登下校中に地震が来た場合|合流ルールと連絡テンプレをプロが徹底解説

スポンサーリンク
防災

登下校の最中に強い揺れ——大人がそばにいない時間帯にこそ、行動の順番と合流ルールが命綱になります。本記事は、子ども本人・保護者・学校の三者が同じ手順で動けるように、発生直後の安全行動、合流の決め方連絡テンプレ、危険回避の地図作り、日常の訓練まで詳しくまとめました。

印刷してランドセルに入れられる短縮版にも使いやすい構成にし、表・チェックリスト・想定シナリオも拡充しています。


  1. 1.まずここだけ:発生直後の最優先行動と合流の原則
    1. 1-1.発生直後の3手順(止まる→守る→離れる)
    2. 1-2.合流の原則(どこへ向かう?)
    3. 1-3.保護者の迎え原則(車での迎えは?)
    4. 1-4.ひと目で分かる判定フロー(簡略)
  2. 2.登下校ルート別:安全地帯・危険物・一時退避のコツ
    1. 2-1.安全地帯の見つけ方(広く・低く・落ちない)
    2. 2-2.危険物の回避(2mルール)
    3. 2-3.交通・火災の二次リスク
    4. 2-4.雨・暗い・雪の日の追加注意
  3. 3.合流ルールの決め方:第1→第2→第3集合の三段構え
    1. 3-1.集合地点の選び方(家の前はNG)
    2. 3-2.三段階の集合ルール(時間差も決める)
    3. 3-3.引き渡しルール(誰が迎えに来るか)
    4. 3-4.少人数・集団それぞれの動き方
  4. 4.連絡テンプレと情報共有:電波が混む前・復旧後
    1. 4-1.音声が通じない時の短文テンプレ(SMS/メール)
    2. 4-2.保護者側テンプレ(学校・学童・近所へ)
    3. 4-3.連絡カードと身につけ方
    4. 4-4.公衆電話・伝言サービスの使い方(基本)
  5. 5.日常の備えと訓練:1分×週1の反復で“体が覚える”
    1. 5-1.通学路の危険マップを家族で作る
    2. 5-2.家庭内ミニ訓練(時間指定で実施)
    3. 5-3.持ち物アップデート(軽く・身につける)
    4. 5-4.学校・地域と連携する
  6. Q&A(よくある疑問)
  7. 用語辞典(やさしい解説)
    1. まとめ

1.まずここだけ:発生直後の最優先行動と合流の原則

1-1.発生直後の3手順(止まる→守る→離れる)

  • 止まる:走らない・立ち止まる。自転車は降りて脇に置く(倒しておくと転がらない)。
  • 守る頭を下げてランドセル/鞄で頭首を守る。ガラスに背を向ける。ヘルメット・防災ずきんがあれば着用。
  • 離れる塀・自販機・窓ガラス・看板・ブロック塀・古い家屋から2m以上離れる。電線が揺れている所は通らない。

1-2.合流の原則(どこへ向かう?)

  • 学校の授業時間帯学校に戻る/学校の指示に従う
  • 下校中で学校が近い(徒歩10分以内)学校へ戻る
  • 自宅が近い(徒歩10分以内)自宅最寄りの集合地点へ(自宅前は危険)。
  • どちらも遠い→**事前に決めた第3集合(公園・広場)**へ。橋や高架は無理に渡らない

1-3.保護者の迎え原則(車での迎えは?)

  • 徒歩・自転車で迎えが基本。車の集中渋滞・救助の妨げ・火災のリスク。
  • 迎えは集合地点単位で。個別合流は行方不明の原因になるため避ける。
  • 迎えが遅れる前提で、次へ移動する時刻と順番をカードに明記しておく。

1-4.ひと目で分かる判定フロー(簡略)

いまの場所学校まで徒歩10分以内?自宅/第2集合まで徒歩10分以内?行き先
学校の授業時間帯学校(最優先)
下校中・学校近いはい学校へ戻る
下校中・自宅側が近いいいえはい第2集合(近所の公園)
どちらも遠いいいえいいえ第3集合(広域避難地)

“最初の3分”行動早見表

場所/状況直後の動き次の動き
歩行中立ち止まり頭を守る危険物から2m離れ安全地帯で待機
自転車降りて自転車を倒し離れる揺れが収まったら押して移動
バス停付近車両・電柱から離れる開けた場所で姿勢を低く
商店街ガラスから背を向けるアーケード外の空が広い所へ

