暑い日に「今日は気温が何度か」を見る人は多いですが、熱中症対策では気温だけでは足りません。同じ30℃でも、湿度が高い日、日差しが強い日、風がない日、地面や壁が熱い場所では、体への負担が大きく変わります。
そこで使いたいのが、WBGTです。WBGTは「暑さ指数」とも呼ばれ、気温だけでなく湿度や日射、地面や建物から受ける熱などを含めて、熱中症リスクを判断するための指標です。聞き慣れない言葉に見えますが、使い方は難しくありません。
大切なのは、数値を見て終わりにしないことです。WBGTが何度なら冷房を使うのか、休憩を増やすのか、運動や作業を中止するのかを、家庭や職場であらかじめ決めておく。この記事では、WBGTを「数値」から「行動」に変える方法を、一般家庭・職場・学校・運動の場面に分けて解説します。
結論|この記事の答え
WBGTは、暑さを感覚ではなく行動に変えるための目安です。使い方の基本は、25以上で警戒、28以上で厳重警戒、31以上で原則中止や延期を考えることです。
環境省の暑さ指数ページでは、WBGT31以上は「運動は原則中止」、28以上31未満は「厳重警戒」、25以上28未満は「警戒」、21以上25未満は「注意」と整理されています。特にWBGT31以上では、特別な場合を除き運動を中止し、子どもの場合は中止すべきとされています。
家庭で使うなら、WBGT25以上で水分補給と休憩を増やし、28以上で冷房や除湿を使って体への負担を下げ、31以上なら不要不急の外出や屋外作業を避けます。高齢者、乳幼児、持病がある人、暑さに慣れていない人は、1段階早めに行動してください。
職場や学校では、WBGTを掲示し、休憩時刻、給水、作業中止の基準を共有します。厚生労働省の職場向け資料でも、熱中症予防にはWBGT値を把握したうえで作業環境管理を行うことが重要とされています。
迷ったらこれでよい、という最小解は、朝に今日の最高WBGTを確認し、25以上なら水分と休憩を増やす、28以上なら作業や運動を軽くする、31以上なら原則中止・延期することです。
後回しにしてよいのは、細かな計算、専門的な測定器の購入、完璧な記録表作りです。まずは環境省のWBGT予測や手元の暑さ指数計を見て、行動を変えることが先です。
これはやらないほうがよい、とはっきり言えるのは、WBGT31以上でも「短時間だから」と屋外運動や重作業を続けることです。体調、年齢、服装、睡眠不足、脱水が重なると、短時間でも危険になることがあります。
WBGTとは何か
WBGTは、Wet Bulb Globe Temperatureの略で、日本では「暑さ指数」と呼ばれます。環境省は、WBGTを気温・湿度・輻射熱を取り入れた温度の指標として説明しています。輻射熱とは、日差しを浴びたときの熱や、地面・建物・人体などから出る熱のことです。正確には風の影響も関係します。
気温だけなら温度計で分かります。しかし、人の体がどれだけ暑さを受けるかは、気温だけで決まりません。汗が乾くかどうか、風があるか、日なたか日陰か、地面が熱いか、室内の壁や床が熱を持っているかで変わります。
WBGTは、そうした体への暑さの負担をまとめて見るための指標です。環境省は2006年から暑さ指数の情報を提供しています。地域ごとの実況や予測も確認できます。
一般生活者にとっては、WBGTを細かく計算する必要はありません。大切なのは、「暑さ指数が高い日は、気温が同じでも危険度が高い」と理解し、行動を前倒しすることです。
| 指標 | 見ているもの | 使い方 |
|---|---|---|
| 気温 | 空気の温度 | 暑さの基本確認 |
| 湿度 | 空気中の水分 | 汗の乾きやすさを見る |
| 輻射熱 | 日射・地面・壁からの熱 | 日なたや屋内の熱だまりを見る |
