眼鏡・補聴器・義歯の非常時キット|保管と洗浄の基本

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防災

災害時の備えというと、水、食料、ライト、モバイルバッテリーを思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし、眼鏡・補聴器・義歯を使っている人にとっては、「見える」「聞こえる」「噛める」ことも避難行動を支える大切な備えです。

夜間に地震が起きたとき、眼鏡が見つからなければ足元の危険に気づきにくくなります。補聴器の電池が切れると、避難所の放送や呼びかけを聞き逃すかもしれません。義歯が合わない、洗えない、なくした状態では、配給食を食べにくくなり、体力低下につながることもあります。

この記事では、眼鏡・補聴器・義歯の非常時キットを、3日・7日・30日の備え方、洗浄、保管、電池、破損時の応急対応まで整理します。本人だけでなく、家族や支援者が見ても分かる形にして、非常時に「探す・迷う・伝わらない」を減らすことを目指します。

  1. 結論|この記事の答え
  2. 眼鏡・補聴器・義歯は非常時の行動力を支える
  3. 非常時キットの最小構成と3日・7日・30日の考え方
  4. 眼鏡の保管・洗浄・予備の作り方
    1. 予備眼鏡は「古い眼鏡の再利用」でもよい
    2. 枕元では「落ちない・踏まない」を優先する
    3. 水が少ない時はこすりすぎない
  5. 補聴器の電池・乾燥・掃除・紛失対策
    1. 電池規格を紙で残す
    2. 空気電池はシールをはがして少し待つ
    3. 乾燥と耳あか掃除をセットにする
    4. マスクや眼鏡との干渉に注意する
  6. 義歯の洗浄・保管・食べにくい時の対応
    1. 水不足でも義歯清掃をあきらめない
    2. 就寝時と保管は本人の指示・歯科指導を優先する
    3. 義歯がない・合わない時は食事を変える
  7. よくある失敗とやってはいけない例
    1. 失敗1:全部を防災袋に入れてしまう
    2. 失敗2:補聴器電池の型番を家族が知らない
    3. 失敗3:義歯をティッシュに包んで置く
    4. 失敗4:眼鏡を裸でバッグに入れる
    5. 失敗5:自己流で接着・修理する
  8. ケース別判断
    1. 一人暮らしの場合
    2. 高齢の家族がいる場合
    3. 避難所に行く場合
    4. 在宅避難の場合
    5. 外出中・帰宅困難の場合
  9. 家族で管理するための情報カードと点検ルール
  10. FAQ
    1. Q1. 予備眼鏡は古いものでも大丈夫ですか?
    2. Q2. 補聴器電池は何日分用意すればよいですか?
    3. Q3. 水が少ない時、義歯はどう洗えばよいですか?
    4. Q4. 義歯が壊れたら接着剤で直してもよいですか?
    5. Q5. 避難所で補聴器や義歯をなくさない工夫はありますか?
    6. Q6. 眼鏡・補聴器・義歯のキットは本人が嫌がる場合どうすればよいですか?
  11. 結局どうすればよいか

結論|この記事の答え

眼鏡・補聴器・義歯の非常時キットは、まず「いつもの物を持ち出す」だけでなく、「予備・消耗品・情報カード」をセットにして作るのが基本です。見える、聞こえる、噛める状態が保てると、避難先での掲示確認、放送の聞き取り、食事、服薬、移動の安全性が大きく変わります。

政府広報オンラインの防災特集でも、高齢者の災害用品として、常用薬やお薬手帳、補聴器などの補助器具、入れ歯・洗浄剤、老眼鏡が挙げられています。つまり、これらは「余裕があれば入れる物」ではなく、必要な人にとっては水や薬と同じくらい優先度の高い備えです。

迷ったらこれでよい最小解は、人別ポーチを1つ作ることです。中身は、予備眼鏡または老眼鏡、眼鏡拭き、補聴器用電池または充電ケーブル、乾燥ケース、義歯ケース、義歯洗浄剤、やわらかい歯ブラシ、本人情報カードです。補聴器や義歯を使っていない人は、該当しないものを抜けば構いません。

まず優先するのは、本人が日常生活でないと困る物です。眼鏡を毎日使う人は予備眼鏡、補聴器を使う人は電源、義歯を使う人は保管容器と洗浄用品を後回しにしないでください。逆に、最初から高価な専用ケースや多機能ポーチをそろえる必要はありません。家にある丈夫なポーチでも、名前と中身が分かれば十分です。

