災害ごみの分別と回収手順|自治体ルール対応ガイド

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防災

浸水・強風・地震の直後に山のように出る災害ごみは、通常のごみと区分・出し方・運び方が大きく異なる。ここで迷うと回収不可近隣トラブルけが・感染につながる。本ガイドは、現場で即使えるように分類の軸→仕分けの順番→一時保管のレイアウト→回収/持込み手順→記録と衛生管理までを表と手順で体系化。

さらに災害種別の違い戸建て/集合住宅の動線づくり家電リサイクルの実務掲示・記録テンプレも収録した。印刷して玄関に貼れるチェック表付き。迷ったら公式情報を最優先に、混ぜない・示す・運ぶの三原則で動く。


  1. 1.災害ごみの基本分類|迷ったら“材質×危険性×汚染”で見る
    1. 1-1.主な分類(臨時ルールで使われやすい区分)
    2. 1-2.“材質×危険性×汚染レベル”の見取り表
    3. 1-3.“通常ごみでは出せない”代表例(直行禁止)
    4. 1-4.災害種類で変わるごみの特徴(迷いを減らす)
    5. 1-5.“迷った品”の判断メモ
  2. 2.仕分けの順番と一時保管|安全・衛生・動線を整える
    1. 2-1.初動の安全装備と作業ルール
    2. 2-2.家の中→外へ“動線”を作る(大型から順に)
    3. 2-3.一時保管のレイアウト(敷地内)
    4. 2-4.貼り紙テンプレ(手書き用)
    5. 2-5.作業とけがを減らすコツ
  3. 3.回収・持込みの実務|自治体ルールへの合わせ方
    1. 3-1.情報の取り方(公式のみを見る)
    2. 3-2.出し方の基本と頻出ルール
    3. 3-3.臨時集積所へ持込むときの流れ
    4. 3-4.戸別回収(路上に出す場合)の要点
      1. 3-5.よくあるルール一覧(現場で確認)
    5. 3-6.当日の動線メモ(簡易フロー)
  4. 4.特殊品目の扱い|危険・大型・汚染の三類型
    1. 4-1.危険物(火気・毒性・破裂の恐れ)
    2. 4-2.大型ごみ(家電・家具)
    3. 4-3.汚染度の高い物(泥・下水・油)
    4. 4-4.木の枝・庭木・破木
  5. 5.記録・衛生・近隣連携|後日の手続きと暮らしを守る
    1. 5-1.写真とメモ(保険・支援申請に備える)
    2. 5-2.衛生管理(カビ・害虫・悪臭を防ぐ)
    3. 5-3.近隣・管理会社との連携
    4. 5-4.掲示テンプレ(家族・近隣向け)
  6. 付録A|現場チェックリスト(印刷用)
  7. Q&A|現場で迷いがちな疑問に答える
  8. 用語辞典(やさしい言い換え)
  9. まとめ|“混ぜない・示す・運ぶ”で回る

1.災害ごみの基本分類|迷ったら“材質×危険性×汚染”で見る

1-1.主な分類(臨時ルールで使われやすい区分)

  • 可燃系(木・紙・布):畳・木製家具・布団・カーペット・段ボール・濡れた紙類。
  • 不燃系(ガラス・金属・陶器/瓦):食器・瓦・ガラス破片・金属部品・鍋。
  • 家電・大型(粗大):タンス・ベッド・マットレス・ソファ・電子レンジ・扇風機。
  • 危険物(要注意):ガスボンベ・スプレー缶・乾電池・薬品・農薬・灯油・塗料。
  • 家電リサイクル品:テレビ・エアコン・冷蔵庫・洗濯機/乾燥機(通常の回収に出せない)。
  • 土砂・泥・瓦礫:庭土、泥、コンクリ片、瓦、ブロック、石膏ボード片。
  • 混ざり物(汚泥付着):泥まみれの家具・布団・衣類など。

1-2.“材質×危険性×汚染レベル”の見取り表

材質危険性汚染レベル主な例置き場の優先
木・布・紙低〜中高(濡れ/泥)畳・布団・段ボール乾かして容積減→可燃区画
ガラス・陶器/瓦食器・窓ガラス・瓦不燃区画(袋は二重)
金属低〜中家具金物・工具・鍋不燃区画、先端養生
家電(リサイクル対象外)電子レンジ・扇風機家電区画(コードまとめ)
危険物低〜中ボンベ・スプレー・薬品危険物区画(日陰・混載不可)
土砂・瓦礫泥・瓦・コンクリ片土砂/瓦礫区画、袋は小分け

原則混ぜない・濡れ物は乾かす・尖りは養生。迷う品目は危険側に寄せて扱う。

1-3.“通常ごみでは出せない”代表例(直行禁止)

  • テレビ・冷蔵庫・洗濯機/乾燥機・エアコン(家電リサイクル対象)。
  • タイヤ・バッテリー・バイク/原付(産業廃棄物や販売店ルート)。
  • プロパンボンベ・灯油(供給業者や専門回収)。