| WBGT | 体への暑さ負担 | 休憩・給水・中止判断に使う |
気温だけでは危険を見抜けない理由
気温が同じでも、熱中症リスクが変わる理由は、主に湿度、日射、風、体調です。
湿度が高いと、汗が蒸発しにくくなります。汗は出るだけで体温を下げるのではなく、蒸発するときに体の熱を奪います。湿度が高い部屋や無風の場所では、汗をかいても熱が逃げにくくなります。
日射や地面からの熱も大きな要素です。人工芝、アスファルト、体育館の床、屋根直下の部屋、西日の当たる窓際では、空気の温度以上に体が熱を受けることがあります。
風があるかどうかも重要です。風があれば汗の蒸発が進みやすくなりますが、無風では熱が体のまわりにこもりやすくなります。ただし、熱風が吹いている場合は、涼しい風とは違います。
日本スポーツ協会の資料では、熱中症事故はWBGTが25℃前後から増え始め、28℃を超えると急激に増加すると説明されています。暑さに慣れていない人、体力が低い人、体調が悪い人は、数値が同じでもリスクが高くなります。
| 条件 | 気温 | 湿度・日射 | 判断 |
|---|---|---|---|
| 曇りで風がある | 30℃ | 湿度低め・日射弱い | 休憩と水分を増やす |
| 西日の室内 | 30℃ | 湿度高め・壁が熱い | 冷房・除湿を優先 |
| 人工芝の午後 | 30℃ | 日射と輻射が強い | 運動短縮や中止を検討 |
| 体育館の無風状態 | 30℃ | 湿度高め・風なし | 休憩頻度を上げる |
「気温が30℃だから昨日と同じ」と考えるのではなく、湿度、日なた、風、体調を合わせて見ます。そのためにWBGTが役立ちます。
WBGTを行動に変える基準表
WBGTは、見るだけでは意味がありません。家庭、職場、学校、運動で、数値ごとの行動を先に決めておくと迷いにくくなります。
環境省の運動指針では、WBGT21以上25未満は「注意」、25以上28未満は「警戒」、28以上31未満は「厳重警戒」、31以上は「運動は原則中止」とされています。
家庭や職場では、運動指針をそのまま完全に当てはめるのではなく、作業強度や家族構成に応じて前倒しで使うと安全です。
| WBGT | 危険度の目安 | 家庭・職場の行動 |
|---|---|---|
| 21未満 | ほぼ安全 | 水分補給は続ける |
| 21〜24 | 注意 | こまめに水分、暑さに弱い人を確認 |
| 25〜27 | 警戒 | 休憩を増やし、冷房・除湿を検討 |
| 28〜30 | 厳重警戒 | 運動・重作業を軽減、冷房下で休む |
| 31以上 | 危険 | 屋外運動・重作業は原則中止 |
この表は、健康な成人だけを基準にして考えないことが大切です。子ども、高齢者、持病がある人、睡眠不足の人、暑さに慣れていない人、マスクや防護具を着ける人は、1段階早めに行動します。
たとえばWBGT25でも、炎天下の部活や屋外作業ではすでに警戒です。WBGT28なら、激しい運動や持久走、重い荷物の運搬、長時間の草むしりなどは避ける判断が必要です。WBGT31以上なら、原則として中止・延期を考えます。
家庭・在宅での使い方
家庭でWBGTを使う目的は、家族の体調を守ることです。難しい管理表を作るより、冷房、給水、休憩、外出判断を決めるために使います。
朝に今日の最高WBGTを見る
まず、朝の時点で今日の最高WBGTを確認します。環境省の熱中症予防情報サイトでは、暑さ指数の実況や予測が提供されています。地域の予測を見るだけでも、その日の警戒度が分かります。
朝に見るべきことは、最高気温だけではありません。暑さ指数、熱中症警戒アラートの有無、湿度、外出予定、家族の体調です。特に高齢者や乳幼児がいる家庭では、本人が暑いと言う前に行動を決めます。