これはやらないほうがよいのは、眼鏡・補聴器・義歯を「普段使っているから、逃げる時に持てるはず」と考えることです。夜間、停電、揺れ、慌てた家族の動きの中では、いつもの場所にある物でも見つからないことがあります。枕元、玄関、外出バッグの3か所に分けて、最低限の予備と情報を置くほうが現実的です。

不安がある場合は、眼鏡店、補聴器販売店、耳鼻科、歯科、かかりつけ医に「非常時に何を予備として持つべきか」を確認してください。器具の種類や体調によって、一般論では足りない場合があります。

眼鏡・補聴器・義歯は非常時の行動力を支える

災害時に必要なのは、物を持っていることだけではありません。避難経路を見て、周囲の声を聞き、配布物を読み、食事をとり、体力を保つことが必要です。眼鏡・補聴器・義歯は、その土台になります。

眼鏡がないと、段差、割れたガラス、掲示物、薬のラベルが見えにくくなります。補聴器が使えないと、避難所の放送、名前の呼び出し、家族の声、支援者の説明を聞き取りにくくなります。義歯がないと、硬い食べ物や乾いた非常食を食べづらくなります。

厚生労働省の災害支援ガイドでは、避難所で配慮が必要な人への支援として、情報は掲示と音声の両方で行うことなどが示されています。聞こえにくい人、見えにくい人がいる前提で支援することが大切ですが、本人側でも補助器具を使える状態にしておくと、情報の取りこぼしを減らせます。

機能失うと困ること優先して備える物
見える足元確認、掲示、薬の表示予備眼鏡・老眼鏡
聞こえる放送、呼びかけ、会話補聴器電池・充電器
噛める食事、栄養、体力維持義歯ケース・洗浄用品
伝えられる支援依頼、医療情報共有情報カード

非常時キットは、本人が使うためだけでなく、周囲の人が支援しやすくするためにも役立ちます。たとえば「補聴器の電池は何番か」「義歯は水に入れてよいか」「予備眼鏡はどこか」が分かるだけで、家族や支援者は動きやすくなります。

非常時キットの最小構成と3日・7日・30日の考え方

最初から完璧なキットを作ろうとすると、手が止まりやすくなります。まずは3日分、次に7日分、余裕が出たら30日分へ広げると続けやすいです。

3日分は「避難直後を乗り切る量」です。7日分は「物流や支援が安定するまでを見込む量」です。30日分は、在宅避難や長期の通院・購入困難に備える量と考えます。

品目3日分7日分30日分
眼鏡拭き3〜6枚7〜14枚30枚以上
補聴器電池使用量×3日使用量×7日使用量×30日
義歯洗浄剤3回分7回分30回分
口腔ケア用品小型1セット予備追加ローリングストック
情報カード1枚予備1枚更新用を含める

補聴器の電池は、片耳か両耳か、機種、使用時間で消費が変わります。石川県聴覚障害者センターの能登半島地震時の案内でも、補聴器用電池の支援としてPR48、PR44、PR41、PR536などの型式が示され、型式を知らせる必要があることが分かります。非常時には「電池がほしい」だけでなく「何番が必要か」が重要です。

置き場所目的入れる物
枕元夜間地震・停電眼鏡、ライト、補聴器ケース
玄関避難時の持ち出し人別ポーチ、予備電池
外出バッグ帰宅困難予備眼鏡、電池、情報カード
防災袋長期避難洗浄剤、乾燥剤、予備用品

置き場所は、一か所にまとめすぎないことが大切です。全部を防災袋に入れてしまうと、夜間に眼鏡が必要なときに間に合わないことがあります。枕元には「すぐ使う物」、玄関には「持ち出す物」、防災袋には「数日分の補充」を置くと整理しやすくなります。

眼鏡の保管・洗浄・予備の作り方

眼鏡は、災害時に最初に必要になりやすい道具です。停電中の移動、足元の確認、スマホ表示、薬のラベル、避難所の掲示など、ほとんどの行動に関わります。

予備眼鏡は「古い眼鏡の再利用」でもよい

防災用の予備眼鏡は、最新の高価な眼鏡でなくても構いません。政府広報オンラインでも、高齢者の災害用品として老眼鏡が挙げられ、古い眼鏡を捨てずに再利用することが示されています。

