ベランダ避難の安全確認|ハッチ・段差・物干しの点検法

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防災

マンションや集合住宅のベランダには、火災などのときに避難経路として使う避難ハッチや隔て板が設けられていることがあります。普段は洗濯物を干したり、植木を置いたりする場所なので、「いざというとき本当に通れるか」まで確認している家庭は多くありません。

けれど、ベランダ避難は見た目以上に条件が多いものです。ハッチの上に物がある、隔て板の前にラックがある、サッシの段差でつまずく、夜間に足元が見えない、強風で物干しが倒れる。こうした小さな障害が重なると、避難の遅れや転倒につながります。

この記事では、ベランダ経由の避難を「開く・またぐ・通る」の3つで確認する方法を解説します。自分でできる整理と、管理会社や専門点検に任せるべき境界線も分けて、今日から安全確認できる形にまとめます。

  1. 結論|この記事の答え
  2. ベランダ避難で確認すべき3つの基準
  3. 避難ハッチ・隔て板の基本と注意点
    1. ハッチ上には物を置かない
    2. 隔て板の前は蹴る・開けるスペースを残す
    3. 勝手に加工・固定しない
  4. 段差・足場・通路幅の確認方法
    1. 通路幅は60cm前後を目安にする
    2. 段差は低く、見えるようにする
    3. 手すり周りに足がかりを作らない
  5. 物干し・植木・収納の安全配置
    1. 物干しは避難方向を空ける
    2. 植木は低く、少なく、通路外へ
    3. 収納は「便利」より「避難優先」
  6. 夜間・雨天・停電時のベランダ避難
    1. ライトは窓際に置く
    2. 雨の日は滑り止め手袋と靴を優先
    3. 火や煙があるときは自己判断しすぎない
  7. よくある失敗とやってはいけない例
    1. ハッチの上に軽い物を置く
    2. 隔て板の前を目隠しでふさぐ
    3. 室外機を自分で動かす
    4. 子ども用の踏み台を手すり近くに置く
    5. 点検口や避難設備を勝手に補修する
  8. ケース別判断
    1. 子どもがいる家庭
    2. 高齢者や足腰に不安がある家族がいる場合
    3. 賃貸住宅の場合
    4. 物干しや植木が多い家庭
    5. 下階や隣戸との関係が気になる場合
  9. 月1回の点検と管理会社に相談すべきこと
    1. 月1回の5分点検
    2. 管理会社に相談すべきこと
    3. 訓練は「壊す」より「知る」から始める
  10. FAQ
    1. ベランダの隔て板は本当に壊してよいのですか?
    2. 避難ハッチの上に薄いマットやサンダルなら置いてもよいですか?
    3. ベランダに収納ボックスや植木を置くのは全部だめですか?
    4. 室外機の前が狭い場合、自分で動かしてもよいですか?
    5. 子どもや高齢者がいる家庭で特に注意することは何ですか?
    6. ベランダ避難の点検はどれくらいの頻度で行えばよいですか?
  11. 結局どうすればよいか
  12. まとめ

結論|この記事の答え

ベランダ経由の避難安全確認は、「1分で開く」「安全にまたげる」「通路をふさがない」の3つで判断します。

まず、避難ハッチや隔て板の前に物を置かないことが最優先です。消防庁の告示でも、バルコニー等が避難経路として使われること、隔板等を開放・除去・破壊する方法、近くに避難上支障となる物品を置かないことを表示する旨が示されています。つまり、ベランダの隔て板やハッチ周りは、日常の収納場所ではなく、非常時の通り道として考える必要があります。

次に、段差と通路幅を見ます。目安として、横歩きで通れる最低限は50cm前後、子どもを抱く・荷物を持つ・高齢者を支えるなら60〜70cm程度あると動きやすくなります。建物の構造や設備配置によって前後しますが、「人が通れるか」ではなく「慌てても引っかからず通れるか」で判断してください。

迷ったらこれでよい、という最小解は、避難ハッチの上と隔て板の前を空ける、室外機前に直線の通路を残す、サッシの段差に注意表示や段差緩和をする、窓際にライトと滑り止め手袋を置く、家族で避難経路を声に出して確認することです。

一方で、これはやらないほうがよい行動もあります。避難ハッチの上に収納箱や鉢を置く、隔て板を棚や目隠しでふさぐ、ハッチをマットや板で覆う、隔て板を勝手に補強する、室外機を自己判断で移動する。これらは避難の妨げになるだけでなく、管理規約や消防設備上の問題につながる場合があります。

