が向きやすいので、海外でもつい地震を基準に考えてしまいます。

でも、フィリピンやバングラデシュ、モザンビークのように、水害や高潮が主役の国では、家具固定より先に高所避難や止水、断水対策が効きます。逆に、インドネシアやメキシコの一部では地震・津波の優先度が高い。国ごとの“主役ハザード”を外すと、準備がちぐはぐになります。

現地に着いてから情報収集を始める

これはやらないほうがよいです。短期旅行でも、現地に着いてから避難先や警報アプリを探し始めると遅れます。

特に気象災害は、48時間前から動けることが多い一方、着いてからの準備では間に合わないことがあります。WMOは極端気象の被害が社会に大きな影響を与え続けているとし、UNDRRは警報体制の格差も示しています。情報は前日ではなく、出発前にそろえておくほうが安全です。

失敗を避ける判断基準を一つにするなら、これです。
「国名より、主要ハザードと滞在条件を見る」。
ここを外さなければ、大きく間違えにくくなります。

結局どう備えればいいか|迷ったときの最小解

優先順位の考え方

ここまで読んで、「結局、自分は何からやればいいのか」と感じる人向けに、かなり実用的な順番で整理します。

短期旅行の人は、

  1. 主要ハザード確認
  2. 公式情報源の登録
  3. 水、電源、常備薬の携行

駐在・留学の人は、

  1. 住居立地の確認
  2. 停電・断水への備え
  3. 避難場所と移動手段の確認

家族連れは、

  1. 子どもや高齢者の薬・衛生用品
  2. 水と食べ慣れたもの
  3. 合流方法の固定

この順番で考えると、過不足が減ります。

迷ったらこれでよい

最後に、どの国へ行く人にも共通する最小解を一つに絞ります。

  • 行き先の主要ハザードを1つ調べる
  • スマホに現地の公式警報源を入れる
  • 48時間しのげる水、充電、常備薬を持つ

これだけなら、今日すぐできます。
しかも、台風国でも地震国でも洪水国でも、かなり応用が利きます。

世界では2024年だけでも393件の自然災害が記録されました。だから、海外で災害に遭うのは“運が悪い人だけの話”ではありません。けれど、その一方で、警報、準備、避難の質で差がつくことも事実です。

自然災害が多い国ランキングを見る意味は、怖がるためではありません。自分が行く場所で、何を先に確認すべきかを判断するためです。そこまで落とし込めれば、このランキングは十分役に立ちます。

まとめ

最新のWorldRiskReport 2024では、自然災害リスク上位10か国はフィリピン、インドネシア、インド、コロンビア、メキシコ、ミャンマー、モザンビーク、ロシア、バングラデシュ、パキスタンでした。

ただし、この順位は「自然災害の件数」ではなく、露出、脆弱性、回復力を合わせたものです。そのため、日本のように災害は多くても回復力が比較的高い国は、トップ10の外に出ることがあります。

大事なのは、国名だけで安心したり不安になったりしないことです。旅行なら情報、駐在なら住居立地、家族連れなら水・薬・合流方法。この順番で考えると、かなり判断しやすくなります。

この記事で読者が今日やるべき行動を3つ

  1. 行きたい国、行く予定の国の主要ハザードを1つだけ確認する
  2. スマホに現地の公式警報アプリか防災機関の情報源を登録する
  3. 水、モバイルバッテリー、常備薬が48時間分あるか見直す
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