「よくかんで食べなさい」と言われたことがある子は多いはずです。でも、なぜよくかむとよいのかを聞かれると、大人でも説明に迷うことがあります。
よくかむことは、ただ食べるのを遅くするためではありません。食べ物を細かくして、だ液と混ぜ、飲み込みやすくする大切な準備です。早食いを防ぎ、食べすぎに気づきやすくなることもあります。厚生労働省のe-ヘルスネットでも、ゆっくりよくかむことは肥満対策の一つとして期待される一方、「噛めること」自体が健康と密接につながると説明されています。
ただし、「よくかめば何でも健康になる」「硬い物をたくさん食べればよい」と考えるのは少し危険です。小さい子、高齢者、歯の治療中の人、飲み込みに不安がある人では、食べ物の硬さや大きさを変える必要があります。
この記事では、小学生にもわかる言葉で、よくかんで食べる理由と、家庭で今日からできるコツを解説します。自由研究に使える観察のしかたも紹介しますが、安全のため、食べにくい物を無理に口へ入れる実験はしないようにしましょう。
結論|この記事の答え
よくかんで食べるとよい理由は、大きく分けて3つあります。
1つ目は、食べ物を細かくして、胃や腸が働きやすい形に近づけることです。口の中でよくかむと、食べ物が小さくなり、だ液と混ざります。だ液には、食べ物を飲み込みやすくしたり、消化の始まりを助けたりする働きがあります。
2つ目は、早食いを防ぎ、食べすぎに気づきやすくなることです。急いで食べると、まだ満腹の合図に気づく前に食べすぎてしまうことがあります。よくかむと食事のスピードがゆっくりになり、「もう十分かも」と感じやすくなります。
3つ目は、のどに詰まりにくい食べ方につながることです。食べ物をよくかまずに丸のみすると、飲み込みにくくなります。特に、もち、ミニトマト、ぶどう、豆、ナッツ類などは、年齢や食べ方によって窒息や誤嚥の危険があります。消費者庁は、5歳以下の子どもには硬い豆やナッツ類を食べさせないよう注意を呼びかけています。
小学生がまず意識するなら、「一口を小さくする」「飲み物で流し込まない」「口の中がなくなってから次を食べる」の3つで十分です。迷ったらこれでよいです。
反対に、回数だけを守ろうとして、硬い物を無理に食べたり、食事中にふざけたりするのは、これはやらないほうがよい行動です。よくかむ目的は、がまん大会ではなく、安全においしく食べることです。
よくかむとは何をすること?
よくかむとは、食べ物を歯で細かくし、だ液と混ぜ、飲み込みやすい状態にすることです。専門的には「咀嚼」といいます。読み方は「そしゃく」です。
咀嚼という言葉はむずかしく聞こえますが、やっていることは毎日の食事そのものです。ごはん、パン、肉、野菜、果物を口の中で何度もかみ、少しずつやわらかくしてから飲み込みます。
咀嚼は「細かくする」と「だ液と混ぜる」のセット
かむことには、2つの大切な働きがあります。
1つは、食べ物を細かくすることです。大きいまま飲み込むより、小さくなったほうがのどを通りやすくなります。胃の中でも、細かくなった食べ物のほうが消化されやすくなります。
もう1つは、だ液と混ぜることです。だ液は、口の中をうるおし、食べ物をまとめて飲み込みやすくします。ごはんやパンをよくかんでいると、少し甘く感じることがあります。これは、だ液に含まれる成分がでんぷんに働きかけるためです。
つまり、よくかむことは「歯だけの仕事」ではありません。歯、舌、ほほ、あご、だ液がチームになって、食べ物を体に入れる準備をしています。
一口30回は目安であり、目的ではない
「一口30回かみましょう」と聞いたことがあるかもしれません。これは、よくかむ習慣をつけるためのわかりやすい目安です。
ただし、すべての食べ物を必ず30回かまなければいけないわけではありません。豆腐やプリンのようにやわらかい物と、れんこんやごぼうのように歯ごたえがある物では、必要な回数が変わります。
大切なのは、数字そのものではなく、「飲み込む前に、食べ物が小さくなっているか」「飲み物で流し込んでいないか」「急いで丸のみしていないか」です。
| 見るポイント | よい状態 | 見直したい状態 |
|---|---|---|
| 一口の大きさ | 口を閉じてかめる | 口いっぱいに入れている |
| かむ回数 | 食べ物に合わせて十分かむ | すぐ飲み込む |