度数が大きく変わっていないなら、前に使っていた眼鏡を防災用に回すのは現実的です。ただし、見え方が大きく違う、フレームが曲がっている、レンズが傷だらけの場合は、避難時の足元確認に不安が残ります。

備える物優先度判断の目安
予備眼鏡普段に近い見え方
老眼鏡掲示・薬・スマホ用
ハードケース破損防止
眼鏡拭き水不足時に便利
ミニドライバーねじ緩み対応

枕元では「落ちない・踏まない」を優先する

夜間地震では、眼鏡が棚から落ちたり、足元に散らばった物で踏んだりすることがあります。枕元に置く場合は、ハードケースに入れ、固定できる場所に置きます。

裸のまま枕元に置くと、すぐ取れる一方で、揺れたときに落ちやすくなります。ケースに名前や蛍光テープを貼ると、停電時でも見つけやすくなります。

水が少ない時はこすりすぎない

砂ぼこりや粉じんがついたレンズを乾いたティッシュで強くこすると、細かな傷がつくことがあります。水が使える場合は、まず流水でほこりを流し、中性洗剤を少量使ってやさしく洗います。

水が乏しい場合は、個包装の眼鏡拭きで一方向に拭きます。砂が多いときは、いきなりこすらず、軽く払ってから拭いてください。レンズコートによって使えない洗浄用品もあるため、眼鏡店の案内や製品表示を優先します。

補聴器の電池・乾燥・掃除・紛失対策

補聴器は、非常時の情報取得に直結します。避難所では、放送、呼び出し、配給の案内、医療相談、家族との会話など、聞こえることが安全につながります。

電池規格を紙で残す

補聴器用電池は、見た目が似ていても規格が違います。石川県聴覚障害者センターの補聴器電池支援案内では、PR48V、PR44V、PR41V、PR536などの型式が示され、必要な型式を知らせる必要があることが分かります。

電池規格の例色の目安備え方
PR41・312よく使われるため型番確認
PR48・13両耳使用なら多めに
PR44・675高出力機で使うことあり
PR536・10小型機で使うことあり

補聴器のメーカー名、機種名、左右、電池規格を紙に書いて、補聴器ケースと防災ポーチに入れてください。スマホに写真で残すのも便利ですが、停電や電池切れを考えると紙の情報も必要です。

空気電池はシールをはがして少し待つ

補聴器用の空気亜鉛電池は、シールをはがして使います。電池工業会は、シールをはがした直後は正常に作動せず、約30秒から1分後に使用を開始するよう案内しています。

非常時は慌てて「電池を入れたのに動かない」と感じることがあります。情報カードに「シールをはがして1分待つ」と書いておくと、本人以外が交換するときにも役立ちます。

乾燥と耳あか掃除をセットにする

補聴器は湿気に弱い機器です。汗、雨、結露、避難所の湿度で不調が出ることがあります。乾燥ケースや乾燥剤を用意し、就寝時に入れる習慣を作ってください。

音が小さい、こもる、急に聞こえにくい場合は、耳せんや音道部分の耳あか詰まりも原因になります。専用ブラシや交換フィルターが必要な機種もあるため、補聴器販売店で「非常用に何を持つべきか」を確認しておくと安心です。

困りごとまず確認すること相談先
音が小さい電池・耳あか・フィルター補聴器店・耳鼻科
雨で濡れた電源OFF・乾燥補聴器店
片耳だけ聞こえない左右・電池向き補聴器店
充電できないケーブル・モバイル電源メーカー・販売店

マスクや眼鏡との干渉に注意する

補聴器を使っている人は、マスクの耳ひも、眼鏡のつる、補聴器が同じ耳まわりに重なります。着脱時に補聴器が外れることがあるため、避難所や外出先では落下防止クリップやストラップが役立ちます。

マスクを外すときは、補聴器ごと引っかけないように、耳ひもをゆっくり外します。家族が介助する場合も、補聴器の位置を確認してから行ってください。

義歯の洗浄・保管・食べにくい時の対応

義歯は、食事だけでなく会話、表情、口腔内の健康にも関係します。非常時に義歯をなくす、洗えない、合わない状態になると、食事量が減り、体力や気持ちにも影響します。

水不足でも義歯清掃をあきらめない

厚生労働省は、災害時のお口の手入れについて情報をまとめています。避難生活では水不足や生活環境の変化で口腔ケアが難しくなりやすいため、義歯を含めた口の清潔を保つことが大切です。