ベランダ避難は、自分の家だけで完結しません。隣戸、下階、管理組合、消防設備点検とも関係します。自分でできるのは「物を置かない」「通路を空ける」「使い方を知る」まで。設備の不具合、ハッチのがたつき、隔て板の破損、室外機や構造物の移動は、管理会社や専門業者に相談してください。

ベランダ避難で確認すべき3つの基準

ベランダ避難の安全確認は、難しく考えすぎる必要はありません。まずは「開く」「またぐ」「通る」の3つで見ます。

この3つのうち、ひとつでも詰まると避難は遅れます。ハッチが開いても段差で転べば危険ですし、通路が空いていても隔て板の前に物があれば隣戸へ抜けられません。

確認基準見る場所判断の目安
開く避難ハッチ、隔て板、サッシ迷わず操作できるか
またぐサッシ、段差、ハッチの縁つまずかず移動できるか
通る室外機前、物干し周り、植木周り人が安全に進める幅があるか
見える夜間、停電時、雨天時足元と手元を照らせるか

「開く」は、操作方法を知っているかどうかです。避難ハッチのふた、梯子、ロック、隔て板の破り方は、見たことがあるだけでは足りません。緊急時に手順を思い出せないことがあります。

「またぐ」は、体の動きです。ベランダはサッシのレール、ハッチの縁、排水溝、室外機の周辺など、小さな段差が多い場所です。子どもや高齢者、妊娠中の人、足腰に不安がある人では、同じ段差でも負担が大きくなります。

「通る」は、日常の置き方で変わります。洗濯物、物干し台、プランター、収納ボックス、サンダル、園芸用品などが少しずつ出ていると、直線で通れなくなります。平常時に「歩ける」ではなく、煙や停電で焦っていても「引っかからない」状態を目標にしてください。

避難ハッチ・隔て板の基本と注意点

ベランダ避難で最も大切なのは、避難ハッチや隔て板の前を常に空けておくことです。避難ハッチは、下階へ降りるためのふたと梯子が収納された設備です。隔て板は、隣戸との間にある仕切りで、緊急時に破ったり開放したりして隣へ避難するためのものです。

建物によって種類や操作方法は異なります。床にハッチがある住戸もあれば、隔て板を破って横へ逃げる設計の住戸もあります。両方ある場合もありますし、階や住戸の位置によって避難方向が違うこともあります。

消防庁告示では、隣接するバルコニー等が隔板等で隔てられている場合、隔板等が容易に開放・除去・破壊できることや、その方法、近くに物を置かないことの表示が求められています。家庭で見るべきポイントは、「表示が読めるか」「前に物がないか」「操作の妨げがないか」です。

ハッチ上には物を置かない

避難ハッチの上に、薄いマット、植木鉢、収納ボックス、物干し台、サンダル置きなどを置くのは避けてください。軽いものでも、夜間や煙の中ではどかすだけで時間がかかります。

「すぐ動かせるから大丈夫」と思いがちですが、緊急時は手元が暗く、熱や煙、焦りで普段通りに動けないことがあります。ハッチの上は何も置かない場所として、家族全員で決めておくのが安全です。

隔て板の前は蹴る・開けるスペースを残す

隔て板の前に物干し台、棚、植木、収納ボックス、タイヤ、掃除用品を置くと、いざというときに隣へ抜けられません。隔て板そのものが見えない状態も危険です。

消防設備の基準資料では、バルコニー隔板の有効開口部について、おおむね幅600mm以上・高さ800mm以上などの考え方が示されている例があります。住戸ごとの仕様は建物により異なりますが、少なくとも隔て板前に人が動ける空間を残すことが重要です。

勝手に加工・固定しない

隔て板のすき間が気になる、風で音がする、目隠しをしたいという理由で、板の前にラティスやネットを固定したくなることがあります。しかし、避難経路をふさぐ固定は避けてください。

ベランダは専有部分のように見えても、避難経路や共用部分の性格を持つ場合があります。目隠し、棚、防鳥ネット、シェード、DIY固定をしたい場合は、管理規約や管理会社の案内を確認するのが安全です。国土交通省資料でも、マンションの共用部分・バルコニー形式・避難上有効なバルコニーなどは建物管理や安全性に関わる要素として扱われています。