1-4.災害種類で変わるごみの特徴(迷いを減らす)

災害出やすいごみ注意点
浸水濡れた布団・木製家具・泥カビ・悪臭対策。まず外へ出して乾かす
風害屋根材・枝・ガラス飛散防止。尖り部は段ボール養生
地震瓦礫・食器破片・家電転倒足元保護先端養生。家電の通電禁止

1-5.“迷った品”の判断メモ

  • 臭い・油・薬品が付着危険物側で仮置き→相談。
  • 金属と木が混在分解できる範囲で分ける(ねじ・金具は不燃)。

2.仕分けの順番と一時保管|安全・衛生・動線を整える

2-1.初動の安全装備と作業ルール

  • 厚手手袋・長袖・長ズボン・底の硬い靴・保護めがね・マスクを着用。
  • 釘・ガラス火ばさみで拾い、厚紙/段ボールで包み**「危険」**と明記。
  • 家電のプラグは抜く。濡れた家電使用禁止(感電・発火防止)。
  • 子ども・ペットは離す。作業は二人一組が基本。

2-2.家の中→外へ“動線”を作る(大型から順に)

  1. 通路確保:玄関〜屋外の直線導線から小物・破片を撤去。
  2. 大型から出す畳→布団→ソファ→タンスの順で容積を減らす
  3. 濡れた布団・紙水切り→乾燥で軽量化し、可燃区画へ。
  4. 金属金具・ガラス先端養生して不燃区画へ。

2-3.一時保管のレイアウト(敷地内)

区画置き方注意
可燃ブルーシート上に積む乾燥で容積減、飛散防止
不燃二重袋+先端養生子どもが触れない位置
家電コード束ね貼り紙バッテリー外し・絶縁
危険物日陰の別区画混載不可、漏れ対策
土砂/瓦礫小分け袋(10〜15kg)重量オーバー注意

2-4.貼り紙テンプレ(手書き用)

  • 可燃(濡れ)/不燃(ガラス注意)/家電/危険物/土砂区名矢印を大きく。
  • 回収予定日・自治体連絡先を記入(見える場所に)。

2-5.作業とけがを減らすコツ

  • 持ち上げず“ずらす”:毛布・板・台車で滑らせ搬出
  • 重量分散小袋・短い束に分ける。土砂は一袋10〜15kgまで。
  • 雨天時飛散・流出防止ひも・重しを追加。

3.回収・持込みの実務|自治体ルールへの合わせ方

3-1.情報の取り方(公式のみを見る)

  • 自治体の公式サイト・防災無線・コールセンター臨時ルール(分別区分・出し方・回収日・臨時集積所)を確認。
  • 未確認のうわさ情報は使わない。常に最新発表を優先

3-2.出し方の基本と頻出ルール

  • 透明/半透明袋指定が多い。不透明袋は不可のことがある。
  • ガラス・刃物は新聞紙や段ボールで包み表示(「割れ物」「刃物」)。
  • 家電リサイクル品別ルート(収集運搬券・持込み先・料金)を確認。
  • 土砂・瓦礫集積所限定重量制限がある。袋は小分けに。

3-3.臨時集積所へ持込むときの流れ

  1. 入口で係員の指示に従い、区分レーンに並ぶ。
  2. 車は徐行・同乗者は降車禁止。子どもはチャイルドロック
  3. 可燃→不燃→家電→危険物→土砂の順で降ろす(会場指示が優先)。
  4. 書類(受付票)がある場合は氏名・住所・数量を記入し保管。

3-4.戸別回収(路上に出す場合)の要点

  • 通行の妨げにならない位置・高さに区分ごとまとめる。
  • 雨天時飛散防止(ひも・重し)を追加。排水口・消火栓はふさがない。

3-5.よくあるルール一覧(現場で確認)

区分袋・結束表示備考
可燃透明袋/ひも結束「可燃」濡れ物は水切り後
不燃二重袋「不燃」「割れ物」先端養生・重量注意
家電そのまま品名・状態乾電池外す・絶縁
危険物専用箱/袋「危険物」混載不可・日陰保管
土砂/瓦礫小分け袋「土砂」「瓦」一袋10〜15kg目安

3-6.当日の動線メモ(簡易フロー)

家の前で区分ごとに仮置き → 車へ積む順を可燃→不燃→家電→危険物→土砂に統一
→ 集積所のレーンに合わせて降ろす → 受付票に記入 → 写真と控えを保管

4.特殊品目の扱い|危険・大型・汚染の三類型

4-1.危険物(火気・毒性・破裂の恐れ)

  • ガスボンベ・スプレー缶穴あけ禁止(破裂・引火防止)。キャップ保護別区画へ。
  • 乾電池・モバイルバッテリーテープで端子絶縁。特にリチウムに注意。
  • 薬品・塗料・農薬・灯油混ぜない密閉容器に移し替え、漏れ止め