日本歯科医師会の災害時Q&Aでは、水が不足している場合の入れ歯の清掃法として、食器洗い用スポンジや使い捨ておしぼりのようなもので拭う方法が示されています。また、義歯洗浄剤を使った場合は十分に洗い流してから口に戻すこと、中性洗剤で代用できることも示されています。

状況対応
水がある流水で汚れを落とし、ブラシで清掃
水が少ない湿らせたガーゼやおしぼりで拭う
洗浄剤がある使用後によくすすぐ
洗浄剤がない中性洗剤を少量使い、よく拭き取る

義歯を清掃するときは、落として割らないように注意します。水を張った洗面器やタオルの上で洗うと、落下時の破損を減らせます。

就寝時と保管は本人の指示・歯科指導を優先する

一般的には、義歯は清掃し、就寝時に外すことがあります。ただし、義歯の種類、口腔状態、歯科医師の指導によって扱いが異なる場合があります。普段から歯科で指示されている方法を優先してください。

新潟県の災害時口腔ケア情報では、食後に入れ歯をきれいにすること、夜寝るときは入れ歯を外すことなどが案内されています。地域の資料も参考にしつつ、本人の義歯に合う方法を歯科で確認しておくと安心です。

義歯がない・合わない時は食事を変える

義歯が破損した、痛い、装着できない状態で無理に硬い物を食べるのは避けてください。口内を傷つけたり、食事量が減ったりすることがあります。

食べにくい時選びたい食品注意点
噛みにくいおかゆ、雑炊、うどん熱すぎに注意
たんぱく質不足豆腐、卵、魚缶小さくほぐす
口が乾くスープ、ゼリーむせに注意
義歯が痛いやわらか食へ変更歯科相談を検討

義歯安定剤は、応急的に役立つことがあります。ただし、厚塗りして無理に合わせると、噛み合わせが悪くなったり痛みが増えたりすることがあります。痛み、出血、口内炎が続く場合は、歯科相談が必要です。

よくある失敗とやってはいけない例

非常時キットは、作っただけでは安心できません。使える状態で、本人や家族が取り出せることが大切です。

失敗1:全部を防災袋に入れてしまう

防災袋に入れること自体は悪くありません。ただし、眼鏡や補聴器を夜間にすぐ使いたい場合、防災袋が遠いと間に合わないことがあります。

枕元には眼鏡、ライト、補聴器ケースを置きます。玄関には持ち出しポーチ、防災袋には7日分の消耗品というように、役割で分けてください。

失敗2:補聴器電池の型番を家族が知らない

本人は分かっていても、家族や支援者が型番を知らないことがあります。非常時に支援物資や販売店に頼る場合、型番が分からないと時間がかかります。

電池のパッケージを写真に撮る、型番を紙に書く、補聴器ケースに貼る。この3つをしておくと、本人が説明できない場面でも助かります。

失敗3:義歯をティッシュに包んで置く

義歯を一時的にティッシュに包むと、ごみと間違えて捨てることがあります。避難所や病院、入浴時には特に起こりやすい失敗です。

義歯は、必ず名前付きの容器に入れてください。透明容器や目立つ色のケースを使うと、紛失を減らせます。

失敗4:眼鏡を裸でバッグに入れる

眼鏡を裸でバッグに入れると、レンズが傷ついたり、フレームが曲がったりします。避難時のバッグは硬い物や食料、水筒と一緒になるため、破損しやすいです。

予備眼鏡はハードケースに入れます。ケースにも名前を貼り、度数や用途が分かるメモを入れてください。

失敗5:自己流で接着・修理する

眼鏡のつるや義歯が壊れたとき、接着剤で直したくなるかもしれません。しかし、義歯を家庭用接着剤で直して口に入れるのは避けてください。素材や安全性、噛み合わせの問題があります。

眼鏡の応急固定も、短時間の移動や確認用にとどめます。補聴器や義歯の修理は、販売店、耳鼻科、歯科など専門家に相談してください。

ケース別判断

ここでは、状況ごとに何を優先すべきかを整理します。すべてを完璧にそろえるより、自分や家族に必要なものから始めることが大切です。

一人暮らしの場合

一人暮らしでは、本人が倒れたり慌てたりした時に、周囲へ情報が伝わりにくくなります。情報カードを必ず作り、ケースや防災ポーチに入れてください。

玄関に「眼鏡・補聴器・義歯ポーチ」と分かるラベルを貼ると、支援者が見つけやすくなります。個人情報が気になる場合は、外側には氏名を大きく書かず、内側にカードを入れる方法もあります。