| 飲み物 | 食事の合間に飲む | 食べ物を流し込む |
| 食べる姿勢 | 座って落ち着いて食べる | 歩く・ふざける・寝転ぶ |
回数を数えるのは、最初の練習には役立ちます。慣れてきたら、「飲み込みやすい形になったか」を自分で感じることを目標にしましょう。
よくかむと体にいい理由
よくかむことは、消化、飲み込み、食べすぎ防止に関わります。ここでは、小学生にもわかるように、体の中で起きていることを順番に見ていきます。
だ液が出て消化の準備が始まる
食べ物を口に入れてかむと、だ液が出ます。だ液はただの水ではありません。食べ物をしっとりさせ、飲み込みやすくし、口の中を清潔に保つ働きがあります。
ごはんをよくかむと甘く感じることがあります。これは、ごはんに含まれるでんぷんが、だ液の働きで変化するためです。つまり、消化は胃に入ってから急に始まるのではなく、口の中から少しずつ始まっています。
よくかまずに飲み込むと、食べ物が大きいまま胃に入ります。胃がすべて悪くなるという意味ではありませんが、体にとっては、口でできる準備を十分にしないまま次へ進むことになります。
飲み込みやすくなり、のどの安全にもつながる
よくかむと、食べ物が小さくなり、だ液と混ざってまとまりやすくなります。すると、のどを通るときに飲み込みやすくなります。
反対に、口いっぱいに食べ物を入れたり、よくかまずに飲み込んだりすると、のどに詰まりやすくなります。特に、丸くてつるっとした物、硬くて小さい物、粘りの強い物は注意が必要です。
小学生でも、急いで食べる、笑いながら食べる、走り回りながら食べると危険です。食べるときは座り、口の中の物がなくなってから話すようにしましょう。
早食いを防ぎ、満腹に気づきやすくなる
よくかむと、食事のスピードが自然にゆっくりになります。早食いの人は、満腹を感じる前に食べすぎてしまうことがあります。
厚生労働省のe-ヘルスネットでは、速く食べる習慣がある人には肥満者が多いことが疫学調査でわかってきたとし、「ゆっくりとよく噛むこと」が肥満対策の一つとして期待されると説明しています。
ただし、「よくかめば必ずやせる」という意味ではありません。体重や体格には、食事内容、運動、睡眠、体質、成長期かどうかなど、いろいろな要素が関わります。
小学生の場合は、体重を気にしすぎるより、「急いで食べない」「おなかの感じを確かめる」「食事を楽しむ」ことを大切にしましょう。
歯・あご・口の健康とよくかむ関係
よくかむことは、歯やあごにも関係します。食べ物をかむとき、歯だけでなく、あごの筋肉、舌、ほほも動いています。
毎日の食事は、口の周りを使う大切な時間です。
かむ力は毎日の食事で育つ
やわらかい物ばかり食べていると、あまりかまなくても飲み込めます。そのため、食事時間は短くなりますが、かむ回数は少なくなりがちです。
一方で、野菜、きのこ、海藻、豆類、肉、魚、雑穀ごはんなどは、ある程度かむ必要があります。こうした食材を無理のない範囲で取り入れると、自然にかむ回数が増えます。
ただし、硬ければ硬いほどよいわけではありません。歯が生え変わっている時期、矯正中、口内炎があるとき、あごが痛いときは、無理に硬い物を食べる必要はありません。体調や口の状態を優先してください。
口の中をきれいに保つには歯みがきも必要
よくかむとだ液が出やすくなります。だ液には、口の中を洗い流す働きがあります。
ただし、よくかむだけでむし歯を防げるわけではありません。甘い物を食べたあとや、歯にくっつきやすい物を食べたあとには、歯みがきが必要です。
よくかむことは、歯と口の健康を助ける習慣の一つです。歯みがき、定期的な歯科チェック、食べ方の工夫と合わせて考えると現実的です。
| 目的 | よくかむことで助かること | それだけでは足りないこと |
|---|---|---|
| 消化 | 食べ物を細かくする | 食べすぎを防ぐ工夫も必要 |
| 口の清潔 | だ液が出やすくなる | 歯みがきは必要 |
| あごの発達 | 口周りを使う | 痛みがあるときは無理しない |
| 食事の満足感 | 味を感じやすくなる | 栄養バランスも大切 |
よくかむことを特別な健康法として考えすぎるより、毎日の食事をていねいにする習慣として続けるほうが、家庭では取り入れやすくなります。
集中力や気持ちとの関係はどう考える?