4-2.大型ごみ(家電・家具)

  • 冷蔵庫・洗濯機・エアコン・テレビ家電リサイクル対象。収集運搬券持込みルートを確認。
  • ソファ・マットレス分解で容積減バネ・金属は不燃へ分別。
  • ベッド・タンス引き出し分離で軽量化、取っ手の尖りを養生。

4-3.汚染度の高い物(泥・下水・油)

  • 濡れた布団・カーペット水切り→乾燥カビ・臭いを抑え、可燃へ。
  • 油が付いた布・紙広げず一点にまとめ可燃区画で管理。床の二次汚染に注意

4-4.木の枝・庭木・破木

  • 長さを切りそろえひもで直径30cm以内に束ねる。針金結束不可の地域あり。
  • 太い枝30〜50cmに切って重量分散とげ・割れは布で養生。

5.記録・衛生・近隣連携|後日の手続きと暮らしを守る

5-1.写真とメモ(保険・支援申請に備える)

  • 排出前に全景→品目→型番/品番の順で日付入り撮影。
  • 数量・区分・搬出日時をメモ。受付票・控え封筒で保管。

5-2.衛生管理(カビ・害虫・悪臭を防ぐ)

  • 濡れ物は先に外へ。室内は対角換気+除湿
  • 手袋・長靴は作業後洗浄→乾燥破片は粘着ローラー→掃除機の順で回収。
  • 床・壁泥の拭き取り→乾燥を優先(強い薬剤は最後に)。

5-3.近隣・管理会社との連携

  • 共用部(集合住宅)は管理会社・自治会の指示に従う。廊下・階段に長期放置しない
  • 道路占用が必要な場合は自治体に相談車両導線歩行者の安全を確保。

5-4.掲示テンプレ(家族・近隣向け)

  • 本日◯時◯分~◯時◯分 災害ごみの搬出作業を行います。
  • 可燃/不燃/家電/危険物/土砂矢印の区画へ。
  • 子どもは近づかないようにお願いします。
  • 連絡先:_________

付録A|現場チェックリスト(印刷用)

  • □ 手袋・めがね・靴・マスクを着用した
  • □ 玄関から屋外までの導線を確保した
  • □ 可燃/不燃/家電/危険物/土砂の仮置き区画を作った
  • 濡れた布団・紙を先に外へ出して乾かした
  • □ ガラス・刃物は包んで表示した(割れ物・刃物)
  • □ 家電の通電を止め、乾電池は外して絶縁した
  • □ 土砂は10〜15kgの小分け袋にした
  • □ 受付票・写真の記録を残した

Q&A|現場で迷いがちな疑問に答える

Q1.スプレー缶は穴あけして良い?
不可。破裂・引火の恐れ。中身を使い切ったうえで別区画に出す。地域の指示に従う。

Q2.泥まみれの布団は可燃でいい?
。ただし水切り→乾燥容積と悪臭を抑えてから出すと回収がスムーズ。

Q3.冷蔵庫やテレビは臨時回収してくれる?
多くの地域で家電リサイクル対象は別ルート収集運搬券・持込み先・料金を確認。

Q4.ガラスの破片はどう包む?
厚紙・段ボールで覆い、二重袋にして**「割れ物」表示**。無色透明袋が基本。

Q5.土砂はどのくらいの重さで袋詰め?
10〜15kgが目安。過重量は破袋・運搬事故のもと。

Q6.住所・氏名の記入は必須?
会場や時期により受付票への記載が求められることがある。指示に従う。

Q7.薬品がこぼれた容器は?
密閉できる容器に入れ替え、危険物区画へ。混ぜないことが最重要。

Q8.畳や木材が乾かない。どうする?
立てかけ・風通しで乾かし、可燃区画に。長期放置は臭い・害虫の原因。


用語辞典(やさしい言い換え)

臨時集積所:災害時に一時的にごみを集める場所
家電リサイクル品テレビ・エアコン・冷蔵庫・洗濯機/乾燥機のこと。通常回収に出せない
危険物燃えやすい・爆発しやすい・毒性がある物。混載禁止
不燃燃えない素材(ガラス・金属・陶器)中心の区分。
土砂・瓦礫泥・砂・瓦・コンクリ片など重い残渣。
先端養生:尖った部分を厚紙や布で覆い、けがや袋破れを防ぐこと。


まとめ|“混ぜない・示す・運ぶ”で回る

災害ごみの要点は、混ぜない(材質×危険×汚染で分ける)示す(貼り紙・表示)運ぶ(小分け・安全導線)の三つ。これに自治体の臨時ルールを重ね、写真と受付票の記録を残せば、回収は速く、安全も守れる。迷ったら危険側で扱い、公式情報を優先。小さな段取りの積み重ねが、生活再建の近道になる。

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