家の中は「室温」と「湿度」も見る
WBGT計がない家庭では、温湿度計でも判断材料になります。正確なWBGTではありませんが、室温が高い、湿度が高い、風がない、西日が入る、家電や調理の熱がある場合は、危険寄りに見ます。
室温28℃前後でも湿度が高ければつらく感じることがあります。日当たりの強い部屋、最上階、屋根直下、台所、閉め切った寝室は注意してください。
| 家庭の状況 | 行動 |
|---|---|
| WBGT25以上 | 水分補給の声かけを増やす |
| WBGT28以上 | 冷房・除湿を使い、外出を短縮 |
| WBGT31以上 | 不要不急の外出・屋外作業を避ける |
| 高齢者・乳幼児がいる | 1段階早く冷房・見守り |
| 停電・冷房故障 | 涼しい施設への移動も検討 |
在宅ワークではタイマーで行動する
在宅ワークでは、集中しているうちに水分補給や休憩を忘れやすくなります。WBGTが高い日は、タイマーを使って行動を固定するとよいでしょう。
目安として、WBGT25以上なら1時間ごとに水分、28以上なら30分ごとに小休憩、31以上なら不要な会議や作業を短縮・延期します。パソコンやモニターの発熱も室内の熱に加わるため、机を直射日光の当たる窓際に置かないことも大切です。
職場・学校・運動での使い方
職場や学校では、WBGTを個人の感覚に任せないことが重要です。暑さに強い人の基準で全体を動かすと、弱い人が無理をしやすくなります。
職場では「掲示」と「休憩時刻」をセットにする
厚生労働省の職場向け熱中症予防対策マニュアルでは、WBGT値を把握したうえでWBGT値の低減などの作業環境管理を行うことが重要とされています。
職場では、朝礼やチャットで「今日のWBGT」「休憩時刻」「水分・塩分の場所」「中止基準」を共有します。測るだけではなく、次の行動まで決めることが大切です。
| 役割 | やること | 頻度 |
|---|---|---|
| 数値確認係 | WBGT・室温・湿度を確認 | 朝・昼・15時 |
| 給水係 | 飲料・塩分補給品を補充 | 1〜2時間ごと |
| 休憩管理係 | 休憩時刻を声かけ | 作業内容に応じて |
| 体調確認係 | 顔色・返答・ふらつきを見る | 休憩時 |
現場作業では、暑さに慣れていない新入社員、復帰直後の人、睡眠不足の人、体調不良者を前提にルールを作ります。「大丈夫です」と本人が言っても、顔色や動きが変なら休ませる判断が必要です。
学校や部活は子ども基準で考える
環境省の運動指針では、WBGT31以上では特別な場合を除き運動を中止し、特に子どもの場合には中止すべきとされています。
学校行事や部活動では、予定を守ることより、体調を守ることを優先します。WBGT28以上では激しい運動や持久走を避け、休憩と水分・塩分補給を増やします。31以上では原則中止や延期を検討します。
人工芝、体育館、校庭の照り返し、黒いトラック、風のない場所では、体感がさらに厳しくなります。日陰が少ない会場では、WBGTの数値以上に慎重に判断してください。
運動は「開始前」から管理する
運動中だけ水分をとればよいわけではありません。開始前から水分をとり、途中で休み、終了後も体調を確認します。
日本スポーツ協会の資料では、WBGTが25℃前後から熱中症事故が増え始め、28℃を超えると急激に増加すると説明されています。暑さに慣れていない時期、急に暑くなった日、合宿初日などは特に注意が必要です。
測り方・見える化・共有のコツ
WBGTは、環境省の予測を見る方法と、暑さ指数計で測る方法があります。家庭では予測を見るだけでも役立ちますが、室内や現場では実際の環境と差が出ることがあります。
測定器は人がいる高さに置く