2.登下校ルート別:安全地帯・危険物・一時退避のコツ

2-1.安全地帯の見つけ方(広く・低く・落ちない)

  • 広い歩道の内側公園中央の広場学校や公共施設の敷地内
  • 電線が交差しない空ガラスが少ない壁面側斜面や石垣から離れた場所
  • 店舗前は看板・ガラスが多いので角を曲がって一枚壁の内側へ。

2-2.危険物の回避(2mルール)

  • ブロック塀・石塀・老木から2m以上離れる。
  • ショーウィンドウ・自販機・看板・トラック荷台真横に立たない
  • 川沿い・崖沿い足元の崩れに注意し、橋を渡る判断は後回し

2-3.交通・火災の二次リスク

  • 揺れで車が急停止・急発進する。横断は信号無視でしない
  • ガス臭・黒煙を見たら風上へ移動水辺へ退避はしない(液状化・津波)。

2-4.雨・暗い・雪の日の追加注意

  • :水たまりの下はマンホールずれ段差が隠れる。白線は滑る
  • 反射材小型ライトで自分の位置を知らせる。電柱間の暗い帯は避ける。
  • 屋根雪・つららの落下範囲を意識。凍結路すり足で移動。

ルート危険/安全チェック表(家で事前に記入)

地点危険物離れる距離一時退避候補備考
〇〇商店前ガラス窓2m角の駐輪場奥日よけ看板あり
××公園沿いブロック塀2m公園中央の広場老木注意
△△橋手前高架・落下物5m手前の広い歩道渡らず待機

3.合流ルールの決め方:第1→第2→第3集合の三段構え

3-1.集合地点の選び方(家の前はNG)

  • 広くて見通しが良い落下物がない24時間立入可
  • 自宅前はガラス・瓦落下の危険があるため避ける道路の曲がり角も避ける。

3-2.三段階の集合ルール(時間差も決める)

  • 第1集合学校(授業時間帯は最優先)
  • 第2集合近所の公園A(家から徒歩5分以内)。
  • 第3集合広域避難地B(学校からも近い)。
  • それぞれ**待機時間(例:30分)**を決め、次へ移動する条件(例:合流人数/時刻/危険発生)を明文化。

3-3.引き渡しルール(誰が迎えに来るか)

  • 迎え可能者3名以上カードに記載(親・祖父母・近所)。
  • 合言葉を決め、メモと身分証で確認。本人以外には引き渡さない
  • 兄弟姉妹の合流順(年上→年下)も紙に書いておく。

3-4.少人数・集団それぞれの動き方

  • 一人の時安全地帯で待機→近くの大人に声かけ→カードの順に連絡。
  • 友だちと一緒隊列を乱さず2列横並びは避けるリーダー1名・後ろ1名を決める。
  • 低学年混在歩幅を合わせる。走らせない。横断は手をつなぐ

合流ルールのひな型(家族で埋める)

区分場所集合の目安待機時間次の行き先迎え担当
第1集合学校 正門前授業中は学校30分第2へ父/母
第2集合〇〇公園中央広場下校中で自宅遠い時30分第3へ祖母
第3集合△△防災広場学校も自宅も遠い時60分近居親族宅近所佐藤さん

4.連絡テンプレと情報共有:電波が混む前・復旧後

4-1.音声が通じない時の短文テンプレ(SMS/メール)

  • **「無事/場所/移動先/次の連絡時刻」**だけを送る。絵文字・長文は避ける
  • 例:「無事。〇〇公園。30分待って第3へ。次12:30」
  • 例:「母へ。学校→第1集合。正門前。次12:10」

4-2.保護者側テンプレ(学校・学童・近所へ)

  • 例:「△△の保護者××。現在自宅。第2集合へ向かいます。到着12:20予定」
  • 例:「近所の◇◇さん、お子さんを第2で合流可。合言葉『□□』」
  • 例:「学童へ。今日は家庭の合流ルールで第3集合に移動します。」

4-3.連絡カードと身につけ方

  • ランドセル内ポケット防水カード(名前・学年・住所・緊急先・迎え可能者)。
  • ホイッスル・小型ライト肩ベルトに常備。夜間下校の反射材は前後に貼る。
  • 小銭・テレホンカード小袋に入れておく(公衆電話用)。

4-4.公衆電話・伝言サービスの使い方(基本)

  • 公衆電話:受話器を上げ、硬貨/カードを入れ、短く要件→場所→次の時刻を伝える。
  • 伝言サービス家族の番号を決めておき、短い伝言(例:「無事。第2集合へ。次12:30」)を入れる。