段差・足場・通路幅の確認方法

ベランダの避難安全は、設備だけでは決まりません。実際に歩く足元、またぐ段差、体を支える手すり、通れる幅がそろって初めて動けます。

安全確認では、メジャーを使って測ると判断がはっきりします。感覚だけだと「通れるつもり」になりやすいからです。

通路幅は60cm前後を目安にする

目安として、横向きで通るだけなら50cm前後でも通れることがあります。しかし、避難時は荷物を持つ、子どもを抱く、高齢者を支える、雨具を着る、ライトを持つなど、体が大きく使われます。

できれば60cm以上、家族の介助が必要なら70cm前後を目標にします。建物の構造上難しい場合もありますが、物を置く位置を変えるだけで確保できることがあります。

通路幅状態の目安判断
50cm未満体をひねらないと通りにくい物を減らす
50〜60cm横歩きなら通れる最低限。介助時は不安
60〜70cm荷物や子ども連れでも動きやすい目標ライン
70cm以上介助や夜間でも余裕が出やすいできれば維持

室外機前は、特に物が集まりやすい場所です。室外機自体は勝手に動かせないことが多いため、周囲のプランター、サンダル、物干し、掃除道具を整理して通路を作ります。

段差は低く、見えるようにする

サッシのレールやベランダの段差は、普段は気にならなくても、停電や煙、雨のときにつまずきやすくなります。特に、室内からベランダへ出る境目は注意が必要です。

段差が高い場合は、段差緩和マットや踏み台を検討できます。ただし、避難ハッチや排水口をふさぐ場所には置かないでください。製品の耐荷重、滑り止め、屋外使用可否を確認し、管理規約にも注意します。

足元に置くものは、雨で滑らないことも大切です。薄いマットやすのこは便利ですが、固定されていないとずれます。水はけを悪くする置き方も避けてください。

手すり周りに足がかりを作らない

子どもがいる家庭では、手すり付近に足がかりになるものを置かないことが重要です。収納箱、プランター台、踏み台、室外機の上に乗れるような配置は避けてください。

ベランダは避難経路であると同時に、転落リスクのある場所です。避難しやすくするつもりで置いた踏み台が、日常時の転落リスクを増やすことがあります。子どもがいる家庭では、踏み台や段差緩和用品は普段の管理方法まで含めて考えてください。

物干し・植木・収納の安全配置

ベランダをふさぐ原因になりやすいのが、物干し、植木、収納です。どれも日常では便利ですが、置き方を間違えると避難経路を狭くし、強風時には転倒・飛散の原因にもなります。

大切なのは、「置いてよいか」ではなく「避難時に動線を邪魔しないか」で判断することです。

よくある問題安全側の判断
物干し台倒れる、通路をふさぐ折りたたみ式でも避難方向を空ける
プランター重い、割れる、足元をふさぐ低くまとめて動線外へ
収納箱ハッチや隔て板をふさぐ避難設備の近くには置かない
サンダル散らばってつまずく片側にまとめる
防鳥ネット破る・外すのに時間がかかる避難経路を固定でふさがない

物干しは避難方向を空ける

物干し台は、避難時に倒れたり、洗濯物が視界をふさいだりすることがあります。特に自立式の物干しは、強風で動きやすく、脚が通路に出やすいものです。

壁付けタイプでも、干した洗濯物が避難ハッチや隔て板の前にかからないか確認してください。夜間や雨天では、濡れた洗濯物が顔や手に当たるだけでも動きにくくなります。

植木は低く、少なく、通路外へ

プランターや鉢は、重さがあるため一見安定して見えます。しかし、避難時には動かしにくく、割れると足元の危険になります。背の高い鉢や棚は、強風や地震で倒れることもあります。

植物を置く場合は、低い位置にまとめ、避難ハッチ・隔て板・室外機前を避けます。鉢皿に水がたまると滑りや衛生面にも影響します。定期的に水を捨て、通路側へはみ出さないようにしてください。

収納は「便利」より「避難優先」

ベランダ収納は、洗濯用品や掃除用品をまとめるのに便利です。ただし、ハッチ上、隔て板前、室外機前、サッシのすぐ外に置くのは避けてください。

収納箱を置くなら、動線外に固定し、上に物を積み上げないようにします。高い棚は倒れやすく、落下物にもなります。ベランダを物置化しないことが、最も現実的な避難対策です。