室内で測る場合は、人が過ごす高さに置きます。床に座る生活なら低め、机で作業するなら座った顔の高さ、立ち仕事なら立ったときの胸から顔の高さが目安です。
直射日光、エアコンの直風、扇風機の直風、調理器具のすぐ近くは避けます。そこだけ極端な値になり、実際の滞在環境とずれることがあるからです。
屋外では、日なた・日陰・地面の種類で差が出ます。アスファルトや人工芝の上、金属屋根の近く、風が抜けない場所では、予測値より厳しい環境になることがあります。
| 場所 | 置く高さ・位置 | 避ける場所 |
|---|---|---|
| 居間 | 座る人の顔に近い高さ | 窓際・エアコン直風 |
| 台所 | 作業する高さ | コンロや炊飯器の近く |
| 寝室 | 枕元付近 | 冷風の直当たり |
| 屋外作業場 | 作業者の胸〜顔の高さ | 直射や反射の強すぎる場所 |
| 体育館 | 活動場所の近く | 入口だけの測定で済ませない |
紙に貼ると行動がそろう
家庭でも職場でも、WBGT表を紙にして貼ると行動がそろいやすくなります。毎回「何度ならどうする?」と考えなくて済むからです。
玄関、冷蔵庫、職場の休憩所、部室、給湯室など、必ず見る場所に貼ります。数値だけでなく、「次の休憩時刻」「飲み物の場所」「中止基準」まで書くと実用的です。
高齢者や子どもには1段階早い基準を共有する
高齢者や子どもは、本人の感覚だけに頼らないほうが安全です。家族や職場で「この人はWBGT25でも声かけ」「28なら屋外活動なし」など、前倒しのルールを決めます。
持病、服薬、睡眠不足、二日酔い、体調不良、暑さに慣れていない時期も同じです。数値は全員に同じでも、耐えられる負担は人によって違います。
よくある失敗とやってはいけない例
WBGTを使った熱中症対策でよくある失敗は、「数値を見たのに行動を変えない」ことです。数字だけ確認しても、休憩や中止に結びつかなければ意味がありません。
失敗1:気温が低めだから大丈夫と思う
気温が30℃未満でも、湿度が高く、風がなく、日射や輻射が強ければWBGTは高くなることがあります。体育館、台所、浴室近く、屋根直下の部屋、人工芝の上では特に注意が必要です。
「今日は気温が低いから平気」と考えるより、「湿度と風はどうか」「体調はどうか」「作業は重いか」を見ます。
失敗2:WBGT31以上でも予定を優先する
WBGT31以上は、環境省の運動指針で「運動は原則中止」とされるレベルです。特に子どもの場合は中止すべきとされています。
大会、部活、草刈り、屋外イベント、引っ越し作業などは、予定を変えにくい場面です。しかし、ここで無理をすると、体調不良者が出てから対応することになります。中止・延期・短縮の基準を事前に決めておくことが必要です。
失敗3:水だけを大量に飲む
暑い日は水分補給が重要ですが、汗を多くかく場面では塩分も失われます。水だけを大量に飲むと、体調を崩すことがあります。
ただし、塩分のとりすぎにも注意が必要です。高血圧、腎臓病、心臓病などで塩分制限がある人は、一般的な目安をそのまま使わず、主治医や薬剤師の指示を優先してください。
失敗4:体調不良を根性で乗り切る
めまい、頭痛、吐き気、ふらつき、反応が鈍い、汗が急に止まる、顔色が悪い。こうしたサインがある場合、根性で続けるのは危険です。
本人が「大丈夫」と言っても、受け答えがおかしい、歩けない、水分が飲めない場合は、家庭や職場の判断だけで済ませないでください。涼しい場所へ移動し、体を冷やし、必要なら救急要請を含めて判断します。
ケース別判断
WBGTの使い方は、生活場面によって変わります。自分に近いケースで考えると、行動に落とし込みやすくなります。
高齢者がいる家庭
高齢者は、暑さやのどの渇きを感じにくいことがあります。本人が「暑くない」と言っても、温湿度やWBGTを見て行動します。