よくかむことについて、「脳によい」「集中力が上がる」と説明されることがあります。たしかに、かむ動きは口やあごを使い、食事を通して体を目覚めさせるきっかけになります。
ただし、ここは誇張しすぎないことが大切です。
朝ごはんを落ち着いて食べることが大切
朝、何も食べずに学校へ行くと、授業中におなかが空いたり、元気が出にくかったりすることがあります。朝ごはんを落ち着いて食べることは、午前中を過ごす準備になります。
そのとき、よくかんで食べると、急いで飲み込むよりも体が食事を受け入れやすくなります。食べ物の味も感じやすくなります。
「朝は時間がないから、飲み物だけで済ませる」という家庭もあるかもしれません。忙しい日は仕方ないこともありますが、できる日だけでも、ごはん、パン、卵、野菜、果物などを少しずつかんで食べる時間を作るとよいでしょう。
「かめば必ず成績が上がる」とは考えない
よくかむことは、健康的な食習慣の一部です。しかし、「よくかめば必ず成績が上がる」「かむだけで集中力が大きく変わる」と言い切るのは危険です。
集中力には、睡眠、運動、食事内容、生活リズム、学習環境、心の状態などが関わります。よくかむことだけで全部が解決するわけではありません。
小学生に伝えるなら、「よくかむと、体が食事を受け取りやすくなり、落ち着いて食べる練習にもなる」と考えるのがちょうどよいです。
今日からできるよくかむ食べ方
よくかむ習慣は、気合いだけでは続きません。続けるには、食卓でできる小さな工夫が必要です。
ここでは、家庭で今日から始めやすい方法を紹介します。
一口を小さくする
よくかめない原因の一つは、一口が大きすぎることです。口いっぱいに食べ物を入れると、かみにくく、飲み込みにくくなります。
まずは、一口を少し小さくしましょう。スプーン山盛りではなく、口を閉じて無理なくかめる量にします。
小学生なら、「口を閉じてモグモグできる量」が目安です。口を開けたままかんでしまう量は、多すぎる可能性があります。
箸やスプーンをいったん置く
早食いを直したい人は、一口食べたら箸やスプーンをいったん置いてみましょう。
手に持ったままだと、口の中にまだ食べ物があるのに、次の一口を入れたくなります。箸を置くと、自然にかむ時間が生まれます。
毎回完璧にできなくても大丈夫です。最初は「最初の3口だけ置く」でも十分です。費用をかけずに始めたい家庭は、この方法から始めるのが現実的です。
飲み物で流し込まない
食べ物をよくかまずに、飲み物で流し込むクセがある人もいます。これは、飲み込めたように感じても、食べ物が十分に細かくなっていないことがあります。
水やお茶を飲むこと自体は悪くありません。大切なのは、食べ物をかんで飲み込んだあとに、合間で飲むことです。
パン、肉、いも類など、口の中でまとまりにくい物は、急いで飲み込まず、少しずつ食べましょう。のどに詰まりそうな感じがある場合は、無理に飲み込まず、食べ方や大きさを見直します。
| 今日からの工夫 | 向いている人 | 最小のやり方 |
|---|---|---|
| 一口を小さくする | 丸のみしやすい人 | スプーン量を半分にする |
| 箸を置く | 早食いの人 | 最初の3口だけ置く |
| 飲み物で流さない | パンや肉を急いで食べる人 | 飲み込んでから一口飲む |
| 姿勢を整える | 食事中に動きやすい子 | 足を床につけて座る |
全部を一度に変える必要はありません。毎日使う人は「一口を小さくする」を優先し、早食いが気になる人は「箸を置く」から始めると続けやすいです。
食材の選び方|かみごたえは安全に増やす
よくかむ習慣をつけたいとき、かみごたえのある食材を入れるのはよい方法です。ただし、安全が先です。