夜間・雨天・停電時のベランダ避難

ベランダ避難は、昼間に晴れているときだけを想定してはいけません。火災や地震は夜間にも起こります。停電していることもあります。雨や風で足元が濡れているかもしれません。

平時に通れるベランダでも、暗い・濡れている・風が強い状況では難易度が上がります。

ライトは窓際に置く

停電時にベランダへ出るなら、足元と手元を照らすライトが必要です。スマホライトだけに頼ると、片手がふさがり、電池も消耗します。

窓際にヘッドライトや小型ライトを置いておくと、両手を使いやすくなります。夜間に使えるか、月1回点灯確認をしてください。電池式なら予備電池、充電式なら充電残量を見ます。

雨の日は滑り止め手袋と靴を優先

雨天時のベランダは、床、サッシ、物干し、手すりが濡れます。素足やスリッパで出るのは危険です。滑りにくい靴、滑り止め付き手袋、ポンチョ型雨具があると、両手を使いやすくなります。

ただし、避難が必要な状況で、装備を探して時間をかけすぎるのも危険です。窓際に最小限だけ置き、すぐ取れるようにします。

火や煙があるときは自己判断しすぎない

火災時は、ベランダに出れば必ず安全というわけではありません。煙の流れ、風向き、火元、隣戸の状況によって判断が変わります。煙が入ってくる方向へ進む、風下に出る、無理に下階へ降りるなどは危険な場合があります。

ベランダ避難は、建物の避難計画や設備に沿うことが前提です。普段から避難経路図、消防設備点検時の説明、管理会社の案内を確認してください。不安がある場合は、管理会社や消防設備点検業者に「自宅の避難経路はどこか」「ハッチや隔て板はどう使うのか」を確認するのが安全です。

よくある失敗とやってはいけない例

ベランダ避難の失敗は、「危険だと知らなかった」よりも「少しなら大丈夫と思って置いた物」が原因になりやすいです。日常の便利さが、非常時の障害になります。

ハッチの上に軽い物を置く

薄いマット、折りたたみ椅子、洗濯かご、サンダル、鉢などをハッチ上に置くのは避けてください。軽い物でも、緊急時にどかす手間が増えます。

ハッチの上は、常に何もない状態を基本にします。床面に印を付けられるなら、「ここに物を置かない」と家族に分かるようにするのも有効です。ただし、粘着テープやマットがハッチの開閉を妨げないようにしてください。

隔て板の前を目隠しでふさぐ

隣との視線が気になり、隔て板の前にラティス、ネット、棚、植木を置くことがあります。しかし、緊急時に破る・開けるスペースがなくなると避難できません。

目隠しをしたい場合は、管理規約を確認し、避難経路をふさがない方法にしてください。固定方法によっては、原状回復や安全管理の問題になることがあります。

室外機を自分で動かす

通路を広げたいからといって、室外機を自己判断で動かすのは避けてください。配管や排水、電気系統に関わり、故障や水漏れの原因になることがあります。賃貸やマンションでは管理規約にも関係します。

室外機周りが狭い場合は、まず周囲の物を減らします。それでも避難動線が確保できない場合は、管理会社や専門業者に相談してください。

子ども用の踏み台を手すり近くに置く

段差を越えやすくするための踏み台が、子どもの足がかりになることがあります。特に手すり近くに置くのは避けてください。

必要な踏み台は、普段は室内側で保管し、避難訓練時だけ使うなど、日常の転落防止と両立させます。子どもがいる家庭では、避難しやすさだけでなく、普段の事故防止も同じくらい重要です。

点検口や避難設備を勝手に補修する

ハッチのがたつき、ふたの浮き、錆、梯子の不具合、隔て板の破損を見つけた場合、自己流で固定・補修しないでください。開かなくなる、強度が分からなくなる、点検の妨げになる可能性があります。

設備の異常は、管理会社、管理組合、消防設備点検業者へ相談します。自分でできるのは、周囲の清掃、物の撤去、表示の確認までと考えると安全です。

ケース別判断

ベランダ避難の整え方は、住まい方や家族構成で変わります。自分の家庭に近いケースから確認してください。

子どもがいる家庭

子どもがいる家庭では、避難動線と転落防止を同時に考えます。通路を空けることは大切ですが、踏み台や収納箱を手すり近くに置くと、日常時の事故リスクが上がります。

子どもには、ハッチや隔て板を遊びで触らないこと、手すりに登らないこと、非常時は大人の声かけで動くことを短い言葉で伝えます。訓練では、実際に破壊や降下をさせるのではなく、どこが避難経路かを確認する程度にとどめます。