高齢の家族がいる場合

高齢の家族がいる場合、本人が普段どこに眼鏡や義歯を置いているかを家族が把握しておくことが大切です。本人にとっては当たり前でも、家族は知らないことがあります。

「寝る時の眼鏡の場所」「補聴器の電池番号」「義歯の保管容器」「かかりつけ歯科」を確認してください。本人の自尊心を傷つけないよう、「非常時に代わりに持てるように教えて」と声をかけると自然です。

避難所に行く場合

避難所では、掲示、放送、名簿、配布物、列の案内など、見える・聞こえる力が必要になります。厚生労働省の災害支援ガイドでも、避難所では情報を掲示と音声の両方で行うことが示されています。

補聴器を使う人は、聞こえにくいことを受付や周囲に伝え、掲示や筆談もお願いできるようにします。眼鏡や義歯は、就寝時・入浴時・洗面時に紛失しやすいため、名前付きケースを常に同じ場所に置いてください。

在宅避難の場合

在宅避難では、持ち出しよりも長期管理が重要です。補聴器電池、義歯洗浄剤、眼鏡拭き、乾燥剤をローリングストックします。

買い置きは、使い慣れた製品を少し多めに持つのが基本です。合わない洗浄剤や使いにくいケースを大量に買っても続きません。いつもの物を1つ多く買い、古いものから使う形にします。

外出中・帰宅困難の場合

外出中に災害が起きた場合、家の防災袋には戻れません。眼鏡、補聴器、義歯に関わる最小用品は、外出バッグにも入れておきます。

予備眼鏡が難しければ、老眼鏡や度数メモだけでも役立つことがあります。補聴器電池は小さく軽いため、外出バッグに1セット入れておくと安心です。義歯洗浄剤までは難しくても、義歯ケースと小さな口腔ケアシートがあると助かります。

家族で管理するための情報カードと点検ルール

非常時キットは、本人だけが分かる状態では不十分です。家族や支援者が見ても分かるように、情報カードを入れておきます。

項目書く内容
氏名本人の名前
眼鏡度数、予備の場所、用途
補聴器機種、左右、電池規格
義歯総義歯・部分義歯、歯科名
連絡先家族、かかりつけ、販売店
注意点アレルギー、持病、薬

カードは名刺サイズで十分です。水濡れに備えて、チャック付き袋やラミネートで保護します。スマホに写真を保存しておくのも便利ですが、紙のカードも必ず用意してください。

点検は月1回が理想ですが、難しければ季節ごとでも構いません。確認するのは、電池の使用期限、義歯洗浄剤の残量、眼鏡の破損、ケースの名前、情報カードの連絡先です。

頻度点検すること
毎日補聴器の乾燥、義歯の洗浄
週1回眼鏡のねじ、ケースの中身
月1回電池、洗浄剤、情報カード
年1〜2回度数、補聴器設定、義歯の fit

度数や補聴器の設定、義歯の合い具合は、時間とともに変わります。見えにくい、聞こえにくい、痛い、噛みにくいと感じる場合は、防災用品の問題ではなく、眼科、眼鏡店、耳鼻科、補聴器店、歯科への相談が必要です。

FAQ

Q1. 予備眼鏡は古いものでも大丈夫ですか?

度数が大きく変わっていなければ、古い眼鏡を非常用に回すのは現実的です。政府広報オンラインでも、高齢者の災害用品として老眼鏡や古い眼鏡の再利用が示されています。ただし、レンズの傷が多い、フレームが曲がっている、足元が見えにくい場合は避難時に危険です。最低限、移動と掲示確認に使えるか確認してください。

Q2. 補聴器電池は何日分用意すればよいですか?

まずは3日分、できれば7日分を目安にします。両耳使用、長時間使用、高出力の機種では消費が増えるため、実際の交換頻度で計算してください。電池の型番は必ず紙に書き、ケースに入れておきます。空気亜鉛電池はシールをはがして約30秒から1分後に使うよう案内されているため、使い方のメモもあると安心です。

Q3. 水が少ない時、義歯はどう洗えばよいですか?