硬い物を増やせばよい、という考え方は避けましょう。
小学生なら少し歯ごたえを足す
小学生の場合、歯やあごの状態に問題がなければ、いつもの食事に少し歯ごたえを足す方法が取り入れやすいです。
たとえば、カレーのにんじんを少し大きめにする、みそ汁にごぼうやきのこを入れる、白米にもち麦や雑穀を少し混ぜる、りんごをすりおろしではなく薄切りや角切りにする、といった工夫です。
ただし、食べにくそうにしている場合は、無理に続ける必要はありません。歯が抜けそうな時期や、矯正器具が痛い時期は、やわらかく調理しても大丈夫です。
小さい子や高齢者には硬さと形を変える
小さいきょうだいや高齢の家族がいる場合、同じ食材でも切り方や硬さを変えることが大切です。
消費者庁は、豆やナッツ類など硬くてかみ砕く必要がある食品は、5歳以下の子どもには食べさせないよう注意喚起しています。また、ミニトマトやぶどうなど球状の食品は、丸ごと食べると窒息のリスクがあるため、乳幼児には4等分する、やわらかくするなどの工夫が必要としています。
高齢者の場合も、歯の状態、入れ歯、飲み込む力、持病によって食べやすさが変わります。むせやすい、飲み込みにくい、食事中によく咳き込む場合は、家族だけで判断しすぎず、医師、歯科医師、管理栄養士、介護職などに相談してください。
| 食材・形 | 小学生の目安 | 注意が必要な人 |
|---|---|---|
| れんこん・ごぼう | 薄切りや小さめから | 歯が痛い人、かみにくい人 |
| りんご | 薄切り・角切り | 乳幼児、高齢者は大きさ調整 |
| ミニトマト・ぶどう | よくかんで食べる | 乳幼児は丸ごと避ける |
| 豆・ナッツ類 | 年齢と歯の状態を見て | 5歳以下には与えない |
| もち | 小さくして落ち着いて食べる | 高齢者、幼児は特に注意 |
かみごたえを増やすときの基準は、「本人が安全にかめるか」です。家族全員に同じ硬さを出す必要はありません。
よくある失敗とやってはいけない例
よくかむ習慣をつけようとすると、よかれと思って失敗することがあります。ここでは、家庭で起きやすい失敗を整理します。
回数だけを数えて食事が苦しくなる
「30回かみなさい」と言われ続けると、食事が楽しくなくなる子もいます。回数を数えることは練習になりますが、目的は安全においしく食べることです。
毎回きっちり30回にこだわるより、最初の数口だけ数える、かたい食材だけ意識するなど、続けやすい形にしましょう。
硬い食べ物を急に増やしすぎる
あごを鍛えたいからといって、するめ、硬いせんべい、ナッツ類などを急に増やすのは注意が必要です。
歯が痛い、あごが疲れる、口の中を傷つける、のどに詰まりやすいなどの問題が出ることがあります。特に小さい子や高齢者には不向きな食品もあります。
安全を優先する家庭では、「硬い物を増やす」より「いつもの食材を少し大きめにする」「やわらかすぎる食事に歯ごたえを一品足す」くらいから始めましょう。
食事中に歩く・笑う・話しすぎる
食べ物が口に入ったまま歩く、ふざける、大笑いする、走るのは危険です。食べ物が気管に入る誤嚥や、のどに詰まる窒息につながることがあります。
これは子どもだけでなく、大人にも言えることです。食事中は座って食べ、口の中の物がなくなってから話すようにしましょう。
飲み物で流し込むクセを放置する
パンや肉などをよくかまず、飲み物で押し流すクセがあると、早食いが直りにくくなります。飲み物は悪いものではありませんが、食べ物を細かくする代わりにはなりません。
流し込みが多い人は、一口を小さくし、飲み込んでから飲み物を飲む順番に変えてみましょう。
ケース別|家庭でどう取り入れる?