高齢者や足腰に不安がある家族がいる場合

高齢者がいる場合は、段差と通路幅を優先します。サッシのまたぎ、室外機前の狭さ、すのこのずれ、濡れた床が大きな負担になります。

通路はできれば70cm前後を目標にし、手すりや壁に近い側を歩けるようにします。滑り止め手袋、ライト、履きやすい靴を窓際に置くと、夜間や停電時に動きやすくなります。ただし、体力や持病によって避難方法は変わるため、不安がある場合は管理会社や地域の防災窓口に相談してください。

賃貸住宅の場合

賃貸では、ベランダに物を置くルールや避難設備の扱いが契約・管理規約で決まっていることがあります。自己判断で加工、穴あけ、固定、室外機移動、隔て板周りの目隠し設置をしないようにしましょう。

できる対策は、物を減らす、通路を空ける、ライトを置く、家族で経路を確認することです。設備の不具合は、貸主や管理会社へ連絡します。

物干しや植木が多い家庭

ベランダを生活空間として使っている家庭ほど、避難経路が細くなりやすいです。すべて撤去する必要はありませんが、避難ハッチ・隔て板・室外機前・サッシ前は優先して空けます。

植木は低い位置にまとめ、背の高い棚をやめるだけでも安全性が上がります。物干し台は、避難方向に脚が出ないように配置し、強風予報の前には室内へ入れる運用を決めてください。

下階や隣戸との関係が気になる場合

避難ハッチは、自宅から下へ降りるだけでなく、上階から自宅ベランダへ梯子が降りてくる場合もあります。自分のベランダに物を置くことが、上階の人の避難を妨げる可能性もあります。

隔て板も同じです。自分の家の収納が、隣戸の避難経路をふさぐことがあります。ベランダは「自分だけの物置」ではなく、同じ建物の人の命の道になるかもしれない場所と考えると、置き方の判断が変わります。

月1回の点検と管理会社に相談すべきこと

ベランダ避難の安全確認は、年1回の大掃除だけでは足りません。洗濯用品、園芸用品、季節用品は少しずつ増えるからです。月1回、5分だけ見る仕組みにすると続きやすくなります。

月1回の5分点検

点検日は、毎月1日、消防設備点検の前後、家計簿の締め日など、覚えやすい日にします。家族で住んでいる場合は、1人だけでなく、実際に通る人全員で見ると改善点が出やすくなります。

点検項目確認すること対応
ハッチ上物がないかすぐ撤去
隔て板前60cm前後の空間があるか棚・鉢を移動
サッシ段差つまずきやすくないか段差緩和や注意表示
ライト点灯するか電池・充電を確認
物干し倒れないか、通路をふさがないか位置を調整
排水口詰まりがないか落ち葉・泥を掃除

点検のたびに、写真を1枚撮っておくと変化が分かります。物が増えたときに、以前の状態と比べて戻しやすくなります。

管理会社に相談すべきこと

次のような場合は、自己判断で直さず、管理会社や管理組合へ相談してください。

  • 避難ハッチが開きにくい
  • ふたや梯子にがたつき・錆・変形がある
  • 隔て板が割れている、表示が読めない
  • 室外機や配管が避難動線を大きくふさいでいる
  • 上階からの避難梯子が降りる場所が分からない
  • ベランダの床や排水に異常がある
  • 目隠しや収納を設置してよいか判断できない

消防設備や避難経路は、建物全体の安全に関わります。東京消防庁の資料でも、避難口・廊下・階段・避難通路などは避難上有効に管理する必要があることが示されています。住宅ごとの細かな扱いは異なりますが、「避難に使う場所へ物を置かない」という考え方は家庭でも共通します。

訓練は「壊す」より「知る」から始める

隔て板を実際に破る訓練は、管理会社や消防設備点検などの場でないと難しい場合があります。家庭で勝手に破ることはできません。

家庭でできる訓練は、避難経路を指差し確認する、ハッチや隔て板の表示を読む、ライトを持ってベランダに出る、通路幅を測る、家族の役割を決めることです。これだけでも、非常時の迷いはかなり減ります。

FAQ

ベランダの隔て板は本当に壊してよいのですか?