水が十分にない場合でも、清掃をあきらめないことが大切です。日本歯科医師会の災害時Q&Aでは、水が不足している場合、食器洗い用スポンジや使い捨ておしぼりのようなもので入れ歯を拭う方法が示されています。義歯洗浄剤がある場合は使い、口に戻す前には十分に洗い流してください。中性洗剤で代用できる場合もあります。

Q4. 義歯が壊れたら接着剤で直してもよいですか?

家庭用接着剤で直して口に入れるのは避けてください。素材の安全性、噛み合わせ、口内への刺激の問題があります。割れた義歯は使用を中止し、破片をケースに入れて歯科へ持参します。痛みや口内炎がある場合も無理に使わず、やわらかい食事に切り替え、歯科相談につなげてください。

Q5. 避難所で補聴器や義歯をなくさない工夫はありますか?

名前付きの専用ケースを使い、寝る場所の枕元など毎回同じ位置に置きます。ティッシュに包むとごみと間違えて捨てることがあるため避けてください。補聴器は落下防止クリップ、義歯は目立つ色の容器、眼鏡はハードケースが役立ちます。本人が説明しにくい場合に備え、情報カードをケースに入れておくと支援者にも伝わります。

Q6. 眼鏡・補聴器・義歯のキットは本人が嫌がる場合どうすればよいですか?

「介護されるため」ではなく、「非常時に自分で動けるようにするため」と説明すると受け入れられやすくなります。本人の使い慣れたケースや色を選び、勝手に場所を変えないことも大切です。家族が準備する場合も、本人に確認しながら、枕元・玄関・外出バッグのどこに置くかを一緒に決めてください。

結局どうすればよいか

眼鏡・補聴器・義歯の非常時キットで最初にやることは、立派な防災ポーチを買うことではありません。本人が「ないと困る物」を1人分ずつ分け、すぐ使える場所に置くことです。

優先順位は、眼鏡を使う人は予備眼鏡とケース、補聴器を使う人は電池または充電手段、義歯を使う人は保管容器と洗浄用品です。これに、本人情報カードを加えます。情報カードには、電池規格、かかりつけ歯科、補聴器の機種、眼鏡の用途、家族連絡先を書きます。

最小解は、枕元に「今すぐ使うセット」、玄関に「持ち出しポーチ」、外出バッグに「帰宅困難用の小セット」を置くことです。枕元には眼鏡とライト、玄関には人別ポーチ、外出バッグには補聴器電池や予備眼鏡、義歯ケースを入れます。すべてを1か所にまとめるより、使う場面に合わせて分散させたほうが現実的です。

後回しにしてよいものは、高価な専用収納や細かい応急修理道具です。まずは、本人の器具が見つかる、電源が切れない、清潔に保てる、支援者に情報が伝わることを優先してください。

今すぐやるなら、古い眼鏡を1本探す、補聴器電池の型番を紙に書く、義歯ケースに名前を貼る、この3つで十分です。次に、洗浄剤、乾燥剤、眼鏡拭き、情報カードを足していきます。

迷ったときの基準は、「避難時に自分で安全に動けるか」「避難所で情報を受け取れるか」「食事を続けられるか」です。この3つのどれかが欠けるなら、その器具は防災用品として優先します。

安全上、無理をしない境界線もあります。壊れた義歯を接着剤で直して口に入れない。濡れた補聴器を自己判断で使い続けない。合わない眼鏡で暗い中を歩き回らない。痛み、聞こえの急変、義歯の不具合がある場合は、眼科、眼鏡店、耳鼻科、補聴器店、歯科など専門家に相談してください。

まとめ

眼鏡・補聴器・義歯は、非常時の生活機能を守る道具です。見える、聞こえる、噛める状態が保てると、避難、情報理解、食事、服薬、家族との連絡がしやすくなります。

備えは難しく考えすぎなくて大丈夫です。予備眼鏡、補聴器電池、義歯ケース、洗浄用品、情報カードを人別ポーチに入れ、枕元・玄関・外出バッグに分けて置きます。

特に大切なのは、本人以外にも分かる状態にすることです。電池の型番、かかりつけ歯科、補聴器の機種、予備眼鏡の場所を紙で残しておけば、家族や支援者が動きやすくなります。防災は「物を持つこと」だけでなく、「必要な時に使える状態にしておくこと」です。

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