WBGT25以上なら声かけを増やし、28以上なら冷房を使い、31以上なら外出や庭仕事を避けます。冷房を嫌がる場合は、温度を下げすぎず、除湿や扇風機の循環を組み合わせます。
子ども・部活・学校行事
子どもは体が小さく、地面に近い場所の熱を受けやすい場面があります。運動中は夢中になって不調を言い出せないこともあります。
WBGT28以上では、激しい運動や持久走を避けます。31以上では原則中止や延期を検討します。保護者や指導者は、予定より安全を優先する基準を共有しておきましょう。
屋外作業・工事・農作業
屋外作業では、WBGTだけでなく作業強度を見ます。軽い見回りと、草刈り、荷運び、屋根作業、舗装作業では体への負担が違います。
WBGT25以上で休憩と給水を増やし、28以上で高負荷作業を短縮、31以上で中止や時間変更を検討します。どうしても必要な作業は、2人体制、短時間、日陰休憩、冷却、緊急連絡先の共有を条件にします。
在宅ワーク・家事
在宅ワークや家事は「運動ではないから大丈夫」と思いがちです。しかし、台所、掃除、洗濯、ベランダ作業、子どもの世話は体力を使います。
WBGTが高い日は、火を使う調理を短くし、掃除や買い物を朝夕に回します。会議や作業の合間に水分と休憩を入れます。
通勤・買い物・送迎
通勤や買い物では、短時間でも炎天下を歩くことがあります。バス停や駅までの道、駐車場、ベビーカー、子どもの送迎は注意が必要です。
WBGT28以上なら、日なたの徒歩時間を短くし、日陰や地下通路を選びます。31以上なら、時間帯の変更、宅配、タクシー、オンライン手続きなどを検討します。
熱中症が疑われるときの初動
WBGT対策をしていても、体調を崩すことはあります。大切なのは、早く気づいて、早く休ませ、早く冷やすことです。
まず、涼しい場所へ移動します。日陰、冷房の効いた部屋、風通しのよい場所へ移し、衣服をゆるめます。次に、首、脇の下、足の付け根などを冷やします。意識がはっきりしていて飲める場合は、水分や経口補水液を少しずつ飲ませます。
次のような場合は、家庭や現場だけで様子見しないでください。呼びかけへの反応が鈍い、意識がぼんやりする、水分を自分で飲めない、嘔吐が続く、ふらついて歩けない、体が熱い、症状が改善しない場合です。
| 症状 | まずすること | 相談・救急の目安 |
|---|---|---|
| めまい・立ちくらみ | 涼しい場所で休む | 繰り返す場合 |
| 頭痛・吐き気 | 冷却・水分補給 | 改善しない場合 |
| ふらつき | 作業や運動を中止 | 歩けない場合 |
| 反応が鈍い | 周囲が救援 | 迷わず救急要請 |
| 水分が飲めない | 無理に飲ませない | 医療相談へ |
発生時刻、場所、WBGT、作業内容、飲水量を記録しておくと、再発防止にも役立ちます。職場や学校では、同じ条件で別の人も体調を崩す可能性があるため、環境そのものを見直してください。
FAQ
Q1. WBGTと気温は何が違うのですか?
気温は空気の温度だけを示します。WBGTは、気温に加えて湿度、日射や地面からの熱、風の影響も含めて、体への暑さの負担を見る指標です。同じ30℃でも、湿度が高く無風で日差しが強い場所では、WBGTが高くなり危険度も上がります。熱中症対策では、気温だけでなくWBGTを見るほうが実用的です。
Q2. WBGTが何度になったら運動をやめるべきですか?
環境省の運動指針では、WBGT31以上は「運動は原則中止」とされています。28以上31未満は「厳重警戒」で、激しい運動や持久走などは避けるべき段階です。子ども、暑さに慣れていない人、体力が低い人、体調不良者は、1段階早く中止や軽減を判断してください。
Q3. 家庭ではWBGT計を買ったほうがよいですか?