緊急時に避難するための隔て板であれば、表示された方法に従って開放・除去・破壊して避難する設計になっています。ただし、平時に勝手に壊してはいけません。まず自宅の隔て板に表示があるか、どちらへ避難するのか、前に物がないかを確認してください。不明な場合は管理会社や管理組合に確認しましょう。

避難ハッチの上に薄いマットやサンダルなら置いてもよいですか?

置かないほうが安全です。薄い物でも、ふたの開閉を妨げたり、夜間や煙の中でどかす手間になったりします。避難ハッチの上は「何も置かない場所」と決めてください。サンダルやマットを置くなら、ハッチの外で、開閉や梯子の展開に影響しない場所にします。

ベランダに収納ボックスや植木を置くのは全部だめですか?

全部がだめとは限りません。ただし、避難ハッチ、隔て板、室外機前、サッシ前、上階から梯子が降りる場所は避ける必要があります。収納や植木は低く、動線外にまとめ、強風や地震で倒れないようにします。管理規約で制限がある場合もあるため、迷う場合は管理会社に確認してください。

室外機の前が狭い場合、自分で動かしてもよいですか?

自己判断で動かすのは避けてください。室外機は配管、電源、排水に関わるため、故障や水漏れの原因になります。賃貸やマンションでは管理規約にも関係します。まず周囲の物を減らし、それでも避難動線が確保できない場合は、管理会社や専門業者に相談してください。

子どもや高齢者がいる家庭で特に注意することは何ですか?

子どもがいる家庭では、避難経路を空けることと、手すりに登れる足がかりを置かないことを両立させます。高齢者がいる家庭では、段差、通路幅、滑り、夜間照明を優先します。どちらの場合も、実際に通る人の動きで確認することが大切です。大人だけが通れる状態では不十分です。

ベランダ避難の点検はどれくらいの頻度で行えばよいですか?

家庭では月1回の簡単な点検がおすすめです。ハッチ上に物がないか、隔て板前が空いているか、ライトが点くか、物干しや植木が通路をふさいでいないかを確認します。消防設備点検や管理会社の案内がある場合は、そのタイミングで自宅のベランダも一緒に見直すと続けやすくなります。

結局どうすればよいか

今日やるべきことは、まず避難ハッチの上と隔て板の前を空けることです。ここに物があると、どれだけ防災用品をそろえても避難できません。次に、サッシからベランダへ出て、室外機前、物干し周り、植木周りを実際に歩いてください。体をひねらないと通れない、足元に物が当たる、暗いと見えない場所があれば、そこが改善点です。

最小解は、「ハッチ上に物なし」「隔て板前に物なし」「通路幅60cm前後を目標」「窓際にライトと滑り止め手袋」「家族で避難方向を確認」の5つです。迷ったら、まずこの5つで十分です。高価な防災用品や特殊な工具より、避難経路をふさがないことのほうが優先です。

後回しにしてよいのは、ベランダ収納の細かな整理や見た目の改善です。先にやるべきなのは、命の通り道を空けることです。物干し、植木、収納ボックス、防鳥ネット、シェード、踏み台は、便利でも避難の妨げになるなら配置を変えてください。

安全上、無理をしない境界線も決めておきましょう。ハッチや梯子の不具合、隔て板の破損、室外機の移動、固定された目隠しの扱い、管理規約に関わることは自己判断で直さないでください。管理会社、管理組合、消防設備点検業者に相談するのが安全です。

家族には、合言葉を決めると伝わりやすくなります。「ハッチ、段差、物干し、よし」と声に出して確認するだけでも、見る場所がそろいます。ベランダは洗濯の場所である前に、非常時の避難経路になることがあります。今日の5分で、出られるベランダに変えておきましょう。

まとめ

ベランダ避難の安全は、避難ハッチや隔て板があるだけでは確保できません。大切なのは、1分で開けられること、段差でつまずかないこと、物干しや植木や収納が通路をふさがないことです。

最初に見るべき場所は、ハッチの上、隔て板の前、室外機前、サッシの段差、物干しの脚です。ここが空いていて、夜間でもライトで確認できる状態なら、避難の実用性が上がります。

ベランダは、家族だけでなく隣戸や上階の人の避難にも関わる場合があります。自分の便利さだけでなく、建物全体の安全を考えて、月1回の点検を習慣にしてください。

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