よくかむ習慣は、家庭の状況によって取り入れ方が変わります。無理に同じ方法を使うより、自分の家に合うやり方を選ぶことが大切です。
小学生本人が早食いの場合
早食いの子には、「もっとゆっくり」と言うだけでは変わりにくいです。具体的な行動に変えましょう。
おすすめは、最初の3口だけ一口30回を目安にする方法です。全部の食事で数えると疲れますが、最初だけなら続けやすくなります。
また、箸やスプーンを置く、家族の会話に合わせて食べる、食事時間を少し長めに取ることも役立ちます。
苦手な野菜を食べてほしい場合
よくかむと、野菜の甘みや香りに気づきやすくなることがあります。ただし、苦手な野菜を大きく切れば食べられるようになるとは限りません。
苦手な場合は、まず小さめに切る、汁物に入れる、好きな食材と組み合わせるなど、食べやすさを優先しましょう。慣れてきたら少し歯ごたえを残します。
嫌いな食材でかむ練習をすると、食事そのものが嫌になることがあります。最初は、好きな食材でよくかむ練習をするほうが現実的です。
小さいきょうだいがいる家庭
小さい子がいる家庭では、上の子と同じ食材をそのまま出さないことが大切です。
特に、豆、ナッツ、ぶどう、ミニトマト、もち、硬い肉、こんにゃくゼリーなどは、年齢や形によって注意が必要です。上の子が食べられても、下の子が安全に食べられるとは限りません。
家族で同じメニューにしたい場合は、下の子だけ小さく切る、やわらかく煮る、危険な食材は別の物に置き換えるなどの工夫をしましょう。
高齢者と一緒に食べる家庭
高齢の家族がいる場合は、「よくかんで」と言うだけでなく、食べやすい硬さにすることが大切です。
入れ歯が合っていない、歯が少ない、むせやすい、飲み込みにくい場合は、食材の硬さや大きさを調整する必要があります。食事中にむせることが増えた場合は、早めに専門家へ相談してください。
家庭でできるのは、食べる姿勢を整える、一口を小さくする、急がせない、口の中に残っていないか確認することです。それ以上の判断は、医療や介護の専門職に相談するほうが安全です。
忙しい朝に続けたい場合
朝は時間がなく、よくかむ食事を用意するのが難しい日もあります。その場合は、完璧を目指さなくて大丈夫です。
たとえば、おにぎりに少し具を入れる、バナナを丸のみせず一口ずつ食べる、トーストを小さく切って食べるだけでも、飲み物だけで済ませるより「かむ時間」を作れます。
今すぐ最低限だけやるなら、「朝の最初の一口だけゆっくりかむ」から始めましょう。
自由研究に使える観察アイデア
よくかむことは、自由研究にも使いやすいテーマです。ただし、体に負担をかけたり、のどに詰まりやすい物を試したりする実験は避けてください。
安全にできる観察を選びましょう。
ごはんをかむと味が変わるか調べる
白いごはんを少量口に入れ、ゆっくりかんだときに、味がどう変わるかを記録します。最初はあまり味がしなくても、かんでいるうちに甘みを感じることがあります。
記録するときは、「何回くらいで甘みを感じたか」「飲み込みやすさはどう変わったか」をメモします。無理に長く口に入れ続ける必要はありません。
食べる速さと満腹感を比べる
同じような量の食事で、急いで食べた日と、ゆっくり食べた日を比べます。ただし、わざと危険な早食いをする必要はありません。
食事時間、食後のおなかの感じ、眠気、満足感を記録します。家族で協力してもらうと、比べやすくなります。
かみごたえ食材マップを作る
食材を「やわらかい」「少しかむ」「よくかむ」に分けて表にします。
| 分け方 | 食材例 | 気づいたこと |
|---|---|---|
| やわらかい | 豆腐、プリン、卵焼き | すぐ飲み込める |
| 少しかむ | ごはん、パン、魚 | 食べ方で回数が変わる |
| よくかむ | れんこん、りんご、肉 | 小さくすると食べやすい |
この研究では、「硬い物がえらい」と決めつけないことが大切です。人によって食べやすさが違うことも、研究の大切な発見です。
FAQ|よくかんで食べる疑問
一口30回は必ず守らないといけませんか?
必ず30回でなければいけないわけではありません。一口30回は、よくかむ習慣をつけるための目安です。やわらかい物と歯ごたえのある物では、必要な回数が違います。大切なのは、食べ物が小さくなり、だ液と混ざって、無理なく飲み込める状態になっているかです。最初は、最初の3口だけ30回を目安にすると続けやすいです。
よくかめば頭がよくなりますか?