高齢者、乳幼児、持病がある人がいる家庭や、屋内が暑くなりやすい住宅では、WBGT計や温湿度計があると判断しやすくなります。ただし、最初から高価な機器を買わなくても、環境省の暑さ指数予測と室内の温湿度計を組み合わせれば、行動を前倒しできます。まずは数値を見える場所に置くことが大切です。
Q4. WBGTが高い日は水分だけ飲めばよいですか?
水分補給は大切ですが、汗を多くかく場合は塩分も失われます。長時間の屋外活動、運動、作業では、水分と塩分を組み合わせて補給します。ただし、心臓病、腎臓病、高血圧などで水分や塩分制限がある人は、一般的な目安をそのまま使わず、主治医や薬剤師の指示を優先してください。
Q5. 室内でもWBGTを気にする必要がありますか?
あります。室内でも、湿度が高い、風がない、西日が入る、屋根や壁が熱い、家電や調理の熱がある場合は、体への負担が大きくなります。特に高齢者や乳幼児は、暑さを自分で訴えにくいことがあります。室温と湿度を見ながら、冷房、除湿、休憩、水分補給を前倒しにしてください。
Q6. WBGT31以上でも短時間なら屋外作業してよいですか?
原則として避ける判断が安全です。どうしても必要な作業なら、時間を朝夕にずらし、2人体制で見守り、作業時間を短くし、冷房の効いた休憩場所と水分・塩分を用意します。それでも体調不良者が出る可能性はあります。不要不急の草刈り、運動、イベント準備、長時間の移動は延期を検討してください。
結局どうすればよいか
WBGTを生活で使う目的は、数値に詳しくなることではありません。暑い日に何をやめ、何を早め、誰を見守るかを決めることです。
優先順位は、まず今日のWBGTを確認すること。次に、25以上なら給水と休憩を増やすこと。28以上なら運動や重作業を軽くし、冷房や除湿を使うこと。31以上なら屋外運動や重作業を原則中止・延期することです。
最小解は、朝に環境省の暑さ指数予測を見る、室内の温湿度計を見る、冷房を使う基準を決める、水分を用意する、休憩時刻を紙に書くことです。迷ったらこれでよいです。完璧な測定や専門用語の理解より、行動を変えるほうが先です。
後回しにしてよいのは、高価な測定器、細かな計算表、全員分の詳細な記録です。まずは家族や職場で「25・28・31」の3つの境目を共有してください。25で警戒、28で軽減、31で中止。この形なら、子どもにも高齢者にも説明しやすくなります。
今すぐやることは3つです。スマホで自分の地域のWBGT予測を確認する。冷蔵庫や職場の掲示板に、WBGT別の行動表を貼る。高齢者、子ども、屋外作業者、体調不良者には1段階早めの基準を使うと決める。
安全上、無理をしない境界線も明確にしてください。WBGT31以上で屋外運動や重作業を続ける、具合が悪い人を「少し休めば戻る」と放置する、水分が飲めない人に無理やり飲ませる、反応が鈍い人を様子見する。これらは避けます。
WBGTは、暑さを怖がるための数字ではありません。早めに休む、冷やす、やめる、助けを呼ぶための合図です。数値を見て、行動を前倒しする。その習慣が、家庭・職場・学校の熱中症リスクを大きく下げます。
まとめ
WBGTは、気温だけでは分からない暑さの危険度を判断するための指標です。湿度、日射、輻射熱、風の影響を含めて見るため、体への負担を行動に結びつけやすくなります。
目安は、WBGT25以上で警戒、28以上で厳重警戒、31以上で原則中止です。家庭では冷房・除湿・水分補給、職場では休憩・作業軽減・見守り、学校や運動では中止や延期の判断に使います。
大切なのは、数値を見て終わらせないことです。朝に確認し、紙やチャットで共有し、休憩時刻と中止基準を決める。WBGTは、家族やチームが同じ判断で動くための道具として使いましょう。