家族連絡カード(必要事項の例)

項目記入例
氏名/ふりがな山田 太郎/やまだ たろう
学年・組3年2組
自宅住所○○市□□1-2-3
保護者連絡先090-XXXX-YYYY(母)/080-AAAA-BBBB(父)
迎え可能者祖母・近所の佐藤さん(合言葉:みかん)
集合ルール第1:学校→第2:〇〇公園→第3:△△広場

5.日常の備えと訓練:1分×週1の反復で“体が覚える”

5-1.通学路の危険マップを家族で作る

  • 危険物(塀・ガラス・看板)に赤安全地帯に青でマーク。
  • 待機できる場所200〜300mごとに決め、雨の日版・夜版も作る。

5-2.家庭内ミニ訓練(時間指定で実施)

  • 「いま揺れたら?」ゲーム:合図で止まる→守る→離れる10秒で再現。
  • 連絡テンプレ暗唱:「無事・場所・移動先・次の時刻」。
  • 合言葉確認:迎え可能者と季節ごとに更新覚えやすい言葉を選ぶ。

5-3.持ち物アップデート(軽く・身につける)

  • 反射材・笛・小型ライト・予備マスク。冬はフォイルブランケットA6に折って入れておく。
  • 靴はかかとが踏めないタイプ靴ひもは二重結び雨の日は替え靴下を小袋に。

5-4.学校・地域と連携する

  • 学校の引き渡し方法避難場所を確認。
  • 学童・習い事でも同じ合言葉・同じ集合ルールを共有。
  • 近所の迎え可能者地図を一緒に確認しておく。

家庭用チェックリスト(週1で〇)

項目今週点検備考
連絡カードの更新合言葉の見直し
危険マップの確認工事・新店舗の変化
持ち物の整備笛・ライト・反射材
合流ルールの復唱第1→第2→第3
迎え可能者の確認在宅状況の確認

Q&A(よくある疑問)

Q1.学校が近いが門が閉まっていたら?
A. 正門付近の安全地帯で待つ。教職員や地域の誘導に従い、勝手に移動しない。裏門へ回ってはぐれるのを防ぐ。

Q2.保護者の勤務先が遠く、迎えが遅れる
A. 第2→第3集合へ時間差で移動するルールをカードに明記。迎え可能者(祖父母・近所)を事前登録し、合言葉で確認。

Q3.スマホが圏外・電池切れ
A. カードの情報で動けるように。公衆電話・伝言サービスを使う。次の連絡時刻を決めてから移動する。

Q4.兄弟で別ルートの時
A. 年上が先に安全地帯へ合流は第2集合で。探し回らず、決めた時間まで待つ。

Q5.大雨・津波注意報が同時に出た
A. 水辺・川沿い・海沿いから離れる高台の安全地帯を優先。橋は渡らない

Q6.バスや電車に乗っている時
A. 車内では掴まって低く。無理に外へ出ず、係員の指示に従う。停車後は頭上の物に注意して降りる。

Q7.合言葉を忘れた
A. 身分証と迎え可能者リストで確認。本人以外には引き渡さない原則を守る。

Q8.友だちが泣いて動けない
A. 頭を守らせて一緒に安全地帯へ。大声で助けを呼ぶ。無理に走らせない。


用語辞典(やさしい解説)

  • 安全地帯:落下・倒壊・火災から距離が取れる場所。広い歩道の内側や公園中央など。
  • 第1/第2/第3集合学校→近所の公園→広域避難地の順に決める合流の階段
  • 2mルール:塀・ガラス・看板などから2m以上離れて待つ基本ルール。
  • 連絡テンプレ:**「無事・場所・移動先・次の時刻」**を短文で送る書き方。
  • 風上:煙や臭いが流れてこない方向。煙から逃げる時に進む向き。
  • 二次災害:地震後に起きる火災・転倒・落下・交通事故などのこと。

まとめ

登下校中の地震は、止まる→守る→離れる10秒手順と、第1→第2→第3集合三段構えが要。カードと危険マップを家族で作り、週1分の反復体が先に動く状態にしておきましょう。

保護者は徒歩・自転車迎えを基本に、集合地点単位で合流。短文テンプレで連絡を統一すれば、混乱は大きく減らせます。最後に——「いま起きたらどう動く?」を今日1回だけ家族で声出ししてみてください。それが最初の一歩です。

タイトルとURLをコピーしました