よくかむことだけで、成績が必ず上がるとは言えません。集中力や学習には、睡眠、朝食、運動、生活リズム、勉強環境など多くの要素が関わります。ただ、朝ごはんを落ち着いてよくかむことは、体を目覚めさせ、食事をしっかり取る助けになります。「かめば頭がよくなる」ではなく、「落ち着いて食べる習慣が学ぶ準備を助ける」と考えるとよいでしょう。
ガムをかむのはよいことですか?
ガムは、食事以外でかむ動きをするきっかけにはなります。ただし、砂糖の多いガムを長時間かむと、むし歯やあごの負担が気になる場合があります。小学生の場合は、学校や家庭のルールを守り、食事の代わりにしないことが大切です。あごが痛い、歯の治療中、矯正中などの場合は、無理にガムを使わないほうが安心です。
やわらかい物ばかり食べるのは悪いですか?
やわらかい物が悪いわけではありません。体調が悪いとき、歯が痛いとき、歯が生え変わる時期、飲み込みに不安がある人には、やわらかい食事が必要なこともあります。ただし、元気で問題なく食べられる子が、毎日ほとんどかまない食事ばかりだと、かむ回数は少なくなります。無理のない範囲で、野菜や果物、きのこなどを少し足すとよいでしょう。
のどに詰まりやすい食べ物は何に注意すればいいですか?
もち、豆、ナッツ類、ミニトマト、ぶどう、硬い肉、丸い食品、粘りの強い食品は注意が必要です。特に乳幼児や高齢者では、食品の大きさ、形、硬さを調整してください。消費者庁は、5歳以下の子どもには硬い豆やナッツ類を食べさせないよう注意喚起しています。食事中は座り、口に物を入れたまま走る、笑う、泣く、話すことを避けることも大切です。
早食いを直すには何から始めればいいですか?
まずは、一口を小さくし、最初の3口だけゆっくりかむことから始めるのがおすすめです。全部の食事で完璧にやろうとすると続きにくくなります。箸やスプーンを一口ごとに置く、飲み物で流し込まない、食事中のテレビやスマホを減らすことも役立ちます。家族で取り組む場合は、注意するより「今日の最初の一口をゆっくりにしよう」と具体的に決めると続けやすいです。
結局どうすればよいか
よくかんで食べる習慣をつけたいなら、優先順位はシンプルです。
まず一番大切なのは、安全に食べることです。食事中は座り、口に物を入れたまま歩いたり、笑ったり、ふざけたりしないようにします。小さい子や高齢者がいる家庭では、硬い物、丸い物、粘りの強い物の大きさと形を調整してください。不安がある場合は、家族だけで判断せず、医師、歯科医師、管理栄養士、自治体の保健相談などに相談するのが安全です。
次に、一口を小さくします。口いっぱいに入れると、よくかみにくく、飲み込みにくくなります。小学生なら、口を閉じてモグモグできる量を目安にしましょう。
その次に、飲み物で流し込まないことを意識します。水やお茶は食事の合間に飲んでかまいませんが、食べ物を細かくする代わりにはなりません。食べ物をかんで飲み込んでから、必要なら一口飲むようにします。
後回しにしてよいのは、細かい回数へのこだわりです。一口30回はよい目安ですが、すべての食材で必ず数える必要はありません。最初の3口だけ数える、歯ごたえのある食材だけ意識するなど、続く方法を選びましょう。
今すぐやるなら、次の食事で「最初の一口を小さくして、いつもよりゆっくりかむ」だけで十分です。迷ったときの基準は、食べ物が小さくなっているか、飲み込みやすいか、急いでいないかです。
よくかむことは、特別な道具がいらない生活習慣です。無理に硬い物を食べるのではなく、自分の歯、年齢、体調、家族の状況に合わせて、少しずつ食べ方を整えていきましょう。
まとめ
よくかんで食べることは、食べ物を細かくし、だ液と混ぜ、飲み込みやすくするための大切な習慣です。消化の準備、早食いの防止、満腹感への気づき、口やあごを使う機会にもつながります。
一方で、健康によいからといって、硬い物を無理に食べる必要はありません。小さい子、高齢者、歯やあごに不安がある人は、食材の硬さや大きさを調整することが大切です。
家庭では、「一口を小さくする」「飲み物で流し込まない」「座って落ち着いて食べる」ことから始めれば十分です。よくかむ習慣は、毎日の食事を安全に、おいしくするための基本です。


